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寺西道雄のドープ・ラッカー・シンナー解説

塗料・印刷インキの専門家、寺西道雄さんのNifty会議室(模型−FF&CL)への1996年の5件の投稿に見出しと見出しへのリンクをつけたものです。勿論寺西さんのご了解を頂いています。寺西さんの投稿中に引用されているわたるさん、米田さん、masaさん、いのはらさん、坂下さんについては必要最低限の引用ということでご了解願います。


寺西さんの付記:
今読み返してみて一つ気になった点ですが、質問に答える形をとっていた関係でシンナーの選定ではやや深入りしすぎた懸念があります。
@一般にドープ、ラッカー、シンナーなどの名称は色々な使われ方をしていて、名称だけでは内容物組成が特定できないのが普通です。したがってその塗料(ドープ)専用のまたは指定のシンナーが無難である。
A単体の溶剤類は一般には入手困難で、模型工作では経済的にも性能の面でも専用のシンナーに対してメリットはあまり期待できない。
以上の点を強調しておきます。

黒文字が原文、茶文字は松本挿入です。

以下見出し一覧ですが通読をお勧めします。
始めに
シンナーの成分配合
乾燥の速さ
安全
溶剤の比較
購入
シンナーのテスト
薄め液とシンナーの違い
セルロースアセトブチレート
セメダインCの溶剤
ドープの溶剤比率
クリアーラッカーとドープの違い
ドープの皮膜厚と重量
セメダインC
参考書
ラッカーの皮膜形成
ラッカーかドープか
セメダインA

02675/03119 寺西道雄 RE:g:ドープシンナー/概論の概論
( 8) 96/04/14 13:22 02588へのコメント コメント数:1

|a:A-dynamics c:C-Line e:Engine g:General p:Paper r:Rubber s:Scale t:Towline

始めに
始めまして、寺西と申します。
ドープシンナーについて色々と考えておられるようですが、塗料・印刷インキ関係
の仕事をしていましたので、気が付きましたことを二三お話します。定年で退職し
て2年になり手元にほとんど資料がないので、記憶を頼りに概略の話となりますが
何か参考になればと思います。
私は少年時代からヒコーキが好きでドープという名称は知っていましたが、日本で
はあまり一般的ではないようで仕事の上で遭遇したことはありません。と言うわけ
で以下はセルロース誘導体(ニトロセルロース、ブチルセルロースなど)と合成樹
脂(アルキッド、アクリルなど)を配合した蒸発乾燥型塗料、一般にはラッカーの
ことだと理解することにして話を進めます。又模型ヒコーキの製作では紙や木が主
ですから被塗装物への影響をあまり考えない概略の話だとご承知ください。なお話
を進めやすいように、松本さん、わたるさん、米田さん、masaさんの発言・コメン
トを引用させていただきました。

シンナーの成分配合
|この人は(lacquer thinnerラッカーシンナーではなくて)acrylic thinnerアクリ
|ルシンナー)を使う様に言われました。 しかしどちらも成分はtolulene(多分
|tolueneトルエンの間違い)とacetoneアセトンだから大差は無いと主張していま
|す。模型店員はドープ用のシンナーに非常に良いと言ってアセトンをすすめたそ
|うです。結局筆者は手持ちのラッカーシンナーを使って全然問題は無かったそう
|です。
|ドープにはButyrate DopeとNitrate Dopeが有って燃料で溶けないのはButyrate
|Dopeの方です。Peck Polymersで扱っているSIGのドープはButyrate Dopeです。
|SIGのドープシンナーはどちらにも使えると書いてあります。

lacquer thinner、acrylic thinner の違いは、これらの名前は色々な使われかた
がされていて真意がよく分かりませんが、アルコール類が配合されていた初期のラ
ッカーシンナーよりは比較的新しいトルエン−ケトン系のほうが良いという事でし
ょうか。あまり気にしなくて良いでしょう。
また、厳密にいえば真溶剤のアセトン単独の方が安定性が優る筈ですし、少なくと
もシンナーを大量に配合した塗料を長期保存するのは避けるべきですが、通常の使
用では大差ないでしょう。

