提案日:2005年8月27日
プラン−A.子づくり子育て応援委員会
少子化防止のための行政施策は幅広い領域にまたがるため、各省庁でそれぞれに実施されることになる。しかし、国民に対する施策のPRや行動の働きかけは、実施主体を一元化した方が効率的かつ効果的である。
そこで、担当各省庁の代表者と少子化防止に関する民間の専門家を集めて、「子づくり子育て応援委員会」(仮称)を創設する。以後に記す各プランは、いずれもこの委員会が主催するものとする。
プラン−B.日本子育て大賞(重点プラン−1)
「子供を育ててよかった」という体験談を広く募集。まず、都道府県レベルでの審査を行い、全国大会出場者(都道府県・最優秀賞/優秀賞)を選定。全国大会は審査委員会での選考を経て、優秀作の作者を集めて公開講演会形式で最終審査を行う。賞品は、特別児童手当としての現金や、お好きな家電品**万円相当など、親向けに設定。
応募された体験談は、最大限に活用する。プラン−C.「親子ふれあいもの映画」の鑑賞促進
- 出版−−−最終審査で選ばれた最優秀賞/優秀賞の体験談を集めて、毎年1冊ずつ発行していく
- 映像化−TV局や映画会社とタイアップ、応募作品の中から映像化しやすいものを選んでTVドラマや映画を制作
- 講演会−−都道府県・最優秀賞/優秀賞の作者を集めて、トークショー形式の講演会を、各都道府県で開催
「子供を作りたい」「子育てをしてみたい」と感じさせるような和洋の新作映画を選定し、委員会が補助金を出して、子づくり子育て適齢期の男女(20代・30代)がカップルで鑑賞する際の映画館入場料を半額または1/4に割り引く。
映画鑑賞者をその気にさせる効果のほか、「子供を作りたい」「子育てをしてみたい」と感じさせる映画をヒット作に育成できる(話題性が高まりさらに多くの映画鑑賞者を集められるようになる)というメリットもある。
プラン−D.累進制児童手当(重点プラン−2)
子育てにはお金がかかる。2005年版の国民生活白書では、21歳まで子どもを育てるには平均約1300万円かかるという試算がある。保険会社の試算では、教育費だけでも、公立の幼稚園から高校まで通うという最も低額なケースで約850万、私立幼稚園から私立大まででは約4400万円となっている。国立社会保障・人口問題研究所の2002年の調査によると、「理想の子ども数」は2.56人だが、夫婦が持とうとしている子どもは2.13人にとどまっているとしている。その理由を妻に聞いたところ「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(62.9%)が最も多かった。
子育ての経済的負担の軽減のために、児童手当がる。平成16年4月1日から拡充され、支給対象年齢が義務教育就学前までから小学校第3学年修了前までに広がった。しかし、支給額は実に寂しい。月額で、第1子と第2子が5000円、第3子以降が1万円である。付きに1万円で9年間もらっても、合計で108万円にしかならない。さらに、所得制限限度額があるので、ある程度稼いでいる人はもらえない。
こんな金額とこんな制度では、児童手当は無いに等しい。そこで、以下のような累進制の児童手当制度に改変し、1人生めばすぐに2人目を、2人目を生んだらすぐに3人目を生みたくなるようなシステムとする。
- 第1子−−−−1万円
- 第2子−−−−2万円
- 第3子−−−−3万円
- 第4子−−−−5万円
- 第5子以上−−10万円
- 子供用電車&バス無料パス(2人以上小学生がいる家庭に、小学生の人数分を進呈、日本全国の鉄道とバスの運賃が無料になる)
- 子供用マクドナルドのポテト無料パス(3人以上小学生がいる家庭に、小学生の人数分を進呈、ポテトだけで満腹になれる)
- 子供用ディズニーランド無料パス(4人以上小学生がいる家庭に、小学生の人数分を進呈)
子供や若者をしっかりとした大人に育成することは、主として教育における課題である。そのため、文部科学省や教育委員会や学校教師の努力と教育の質的向上が必要不可欠だ。そのためここでは、学校教育以外の領域で、この課題の達成に役立ちそうなプランを考える。
