ニュース・活動報告

講演 「医療過誤の実態と問題点――病院と医師の責任を問う」


「講演する古館恵美子さん」
<写真:危機管理研究会提供>

 当会会員の古館恵美子さんが、2007年1月17日、立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科・佐取朗教授が主宰する「危機管理研究会」において、「医療過誤の実態と問題点――病院と医師の責任を問う」と題する講演を同大学内(豊島区西池袋)で行いました。
 主催した危機管理研究会は同大学院研究科現役生・OBを中心に、様々な角度から社会、地域、家族の現状と問題点を分析し、新たな安全システムと行動を考える活動を続けています。

 古舘さんは2000年10月、埼玉医大総合医療センター(川越市)で、当時高校生(16歳)だった長女友理さんを、未熟・無責任な医師によって通常の7倍もの抗がん剤を大量投与され、失う必要の全く無い大切な命を奪われてしまったのです。亡くなったその日に警察に通報、それから2005年11月に最高裁で担当医、指導医、教授3名の刑事処分が確定するまでの5年間にも及ぶご夫妻の苦悩の日々は筆舌に尽くし難いものでした。

 しかしその後、厚生労働省医道審議会で下された医師処分はそれぞれ3年6ヶ月、2年、1年6ヶ月の「医業停止」のみであり、今後も医師としての資質・人間性を問われることなく永続的に診療を続けてゆくことになります。こうした「医療犯罪」への認識の甘さが放置され続けていく限り自分たちのような不幸な患者が増えるばかりであるとして、古館さんは自らの体験を伝えるとともに、病院、医師の責任と処分を明確にするよう訴えてきました。また現状、生死にかかわる問題であるにもかかわらず、患者にとって「適切な病院・医師」の選択が究めて困難であり、今後は個別の病院と医師の情報公開を義務付けるよう求めています。

 当日参加者からは様々な質問が相次ぎ、医療過誤問題に対する関心の高さが窺え、同研究会では今後もこの研究課題を継続して取り上げていく予定です。

前へ戻る