普通、シンナーは真溶剤と助溶剤を1:1ー1:2位の割合で混ぜて作ります。助溶剤は
単独では塗料成分の樹脂を溶かせませんが、真溶剤と併用することで溶剤として働
きシンナーの価格を下げる効果があります。従って助溶剤は廉価でなければ意味が
ないわけです。
一般的なラッカーシンナーの場合、例えばMEKやアセトンが真溶剤で、キシレンや
トルエンが助溶剤に当たります。普通ラッカーとは言いませんがタミヤカラー(エ
ナメル塗料)などの場合はミネラルスピリットのような安価な溶剤が真溶剤として
使えるので助溶剤に当たるものはありません。塗料の(樹脂の)タイプにより使え
る真溶剤、助溶剤が決まりますが、基礎原料の変化(石炭→石油)、装置産業(ス
ケールメリットが優先する)など化学製品の宿命と、大気汚染法、労働環境衛生法
の拡大強化でシンナー類のような安価な製品に使える溶剤は比較的限られたものに
なってきています。MEK/トルエン系が溶解性、価格の点で一般的といえると思い
ます。

|別のコメント「アセトンが最良。安いし蒸発が速いのでドープによる収縮や歪み
|の問題にも良い。注意:必ず換気を忘れずに。」
|3番目のコメント「M.E.K. を使ってみたら上手く行く。蒸発はアセトンよりも遅
|い。どちらも防毒マスクが必要。」

乾燥の速さ
乾燥のコントロールは溶剤選定の基本的なポイントです。早いのが良ければアセト
ンが良いでしょう。ただし基本的な価格はアセトン>MEK>配合シンナーとなる筈
です。また理論上真溶剤のほうが良質の皮膜を作ると考えると、収縮による歪みは
多いと考えなければなりませんが、溶剤の気化潜熱により材料の温度が下がり結露
して弱い皮膜を作ることもあります。湿度の多い環境は避けるのが良いでしょう。

安全
アセトン、MEK、トルエンなどいずれも消防法、労働安全衛生法で厳しく管理基準
が決められています。模型工作に使う程度であれば防毒マスクまでは・・・と思い
ますが、アメリカあたりでは結構大きい機体もあるようで・・・。普通、溶剤の蒸
気は空気より重く、床面に滞留しますので換気をを考える場合など注意してくださ
い。それからもう一つ、溶剤蒸気が空気で薄まったところに静電気などで爆発する
濃度があることをお忘れなく。車のエンジンの場合と同じですね。

溶剤の比較
|M.E.K.とは恐らくメチルエチルケトンのことだとおもいます。
|プラスチックの接着剤などにも使われます。
|専門の化学薬品を扱うところにしか無いのではないのでしょうか。

|おそらくMEKとはメチルエチルケトン(CH3COC2H5)の事ではないでしょ
|うか
|化学的にはアセトン(ジメチルケトンCH3COCH3)と良く似たものですが
|沸点はアセトンが56.5度、メチルエチルケトンは79.6度で
|若干、蒸発はアセトンより遅いようです。

購入
ラッカーシンナーであれば、塗料店で購入できると思いますが、一般の人が単体の
溶剤を購入するのは難しい筈です。業者が見つかっても石油缶単位でしょうし、化
学実験材料などを扱う店で試薬として購入するのは高価なものになるでしょう。
(2005年塗料専門店にアセトンの500ccビンと2000cc缶がありました。
模型店のドープシンナーより安価でした。


|ドープシンナーの候補が純正ドープシンナー、ラッカーシンナー、アクリルシン
|ナー、アセトン、M.E.K.と出てくると選択に迷いますが、蒸発は早いほうがよい
|のかどうか、どなたかコメント下さい。
|なお値段は2・3年前に買ったパクトラのドープシンナーが473ccで1300円、先日
|買ったラッカーシンナーは400ccで420円でした。アセトンはラッカーシンナーよ
|りも安いのでしょうか。

アクリルシンナーがどう言う物を指すのかよく分からないので考えない方がよいで
しょう。その他のものは大差なく使用可能と考えられます。蒸発(乾燥)は使い勝
手で決めることになりますが、それもどの程度にこだわるかによります。上記のも
のは早過ぎて(遅すぎて)使えないと言うようなことはないと思います。
溶剤の基本的な価格は
アセトン>MEK>ラッカーシンナー=ドープシンナー
となるでしょうが実際には入手経路で決まることになるでしょう。どこそこで、い
くらで買えると言った情報がご希望なのではと思いますが。

|MEK=メチルエチルケトンです。うちの会社では接着の前処理として主に脱脂する
|ためにこれを使ってます。ラッカーなどのシンナーよりも強力な溶剤で、プラス
|チック、ビニールなどは溶かしてしまいます。
|ちなみに強烈なにおいを発散させますが、防毒マスクはしてません。プラモの塗
|装をした経験のある皆さんなら平気でしょう。(^^)