プラン−E.新聞シリーズ広告「私のサクセスストーリー」
家柄や幸運によるものではなく、自らの絶え間ない努力によって社会的に成功者となることができた人を、新聞広告でシリーズ紹介していく。まず、現在の仕事ぶりやうらやましい暮らしぶりを紹介(仕事は週に2日だけ、後の5日は休日で、趣味は自家用ジェット機の運転、など)。次いで、子供の頃から学生時代、どのように勉強していたかを振り返る(一生懸命勉強した、部活にも打ち込んだ、など)。
登場人物は、読んだ親や子供が「いいなあ、あのような暮らし。そのためには、がんばるしかないのか」と思わずにいられないようなストーリーとなる人物を選定する。アメリカの富豪は、ボランティア活動や公共施設・公共運動への寄付などに熱心な者が多く、社会にしっかり登場しているが、日本の金持ちはひっそりと身を隠すようにしている者が多い。日本の若者たちが自分の将来に希望を持てない理由のひとつは、日本にも数多くの成功者がいることを知らず、大きくなっても自分のまわりにいるような大人(夢も希望もなく、人生に疲れ切ったような大人)にしかなれないと考えているからだ。成功事例について知ることは、前向きな努力を続ける原動力となることだろう。
プラン−F.子づくり免許制度(重点プラン−3)
子づくりに当たっては免許が必要な制度とし、両親ともしっかりした大人であると認定されない限りは子づくりが許可されないようにする。子づくり免許は、経済的に安定するとともに、子育て試験(育児法や乳幼児の医学知識、教育法などの講習を実施し、最後に試験を実施)に合格した者だけに交付する。
クレジットカードのゴールドカードは子づくり免許を持っている者だけに発行する、クルマの新車は子づくり免許を持っている者だけに販売するなど、他業界とも幅広くタイアップ展開を行い、子づくり免許にステータスを持たせる。
このプランは、短期的には子づくりを制限する方向に働くが、現在の自動車免許と同様に「大人なら持っているのは当たり前」という存在に育成できれば、長期的には子供の増加に結びつくものと思われる。
プラン−G.国営シングルズ・バー
欧米で発達している独身者のためのシングルズ・バーを日本全国に広く普及させる。補助金を交付し、最近の居酒屋よりもさらに安価なメニューを提供して集客に努める。
店内には、ダーツやビリヤード、バックギャモン、モノポリーなど、複数プレーヤーで楽しめるゲームコーナーを設置。大型スクリーンでラブストーリー映画(特に男女の出会いが印象的でハッピーエンドとなる作品、洋画では「ノッティングヒルの恋人」「愛しのローズマリー」「雲の中で散歩」「ラブ・アクチュアリー」、邦画では「電車男」など)を上映する。ただしインターネット環境や漫画ライブラリーは個人の世界に引きこもりやすいので設置しない。
プラン−H.縁結び委員制度
お見合い結婚の促進のために、民生委員と似たような「縁結び委員」制度を創設。担当エリアを定めて日本全国に設置し、活動してもらう。縁結び委員の報酬は全額歩合制とし、縁談をひとつまとめるたびに10万円として、積極的な活動を促す。また、結婚5年以内に離婚してしまった場合は5万円を返還するペナルティを設定することにより、離婚防止機能も担ってもらう。
お見合い写真の撮影には費用がかかるが、縁結び委員の働きかけで写真館に出向く場合は撮影費用の半額を補助する。
プラン−I.男性の「心」の健全化(重点プラン−4)
主として女性側からよりも、男性側からの積極的な働きかけによって、ことは成就する。このことから、セックスレスが増加している大きな理由のひとつは、男性の「パートナーに対するやる気」の喪失であると言える。なぜそうなってしまうのか。その最大の原因は、男性の「心の傷」である。一般的に男性は女性よりも、心に傷を負いやすく、傷を負うと直りにくい。しかしその傷について当の本人が語ることは滅多にないので、パートナーである女性ですらそのことについては気付くことは稀だ。
マンガの「ダメオヤジ」では、主人公が「オニババ」に暴虐の限りを尽くされているが、心に傷を負った男から見れば、「自分よりもひどい目にあっている男がいるのだなあ」と感じさせてくれる点で、このマンガは心の治療薬になっている。だから不定期ながらも長期連載が続いているのだ。
