ハレクラニ滞在記

(1996年12月)


8.全体的な印象

 クリスマスシーズンの街の様子

ホテル内や街のあちこちに、力の入った、そしてそれぞれに個性的なクリスマスディスプレイが展開されていた。ひとつひとつのパーツの大胆な大きさや全体的な色使いなど、日本人が飾るクリスマスディスプレイとはかなりセンスが違う。アメリカ人のセンスの方が、大胆でのびのびとしているように感じた。

アラモアナ・ショッピングセンターでも、クリスマス用品が目に付いた。常時点灯の変わった形状(小さいまん丸)のイルミネーション電球が柔らかい光を放っていたので、1セット買ってみた。アメリカ仕様(110V)なので、日本の100Vで使ってみたらさらに光が淡くぼーっとした感じになり、なかなかいい雰囲気。しかし1シーズンで配線部分が断線し、使えなくなってしまった。

 4泊6日という日程に関する考察

日本からのツアーの標準日程である4泊6日だと、丸ごと使える日は3日半しかない。往路は朝ホノルル空港に到着するが、時差ボケで疲れていてフルには活動できないし、またアーリーチェックインでない普通のツアーでは15時までホテルに入れてもらえないので、この日はいいとこ半日分だ。

この日数では、いろいろ見て回ろうとする外出主体型の滞在では、スケジュールに追いまくられてとても忙しい。たとえば観光に1日、アウトレットを含む買い物に1日、ビーチで1日とすると、残るのは半日しかない。ロイヤルハワイアンでもハレクラニでも、プールサイドにいる日本人は少なかったが、4泊6日の日程の外出主体型では、プールを楽しんでいる余裕はないからだろう。

しかしプール主体型なら、4泊6日でもそんなに忙しいとは感じない。わが家は今回初めて4泊6日の日程を経験したが、いつも(7泊程度)と比べて、日程が短いことについての不満はあまり感じなかった。7泊なら7泊なりに、そして4泊なら4泊なりに、プールでのんびり過ごすのは幸せだ。短い滞在でもプール主体型ならばそれなりに楽しめることが分かったので、次回アメリカ本土に行く際は、帰りにホノルルに立ち寄って2−3日過ごしてから日本に帰る、というルートを試してみようと思う。

 ハレクラニの長所と短所についての考察

ハレクラニは、「高級なホテルとは、こういうホテルだ」ということが、ハードとソフトの両面からひしひしと伝わってくる。ハード面では、部屋の広さや設備は申し分がなく、さらにプールも極めて快適だった。ソフト面では、従業員とゲストの距離感があまりない、つまりとてもフレンドリーなサービスを展開している点が印象的だった。

フロント前のロビーはとても狭く、またフロントのカウンターも小さい。この狭さや小ささは、部屋でのチェックインというシステムを採用したことによるスペース節約を狙ったものではない。アットホームでフレンドリーなサービスを展開するために、ハレクラニはあえてロビーを狭く、そしてフロントのカウンターを小さくしたのだ。

狭いロビーや小さいフロントカウンターでは、必然的に、従業員とゲストの距離感が縮まる。近くにいれば、声をかけやすく、声をかけられやすい。たとえばフロントでは、近づく前に必ず従業員に発見されてしまい、ゲストを見つけた従業員は必ず声をかけてくる。また廊下やプールなどで従業員とすれ違う際も、必ずあいさつされる。そのためゲストも慣れてくると、こちらから先にあいさつをするようになる。このような従業員とゲストのやりとりが日常茶飯事となることにより、ハレクラニは、とてもなごやかで安心感に満ちた雰囲気のホテルとなることに成功している。

ロイヤルハワイアンと比較すると、ソフトの面では両者ほぼ互角だが、ハードの面では特に部屋の点でハレクラニが優っている。ハレクラニは欠点が少なく完成度が高い。ロイヤルハワイアンは長所も多いが短所も多い。両方に泊まってみて、ワイキキビーチのナンバー1ホテルは、やはりハレクラニだと思う。

ハレクラニの欠点をしいて指摘すれば、まず道路側から見た場合の外観の貧弱さ。良く見ればセンスは良いのだが、スケール感に乏しく地味な色合いであるので、全然目立たない。目立たないどころか、存在感が希薄である。隠れ家的なイメージを狙ったのかもしれないが、客室数はそこそこあるのにこの外観では、とてもアンバランスだと思う。ただし、海側から見た場合は、実に立派で威風堂々とした外観をしている。

次に、カラカウア大通りからハレクラニに向かう際に通るルワーズ通りが、騒々しい品のない道となっていることも、減点1。「これからハレクラニに向かうのだ」という気分の盛り上がりがまったくない。シェラトンワイキキを過ぎてロイヤルハワイアンに至るまでの「ここから先は、ちょっと違う」という感じがする品のある道とは対照的だ。

さらに、「コ」の字形の部屋の配置は、部屋のプライバシー保護の観点からは難がある。建物の設計にあたっては、部屋数や部屋からの眺望などが重視されたのだろう。たしかにハレクラニは、敷地の広さの割には眺望の良い部屋が多い(眺望の悪い部屋の割合がロイヤルハワイアンに比べるとかなり少ない)が、「コ」の字の内側の部屋は他の部屋から中まで見えてしまうので、気にならない人もいるのだろうが、私はとても気になる。人が見ていると思うと、ラナイやカーテンを開け放した状態での室内では、あまりリラックスできなかった。部屋の開放感とプライバシーの保護を両立させている点で、大海原の上を飛ぶ飛行機からしかのぞかれることのないロイヤルハワイアンの新館タワーオーシャンフロントは、まことに素晴らしい部屋であると言える。

ハレクラニ滞在記(1996年12月) 目次

観光地としてのハワイの魅力・調査レポート メニューページ

トップページ