1次リーグ・日本対ロシア戦
(2002年6月9日・横浜)


事前準備

 チケット入手

1次販売(札幌でのドイツ・サウジアラビア戦)・2次販売(決勝)とも幸運に恵まれてきたので、今回も必ず当たると思って、3次販売では競争倍率がかなり高そうな日本・ロシア戦を申し込んだ。使った電話回線は2次販売と同様に8本。そのうちの1本が予備抽選に当選したので、クレジットカードで支払の手続きをして、本抽選に進んだ。この時点では本抽選の倍率は不明だった(後日の報道によれば3倍とのこと)が、「2倍か5倍かその程度で、10倍ということはないだろう。だとすれば、うちの引きの強さから考えれば、もう当選したも同然だ」と、勝利を確信していた。そしてその通り、当選を引き当てた。

送られてきたチケットを見て驚いた。座席はメインスタンドほぼ中央の4列目、ロシアのベンチの真裏のあたり。VIP席や選手の出入口にも近い。3次販売は売れ残った席の再配分と聞いていたので、端か最後方の席だろうと思っていた。こんなにピッチに近い席が回ってくるとは思わなかった。どこで売れ残った席なのだろうか。各国のサッカー協会には、いい席ばかりを回しているのだろうか。それともJAWOCで関係者用にたんまりといい席をおさえていたのだろうか。1枚のチケットを前に、いろいろと考えさせられてしまった。

 駐車場確保

自宅から横浜国際競技場までは、空いている時間帯ならクルマで1時間弱で行ける。電車だと1時間半くらい、そう遠くはないが乗換の回数が多いので煩わしい。チケットを入手した横浜の2試合はいずれも日曜日の夜20時30分キックオフなので、帰路で疲れ果ててしまうと小学6年生の娘の翌日の学校が心配だ(皆勤賞を狙っているため何があっても休みたくないと本人が言っている)。そこで、何とかクルマで行けないか、作戦を考えた。

第1の作戦は、帰路タクシーを使うこと。しかし札幌でのドイツ・サウジアラビア戦の試合終了後のタクシー乗り場は、絶望的な行列の長さだった。横浜国際競技場にはタクシー乗り場は設けられないので、交通規制区域外まで歩いて、自力でタクシーの空車をゲットしなければならない。すんなり乗れればラッキーだが、競争相手が多く手こずると「いったいいつになったら帰れることやら」という事態になる。どうもこの作戦は、疲労リスクが高い。また、会場から自宅まで26キロなので、2キロ650円×深夜割増で20%加算とすると1万円くらいかかる。道路が渋滞するともっと高くなる。料金も安くない。NGだ。

第2の作戦は、新横浜駅近辺の時間貸し駐車場を借りること。現地調査のために、5月のある日曜日に新横浜に行ってみた。すると駐車場はあちこちにあって、収容台数も合計すればかなりの台数になるが、昼過ぎから夕方にかけての時間帯はけっこう埋まっているという実態が分かった。日曜日の新横浜は、遊びに来る人が少なくないらしい。とすると、新横浜駅近辺で駐車スペースを確保するためには、昼前、できれば朝のうちに現地に着いている必要がある。しかしそんなに早くから現地入りしていたのでは、疲れてしまう。また交通規制により、駐車場のある地帯の半分以上は16時〜深夜(現地の混雑が緩和されるまで)はクルマの通行が禁止になる。これにより、交通規制にかからない地域の時間貸し駐車場の争奪戦はさらに厳しくなる。失敗する可能性が高そうなので、この作戦もNGだ。

第3の作戦は、新横浜に近い他の駅近辺の時間貸し駐車場を借りること。そんなに早くない無理のない時間に現地に着いて、新横浜駅近辺で駐車スペースを探し、だめならこの地をあきらめて他駅に移動してクルマを止めるという作戦だ。現地調査のために、5月のある日に新横浜一帯をウロウロしてみた。市営地下鉄のセンター南駅とセンター北駅のあたりには、時間貸し駐車場がまあまあある。しかし、20時とか21時に閉まってしまうところが多く、それ以降でも出庫できる駐車場はあまりない。この程度の作戦なら思いつく奴は少なくないだろうし、このような状況では試合当日は厳しい争奪戦となる可能性がある。この作戦も、うまくいく保証がない。

