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超軽量ライトプレーン
CFFC掲示板2006年12月19日、20日投稿に重量データと註追加) ( ,06-03-31)

A級ライトプレーンでは重心を前進させた場合縦安定が十分に取れるか、また急上昇と滑空の両立は可能か、実例を見ていだだきます。
写真のA級ライトプレーンの諸元です:
機長: 50cm 主翼スパン: 35cm 主翼面積: 2.45dm^2 水平尾翼面積: 0.39dm^2
プロペラ直径: 17cm プロペラのダウンスラスト: 約4.5度(平板の主翼とプロペラシャフトのなす角) 
サイドスラスト: 0度 主翼・尾翼取り付け角差: 約4度

重心位置: 空力的平均翼弦の33% 水平尾翼モーメントアーム: 27,5cm
水平尾翼容積比: 0.63
重量: 主翼2.1g 胴体(含む垂直尾翼)1.7g 水平尾翼0.3g プロペラ系2.8g S環0.1g 機体合計7.0g
ゴム3.5g 全備重量10.5g ゴム搭載比1/3
翼面加重10.5/2.45=4.3g/dm^2

この機体でほぼ垂直に上昇し、滑空も問題ありません。縦安定の悪循環(註1)が起こっていないのもご覧のとおりです。重心位置はダウンスラストを少し増やせば25%に持っていけますが、まだやっていません。実行すれば主翼は1cm強後退し水平尾翼をさらに小さく出来ます。ちなみに尾翼は0.5mmスチレンペーバー単板、空気力がほとんど加わっていないことがわかります。
高速時の宙返りの発生は重心位置にかかわらず@縦安定を過大にしない、A適度のスラスト調整で解決できると感じています。

実例の主翼はフレキシブル翼です。今回の写真は20グラムの加重をかけたところ。上昇中はもっときれいなカーブに変形します。この翼のねじり剛性はほとんど0ですが、強風時の飛行も問題ありません。気流の乱れに遭遇すると翼を1回羽ばたいて吸収する感じです。調整不足だとフラッターを起こすこともありますが、両翼同時に振動しながら上昇を続け、振動はそのうちに収まります。この翼には写真でははっきり見えませんが、翼前縁中央から八の字形にスチレンペーパーが完全に折れ曲がった痕がついています。動力が強すぎで発進直後に主翼が完全に折れ曲がってしまいました。しかし折れ曲がりはすぐに回復してそのまま上昇。その後はまったく問題なく飛んでいます。スチレンペーパーは折れても補強のカーボンがそのままで元に戻ったのです。

このアイデアは紙飛行機の二宮康明さんが現在開発中の1mm厚スチレンペーパー翼のグライダーから借用しました。能書きの受け売りですが、@平板翼はもともと捩れモーメントが発生しない(註2) A後退翼では翼に捩れが出ても発散することはなくすぐに収束する。の2点がポイントです。
二宮さんの
高速発進のカタパルトグライダーが1mm厚でもつならとゴム動力で0.5mmにチャレンジしました。なお、0.5mmのスチレンペーパーはハンズ名古屋店販売のもの。



(註1)「重心位置前進という方法を・・行うと、・・主翼取り付け位置を後退させることになり、そうなると全長を基準とした重心位置が後退して、定性的には後ろモーメントアームが減り、たて安定が悪くなるという悪循環になりそうです。」との指摘への回答です。
(註2)薄翼の平板翼では実際は多少の捩れモーメントが発生するのは風洞試験の翼型データにも出ています。この件は別途補足します。