ニュース・活動報告

【熊谷市小4ひき逃げ事件】

母が時効撤廃の嘆願書を法務省に提出

2009年9月30日、埼玉県熊谷市において、自転車で帰宅途中だった小関孝徳君がひき逃げにより死亡した事件は未解決のまま、一月後の2019年9月30日午前0:00時に時効を迎えます。

この事件では、ひき逃げ事件(自動車過失運転致死罪)の時効を迎える10年目にして、警察が証拠品であった孝徳君の腕時計を紛失し、さらに紛失の事実に気がついた後、証拠品のリスト「押収品目録交付書」を改ざんしていたことがわかりました。警察にとってはただの証拠品でも、遺族にとっては大切な遺品です。母の代里子さんは、こうした事実を目の当たりにし、このまま時効を迎えてしまうのはあまりにも無念であり、事故現場で何が起こったのか真実を知りたいと自らブログを開設し、さらなる情報提供を求めはじめました。

情報提供を求めると共に、ひき逃げ死亡事件の時効撤廃を要望する署名活動も開始し、多くの賛同者を得ています。

時効まで一月半弱まで迫った8月19日には、犯罪被害者等基本法の中で義務付けられている犯罪被害者のための施策「犯罪被害者等基本計画」の見直しに対して、犯罪被害者の遺族の一人として意見書を提出されました。

そして、8月28日に、法務省刑事局刑事法制管理官に3万人弱の署名とともに「死亡ひき逃げ事故の時効撤廃を切実に求めます」という嘆願書を手渡しました。

この時に当会から提言・主張として公開した「ひき逃げ運転致死事件」の公訴時効撤廃へも一緒に提出していただきました。小関様には、ポエナの会についてもブログで取り上げていただいております。誠にありがとうございました。あらためてお礼申し上げます。

当会の主張の要点は、一つは「死亡ひき逃げ事件」の場合、犯人が逮捕されていない以上、実際の事故現場で何が起こったのかわかりません。小関孝徳くんの事件の場合「自動車運転過失致死罪」で10年の時効となっていますが、事件の真実がわからない以上、犯人がどのような状態で運転していたのかは知り得ず「危険運転致死罪」で起訴されるべき事件だったかもしれないという可能性は否定できません。事件の容疑を「危険運転致死罪」に切り替え、時効を20年に変更すべきというものです。

1996年に起きた「JR池袋駅 立教大生殺人事件」では、当初「傷害致死事件」として時効7年とされていましたが、未解決事件である以上は殺人罪で起訴されるべき事件であることは否定できないとして2003年に「殺人罪」に改正され、時効が15年に変更されました。前例はあるのですから、対応は不可能ではないはずです。

もう一つは「事後殺意」です。ひき逃げで被害者を放置し犯人が逃げた時点から、ひき逃げ犯は被害者が死んでしまっても構わないという殺意を抱いたと考えられます。少なくともその場から運転して逃げているのですから、その行為は故意によるものです。ひき逃げ行為が殺意あるものだとして、殺人罪となれば、時効は撤廃されることになります。

殺人事件であっても、ひき逃げ事件であっても、犯罪からの「逃げ得」は決して許されないことであり、悪質・凶悪な犯人を逮捕することは国家の重大な責務です。犯人逮捕は残された遺族の最大の願いであり、被害者の無念を償わせることが遺族への救済でもあります。

今回の小関孝徳くんの母による嘆願書の提出が、善き結果につながってくれることを切実に願います。

母のブログでは、情報提供を求めています。ご協力をよろしくおねがいいたします。

「小関孝徳くんの母のブログ」
https://ameblo.jp/kosekitakanori/

熊谷市ホームページ
https://www.city.kumagaya.lg.jp/kurashi/bosai/bohan_kotsu/
kotsu_anzen/oshirase/jouhouhongoku1.html>


埼玉県警察
http://www.police.pref.saitama.lg.jp/p0270/kenke/0424hikinige.html

2019年8月30日掲載


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