昔よく使われていた酢酸アミルの匂いは好きだったなあ。今のケトン系はどうも好
きになれない。

|私もリトアニアドープを携帯用にプラスチックの小さい容器に移したら容器が柔
|らかくなった経験があります。リトアニアドープは最初から溶剤で薄めてあるの
|で、その溶剤のせいだったのでしょう。こんどM.E.K.が使ってあるのがどうか、
|臭いでチェックして下さい。
|溶ける心配が無いので現在は写真フィルムのケースを使っています。

ドープ本体も60%位は溶剤です。ポリエチレン系のプラスチックは溶剤にも丈夫で
すが長期間置くと変形してくるようです。

最後にもっとシンナーにこだわりたい方のために。
1.労働安全衛生法で、確か1k以上の容器では該当する溶剤を表示するよう義務
づけされています。参考になる場合があるかもしれません。
シンナーのテスト
2.シンナーがドープに適合しているかどうかを調べるには、混合したものを透明
なガラス板に塗って乾かしてみれば分かります。透明で濁りがなければOKです。
純正シンナーの場合と比べてみるとより確かです(シリコンオイルなどが配合され
ていて少し曇るばあいもありますので)。

以上お疲れ様でした。
96/04/14(日) 寺西道雄
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02693/03119 寺西道雄 RE:g:シンナーの追加質問
( 8) 96/04/17 13:54 02678へのコメント


松本さん、こんにちは。
興味のある分野なものでつい口を出してしまいましたが、結果的に一般論の域を出ない
ことばかりで少し後悔していますがとにかく続けることにします。

薄め液とシンナーの違い
|1. 先日間違って塗料用薄め液でラッカーを薄めたところ、ゲル化してしまいました。
|塗料用薄め液はラッカーシンナーと成分が全く違うのでしょうか。

この場合の塗料用薄め液は一般にエナメル塗料用といわれるものでしょう。 内容は
ミネラルスピリットなどで石油系溶剤と表示される場合があるようです。最悪のケース
ですが大事な作品に塗った後で無くて良かったと思いましょう。

セルロースアセトブチレート
|2. 名前からしてニトロセルロース、ブチルセルロースがそれぞれNitrate Dope、
|Butyrate Dopeと関連が有りそうですが、普通のラッカーにはニトロセルロース、
|ブチルセルロースが両方とも配合されているのでしょうか、それともノトロの
|ラッカーやブチルのラッカーが有るのでしょうか。化学的にニトロとブチル
|でエンジン燃料に対する可溶性に差は有るのでしょうか。

仕事の後半は印刷インキだったものですから、ぼつぼつボロが出そうで心配ですが続け
ます。私も関連性を意識してブチルセルロースをあげましたが、今、唯一手元にある
CONDENNSED CHEMICAL DICTIONARYを見ますと、正しくはセルロースアセトブチレート
(CAB)のようです。CABの特徴は皮膜の強靭さと難燃性ですが、ニトロエタンはCABの溶
剤にも使えるとあり、残念ながらエンジン燃料との関係は良く分かりません。両者が併
用されるのかについても同じです。

セメダインCの溶剤
|3. セメダインCに使われている溶剤もご存じだったら教えて下さい。

メーカーの表示では
セルロース 25%
アセトン/エタノール/イソプロパノール 75%
となっています。又昨日近くのスーパーの塗料売り場でラッカー薄め液(日ぺ)の匂い
を嗅いでみましたが、良く似ていました。なおこれの表示は
”トルエン、酢酸エチル、メタノールは使用していません”となっていました。

ドープの溶剤比率
|4. ドープ本体の60%位の溶剤は通常のシンナーですか。

上のセメダインの例から見ると溶剤の量は更に多いのでしょうが、内容ではシンナーに
比べて真溶剤、特に蒸発がやや遅いもの、蒸発の最終段階を抑制するセロソルブのよう
な溶剤、製造プロセスの便宜上使用される溶剤類が加わることになるでしょう。


96/04/17(水) 寺西道雄
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02716/03119 寺西道雄 RE:g:クリアーラッカーとドープ
( 8) 96/04/23 13:42 02698へのコメント コメント数:2


いのはら さん、会議室の皆さん こんにちは。
朝から暖かいので鴨川辺利を散歩してきましたが桜もおわりに近いようです。
前回のシンナーについての書き込みの後、この会議室の皆さんの書き込みを読み直し
たり、図書館へ出かけたりして少し知識を整理してみました。