しかし何とか、クルマで行きたい。そこで第4の作戦として、月極駐車場を1か月だけ借りるという方法を思いついた。6月初めのある日、会場の横浜国際競技場から徒歩圏(半径2キロ以内)をウロウロし、月極駐車場の看板を見つけるとその場で電話して空き状況を確認する、という探索活動を展開した。会場から東南方向の新横浜駅近辺で交通規制に引っかからない地帯には、15カ所くらい月極駐車場があったが、まったく空きがなく全滅。そこで方面を変え、会場の北方向で探した。すると10カ所目あたりで、空きが見つかった。市営地下鉄の北新横浜駅の近く、1か月15000円+契約手数料5000円=合計20000円。北新横浜駅は会場への最寄り駅のひとつであり、充分歩ける。悪くない。その足で大家さんの事務所に出向き、契約した。

 Tシャツ購入

日本を応援に行くのに、ブルーのシャツは必需品と思い、6/1の札幌の試合の際にオフィシャルショップをのぞいてみた。すると、1万円以上する日本代表ユニフォームのレプリカと、2900円の背番号&名前入りTシャツの2種類があった。後でパジャマにすることを考え、Tシャツを買うことにした。私は草野球で背番号2なので、同じ番号のTシャツ(DFの秋田選手)を探したが、見つからなかった。作ってはいるとのこと。秋田選手はぎりぎりになって代表に選ばれたが、ベテランの渋い選手でどう考えても試合に出ることはなさそうだし、Tシャツとしての不人気は間違いない(他の選手と相対的に比較して)。そのため、あまり作らなかったので、すぐになくなってしまったのだと思う。

その後、6/6に渋谷のオフィシャルショップに行ってみた。しかしここでも、2番のTシャツは売り切れとのこと。そこで書店でサッカー雑誌を立ち読みし、その手の広告を探した。うまいことに渋谷の店の広告が見つかり、さっそく行ってみた。かなり売り場面積の広い店で品揃えも充実しており、そこで無事背番号2のTシャツをゲットできた。

当日の新横浜駅近辺の様子

 14時ころの新横浜駅近辺

現地に14時ころ到着したので、駐車場に直行せず、クルマで新横浜近辺をうろうろしてみた。この時点では、コインパーキングや有料駐車場にはまだ空きがあった。ただし交通規制の範囲外の駐車場(横浜アリーナ近辺)は満車になっているところが多く、空きは残りわずかという感じだった。

 14時半ころの北新横浜駅

月極で借りた駐車場にクルマを入れ、市営地下鉄の北新横浜駅に向かった。前日にはなかった案内所が開設されていたが、この時点では駅の利用客が1分に1人というレベルなので、とても寂しげだった。

横浜市営地下鉄では、「一駅一国応援制度」を取り入れており、北新横浜駅が応援しているのはエクアドル。駅の一角にユニフォームが飾られ、エクアドルについての印刷物が貼り付けてあった。現時点で横浜市営地下鉄の駅は32駅なので、ちょうどぴったりの数になる。そこからの発案と思うが、しみじみとした味わいがあり、なかなかいいプランであると感じた。

 15時〜16時ころの新横浜駅近辺

新横浜駅で地下鉄を降り、地上に出た。前日とうって変わって、駅前はガサガサ・ワサワサとしていた。通行客がどんどん駅から出てきて、スタジアムに向かっている。ブルー率は50%くらいか。そしてそれを取り囲むように、イベントスタッフ、警察官、警備員。「チケット譲って」のプラカード(段ボール製が主流)を掲げた人も、推定100名か200名。駅前からチケットの色別に動線を設定して、それに従うように呼びかけているが、その通りに通行客が歩いているかどうかは分からない。6/1の札幌に比べて、警察官の数が少なかった。

街を歩くと、至るところにワールドカップグッズ売店や弁当売店、飲物売店がある。コンビニもワゴンを出している。着想が秀逸だったのは、どこかのコンビニの「ロシアを食ってしまえ! ピロシキセール」。しかし残念ながら売っている商品は大手パンメーカーのピロシキパン(私が食べた経験では、あんまり美味しくなかった)。普通の菓子パンのピロシキ版という感じで、本物感が弱いためか、売れ行きは今ひとつという感じだった。

ユニークだったのは、フェイスペインティング・サービス。個人商店のようなミニ売店(道路占有許可などを取っているとは思えない)で、頬にフェイスペインティングのシールを貼ってくれる。絵柄は国旗が中心で、当然この日の売れ線は日の丸。娘とカミさんが購入したが、帰宅するまでちゃんと頬に貼り付いていた。

駅前だけでなく、街中も、警官や誘導スタッフの数が札幌に比べて少なかった。また、順路誘導看板の数も少なかった。そのため、駅前ではチケットの色別の動線を進むようにアナウンスがあったが、街に入ったらみんな適当にばらけて、おもしろそうなものを見て回るというような状態になっていた。日本・ロシア戦ならばサポーター同士の戦いやフーリガンによる暴動が起きる可能性は低いと考えてのことかもしれない。

