( 8) 95/07/28 21:34
ラジコン技術8月号318ページ(フリーフライトのページ)にゴム屋には見逃せない大変興味深い記事が載っています。金川茂「気になる数字」です。過去2年間の18ロットのエネルギーの比較データがFAI Tan、Tan IIの一手供給元であるF.A.I. Model Supplyから提供されています。TanからTan IIへの切り替えは1993年の初夏(晩春?)ですからデータは全てTan IIと言うことになります。
先ず記事の数値をそのままご紹介しましょう。記事では棒グラフになっているため、数値は概数です。なお3620の二つのロットはキット用にやむを得ず出荷した物で、標準品質ではないとのことです.
エネルギー(feet) メートル ロット数
4000 1220 4
3850 1175 3
3820 1165 6
3800 1160 3
3620 1100 2 (エネルギーの単位およびメートル換算は松本記入)
記事でエネルギーと言っているのは「単位は単位重量当たりの放出エネルギー」だと思います。フィート・ポンド重/ポンド(ft lb/lb)です。つまり1ポンドのゴムの放出エネルギーで1ポンドの物体を重力に逆らって何フィート持ち上げられるかと言う値です。(これは例えばフィート・kg重/kg(ft kg/kg)としても同じ、従って単にフィートで表記すること可能です。)
単位重量当たりの放出エネルギーは直接滞空性能に比例しますから、非常に重要な性能指標です。
1220m kg/kg = 1220m g/g = 244m 5g/gですから、空気抵抗を無視すれば、1グラムのゴムのパチンコで5グラムのグライダーが244メートル上昇すると言うことです。(空気抵抗を仮定して、打ち出しの初速と到達高度が計算出来ると思いますが、どなたかトライして見ませんか。)3.2ミリのゴムだと1グラムで30センチ弱ですから、ループにして8倍引っ張れば120センチです。パチンコグライダーの諸元に近いのではないでしょうか。
別の文献ではTan II以前のゴムの性能の典型値として次の数字をあげています。これらの典型値と比較して,Tan IIの優秀さがよく分かります。
ゴム種別
ft lb/lb m kg/kg
ピレリ
3750
1127
FAI Grey (Champion) 3450
1052
FAI Tan
3500
1067
(以下は余談です。)
GPFではTan IIを6回輸入し、私は毎回エネルギーを測定しています。大体FAI Model Supplyの測定値の範囲です。当方の測定では1350m kg/kgのデータ(昨年11月入荷)も出ていますが測定法・測定条件が不明のため何とも言えません。手持ちのTanのデータは994m kg/kgで、文献の典型値とほぼ一致しています。
記事中に「最高性能のものは1993年6月のロットでこれは同年9月の世界選手権で世界の一流選手が使用した。日本の選手もこれを手にした。」旨の記述があります。これはGPFで1993年10月に入手したピンクがかった白いゴムでキューピーと通称しているものと思われます。残り少なくなってきましたが、試合用に大切にとっている人もいます。
松本@GPF