クリアーラッカーとドープの違い
| クリアーラッカーとドープはどのように違うのか

まあ言うなれば一卵性双生児ですね。基本的な成分は同じと言えましょう。
最大の違いはその育ってきた環境の違いが多少違った性格に作り上げています。

19世紀末にニトロセルロース(以下NCとします)が発明され、紙、織物、航空機の
分野ではドープとして、又、塗料の分野ではNCラッカー(又は単にラッカー)とし
て使われる事になります。ただドープやラッカーという名前はNCの出現以前から慣
用されていたようです。予断ですがスポーツで時々話題に上がるドーピングも同じ語
で、どろどろに練ったもの(麻薬)と言うイメージでしょうか。
ドープはその後NCからセルロースアセテート(SA)やセルロースアセトブチレー
ト(SAB)の採用へと発展しますが、金属機の出現で航空機と縁が切れたものと考
えられます。その他の分野の場合も、20世紀中頃からの合成樹脂の発展を考えると、
とても当時のままの材料で大量に使われているとは思えませんが、この会議室の皆さ
んの体験談を読んでみますと、現在模型用として入手できるドープはこのクラシック
なドープと考えて差し支えないように思われます。

NCラッカーの場合も似たような状況で、肉乗りを良くするためにNCの他に合成樹
脂を配合してハイソリッドラッカーとなった後は、メラミン、アクリル、ウレタン等
々に置き換えられ、例えば1985年の塗料生産見通しではラッカーは全体の2.4%に過ぎ
ません。この場合も現在一般に手に入るラッカーは上のハイソリッドラッカーと考え
て良いと思います。

前置きが長くなりましたが、基本的な配合は次のようなものでしょう。

固形分 セルロース誘導体(上記のNC,SA,SAB)
可塑剤(DOPなど、柔軟剤)
アルキッド樹脂、マレイン酸樹脂など(ラッカーの場合)
溶剤 エステル類、ケトン類、炭化水素類、アルコール類

エステル類 :酢酸エチル、酢酸ブチルなど
ケトン類 :MEK,MIBKなど
炭化水素類 :トルエン、キシレンなど
アルコール類:エタノール、イソプロピルアルコールなど

ラッカーの場合は上のようにアルキッド樹脂などを加えた所謂ハイソリッドラッカー
が一般的でしょう。塗料では肉盛りを良くしたいからです。
逆にドープは固形分(塗膜として残る成分)が低く、薄くて丈夫な皮膜を求めると言
うことでしょう。つまり同じような塗りかたでは薄い皮膜ができるということになり
ます。この辺の加減は、NCの分子量の高いものを使えば強靭な皮膜となるが、溶け
難いので固形分は小さくなるといった理屈になります。

ドープの皮膜厚と重量
| 今まではクリアーラッカーを使っていたのですが、今回ドープ
| を使ってみると、 仕上がりなどがまるで違った感じになったのでちょっと驚いて
| います。 クリアーラッカーを使っていたときには、塗装をしました、という感じ
| の仕上がりをしたのですが、 ドープを使うとそれがあまり感じないのです。これ
| で塗装をしたの? という感じです。クリアーラッカーは調整などをすると、曲げ
| たりした部分にひび割れが入ったりしましたが、 ドープにはそれが認められませ
| んし、塗ってみても刷毛目があまり気にならなくなるような感じもしました。
| 塗装をした後の重量の増加もドープはほとんど気にならないと言う感じですが、
| クリアーラッカーはかなりな重量増があるように思えます。

大部分は上の理由で皮膜が薄く仕上がるからだと思います。重量も少ないでしょう。
曲げた部分のひび割れは皮膜が薄いからひび割れし難いか、或いはその外に、ドープ
の方がひび割れし難い配合になっているのかもしれません。

| 模型飛行機への塗装の目的の第一は防湿だと思うのですが、モノの本によると、
| 「ドープは乾燥時の引きの強さで材料を強化する」といったような事が書かれて

今の場合、紙飛行機のことだと思いますが、厚紙のように吸収性がある場合はドープ
は紙にしみ込み、繊維の網目構造を固定し、紙の剛性を増すと考えられます。皮膜の
乾燥収縮の影響は少ないのでは無いでしょうか。
布張りの実機の場合とか、骨組み構造に紙や絹を貼った模型機では、適度の収縮によ
る張力が機体全体の強度を増すと考えられますから、ドープとしては好ましい性質であ
ったかもしれません。一方、塗料や接着剤の場合では乾燥時の収縮は密着の面で問題
を起こしやすく一般には少ない方が良いとされます。

