ニュース・活動報告

JR新宿駅構内集団暴行事件

 ―亡き被害者の母が警視庁を相手取り、国家賠償請求の提訴


原田信助さん
 2009年12月10日JR新宿駅構内で、大学職員の原田信助さん(当時25歳)はすれ違った酔っ払いの大学生グループに、突然身に覚えのない痴漢容疑をかけられ激しい暴力を受けました。信助さんが助けを求めるため自ら110番通報したにもかかわらず、駆けつけた警察官らは信助さんの言い分に耳を傾けるどころか、痴漢事件だけを追求し始めたのです。そして女子学生が「痴漢は人違いだった」と言い、被害届を出さずに帰っているのに、信助さんを痴漢の加害者として執拗に明け方まで取り調べ続け、自白を迫りました。ようやく警察署を出て間もなく、翌11日早朝、信助さんは地下鉄ホームから線路に身を投じて命を絶ちました。

 その後警察は、被害届も無く自白調書も無い痴漢事件を、被疑者死亡で送検。検察は、被疑者死亡を理由に不起訴としました。警察は無実の人を犯罪者に仕立て上げ、事件として送検したことになります。まさに「死人に口なし」とばかりの行為です。このような不適切な警察の取調べが日常的に行われ、冤罪が構造的に生み出されているとすれば、私たち全ての日本人にとって正に他人事ではありません。
 死の間際まで録音していた信助さんのICレコーダーが意味する思いを受け止め、母の尚美さんは警視庁を相手取り、国家賠償請求の提訴を決断し、2011年4月26日霞が関・弁護士会館においてその記者会見を行いました。



主任弁護士の清水勉氏   原田尚美さん  小林邦三郎


 この訴訟に関し「明るい警察を実現する全国ネットワーク」の大きなご支援を賜り、さらに「原田信助君の国賠を支援する会」をスタートさせ、勝訴に向かって活動してまいります。私たち犯罪被害者家族の会ポエナも尚美さんを支援し、信助さんの名誉が回復されるように、そして冤罪事件の再発が防止されるように努めてまいります。また、このような形での冤罪事件が増えると、本当に痴漢の被害に遭われた方も被害を言い出しにくくなるおそれもあります。後に冤罪を問われることを恐れて泣き寝入りするようなケースも出てくるかもしれません。そうしたことにならないように、捜査方法が見直し改善され、善き社会が実現されるよう活動してまいります。
 多くの皆様のご理解、ご協力を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。


関連動画のページ(支援者のブログ)
http://harada1210.blogspot.com/p/blog-page_18.html

原田尚美さんによる提訴の趣旨文(PDF形式:89kb)

Acrobat Readerをダウンロード(Adobeサイトへ)

2011年5月2日掲載

前のページへ戻る