視察日:2000年8月7日(月)&11日(金)
場所−−−カリフォルニア州ユニバーサルシティ市(ロス中心部の北西15km)
面積−−−総面積172ha
開業時期−1964年
営業時間−8時−22時(視察日)、閉園時刻は変動する
入場料−−大人41ドル、子供31ドル(長期割引チケットなど各種あり)
大阪にもできたユニバーサルスタジオの第1号パーク。第2号はフロリダ、第3号は2001年3月31日オープンの大阪のUSJ(初のアメリカ国外パーク)。フロリダのUSHも第2パークができて充実したし、最近、元気があるようだ。
丘陵地のハリウッドにあり、ポークは丘の上と丘の下に大きく2分される。坂の上り下りは、エスカレーター3基を利用。ゾーン名称は特に設定されていない。エントランスは丘の上にあり、丘の上をまず作って、その後丘の下を増設したものと思われる。なお、ゲートの外に隣接して飲食・物販のユニバーサル・シティウォークがある(この点はUSJに似ている)。
チケット売場ではプライスリストを見たら、1日券が41ドル、12ヶ月券が49ドル。間違いなく2回は来るだろうと考え、12ヶ月券を買うことにした。チケット売店で代金を払い、隣の建物で顔写真を撮影。少し待つと、顔写真入りのカードをもらえた。クレジットカードの材質で、穴が空いており、ぶら下げ用のクサリもくれた。裏面の顔写真の出来は、ものすごく悪い。映像文化の会社とは思えないレベル。この材質に写真を出力するのは、無理があるのかもしれない。
12ヶ月券は、「Celebrity Annual Pass」という名前。365日有効ではなく、クリスマスシーズンなどにブラックアウトデーが設定されているので、年間で330日有効となっている。1日券に8ドル足せば12ヶ月券になるという価格設定はかなり割安感がある。入場してからでも差額を払えば切り替えることが可能で、園内でもあちこちにCelebrity Annual Pass Boothが設けられていた。
パークインして電光掲示板をチェックすると、11時20分の段階で、どのアトラクションも待ち時間は10分〜20分程度。このくらいの混雑状況なら、VIPツアーでなくても良かったかな、とこの時点では思った。
正式名称はVIPイクスペリエンス(1997年のUSFではVIPツアーという名称だった)。1人150ドル(入場料込み、大人も子供も同額)で、ガイドの解説付きでパーク内を巡る。所要時間は6時間くらいで、メジャーアトラクションのほとんどを回る。アトラクションやショーには専用の動線から入るようになっていて、これが最大の魅力。待ち時間なしで、直接プレショーのホールに入ったり、ライド乗り場に行けたり、ショーの場合は最前列中央の特等席(予約席と表示されている)に座れたりするので、時間節約&疲労回避効果が大きい。1997年のUSFでのVIPツアーは、とても価値があると感じたので、今回も電話で予約した。3日後くらいなら空きがあるようだった。
12時15分の集合時刻に、VIPイクスペリエンスの受付に行くと、名前を確認し、建物の中に案内された。ずいぶんガードが固いと思ったが、それもそのはず、中にはゆったりとしたラウンジがあり、軽食と飲み物のサービスまである。暇つぶし用に、映画に関する展示も少々。がんがん冷房が効いていて、絨毯はふかふかで、ソファは座り心地が良く、「いかにもアメリカらしく、たくさん払う人間へのサービスが充実しているなあ」と感じた。
今回のガイドは Mr. Temple、客は5組で計15名。1997年のUSFは小さな子供連れや高齢者が大半だったが、今回はやや客層が広く、中年のカップルもいる。しかし、さすがに若いカップルはいなかった。Jurassic Park the Ride 用のポンチョを渡され、VIP Experience のパスカードを首から下げ、飲み物のペットボトル(飲物サービスのカウンターで、最後に1本、好きなものを受け取る)をもらって 12時40分にスタートした。
12時50分に入場。一般客の待ち時間は25分と表示されていた。三半規管が過敏気味の私にとっては、本来はパスするアトラクションなのだが、1発目からパスするのも気が引けて、乗ってしまった。やっぱり、気持ち悪くなった。しかし、三半規管がまだ完成していない(または三半規管が無い)と思われるムスメ(小学校4年生)は、「おもしろかった、全然気持ち悪くならない、また乗りたい」とのこと。
おもしろいアトラクションなので、揺れない席を用意してくれれば、毎回見たいとは思う。このようなことは、決して不可能ではないはずだ。実際、1997年のフロリダのシーワールドでは、揺れる席(シミュレーター席)と揺れない席(単なる映像鑑賞客席)を選べるアトラクションがあった。
