コラム&トピック

犯罪被害に遭うということ

今田たま(強盗殺人事件・被害者遺族)



一方でもう一つ確信していた事がある。
私はもう、11年前の、父が生きていた頃の自分に戻る事は出来ない。
それがこれからの私の人生でやはり変わる事のない、現実なのだなという事も、11年の歳月が立証した。 あの頃のように、ただ自分の幸せを思い描いて、楽しく毎日を生きていた私にはもう戻れない。
悲惨なニュースを見れば、父の事を思い出し、犯罪に心から怒りや悔しさが湧くし、辛さがこみ上げる。

もし、この11年間、犯罪被害者遺族として生きた事に、何か意味を見出すとしたら

  「昔に戻れない事」

それが、意味なのかもしれないと最近思うようになった。
犯罪被害者やその遺族、関係者に対する支援の在り方など、こういう立場の人間になったからこそ、思う事・言いたい事がある。伝えたい事がある。

犯罪被害者はもっと声を上げて、世の中に犯罪に対する思いを、ぶつけていいのではないかというのが私の考えだ。
もちろん事件にあった直後などに無理をする必要はない。時間が必要な人には支援が必要な場合もある。
Poenaの活動に参加させてもらうようになって、私は多くの事を学んだし、同じ思いで活動している方たちのいる心強さをもらった。
そしてこれから、もっと多くの人の意見や考えを聞いてみたいと思っている。

父を失った傷は癒える事のない私の一部だ。そんな心を抱えた人や、そういう人間に寄り添おうと考えてくれている人がいるのなら、その輪が広がっていけばいいと思っている。そしていつか、「犯罪被害」という悲しい事件が、この世からなくなる日が来れば、私たちが今、精一杯の思いを伝える意味は未来に繋がるのだと信じたい。

今田たま(強盗殺人事件被害者遺族・漫画家)




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