ロイヤルハワイアン滞在記

1993年7月)


10.全体的な印象

 ホテル選びの重要性

行く前は、ワイキキは騒々しい落ち着かない、まるでバブルの時代までの熱海のような観光地だと思っていた。しかし、いろいろ資料を集めて、またニフティサーブのフォーラムのハワイレポートを残さず読んで、ハワイはホテル選びが重要であることを知り、じっくり入念にホテルについて検討したかいがあって、わが家にぴったりの静かでのんびりできるホテルを選び出すことができた。そのため私としては、「ハワイ=騒々しい落ち着かない街」というイメージではなく、「ハワイ=誰でも歩ける騒々しい落ち着かない街+限られた人だけの静かで落ち着いたリゾート空間」というイメージを持った。

ロイヤルハワイアンは、その外壁や内装、タオルにいたるまでピンク色(日本人にはあまり好まれない色)であるためか、はたまた古いホテルであるということでか、2軒隣のモアナ・サーフライダーほど日本人には人気がない。しかしホテルのグレードとしては、モアナ・サーフライダーより明らかに上、ハレクラニに匹敵するかその次かというあたり(最も安い部屋の料金での比較)。

実際に泊まってみると、まあまあ広い敷地で、あまり多くない客室数で、充分な従業員数のため、客の人口密度が低く、客と従業員のバランスに優れている。落ち着いた雰囲気の中で、きめ細かなサービスを受けられるとても素晴らしいホテルであった。高級ホテルとは、このようなホテルのことを言うのだと思う。部屋もプールも素晴らしく快適で、ルームチャージは決して安くはないが、あまり外出せずホテル内で過ごすならば値段以上の価値があるホテルと言える。また次回もこのホテルを利用したい。

 ホテルのグレードによる旅行費用についての考察

この当時の価格で、最も安い部屋で1泊(2名)245ドル。ルームチャージは確かに高い。しかし旅行の総費用で考えると、「ホノルルまでの飛行機代はどのホテルに泊まるのでも同じだけかかるのだから、ホテル代をけちって安いホテルに泊まるよりも、多少高くなるけどいいホテルに泊まった方が、総費用と満足度のバランス(費用対効果=コストパフォーマンス)の点で格安ホテルに泊まるよりも優れているのではないか」と思う。

たとえば一人当たりで試算すると、飛行機代を7万、安いホテルが4泊で2万、ロイヤルハワイアンが4泊で6万とすると、安いホテルのツアーが9万、ロイヤルハワイアンのツアーが13万となる。これならば、絶対にロイヤルハワイアンに泊まった方が、コストパフォーマンスはいいと思う。

実際には、現地のホテル代がほとんどタダに近いような値段の超格安ツアーもある。これならば7万で4泊6日できる。これと13万のロイヤルハワイアンのツアーを比較した場合、ハワイが初めてでホテル選びの重要性に気が付いていない人ならば7万のツアーを迷わず選ぶかもしれないが、2回目以降のリピーターは、単純には超格安ツアーには飛びつかないだろう。そしてリピーターでホテル内滞在型の客は、おそらくお気に入りのホテルがあるため、超格安ツアーにはほとんど興味を示さないものと思われる。

 ハワイの商品力についての考察

ハワイへの旅行は、入門者向けの商品(超格安ツアーなど)からリピーター向けの商品(高級ホテルの部屋指定ツアーや、格安航空券とホテル直接予約の組み合わせなど)、そしてファミリー向けの商品(コンドミニアム利用ツアーなど)まで、バリエーションが実に豊富である。そして料金も、ツアーの場合同じ4泊6日で6万円程度から20万円程度までと幅広い。熱海には、このようなバリエーションの広さは感じられない。ハワイが強力な集客力を発揮している理由のひとつは、この点にあると思われる。

また現地での過ごし方も、ビーチごろごろ、マリンレジャー、観光、ゴルフ、ショッピング、ナイトライフなど、多彩なニーズに対応している。このように懐の深い観光地は、日本にはない。

さらに、わが家のようなホテル内滞在型の人間にとっては、ハワイの気象条件そのものが大きな魅力になる。南国の強烈な日差しで気温は高いが、海流の関係で乾いたそよ風が吹き、蒸し暑いという感じがしないハワイの気候は、高級ホテルのプールサイドに寝そべる人たちに、実にいい気持ちのお昼寝をプレゼントしてくれる。この気候を経験したホテル内滞在型の人は、かなり高い割合でハワイのリピーターになることだろう。

グァム、サイパン、セブは、いずれも蒸し暑いリゾートで、ハワイの快適な気候には全然かなわない。セブにいたっては、日陰にいると蚊に悩まされた。乾期に3週間滞在したモルディヴの小島(マクヌドゥ)は、真水がないため蚊がいなくて、さらにウェットスーツなしでスキューバダイビングができるほど海水は温かかったが、吹く風はアジアのリゾートよりは乾いた風で、なかなか快適な気候だった。しかしハワイの気候の快適さは、そのモルディヴをも上回っている。

ハワイとモルディヴを比較すると、スキューバダイビングをするために行くビーチリゾートならば、乾期には透明度が60m以上にもなるモルディヴがいい。しかしモルディヴでは、スキューバダイビングの他には、シュノーケリング、お昼寝、他の客とのおしゃべりぐらいしかメニューがない。ハワイの海は透明度の点ではスキューバダイビング向きではないが、しかし素晴らしく快適なお昼寝がある。遊びのメニューも豊富だ。スキューバダイビングが好きな私ですら、ハワイとモルディヴはどちらに行こうか迷う。

モルディヴはハワイよりもはるかに遠いので、1週間くらいまでならハワイ、3週間ならモルディヴという使い分けはあり得る。モルディヴ(ただし人口密度の低い小さな離島のリゾート)は、基本的に「何もすることがない」ことが魅力のリゾートだ。ダイビングをやるとしても1日1本、所要時間は1時間くらいで、後は暇になる。この「何もしない」毎日に身体が順応するためには、ある程度の期間を必要とする。1週間くらいの滞在では、「何もしない」毎日を楽しむことができないからだ。

その中間の2週間だと、どちらに行こうか迷う。1週間のハワイの離島(ネイバーアイランド、モルディヴのような何もないところ)+1週間のワイキキ(ロイヤルハワイアン宿泊)、というのがいいかもしれない。ワイキキだけでなく、ネイバーアイランドまで用意されていて、それらがそれぞれに個性的である点も、リピーターにとっては大きな魅力だ。「何度行っても味わい尽くせない圧倒的なスケール感」という点で、ハワイとTDL(東京ディズニーランド)には、共通点がある。

ロイヤルハワイアン滞在記(1993年7月) 目次

観光地としてのハワイの魅力・調査レポート メニューページ

トップページ