塾コンサルトとして紹介された新聞記事



【日刊じゅく〜る】870号 中学受験塾選びのポイントはここ
99.03.26 産経新聞東京版夕刊 10頁箱もの 表有(全2283字)
 中学受験を目指す親子にとり塾選びは大きな関門でもあり、すでに入塾した新4年生も多いことでしょう。進学塾は周囲の評判や合格実績だけでなく、子供の個性や能力との相性も大切です。こんな塾選びのポイントを紹介します。(福本義彦)

基本は親子で

 「塾選びは旅行と同じ。パンフレットをよく読み、子供と話し合うところから始まる」と、塾選びの著書もある教育アドバイザーの中島真知子さんは話します。「友達も入ったから、評判だからと選ぶ場合が少なくないが、塾通いが珍しくないコンビニ感覚になっても、少なくとも5、6カ所は足を運び、子供の能力をどこまでどうやって伸ばすのかを示せる塾を探したい。また、入試情報は格段に入手しやすくなったが、塾の情報力にはかなわない」。
 「塾通いは小四からが一般的ですが、最近は小二、三と低学年コースも増えています。難関校合格者が多い大手進学塾は日能研、四谷大塚進学教室、市進学院、SAPIXなどがあり、ena、桐杏学園、城北スクールなどは学校の補習も兼備。大半は入塾テストを行いますが、少数精鋭塾は例外に、少子社会での競争激化で易化し、出題も同傾向なので二回以上受ければほとんど入れる塾もある」。

個別指導も増える

 レベルの高い塾やクラスは学習の量、質、速度レベルも高く「大手塾でも難関校に入れるのはごく一部。自ら勉強する習慣がなく、何でものんびり型の子は向かない。学力が合わず背伸びさせても自信を失うだけ。学校の授業もやっとだがとにかく私立という子は補習塾の方がいい」と、中島さんはアドバイス。「受験で好成績を挙げる子は、総じて早熟で体力もあり、夜遅くまで勉強しても大丈夫。そうでなければ無理せず、高校受験まで待つのも賢明」とも。
 進学塾は数人から数十人の一斉授業が一般的ですが、近年は自立学習塾、東京個別指導学院、スクール21など、一人一人の学力や進度に合わせる個別指導塾も増え、市進学院など大手も導入し初めました。同じ個別指導でもトーマス、四谷アカデミーなどの一対一体制から、講師が数人を受け持つ塾までさまざま。
 塾コンサルタントの則竹信二さんは「子供の手元をみながら弱点を補う指導は注目できるが、講師の質は玉石混交。費用も4科とも受ければ要覚悟」と話します。

直接足を運んで

 実際の注意点は…。難関校合格者数などをアピールする塾は少なくありませんが、合格率も忘れずに。則竹さんは「数より自分の志望校レベルに合格者がいるかどうか」、中島さんは「その塾でどの位置なら志望校に合格できるか必ず塾に聞いて」と忠告します。
 派手な広告を出す塾もありますが則竹さんは「チラシの豪華さと中身は関係ない。授業料も明確に入会料、授業料、その他雑費を明記しているのが前提。サービス内容が他塾と変わらないのに時間当たり料金が極端に安ければ人件費が安い、つまり講師の質が悪いとも考えられる。逆に高くても宣伝や施設に費やしている場合もある」としたうえで、「年間五十−六十万円の授業料をかけても成績が上がる保証はないことを肝に銘じておくべきだ」と指摘します。
 塾間の競争激化もあり「授業料一括前納で解約しても返金されない」という問題はかなり減ったようですが、契約の際はやはり十分な確認が必要です。
 いくつか候補が固まったら必ず訪問します。教室長や塾長の話しぶりから子供への接し方や教育姿勢、教室の雰囲気を知る好機。則竹さんは「話術にたけた営業担当者の応対で建前しか見えないこともあるが、下見して授業後も塾生が長く残っていれば居心地良さや講師の熱心さがうかがえる。塾生の口コミには主観が交じるが何人かから聞けばならせる。体験授業はいい機会だが、実際の担当講師でないと意味がない。そのうえで総合的判断を」と言います。

ブランドより相性

 授業日数や時間、宿題の出し方は塾によって異なります。「塾の大量の教育量を理解できなければパニックに陥る。塾の方針をしっかり把握しておくことが大切で、遅れたら家庭で補うなど母親の管理能力も必要」と中島さん。
 I・P・S・は原則4科コースで授業は週に四年が二日、五年三日、六年四日と決めているのに対し、川崎予備校は六年生でも週二−五日から選択可能。川崎予備校の田中千憲事務部長は「難関校志望者はほとんど五日。十年前なら週四、五日は普通でも、最近は長時間の拘束を望まない家庭が多く、選択制にせざるをえない」と説明。日能研も二月から、4科入試のセットカリキュラムに2科コースを追加。授業日数も週二日から選べるようにしました。予習前提の四谷大塚の平日教室は、家庭学習徹底に父母指導にも力を入れます。中島さんは「親に十分な能力がない場合は、並行して家庭教師を雇うのも一案」。横浜の啓進塾は授業重視で「予習や宿題は一切なし」。曽根嘉浩・副塾長は「六年で自主的に自宅学習したい子に教材を与える程度。実績があるのでこれで信頼いただいている」。I・P・S・の石田温則代表は「自宅学習の際は、親はなるべく離れていただくようお願いしている」。
 多くの進学塾は能力別クラスをとりますが、能力基準が総合点か各教科別か、クラス替えの周期がひんぱんかといった違いも、子供が緊張に耐えられなかったり、劣等感でやる気を失ったりするので、能力や性格に照らして選ぶ必要があります。学習を始めてみると違和感があったり、学習成果が上がらないときは「潔くやめて他を探すべきだ。半年一年はすぐに過ぎ時間のムダ。親は常に子供や塾に目を配っていないと」と則竹さんは忠告します。