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重心位置:カタパルトグライダーの場合 投稿者:松本@GPF 投稿日:12月25日(日)16時36分21秒

重心位置を前進させたカタパルトグライダーを作ってみました(写真)。
主翼はバルサ製、胴体は4x5mmのバルサ棒、尾翼は1mmスチレンペーパーで、主翼・水平尾翼ともにゴムバンド固定式です。写真で水平尾翼が極端に小さいことがわかりますが、上昇、かえり、滑空ともに全く問題ありません。これは下記計算の安定マージン29パーセントからも裏づけられます。

主翼は最大翼厚2.1mmのHLG翼、心コード5cm、翼端コード3cmの翼端テーパー翼ですが、26cmx4.5cmの長方形翼で近似します。
諸元は
機体重量 13グラム
主翼 26cmx4.5cmの長方形翼 翼面加重=13/(26*4.5)/100=11.1g/dm^2
水平尾翼 4.8cmx2cmの長方形翼
重心位置 主翼前縁から1.45cm (1.45/4.5=0.322)
主翼前縁から水平尾翼前縁まで 22cm
から計算して
水平尾翼面積/主翼面積=4.8*2/(26*4.5)=0.082
水平尾翼モーメントアーム長=22−4.5/4+2/4=21.4cm
水平尾翼容積比=4.8*2*21.4/26*4.5*4.5)=0.39
全機空力中心 主翼前縁から2.75cm (概算法による。末尾参照)
縦の静安定マージン=(2.75-1.45)/4.5=0.288 つまり29パーセント
(尾翼効率を0.8とすればマージンは25パーセント)

調整は滑空調整中心の第1段階と上昇中心の第2段階にわけました。重心は33%付近に固定し滑空は水平尾翼の取り付け角の調整により行いました。取り外し式の水平尾翼はこの点楽です。なお平尾翼面積の大小は滑空にほとんど影響しません。この重心位置は主翼の風圧中心(主翼揚力と主翼固有回転モーメントの合力の作用点かな)と一致しているため水平尾翼には揚力が発生せず、従ってそのサイズは問題にならないと見えます。
上昇の調整は水平尾翼の面積が大きいと宙返り気味、サイズをだんだん詰めていって丁度いい遷移パターンになります。「縦の安定の過大が宙返りにつながる。、重心位置や主翼・尾翼の取り付け角差はあまり関係ない。」との確信が深まりました。

全機空力中心の概算法
主翼と水平尾翼のみを考慮に入れます。そのとき全機空力中心は機体がわずかにピッチした時の主翼と尾翼の揚力の変化の合力の作用点になります。主翼・尾翼の効率が同一かつ主翼・尾翼の揚力係数カーブの傾斜も同一と仮定すると(どちらも現実から多少外れている)、この合力の作用点は主翼の前半と水平尾翼の前半の面積重心として計算できます。翼の前半の中心が空力中心であることも考慮に入れると
(全機空力中心位置−主翼空力中心位置)*翼前半の面積=(尾翼空力中心位置−全機力中心位置)*尾翼前半の面積
の関係が成立します。先の諸元の数値を代入してみると(位置は何れも主翼前縁からの距離として)
(x-4.5/4)*26*4.5/2=(22+2/4+x)*4.8*2/2
からx=全機力中心位置=2.746cm
(尾翼の効率を考慮に入れるとその効率を右辺に乗ずる必要があります。例えば尾翼効率0.8とすれば
 (x-4.5/4)*26*4.5/2=((22+2/4+x)*4.8*2/2):0.8
からx=全機力中心位置=2.443cm
縦の静安定マージン=(2.44-1.45)/4.5=0.247 つまり25パーセント)