ロイヤルハワイアン滞在記

(1998年8月)


8.全体的な印象

 ワイキキの魅力の奥深さ

4回も同じところに行っていれば、過ごし方もだんだんと固定化してくる。わが家の場合、だいたい8日間くらいの日程で、朝食は部屋で適当に済ませ、日中はプールに常駐(昼食もプールサイド)、夕方から歩ける範囲かアラモアナ・ショッピングセンターまで出かけて衣類の購入と安い夕食、滞在中に1日くらいはワイケレのアウトレットまで足を伸ばす、観光として外出することはほとんどなし、というパターンだ。

毎日こればっかりなので飽きてくるような気もするが、しかし不思議と全然飽きない。毎回、帰る日には「もう何日かは居たいものだ」と思う。その理由は、「飽きさせないほどの魅力の強さ=奥深さ」であろう。ロイヤルハワイアンのプールサイドの快適さは、筆舌に尽くせないほど。買い物も、丈夫でいいデザインの衣類や靴が安く手に入る。食事も、貧乏なわが家でも選択の幅が広く、探せば安くて美味しいものに巡り会える。そしてその辺をうろうろしているだけで、毎回必ず新たな発見がある。

魅力の多彩さで1回目の観光客を呼び、魅力の奥深さでしっかりリピーター化する−−−ワイキキは、間口も奥行きも広い、強烈な集客力を備えた観光地となっている。

 ネイバーアイランドの遠さ

ガイドブックやツアーのパンフレットには、「ワイキキは人混みで騒然とした都会的リゾート。静かさと落ち着きを求めるならば、オアフ島ではなく、他の島がお勧め・・・」と書いてある。原則的に、この表現は正しい。しかし例外のホテルが2軒ある。ハレクラニと、ロイヤルハワイアンだ。この2軒のホテルの中には、静けさや落ち着きがちゃんとある。

わが家も、この2軒のホテルを知らないままであれば、2回目のハワイはネイバーアイランドに行ったと思う。しかし、ワイキキの中でものんびり過ごせる快適な場所が見つかってしまうと、わざわざ飛行機を乗り換えてまで、ネイバーアイランドに足を伸ばそうという気がしない。日本からネイバーアイランドへの直行便は、唯一JALの成田−コナ便がある(帰路はホノルル経由便となるので、厳密には半直行便)が、御巣鷹山の墜落事件以来「JALは乗らない」という家訓があるわが家は、この便には乗れないので、乗り換えるしかない。ネイバーアイランドへの往路は同日のホノルル乗換だが、帰路は国際線の時間の関係で、オアフ島で1泊(それも早朝チェックアウト)をしなければならない。ということで、ワイキキは近いが、ネイバーアイランドはいきなり遠いと、私は感じている。

ワイキキの魅力のひとつは、交通の便が良いことだ。成田からのフライト所要時間は、行きは7時間、帰りは8時間くらい。ハレクラニやロイヤルハワイアンを利用する個人旅行(パックツアーではない旅行)ならば、空港からタクシーでホテルに直行でき、かなり高い確率でそのままチェックインできるので、飛行機が着陸してから1時間半後にはホテルのプールサイドで昼寝を開始できる。ネイバーアイランドに行けば、さらに2時間か3時間余分にかかる。太平洋路線の往路はナイト・フライトなので、身体のダメージは大きい。そのため、この2時間か3時間は、とても大きな違いだと思う。往路7時間ならばシンガポールと同じくらい、そして往路10時間だとロサンゼルスと同じくらいの時間距離になる。私の経験では、ロサンゼルス便はシンガポール便よりも、やはり一段と疲れる。

 格安パックツアーの現状と展望

ワイキキの場合、格安のパックツアーを利用すると、空港からホテルまでが果てしなく遠いらしい。聞いた話によると、まずは空港でツアー参加者全員が揃うまで待たされて(違う便の客を待つことになると、1時間以上待つこともあるとのこと)、揃ったらバスで出発して市内観光(市内引き回しの刑=バスの中で寝ている人が大半とのこと)、昼食は何とか食べられる最低線のものを出されて、その後は延々と説明会(その大半は高額なオプショナルツアー押し売りの刑)。15時を過ぎるとようやくホテルにチェックインできるので、ホテルに届けてもらって、しかし疲労困憊なのでバタンキューで寝てしまい、目が覚めたら現地時間の真夜中・・・。

