ロイヤルハワイアン滞在記

(2000年8月)


6.お出かけ

 アリゾナ・メモリアル

8/15は、敗戦国の日本では終戦記念日である。そこで、勝ったアメリカの方も何かイベントをやっているかもしれないと思い、午後から出かけてみた。ホテルのコンシェルジュに聞くと、安いシャトルバスサービスは午前中で終わりなので、午後からはタクシーかバスかレンタカー。バスは20番と47番で、30分か40分おき。1ドルで行けるのでとても安いが、いつ着くか分からない。タクシーだと30分で30ドルくらいとのこと。往復60ドルくらいならレンタカーと費用は同じくらいだし、こっちの方がはるかに便利なので、タクシーにした。13時半にアリゾナ・メモリアルのビジターセンターに到着。チップを入れて31ドルだった。

アリゾナ・メモリアルは、真珠湾攻撃の際に沈んだ戦艦アリゾナの上に建てられた記念館。1962年のオープンで、ビジターセンターで説明を聞いて20分の映画を見て、裏の桟橋からボートで記念館に向かうシステム。所要時間は75分、最終のツアーは15時からだが、すでに整理券(入場は無料)の配布は終わっていた。ビジターセンターは7時半から空いていて、整理券の配布は先着順(予約は不可)とのこと。次回は早い時間に来るようにしよう。

そう言えば、ホテルからの送迎付アリゾナ・メモリアル見学ツアーは、早い時間のホテル出発のものばかりで、午後出発のものはなかった。送迎格安シャトルバスも、午後は運行していない。これらから、「アリゾナ・メモリアルは、早く行かないと見られない」ということに、事前に気が付くべきであった。このくらい、いつもなら察知できるはずだが、どうもワイキキに着いた途端、気が緩んで思考回路も止まってしまって、不覚をとってしまった。

しかし、たくさん観光客が来ることが分かっているなら、記念館側でも、それに対応できる体制を整えていただきたいとも思う。カウンターの前でがっかりしているのは、わが家だけではなかった。数分のうちに何組もの白人の家族連れがやってきて、同じように肩を落としていた。見る機会を失った観光客の数は、かなりの数になるだろう。

また、わが家が運良くギリギリで最終回の分を買えたとしても、1時間半も先のツアーである。隣接地にボウフィンパーク(潜水艦博物館)があり、またビジターセンターからバスで行く戦艦ミズーリのツアーもあるので、そこで時間を調整しろと言うことなのだろうが、それにしても待たせ過ぎだ。このあたりは、無料でやっている(運営人員の多くは退役軍人などのボランティアらしい)ので、人員拡大・設備の充実化などが難しいのかもしれない。

 戦艦ミズーリ

ビジターセンターでチケットを購入(大人14ドル、子供7ドル)。毎時35分に日本語ツアーもある(6ドル)が、日本語のパンフットをもらえたのでのんびり好きなように見て回ろうと思い、これには申し込まなかった。駐車場の一角から送迎バスに乗り、10分くらい走って、戦艦ミズーリの岸壁に到着。

岸壁の一角には、「戦艦ミズーリの今日の歴史・15AUG」という掲示板があった。英文で、この日に起きた昔の出来事が書いてある。1944年、1984年、1987年の出来事が書いてあったが、1945年8月15日の玉音放送についての記述はない。また、その隣の「戦艦ミズーリ・今日のイベント・15AUG」という掲示板には、「NO EVENT」。何だか拍子抜けである。

デッキログという解説パンフレット(日本語版あり)を読むと、降伏文書の調印(1945年9月2日)については書かれていたが、8月15日については何の記述もなかった。よく考えると、8月15日は日本側の意思決定に関係する節目の日ではあるが、連合軍にとってはあまり関係がない。連合軍としては、「降伏文書の調印を持って、終戦」という認識なのだろう。

トマホークとハープーンを搭載して湾岸戦争にも出陣したミズーリは、予想通り巨大な船体で、また上り下りの階段も多くて、いい運動になる。横須賀にある戦艦三笠(かなり古い)とはスケールがまったく違う。甲板上には、降伏文書調印式会場が記され、ケース内で降伏文書(複製かも?)が展示されていた。上の方に行くと、爽やかな風が吹いていた。アリゾナ・メモリアルもけっこう近くに見えた。

なお、後日の朝日新聞の記事によると、戦艦ミズーリ記念館は1999年にオープンし、2000年の入館者数は35万人(日本人は6%)。日本の観光業界や学生へのPRに力を入れようとしているらしい。運営団体は、えひめ丸と衝突した原潜に体験航海していたことで有名になってしまった民間団体の「戦艦ミズーリ保存会」で、アリゾナ・メモリアルと同様に、退役軍人などのボランティアが多いとのこと。現状では「真珠湾の一角に浮かんでいる退役戦艦の館内見学」に過ぎないので、このままでは多くの観光客を集めるのは難しい。アリゾナ・メモリアルは、沈んでしまった戦艦を真上から見ることができる、という特徴的な魅力があるが、戦艦ミズーリは「戦艦三笠よりも大きく新しい」という程度だ。

 ボウフィン・パーク

ビジターセンターの隣にある潜水艦博物館。潜水艦ボウフィンの館内見学も付いている(博物館だけの見学もできる)。大人8ドル、子供3ドルで、戦艦ミズーリとのセット券にすると安くなる。潜水艦博物館では、潜水艦のスケルトン模型がなかなか興味深かった。潜水艦見学では、日本語の解説テープ入りウォークマンの貸出サービス(無料)があった。それを聞きながら艦内に入ったが、さすがに潜水艦は艦内が狭く小さく、あちこち頭をぶつけながら歩いた。15分くらいで一回りできてしまう規模だが、戦艦ミズーリよりもおもしろかった。

 ホノルル灯籠流し

戦艦ミズーリとボウフィンパークを見た帰り、キリン・レストランで夕食にした。その最中に読んだ現地日本語情報誌で、毎年8月15日に灯籠流しが行われるという記事を発見。食後、19時頃にキリンレストランからタクシーでアラワイ運河に向かった。運転手に聞くと、見頃は20時くらいかららしい。まだ1時間近くあるので、目的地を買えて、クヒオ通りの真ん中の当たりで降ろしてもらって、そのへんの店をぶらぶらした。

19時45分くらいにアラワイ運河に行くと、ぽつぽつ見物客が土手に座っている。空いているところに座って待つ。土手にあまり空席がなくなったころ、手漕ぎのカヌーがやってきた。大きな灯籠を乗せている。そしてその舟が、小さな灯籠がいくつも並んだ小舟を曳いている。小舟は長いと12艘も続く。川の灯籠流しと違って、漕ぎ手の櫓の動きに合わせて、クイックイッと動いていくのがやや不自然だが、流れのない運河では仕方がない。灯籠を水面に置いただけでは、灯籠流しではなく灯籠浮かべになってしまう。

雲間に月が出ている。対岸の丘に、家の灯りが点々としている。小舟には、「○○家」と漢字で書かれたやや大きい灯籠がいくつも混じっている。灯籠は、やってきて、そして去っていく。この景色を見ている限り、ここがアメリカとは到底思えない。この街の住民には、この景色を見て、深い感慨を覚える人が少なくないのだろう。

このセットが、20セットくらい通過していった。9時くらいになって、どうやらすべて通過したようで、わらわらと見物客が立ち始める。お盆であるとともに終戦記念日だから、8月15日にやっているらしい。ただ流れていく灯籠を眺めるだけだが、いろんなことが頭に浮かんでは消えていったりした。

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