おかしな模型用語 (06-03-31, 06-04-02)

慣用されている何か変な模型用語がいくつかあります。

アテンプト(attempt)
ルールで許容されるやり直し飛行のこと
アテンプトと「俗称」しますが、言葉本来の意味(試み)からすれば誤用です。国際級F1A, F1B, F1Cの規定でも最初の発航を1アテンプト、やり直しを2アテンプトと呼ぶように修正されています。但しF1D(室内機)の規定では未だにやり直しをアテンプトといっています。この混乱はアメリカでも同様らしくて、数年前そのことを嘆く投書を雑誌でみました。

デサーマル(de-thermal?)

下降気流の意味で使われている様ですが、辞書によればde-は「何かの反対」や「何かを無くす」意味の接頭語で動詞とそれに関連した名詞・形容詞・副詞に付く、とあります。thermalは熱上昇気流の意味の名詞で動詞の派生語ではないのでde-thermalは英語の造語法の原則に反しており、ちゃんとした英語ではないと思います。英語ではdown draftと言う表現を見たことがあります。

尾翼容積
これは大学の先生も専門書も使っている言葉ですが、やっぱり変です。例えば水平尾翼容積と言われているのは
尾翼モーメントアーム*水平尾翼面積)/(主翼面積*主翼翼弦)
つまり容積/容積で無次元ですから、本来容積と言うのは間違いです。容積の比ですから正確に尾翼容積比と呼びたい。本当は尾翼容積と呼びたい
「尾翼モーメントアーム*水平尾翼面積」に適当な言葉が無いのは困った事態ではないでしょうか?

コメタル
アルミをコの字形に曲げプロペラシャフトを通す穴をあけたプロペラハンガーが本来のコメタルです。プラスチック製を含めてそれ以外の構造のプロペラハンガーはコメタルと呼ばない方がいいと思いますが、いかがでしょう?

パチンコランチグライダー(PLG)
英語では
カタパルト・ランチ・グライダーと言わずに単にカタパルトグライダー(catapult glider)と言っています。カタパルトとランチlaunchに意味の重複があるからランチが入っていないと見ていいでしょう。同様にPLGでもランチは余計、それに不要な英語と日本語の混用は避けたほうが良いでしょう、カタパルトグライダーで十分に意味は通じますから。

アップ、ダウン、サイド
アップスラスト、ダウンスラスト、サイドスラストと言うべきところをアップ、ダウンと言っている人が沢山います。そのせいでアップスラスト、ダウンスラストと言う用語があること自体を知らない人も出てくる始末。
余談ですが
辞書によると
thrustは〈人・物を〉強く押す;…を(…に)ぐいと押しやる[押しつける];〈物を〉(…に)突っ込む((in, into ...));〈道を〉押しわけて進む
の意味。日本語の感覚ではサイドスラストと言えばプロペラで横に引っ張る感じですが、英語では横に押すと言う感覚の様です。