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「足立区女性教師殺人時効事件」への対応について、足立区へ要望書を提出


 東京足立区で2004年(平成16年)に発覚した28年前の殺人事件において、時効後に犯行を自供した男(70)に対し、被害者の元足立区立小学校教師、石川千佳子さん=当時(29)=の遺族は、「時効で逃げ得になるのは納得がいかない」と損害賠償を求める民事訴訟を起こしています。
 この裁判は事件から27年後の17年に提訴され、「不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する」との民法の時効に当たる「除斥期間」をどう判断するかが争点となっていました。2006年9月26日、東京地裁永野厚郎裁判長は除斥期間の経過について、「殺人」と「遺体を隠し続けた行為」を分けて考えるとの枠組みを示し、殺人は既に除斥期間が過ぎていると判断、賠償責任を認めませんでした。一方、遺体を床下に隠し続けたことは、「遺体をまつる機会を奪い、故人をしのぶ権利を侵害した」として、殺人とは別の不法行為の継続に当たると認定し、遺体が発見されるまでの26年間にわたる権利侵害に対する損害賠償権は消滅していないとし、男に対し原告遺族3人にそれぞれ110万、合計わずか330万の支払いを命じたにとどまったのです。
 当時被害者が勤める小学校の警備員(足立区職員)であった男は、犯行後も平然と定年退職するまで働き続け、現在は千葉県で「要塞」のような家に住みながら年金生活を送り、今日に至っても全く反省の様子は見られず、遺族は男の雇用主である足立区も訴えていましたが全く認められませんでした。しかし、地方公務員災害補償基金東京都支部は10月13日、死亡確認が2004年だったため、請求権の消滅時効(5年)は成立していないとの判断に基づき、石川さんの死亡を公務災害(労災)と認定しました。この判断は民事のみならず刑事においても同様に検討されるべきものでしょう。

 当会は、殺人事件のような重大犯罪で「時効」によって救われるのは何の反省も後悔もない非道な犯罪者だけであり、被害者の無念・遺族の怒りが消えることはないと考え、これまでも殺人事件などの重大な犯罪の時効を廃止するよう訴えてきました。石川さんのご遺族は既に控訴していますが、「知りえなかった犯罪の時効」という想定外の現実に直面し、被害者の救済を第一に考え、同様な犯罪が二度と起こらないように法の判断は下されるべきであり、今後の裁判を見守りつつ、微力ながら応援させていただきたいと考えております。
 法の判断とは別にして、小学校という教育の場で被害にあった石川さんを、結果として長年にわたって放置し、非道な犯罪者を見逃したばかりか給与、退職金を払ってきた足立区の道義的責任は消えるものではないと考え、2006年10月27日、犯罪被害者家族の会Poena(ポエナ)は足立区長に対し、被害者への損害賠償と犯人の退職金返還要求を実行していただくよう「要望書」を提出いたしました。


提出された要望書は以下からダウンロード出来ます。
要望書」(PDF形式)


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