入場

 0.5次ゲート

弁当と飲物ペットボトルを買って、チケット色のゲートの近くまで行ってみた。時間がたつにつれて、そして駅から会場に近づけば近づくほど、青いやつの割合が高くなってきた。もうこのへんは、歩いているのも日陰に座っているのも小さな子供も青いのしかいないなあというあたりが、0.5次ゲートへの入口。そして0.5次ゲート前の通路は、もうすでに人でいっぱいだった。

まだ16時半、ゲートオープンまでは1時間ある。さてこれからどこで待とうか、少し戻って日陰がいいかなあなどと考えていたら、「もうすぐ0.5次ゲートを開きます」のアナウンス。そのまま待つことにした。どんどん人が集まり、群衆状態になってきた。「会場に向かって右側のみ開きます」というアナウンスで、ざざざと人が動き、いよいよ過密状態になってきた。このままだと危険だ。しかし、この状態で20分以上待たされた。運営の仕切りが悪い。

やがてフェンスの一部が開かれ、0.5次ゲートへの通路がオープンとなった。もはや群衆は押し合いへし合い状態で、きれいな行列は作れない。群衆がみな1点を目指すという形で押し寄せる。イベントスタッフが必死にフェンスを押し戻す。もみ合い状態で何とかフェンスの入口を通過した。かなり危険な状態だ。こんなところでもしもひとり転んだら、将棋倒しになる。子供が将棋倒しの下敷きになったら、かなりの確率で死ぬ。大人だって、将棋倒しで死んだ人は少なくない。ここの主催者は、明石の事故から何も学んでいない。安全確保こそがイベント運営の至上課題であるのに、こんなひどい運営の仕切りは見たことがない。誰がこのあたりの運営計画を作ったのか、そいつの顔を見てみたい。

0.5次ゲートは、チケットの所有確認のみ。その200mくらい先の1次ゲートはまだ開いていない。そのため、きれいな行列が作られた。ここでちゃんと整列させるために、0.5次ゲートでは少しずつ人を流したのだろう。その意図は分かるが、では0.5次ゲートで流れを絞るとそのしわ寄せがどこに出るのか、そのへんの読みが今回の運営責任者はできていない。「週末のディズニーランドのゲート前に行って、客のさばき方をしっかり勉強してこい」と言いたい。

 1次ゲート

1次ゲート前に行列ができたのが17時ころ。もう30分でゲートオープンだ。ここまで来たという安心感からか、これからの熱い応援に備えての体力温存のためか、観客は落ち着いている。体格のいいロシア人サポーター6人が0.5次ゲートを通過後、行列を無視して脇を上がってきた。しかしこのまま最前列まで行ってしまうとまずいと考えたのだろう、中程で止まって、近くの日本人と記念写真を撮りあったりして、友好親善活動を始めた。まわりは1000人か2000人の青いやつらばかりだ。行列無視をとがめられてバトルになったら、いかに体格が良くても人数にはかなわない。それによく見ると、青いやつの中には、顔を日の丸にしたり、腕に「日本命」と書いていたりして、バトルが好きそうなやつも少なくない。

定刻の17時半、1次ゲートがオープン。しかし12カ所あるゲートのうち、4カ所しか開いていない。セキュリティチェックで時間がかかるのに、これではいつまでたっても行列が進まない。このままでは、キックオフに間に合わない観客が出るかもしれない。「まったくここの運営責任者は、何てトホホなやつなんだろう」と思っていたら、すぐに他のゲートもオープンとなった。「ああ良かった」と安心した。他人の仕事なのに。

 ゲートの中

1次ゲートでは6/1の札幌と同様、チケットの確認と持ち物検査(金属探知器も使用)だけで、チケットの本人確認はなかった。

ゲートの中、建物に入る動線の脇に、協賛スポンサーの出展ブースが4つ。入口から朝日新聞(優勝国予想)、日清食品(やかんヘディングゲーム)、野村証券(ボール投げゲーム&コンピュータ抽選)、日本生命(大声コンテスト)。バックスタンドへのゲート近辺にはコカ・コーラのブースがあるのが見えたが、こちらのメインスタンドへのゲート近辺にはなかった。

