ニュース・活動報告

犯罪被害者がようやく刑事裁判に参加へ―刑事訴訟法改正案成立

 犯罪被害者が刑事裁判に出席し、被告に直接質問したり裁判官に量刑を主張することができる「被害者参加制度」の導入などを盛り込んだ刑事訴訟法改正案(犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事訴訟法等の一部を改正する法律案)が、6月20日166回国会参議院本会議において、自民、民主、公明などの賛成多数で可決、成立しました。

 同制度は殺人や傷害、業務上過失致死傷などの刑事裁判が対象となり、2008年末までに施行される予定ですが、今後、「被害者参加人(被害者・遺族・委任を受けた弁護士)」は法廷で検察官のそばに着席し、以下の権利が認められることになります。

○ 被害者は刑事裁判に出席し、被告人質問や証人尋問、独自の求刑ができる
○ 刑事裁判で被告が有罪となった場合、同じ裁判長が損害賠償額を決定できる(付帯私訴制度の導入)
○ 被害者に原則、刑事裁判の記録の閲覧・謄写を認める
○ 刑事裁判で被害者の名前を非公開にできる

 先に導入が決定されている裁判員制度への影響を心配する意見もありますが、ようやく事件の実態が被害者の言葉を通して明らかにされ、被告の量刑を決めるに当たってより多くの情報が提供されるはずであり、裁判の公平性が高まることは明らかでしょう。また付帯私訴の導入によって加害者及びその家族への賠償責任を求めることが容易になれば、被害者の救済、さらには犯罪抑止への大きな一歩となると信じています。

 この刑事訴訟法の改正においては、同じく犯罪被害者遺族である岡村勲弁護士[全国犯罪被害者の会(あすの会)代表]が常に先頭に立ち、多くの被害者を導いてきました。長年にわたるその努力に敬意を表するとともに、より国民の立場に立った新たな制度として成功するよう、今後も多くの被害者が協力していかねばならないでしょう。

 私たち犯罪被害者家族の会poena(ポエナ)も設立時に発表した「犯罪被害者家族の願い」の第一項目で本改正について明言しており、全ての会員の願いとしてこの改正を要望、支持してまいりました。

2007/6/26 掲載


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