コラム&トピック

突然、事件現場となってしまった自宅への想い
―世田谷殺人事件現場自宅の取り壊し見送りから考える

会員・匿名希望



家族とともに「家」も失う被害者
 殺人事件の半数以上は親族間であり、「面識あり」を含むと9割近く、関係者が加害者であると考えられる(下記資料参照)。最新の統計が無いのが残念だが、「殺人」においては大きな変動はないものと思われる。
 世田谷事件の犯人が顔見知りかどうかは不明であるが、私たちは残りわずか1割の「面識なし」被害者遺族を中心に活動してきた。その中でも「自宅」が現場となった被害者はさらに極めて少数であり、私はその遺族の一人である。
 「殺人事件被害者」というだけで周囲から孤立し、長年住み慣れた自宅を離れざるを得ない被害者遺族は多い。ましてや「自宅」が現場となり、家族を失った遺族で住み続けている例を身近では知り得ない。そして私も新築間もない我が家を離れた苦しい経験がある。犯人からの賠償など全く無い中で、遺族にとって「自宅」を失うことは、経済的な損失において最も大きな被害である場合が多い。それに伴って、家族の思い出、隣近所との交流、小学校・中学校の友人など、それまでの当たり前の生活を全て失ってしまう。




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