ニュース・活動報告

改正少年法が成立―少年審判の被害者・遺族の傍聴可能に

 原則非公開の少年審判について、被害者や遺族の傍聴を認める改正少年法が2008年6月11日、参議院本会議で可決され成立しました。当会ではすでに2006年5月24日に法務省へ、重大事件の少年審判を公開するよう要望書を提出し、その後も殺人、強盗致死等の凶悪事件の少年には原則刑事裁判を求めています(当会HP参照:少年法の改正を求める「要望書」を法務省に提出

 この度、可決された改正少年法は、昨年2007年11月施行の改正によって少年院送致の下限年齢が「14歳以上」から「おおむね12歳以上」に引下げられたことに続くものです。混迷を極める国会において賛成多数で成立したことの意義は大きく、少年犯罪の防止、被害者の救済の目的は多くの国民の共感・理解を得たものと考えられます。
 この間、日弁連は一貫として少年法改正に反対を続けており、現状でも<被害者が望めば>法律記録の閲覧・謄写、意見陳述、審判結果の通知が可能であるとし、被害者・遺族の傍聴は少年を萎縮させ、少年の健全育成の妨げとなると主張しています。さらに交通事故の被害者遺族が日弁連を支持し、多くの集会で被害者代表として少年法改正に反対していたことは、その倫理観を疑わざるを得ません。
 しかし現状の少年審判は、裁判官、調査官、付添い人(弁護士)、少年の保護者と少年のみで行われ、事件の真実を明らかにするという場ではなく、少年の今後の生活指導の場でしかないのです。自身の罪に向き合わず、被害者への謝罪も無いまま、わずかな期間の少年院教育で本当に矯正が可能なのでしょうか。
 今回の改正の対象となるのは、殺人など故意の犯罪行為で被害者を死傷させた事件、交通事故などの業務上過失致死傷事件などであり、法務省によると、これらの少年事件は被害者が死亡したケースだけでも年平均380件に上るといいます。しかし、被害者側が傍聴を申し出ても、少年の心身状態や事件の性質などを考慮して家裁がその可否を決定するものであり、今後正しい判断がなされるかどうか注視する必要があります。

 当会は今後も、少年法の適用を18歳未満とするよう要望するとともに、重大犯罪を犯した中学生以上の少年に対しては、少年審判ではなく刑事裁判を求め真実を明らかにし、少年とその親の責任と謝罪を求めて参ります。

2008年6月14日掲載


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