コラム&トピック

LGBT性暴力被害者の実態

浅川浩己(フリーライター)



Q、今後、どのような活動をしていく予定ですか?

A、私は、支援団体のある職員の言葉が引っかかっていて、それは何かというと
「私の団体では電話相談を行っていますが、今までLGBTの性暴力被害者が
相談してきたことはありません。」という言葉ですね。そんなことはないわけで。

アメリカのある機関の調査によると、被害者支援をしている85%の人たちが、
性的指向、または性自認のために対応を拒否されたLGBTサバイバーがいたことを認識していたと回答しています。

私たちが思うに、性暴力被害者の統計とか出ていますよね。
その多くは相談を受けたり、社会制度の中で対応してきた人たちだけのデータなのではないかと思っていて、相談を断られたり、社会制度の中で取りこぼされてきた人たちのデータは反映されてないのではないかと思っています。
だから、先ほどの職員のように「LGBT性暴力被害者が相談してきたことはない」と言う人たちが出てくるんじゃないかと。
電話相談を行っている機関には、いたずら電話もあると聞きますから、
もしかしたら相談員の方がLGBT性暴力被害者の話を、いたずら電話だと思って
断ったかもしれませんし、または対応方法が分からず断ったかもしれないですよね。 ですので、LGBT性暴力被害者の相談を断ったことがあるのか?
もしあるのであれば、なぜ断ったのか? また、LGBT性暴力被害者は、
なぜ相談しにくい状況にあるのか?
支援団体等に聞き取り調査をして明らかにしていきたいなと思っています。
 また、「Broken Rainbow-Japan」というLGBTの性被害に特化した団体を作りました。現在、そこでLGBTの被害に関する冊子を作成していて、より多くの人に
現状を知っていただき、適切な対応ができる人が増えていくようにと願っています。

<取材を終えて>
 そもそも、今回取材をしようと思ったのは、性暴力被害者はどんな人でも
分け隔てなく対応されているものと思っていましたが、実はそうではないなと
思ったことがきっかけです。
支援機関から相談を断られると、その時点で孤立する可能性が高くなり、
孤立すると気力もだんだん失われていきます。そして何よりも、人と繋がること
によって得られる情報、例えば、支援機関が積み上げてきた対応方法や
当事者の経験談を聞くことによって得られる情報も遮断されることになります。
まずは、孤立しない状況を作ることが、大切なのではないかと思いました。
また、今回の取材で「LGBT性暴力被害者の特徴とかありますか?」と質問した
とき、「今の質問だとLGBT性暴力被害者にレッテルを貼ることになるから、答えることはできない」という指摘を受けました。今回のテーマが「LGBTの性暴力被害」ということだったので、LGBTという枠組みに捉われていたように思います。
大切なことは、フラットに物事を見て、多様な性暴力被害者がいることを認識することだと思いました。

岡田さん、宇佐美さん、お忙しい中取材を受けていただき、ありがとうございました。




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