このような考え方に基づき、男性が心に傷を負わないように、また受けてしまった傷が早く治るように、以下のような施策を展開する。プラン−J.子づくり機会の拡大
- 父親の出産立ち合いの法的禁止
- 生理用品のテレビCMの全面禁止(特にブルーの液体をこぼすシーン)
- 女性下着売場の完全隔離(レンタルビデオ店のアダルトコーナーのようにする)
音響カプラや低速モデムを使ってのパソコン通信の時代から、「パートナーの相手をするよりも、パソコンと向き合っている方が楽しい」という男性は少なくなかった(当然のことだが、このようなことは男性の友人には言えるが、パートナーの女性に対しては口が裂けても言えない)。高速モデムを経て、ブロードバンドの時代になって、この傾向はますます顕著になってきている。情報化社会の進展は、間違いなくセックスレスを増加させる。
しかし、出生率が上昇した面白い事例もある。数年前のフロリダでは、アメリカのフロリダで時ならぬベイビー・ブームが起きた。短期で見ると出生率が倍増ということもあったらしい。その理由は、十月十日前(旧暦の月齢換算なので新暦では280日くらい、アメリカでは米国ではナイン・マンスと言われている)の強烈なハリケーンだ。当時フロリダでは大規模な停電が発生した。することがなくなった。いや。することはあった、ということだ。
要はやり方次第、という考え方に基づき、男女の子づくりの機会が増加するように、以下のような施策を展開する。
- 毎月恒例の「子づくり停電日」(省エネと少子化防止の一石二鳥、このままのネーミングではやる気が出ないので、「ロマンチック・スター・ナイト」とかにする)
- 毎月恒例の「風俗営業全面営業禁止ウィーク」
- 毎週恒例の「午後から出社デー」
- 子づくり免許所持者のラブホテル利用料金半額割引(フロントで免許を見せると割引)
- 広大な公園の深夜開放(代々木公園などの夜間立入禁止の公園を開放)
プラン−K.一夫多妻制への移行
少子化になってきた一因は、現在の日本では教育費をはじめとする子供の養育費が高騰化し、平均的な世帯収入では平均的な水準(この平均値も急上昇してきた)で何人もの子供を育てられなくなってしまったからだ。しかしその反面、死ぬまでには絶対に使い切れないほど貯め込んでしまった大金持ちや、月に50万や100万のお小遣いを使えるという恵まれた者も、少なからず存在する。大金持ちや小金持ちにたくさん養育費を払ってもらえば、子供の数を増やすことができる。つまり、一夫多妻制度である。
イスラム圏などの一夫多妻制度は、元々は戦争などで夫を亡くした寡婦の救済と言う側面がある。これは、現在の日本にもあてはまる。情報化社会の進展や心の傷、さらには経済的な困窮などにより、子づくり能力を喪失した男性が急増しているからだ。
プラン−L.子供にお金がかからない社会づくり
世界各国の暮らしぶりと比較して考えると、現在の日本で子供の養育費が高騰化しているのは、子どもを育てるのにお金が「かかりすぎる」のではなく、「かけすぎる」というのが原因である。「ダンナの小遣いを削っても、子供の教育費にはお金をかけるべし」という価値観が、すっかり定着してしまった。
そこで、「子供を育てるのに、あまりお金がかからない」社会づくりへ向けて、以下のような施策を展開する。これらの施策が実を結び、「子供にはあまりお金をかけなくてもいい」という価値観がしっかり定着すれば、その時点でもとの社会に戻しても影響は少ないものと思われる。
- 私立学校の削減(私立の小学校〜大学を大幅に削減、進学率が低下するがその分早期に社会に出る者が増えるので、経済的に自立した若者の割合は増加し、少子化防止にプラスに働く)
- 公立学校の完全無料化(現在有料の給食費や補助教材費、修学旅行費、自己負担の制服費、通学定期代などを一律無料にする)
- 電車・バスの子供割引の拡大(現在小児運賃の小学生を無料に、現在大人運賃の中高生を学生割引で半額に)
- 塾及び予備校の削減(早稲田アカデミーや日能研など、私立学校志向の塾は営業禁止とし、公立学校志向の塾のみを残す)