ニュース・活動報告

「足利冤罪事件の時効停止」と、「北九州監禁殺人事件の犯罪被害者給付金の 不支給裁定の取り消し」を求める要望書を提出

 2009年8月4日、当会は法務省、検察庁、警察庁を訪問し、時効に関わる2件の要望書を提出いたしました。

●足利冤罪事件
 1990年栃木県足利市において、4歳の女児が誘拐・殺害された事件で無期懲役が確定した菅谷利和受刑者が釈放されました。再審請求の即時抗告審で実施されたDNA鑑定で、別のDNA型が検出されたのを受けて東京高検が刑の執行を停止しました。今後、宇都宮地裁での再審においてその無罪が確定することになります。
 受刑者への謝罪と補償だけが報道されていますが、これにより被害者遺族にとって「犯人」が存在しないこととなり、新たな苦しみを背負うこととなります。これまでにも冤罪について多く論じられてきましたが、遺族への配慮が全く為されておりません。長期に亘って無実の人間を犠牲にし平然と逃げ続けている真犯人への時効の停止等について検討していただくよう要望いたしました。
 しかし現行法では「国外逃亡」以外は停止できないとの回答であり、冤罪のために失った真犯人捜査のための時間を全く取戻せないとすれば、あらためて時効制度の存在が社会正義の実現を妨げるものとの思いを強く致しました。

●北九州監禁殺人事件
 1996年2月に父親が殺害され、2002年3月に発覚した北九州市小倉北区の監禁殺人事件で、自らも監禁された女性(発覚当時17歳)に対し、2007年3月県公安委は、犯罪被害者等給付金支給法が申請期限を「犯罪被害が発生してから7年」と定めていることを根拠に不支給を裁定しました。
 2005年9月の福岡地裁で父親殺害が認定されたことを受け、06年2月に県公安委員会に給付金を申請したものですが、女性が監禁状態から抜け出せたのは父親の殺害から6年後のことであり、しかも殺害認定まで3年余の時間を必要とした事件にもかかわらず、申請期限の時効を主張したものです。
 この事は給付金支給目的を全く理解されておらず、法の平等を踏み躙る行為であり、強い怒りと理不尽さを感じております。特に助けを必要とする者への援助が無ければ、給付金を支給する意義が存在しないことになります。2008年12月、女性は裁定の取り消しを求めて福岡地裁に提訴していますが、当該被害者への支給を速やかにご検討いただけますよう、警察庁に要望書を提出いたしました。

時効停止に関して」(PDF形式)
犯罪被害者等給付金の不支給に関して」(PDF形式)

2009年8月5日掲載


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