( 8) 96/01/15 23:40 01872へのコメント コメント数:2
太平洋さん、皆さん、今晩は。
太平洋さんがHOBIXで買ったゴム(TAN II)の性能測定の結果をご報告します。
1. 対象のゴムはPeck Polymers経由の1/4"(6.4mm)ゴム 色:やや白色 箱:長方体
これを半分の幅(約3.2mm)にスライスし、長さ20.9cmのテストピース(実質19.3cmを)を切り出してループにして試験する。
2. 目盛り0cmの位置にゴムフックをつけた長さ約110cmの定規を準備する。このフックにテストピースのゴムを掛けて5kgのバネ秤で引き、ゴムの伸び(長さ)と張力を記録する(入力)。張力が限界に達した後、今度はゴムを戻しながら長さと張力を測定する(出力)。トルクの代わりに張力を測定するのは広く行われている方法です。
3. 記録から横軸:ゴムの長さ、縦軸ゴムの張力の折れ線グラフを作成する。
この折れ線の下の面積を計算(数値積分)して、テストピースの吸収エネルギーおよび放出エネルギーを求める。
4. 測定は先ずブレークインをしてないテストピースで行い、数回の試験の後5分間のブレークインを行い、測定を継続する。今回は張力3kg(98cm)で実施した。
5.測定結果の主要部分を下表に示す。
長さ 入力1 出力1 出力6'出力6 単位:長さcm
10.0 0 0 0 0 入力・出力 10g重
20.0 28 25 24 24 実測値合計 10cm・g重
30.0 43 39 38 39
40.0 57 53 51 51 測定時室温:摂氏15度
50.0 73 64 61 63
60.0 94 73 68 70
65.0 108 79 73 74
70.0 122 86 78 79
75.0 133 93 84 86
80.0 150 105 93 93 元の重さ:8.64g
85.0 184 132 107 102 元の長さ:258.5cm
90.0 244 206 138 121 テストピースの長さ:20.9-1.6=19.3cm
92.5 285 285 175
95.0 161
100.0 270
103.0 400
実測値合計 7471 5961 5161 7555
補正energy(m) 1158 924 800 1171
補正energy(ft) 3800 3032 2625 3842
補正energy(m)は実測値合計/(8.64x19.3/258.5)/10であり単位はグラム重・メートル/グラムまたは単にメートルです。補正energy(ft) はこれをフィートに換算(x100/12/2.54)したものです。
入力は引っ張りによりゴムに加えたエネルギー、出力は元の長さに戻すときゴムが放出したエネルギーです。
入力1・出力1はブレークイン前の最初の試験データ、出力6はブレークイン後数度の試験後の最良データです。
6. 測定結果から分かること
a. このゴムの放出エネルギー1171m(3842ft)は#375"Tan II の「気になる数字」"のデータと比較してごく平均的な数字です。ただし、この試験が摂氏15度と言う比較的低温で行われていること、またTANが温度が一度上がる毎に性能が0.84%上がるというデータ*が有る点を考慮すると、もう少しよいゴムと考えても良いかも知れません。*F. Pearce: Rubber Energy Storage, NFFS Symposium, 1990, pp. 40-42
b. 出力1/入力1=0.8 つまりゴムか吸収するエネルギーと放出するエネルギーには20%の差が有る。さらにこの値はゴムによりまたブレークインの程度により異なる。従ってゴムの性能試験はエネルギー放出を測る必要が有る。
c. 出力6'はブレークインが済んだゴムをブレークイン前と同じだけ伸ばして、出力を測定したものです。伸びるところまで伸ばしたときの僅か2/3の出力です。ピーナッツなどの場合、ブレークインが徐々に進と思われますが、いつもゴムを使いはじめと同じだけ巻いていると、実力の2/3しか使っていない事になりそうです。>>masaさん
グラフ用紙の上記のデータを書き込んで折れ線グラフを作り、実感をつかんで下さい。
太平洋さんのもう一つのゴム(FAI直接出荷)のものは上記(Peck Polymers経由)に比べてやや劣る成績でした。
松本允介