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滑空旋回

ニュートンの運動の法則を持ち出すまでもなく、グライダーを旋回させるには、必ずグライダーを旋回内側に引っ張る力(向心力)を発生させる必要があります。グライダーに働く力は(尾翼の揚力や抗力は小さいので無視すれば)主翼揚力、抗力と重力だけです。このうち重力と抗力は必要な向心力と直交していますから、滑空旋回の原動力は主翼揚力の旋回内側への傾き以外にはありえません。

右の図は加藤寛一郎:飛行の秘術(講談社)135ページ図3.10の一部です。134ページの説明は「飛行機が右に傾いても重力は真下に働いている。すると重力の右翼方向成分が、飛行機に横方向の速度を与える。」としていますが、これは正しくありません。当然のことながら旋回の外側を向いた分力があり、これが旋回内側に向かう力を打ち消すからです。

この図に揚力を加えると下の図になります。揚力の内向きの成分(揚力と重力の合力の内向きの成分も同じ)が「飛行機に横向きの速度を与える」というのが正解です。図から解る様に機体の傾きが大きいほど揚力と重力の合力は下を向き、したがって沈下が大きくなります。