03861/03899 松本允介 a:「模型翼型集(1)」の英語版(続)
( 8) 96/12/04 21:02 03856へのコメント コメント数:2
a:A-dynamics c:C-Line e:Engine g:General
p:Paper r:Rubber s:Scale t:Towline
皆さん 今晩は。
英語版はFrank Zaicの1955-56 Model Aeronautic
Year Bookに"WHIRLING ARM AIRFOIL
TESTING by S. Suzuki, Japan"として掲載されておりB5版に細かい活字で本文3
ページ、図表3ページに30の翼型の測定結果が載っています。原本がガリ版だった
のにたいして英語版の図面はきれいに墨入れされていてFZの署名が入っていますから、
図面は全部Zaic氏が引き直した模様です。内容の主要点は昨年の12月4日に私がこ
の会議室で紹介したのとほぼ同じでが、図面に記入してあった細かい数値データは省
略されています。まず昨年の発言の要点を訂正を添えて引用しておきます。
---------------------------以下引用と訂正-----------------------------------
>>01621/02124 QWE01503 松本允介 g:模型翼型集(1)と鈴木茂氏
>>模型翼型集(1) 副題:旋回腕実験値
>>富士見が丘模型飛行機研究会編 1948
- 1952
>>昭和29年7月25日 発行 (1954年)
>>海外版権 Model Aeronautical Press
所有
>>説明2ページ、記号1ページ、本文29ページのB5判ガリ版刷りの小冊子です。
>>翼型集の実際の著者は鈴木茂氏だそうです。
>>鈴木氏は木村秀政氏の一番弟子で、木村氏が大学(東大/日大不明)の助教授のときの
>>助手だったそうです。
>>実験設備は鈴木氏宅の6畳間か8畳間に設置され、
旋回腕は剣道の竹刀でした。
>>この資料は海外のモデルエアプレーン?という雑誌にも紹介されたそうです。
訂正事項は
1 鈴木氏は木村氏の日大時代(教授)の助手
2 海外版権はModel Aeronautic Publicationsが正しい様です。掲載はモデルエアプ
レーンではなFrank Zaicの1955-56 Year Bookでした。
>>01622/02124 QWE01503 松本允介 a:模型翼型集(1)の主要データ
>>この資料のポイントは最後のページの実験式です。それは
>>最大揚抗比 = (7.9 + (Rn/100000) -
(t + m)/4.3) * A^(1/3)
>>です。但し
>>Rn = 4*10^4 〜 12*10^4 レイノルズ数
>>t = 0 〜 15%C 最大翼厚(対コード百分比)
>>m = 2 〜 8%C 最大カンバー(対コード百分比)
>>A = 5 〜 16 アスペクト比
>>としています。
>>A = 6、Rn = 4.5*10^4 で縦軸に最大揚抗比、横軸に
t + m をとった図に
>>14の測定データがプロットされていますが、13のサンプルがきれいに直線上に
>>並んでいます(1例だけすこし外れ)。
>>最大揚抗比14.5、 13.5 の上位二つはライトプレーン翼です。
>>ここでの発見は - (t + m)/4.3 の項、つまり
>>「最大翼厚と最大カンバーは小さければ小さいほど最大揚抗比が向上する。」
>>こん点でライトプレーン翼や紙飛行機が有利なのがわかります。
英語版では「最大カンバーが4〜5%で翼厚は薄ければ薄い程よい。」としています。
-------------------------------引用と訂正完----------------------------------
このほかに英語版で面白い点は、
1 低レイノルズ数の領域では乱れた気流中と靜気流中では測定結果が全く違う。乱
れた気流の環境にある風洞実験では良いデータが出てしまう。これを回転腕の試験片
の前に気流を乱す格子をつけた実験により実証している。原本の試験データには日本
国内で試験の正確性に関する疑問が出ていて、これに対する反論の形になっています。
2 失速角に達する前でも翼の後半は実際は失速しているので著者は模型翼を失速翼
と呼んでいる。この対策に乱流化装置は不可欠である。試験の結果、一番良いのは紙
のシワ張り。但しちゃんと貼った紙の上に重ねてはる。のり付けは翼の先端と後端の
みにする。
今度の土曜日(12月7日)にスカイスポーツシンポジウムに参加で興味のある方には
会場で英語版をお見せ出来ます。
松本允介