競技場の中

 眺め

座席はロシアのベンチの真裏。4列目だが、前の3列は使用禁止だったので、実質的に最前列。しかし、眺めはかなり悪い。ピッチとあまり高さが変わらないので、全体を見渡すことができない。目の前のベンチが巨大で、ベンチの構造物の上端と向こう側のサイドラインが同じ位置に見える。ということは、ベンチの向こう側のピッチはすべてベンチ越しになる、ということ。まともにピッチを望めるのは、向かって右側のゴール前のスペースのみだ。向かって左側のゴール前のスペースは、日本のベンチが邪魔をしている。

ベンチの構造物は透明の素材(常識的に考えて、5〜10mmの透明アクリル)だが、傷が付きやすいアクリルなので、透明感はガラスとは段違いに低い。その上、ベンチには控えの選手が座り、その人たちも視界をさえぎる。この視界の悪さには落胆した。

前の方はピッチに近いので臨場感を味わえる、というメリットがあるが、それはサッカー専用の競技場の話。横浜国際競技場は陸上競技兼用のなので、目の前には400mトラックが横たわる。さらに、走り幅跳びのスペースもあるのかもしれない(芝状のカーペットを敷きつめているので詳しくは分からない)。そのため、前から4列目の座席から見ても、サッカーはかなり向こうの方でやっているという距離感だ。
ピッチ手前にそびえ立つベンチの図

 客の入り

会場の電光掲示板によると、この試合の入場者数は66,000人くらいで、6/1の札幌ドームのちょうど2倍。競技場の中にあった定員の表示は72370人なので、6000人くらい足りない。まとまった空席はどこにもなかったが、メインスタンドの前から2列か3列を立入禁止にするなど、運営上の空席があったため、ほぼ満席であったと思われる。

 席割り

バックスタンドの右、コーナーの背後にロシア人サポーターが固まったいた。その数は推定100名。それ以外は日本人。VIP席には有名人も何人か来ていたようで、通路から写真を撮っている人が途切れなかった。総理大臣も来ていたが、この人はやるべきことが山ほどあるだろうに、サッカー観戦などしていていいのだろうかと心配に思った。

日本人の中でも、気合いの入ったサポーターはゴール裏(カテゴリー3の席)に集中していた。このあたりは、Jリーグの試合と同じ。Jリーグのような旗ざおは持ち込み禁止だが、布地だけならOKなので、巨大な日の丸や巨大な代表ユニフォームが何回か向かって左のゴール裏に出現し、スタジアム全体が大いに盛り上がった。

 客層

観客席全体で、日本人の青い率は98%くらい。見渡す限りでは、顔に何か描いてある率が50%くらい。マフラータオルを振り回している率は30%くらい、そして上半身裸になって応援している率は10%くらいだった。夜になって急に気温が下がったので、裸は少し寒かったと思う。隣席の若者も早々と上半身裸になったが、応援の合間には身体をこすっていた(私はしっかり見た)。

 トイレ

トイレは充分な数が設置されており、それほど長い列にはならなかった。

 売店

6/1の札幌ドームと同じかそれ以上に、売店はキャパ不足。飲食売店(ビール&飲物&軽食)・物販売店(公式グッズ)ともとうてい並ぶ気がしないくらいの長蛇の列だった。今回はかなり早いうちに競技場に入れたのに、物販売店は1時間待ち。これだけ並んだのに、めぼしいものはすべて売り切れ。改善の余地が大いにある。

ただし、公式プログラムだけは、別の売場で販売していて、ほとんど並ばずに買える状態になっていた。この点だけは、6/1の札幌ドームよりも進化している。

 試合

キックオフからスタンドは絶叫状態、そのまま45分叫び続けて、15分の休憩(ハーフタイムにショーをやっていたが、メインスタンドからは遠くてほとんど見えなかった)。この休憩時間もゴール裏の連中は休まず叫び続けていた。そしてまた45分の絶叫大会。攻め上がれば総立ちで大絶叫、攻め込まれても総立ちで大絶叫。中盤の細かい取り合いなどでボールが大きく動かない場面のみ、ちょっと席に座って息を整える、というパターン。特にメインスタンドの前の方は、眺めが悪いので試合の全体が見えない。そのため、ひとつひとつのプレーでの絶叫となる。ボールを取っても取られても「いけ〜〜!!!」「つぶせ〜〜〜!」と休む暇がない。まことに疲れる席であった。

私の席から見ている限りでは、前半は日本もロシアも互角の攻め。ロシアのシュートは、フカすばかりで、地を這うようなシュートが少なかった。日本のシュートも似たようなもので、たまに打っても大外れ。

後半5分の日本の得点は、中田浩二から柳沢へのパス、そして柳沢がダイレクトで稲本にパス、このあたりのボールの動きは日本のベンチの影になってまったく見えなかった。しかしラストパスを受けた稲本の背中と、その足元から浮かんでゴールに突き刺さっていくボールは、しっかり見えた。やけに白く、くっきりと見えた。