1回目は訳が分からず格安パックツアーを利用した観光客も、2回目以降は高い確率で個人旅行で行くようになる、という話は良く聞くが、格安パックツアーの「市内観光付き」が、ホテルのチェックインタイムまでの苦し紛れの場つなぎである以上は、これは当然だろう。この「市内観光付き」は、まったくもって顧客本位の発想とは正反対で、業界内の事情で顧客に無用の負担を押しつけているような状況だ。

毎年、多くの日本人観光客が出かけているハワイ。このような格安パックツアーのデメリットが広く知られるようになると、1回目から格安パックツアーを敬遠して、高級パックツアーや個人旅行を選ぶ客が増えることだろう。

 今後のハワイ個人旅行の展望

航空業界では1998年から1999年にかけて、航空会社のカウンターで購入できる正規割引航空券の大幅値下げに踏み切った。時期によっては、これまでパックツアーや格安航空券として売られてきたチケットと同額か、割安になることもあるくらい安い。正規割引航空券は、予約変更や払い戻しなどが正規航空券に比べて制限されているが、お金を払えばその場で発券される、そして航空会社が倒産しない限りは飛行機に乗れるなど、格安航空券よりも信頼性が高い。航空会社から直接は購入できないため、どこかの旅行会社が主催して、そこかの旅行代理店で購入することになるので、旅行主催会社が倒産するとお金を払ってあるのに飛行機に乗れない事態になる(後で何%かの払い戻しは受けられるらしい)という格安航空券やパックツアーとは大違いである。

この正規割引航空券の登場により、「飛行機とホテルは、自分で好きなところを選んで、個人で予約する」という海外個人旅行は、より便利に計画しやすくなった。また、海外のホテルチェーンの日本人向けマーケティング活動も、年々盛んになってきている(詳細は「プロモーション研究−−−ホテルチェーンのFSPケーススタディ」の項を参照)。このようなことから、個人旅行でハワイに行く人の割合は、今後年々増加していくことは間違いない。

 コンシェルジュについて

「旅慣れた旅行者は、コンシェルジュをうまく利用する」と良く聞くが、今回の「ステートエアへ行きたい」という私の要望への対応ぶりをみて、まさにその通りだと感じた。コンシェルジュのスタッフは、単なるホテルの従業員ではない。各方面に豊富な情報源や人的ネットワークを持つ、この業務のエキスパートたちだ。そして、いろいろと手間をかけてやってもらっても、その報酬(チップ)は、とても割安だ(そのかわり、ホテル側から支払われる固定給は他の職種よりも優遇されているらしい)。彼らはチップが欲しくて一生懸命仕事をしているのではなく、ホテルのゲストへのサービス提供スタッフとしての使命感で仕事をしているのだと思う。

しかし、ロイヤルハワイアンの場合、コンシェルジュの部屋の入口がとても立派なので、気おされてしまい、なかなか気軽には相談できない雰囲気がある。私も1回目のロイヤルハワイアンでは、部屋の前まで行ったのだが中に入る勇気がなくて、部屋の戻って電話で簡単に問い合わせしてしまったことがある。

 「いいホテルの安い部屋」戦略について

「旅慣れた人は、同額ならば、安いホテルのいい部屋よりも、高いホテルの安い部屋を選ぶ」とも聞く。そのため今回は「安い部屋で、そのかわり日程を長く」という作戦にしてみた。確かに新館のタワーオーシャンフロントの眺望は絶景だが、もう2回泊まったことがあるので新鮮な驚きはないだろうし、日中はプール、夕方は外出なので部屋にいる時間はそれほど長くないだろうから、安い部屋でもそれほど不満には思わないだろうとは思ったのである。

実際に試してみたら、その通りだった。わが家にとっては、プールが快適であることが何より大切であり、部屋のグレードはそれほど気にならない。高い部屋でも安い部屋でも、パブリックスペース(プールなど)でのゲストとしての扱いは同じであるから、次回からもこの手で、同じ予算ならなるべく長く滞在できるようにしようと思っている。

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