セメダインC
最初のところで一卵性双生児と言いいましたが、実は1940年頃にもう一つ誕生してい
ます。皆さんが大好きなセメダインCがそれです。接着剤ですからドープよりは柔ら
かくなるように設計されているでしょうが。それにしてもこの意匠は昔から変わりま
せんねえー。セメダイン(株)の記念碑なのでしょうか。

最後に図書館で見てきましたが、わかり易い入門書をご紹介しておきます。
では皆さんお元気で。ゴールデンウイークを楽しんで下さい。

参考書
「塗料のおはなし」 植木憲二 著、¥1、300、日本規格協会
「接着のおはなし」 永田宏二 著、¥1、100、日本規格協会

96/04/23(火) 寺西道雄
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02733/03119 寺西道雄 RE^3:g:クリアーラッカーとドープ
( 8) 96/04/27 10:55 02725へのコメント


いのはら さん、こんにちは。

いつも皆さんの活躍ぶりを楽しく拝見しています。
少しはお役に立てたようで喜んでいます。

では又の機会に。

96/04/27(土) 10:44 寺西道雄
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02787/03119 寺西道雄 RE^3:g:クリアーラッカーとドープ
( 8) 96/05/07 13:56 02761へのコメント


坂下 哲也 さん、こんにちは。GWはいかがでしたか。

|いわゆるドープまで仲間だったということは知りませんでした。

私が知った範囲での事ですので、もし違っていたら勘弁してください。

ラッカーの皮膜形成
|ラッカーに含まれている合成樹脂成分が、本来の皮膜形成の
|目的ではなく、塗膜の肉乗りのために添加されていると

一般に塗装の場合には下地の保護という目的から、どうしてもある程度の膜厚が必要
になります。例えば肉眼では見えないピンホールなどから腐食が発生しますので塗膜
が丈夫だから薄くてよいという訳にはいかない事情があります。塗装のコストや管理
面でも工程の削減は大きな問題でしょう。

|添加される樹脂の種類はよくわかりませんが、理科年表を引っぱり
|出してみると、
|      ニトロセルロース メタクリル酸メチル メラミン*
|比重   : 1.35-1.50     1.17-1.20   1.4-1.5
|引張り強さ:  1.3-1.5       4-8     4.9-7.0
|(kgf/mm2)
|    *:メラミンホルムアルデヒド樹脂、αセルローズ充填(ナンノコトヤラ??)
|というように、それらしい名前の樹脂はだいたい比重がニトロセルロースと
|同等で強度が数倍のようです。

上のメタクリル酸メチルやメラミンの例は、市販されているアクリル板の様に、熱や
触媒で高度に重合させた製品の事でしょうか。溶解性や相溶性の面で蒸発乾燥型のラ
ッカーに配合できるものではないと思います。
普通、ラッカーに添加される樹脂はフタル酸樹脂(金属用)とか、ロジン変性マレイ
ン酸樹脂(木工用)が一般的と記憶しています。重合度はNCよりも低い(脆い)が
溶解性が良く固形分を大きくできます。

ラッカーかドープか
|だとすると模型飛行機の場合、防湿性能が同じならラッカーの方が有利と
|なるのでしょうか。それとも機体全体に対する強度の効果としては無視できる
|範囲なので、施工性や燃料耐性などの方が優先されているのでしょうか。

うーん、この辺になるとあまり真面目に模型飛行機、特に紙飛行機と取り組んだこと
が無いので心細いのですが、一般的にはやはりドープでしょうねえ。軽く(皮膜が薄
く)丈夫に仕上がるのが第一ではないかと思うのです。その他の効用、防湿とか強度
の向上とか形態の安定性などは、どちらを使っても一応の目的は達せられる様に思え
ます。|02698/02698 PXM04103 いのはら g:クリアーラッカーとドープ|で
試用されたようですが、飛行結果はどうだったのでしょうか。
しかし紙飛行機の場合はちょっと違うのかもしれませんね。多少重くなってもカチカ
チになる方が良いのでしょうか。 |02703/02705 VZD05304 坂下 哲也  p:胴体が
複雑骨折|など興味深く読みましたが、材料と構造が独特で一般機とは違った考え方
が必要な気もします。

セメダインA
|ところで、以前何かの雑誌で”セメダインCの前にセメダインAがあった”
|という記事を読んだのですが、セメダインAについてご存じの方が
|いらしたら教えてください。

ありましたねー。茶色で腐ったような匂いで乾燥の遅い、膠系でしょうか。セメダイ
ンの人がいたら笑っているかな。

96/05/07(火) 09:50 寺西道雄