後半は、ロシアが私の席に近い方のゴールを攻める。そのロシアは、右サイドからの攻めが多い。ということは、良く見えるのは、ロシアが攻め上がっていくシーンばかりだ。右サイドを突破されると、背の高いやつが待っている中央にボールが入っていく。そうはさせじと、日本のMFも体を張って防いでいる。ゴール前の最終ラインで日本DFはよくしのいでいたようだが、その様子は私の席からは選手が重なってしまってよく見えない。よく見えるのは、目の前でのボールの取り合いだ。そこでは、ロシアが細かいパスを使って日本をかわして上がっていくシーンばかり。日本の選手がスライディングしていくと、たいていファールを取られてしまう。そのフリーキックが日本のゴール前に向かってすっ飛んでいくのを、どうなることかと後ろから見つめている、そんな角度の席だ。

そのため、私には後半は80対20くらいで押し込まれているように見えた。このままではロシアに点をとられるのは間違いない、その前に日本が2点目を取れば逃げ切るかもしれないが、1点差では勝てない。勝てないどころか逆転負けさえある。昔のドーハでも、最近のベルギー戦でも、日本は守りきるのが苦手だ。早く試合が終わればいいが、まだまだたっぷりと時間が残っている。どうなることか・・・・と考えている私の前を、ロシアの選手が何度も何度も上がっていく。心臓にとって、非常に刺激のある観戦となった。

ロスタイムが2分と表示された。早く終われと祈る。あと30秒くらいで、またもや目の前のいつもの場所でロシアのフリーキック。くたびれ果てたロシアと日本の選手が、ぞろそろとゴールに向かっていく。ロシアのキッカーがのんびりと足元にボールを置いて、深呼吸しながらゴール前を眺める。この瞬間、テレビで見たドーハの試合の風景がよみがえる。あのときも、こんな雰囲気だった。延々と1点を守り続けて、もう1プレイでゲームが終わるというときに、セットプレーでやられた。このフリーキックで、日本は同点に追いつかれてしまうのだ。あと10秒か20秒でワールドカップ初勝利が転がり込んでくるというのに、同点に追いつかれてしまうのだ。がっくり膝をつく選手の悲しい背中まで脳裏に浮かんできた。あああ・・・と思っていたら、突然笛が鳴った。それも終了の笛が。まだ時間が少し残っていたはずなのに、試合が終わった。あっけない幕切れであった。



試合が終わって30分しても、スタンドはまだ騒然としている。ゴール裏の気合いの入ったやつらは、叫びをやめる気配がない。メインスタンドのあちこちに、放心して座っているやつが少なくない。すっかり心臓が元通りになったので、スタンドを後にした。

帰路

 敷地を出るまで

20時半キックオフ、15分のハーフタイムをはさんで、試合終了は22時半ごろ、そして座席から立ち上がったのは23時ころだった。競技場の建物の外に出ると群衆状態で、競技場を出るまでに30分くらいかかった。

帰路の動線は暗く、サインも少なく、群衆状態の場所もその後の流れる場所も誘導員がほとんどいない。6/1の札幌ドームとは大違いだ。「客は自分で何とかしろ」という感じで、ほったらかしにされた状態。入場するときの運営レベルから予測できたのでそれでも驚きはしなかったが、問題だらけであることは確かだ。メイン動線となる新横浜駅方面とサブ動線となる小机駅方面は誘導員が進路を指示しており、たまにサインも出ていたが、第3のルートである北新横浜駅方面はまったく案内がない。多少迷いながら、何とか帰路を見つけた。

 街の様子

0.5次ゲート前の通路と、横浜労災病院に近い路上の2カ所で、比較的大きなサポーター集会が開催されていた。新横浜駅の近くでは、かなり大きな騒ぎがあったらしい。あまり人のいない道を歩いていると、何台ものクルマが、日の丸を振ったり、大声で歌を歌いながら通り過ぎていった。手を振って答えた。お互い、たいへん、お疲れさん。

 横浜国際競技場の顧客満足度

試合には大満足したが、施設と運営に関しては、今回の横浜国際競技場は不満だらけだ。こんな調子では、決勝会場としてまったくふさわしくない。早急に何とかして欲しいと思う。

なお、6/11の試合の時は、0.5次ゲートまわりでの客さばきが改善されたようだった。試合前の様子を伝えるテレビでは、集まった観客をしっかりコントロールしているように見えた。

参考資料 −−− チケット


2002日韓ワールドカップサッカー・観戦レポート メニューページ

トップページ