13時15分。一般客の待ち時間は30分。いつも感動しているが、今回も良かった。映像とライブを高度に組み合わせたこのT2は、テーマパークのアトラクションとしては現時点の最先端成功事例であると思う。
14時15分。一般客の待ち時間は35分。このアトラクションは初めてなので、とてもわくわくした。ボートに乗って前半は Jurassic Park を巡り、やがて破壊された高圧フェンスや血の跡のついたボートなどが現れ、ティラノサウルスに追われて22.5m下の滝壺へ落下、という仕掛け。落ちる時の自由落下感はジェットコースターほどではないが、上がる水しぶきは素晴らしく盛大で、見物スペースから見ると、とても美しい。濡れ具合いは「そりゃぁ多少は濡れますよ、場合によってはびしょ濡れになるかもしれないけど」という感じ。そもそも乗る前のボートからして座席も足元も濡れたままの状態。しかも1列6人掛けの座席は足元のスペースが狭く、濡れた靴で椅子の上を歩いて座らざるを得ない。
今回のVIPイクスペリエンスの参加者に配られたポンチョは、アトラクションの入口付近で自動販売機で75セントで売っていた。ポンチョは1回きりで捨てる人が多いようで、出口の専用ボックスで回収していた。人数ではポンチョを着ない人の方がやや多く、着るのは主として高齢者、中年、小さな子供など。
落下中に撮影した写真の販売もあり、2〜3数種類のサイズ・台紙が用意されていた。価格は10ドルくらいから。また、荒らされたボートのそばにはミッキーマウスの帽子が浮かぶ演出があったが、このネタはUSFではジョーズで見た気がする。
14時45分。一般客の待ち時間は25分。このアトラクションも初めてなので、うれしかった。映画の裏話を監督や俳優が語る映像など見た後、メインショーは映画のセットの爆発炎上。火が出て、燃え広がり、どんどん盛大な大火事になっていく。化学工場という設定なので、あっちから火が噴いたり、ドラム缶が爆発したり。素晴らしい迫力で、顔が火にあぶられて熱かった。
最後に見物客の足元がガタンと沈み込んで、みんなぎっくり。この当たりは、さすがユニバーサル、そもそも完成度の高い脅しなのに、最後までしっかり、きっちりと怖がらせてくれる。ムスメは、凍り付いた顔をしていた。
ガイドは次は E.T. へ行こうと考えたようだが、トランシーバーでどこかと情報交換したところ、混んでいる(一般客ではなく、VIPツアーの客が混んでいる)とのこと。後に回すことにして、いったん解散し、15時10分から16時までの50分、休憩となった。
16時10分、VIPツアー専用の小型トラムに乗って出発。このトラムは、ワイキキのホテル街を走っているワイキキトロリーに似た、マイクロバスくらいの大きさのもの。一般用のトラムは数両の車両が連結されて1編成になっているため、アトラクションによっては、良く見せる席とあまり見えない席に分かれてしまうが、これだけ小さいと、全席がベストポジションという感じになる。The Gollapsing Bridge、Flash Flood、Parting of the Red Sea、King Kong、Earthquake、Jawsと回ったが、いずれも一番いい位置にちょこんとトラムが止まり、じっくりと楽しめた。
また、Psycho、Jurassic Park などの建物のセットでは、トラムを降りて説明を聞きながらゆっくり見学できた。さらに、録音スタジオやフィルム倉庫、小道具の倉庫にも案内され、なかなか興味深かった。倉庫では「貸出1個$○○」のような貼り紙がしてあったが、映画の制作チームは用品部から有料で小道具を借りて撮影をしているものなのだろうか。
このようなトラムを降りて歩いての見学(計5回)は、一般のスタジオツアーにはない、VIPツアーだけのサービスになっている。その分、見学時間は長くなり、通常は45分とのことだが、VIPツアーのスタジオツアーは2倍以上の1時間50分だった。長いが、とても充実した内容なので、充分にもてなされている感じがして楽しかった。なお、トラムを降りたときに見たら、一般客の待ち時間は20分だった。
18時05分。一般客の待ち時間は長く、何と75分。マシントラブルなどで運転が止まっていたのかもしれない。内容はいつもどおり。
そろそろ6時間たったということで、ここで中締め。VIPツアーからの離脱を希望する参加者は、ここで別れることになった。が、離脱希望者は1人もいなかった。
最後にどこに行こうか、ガイドが意見を募ったら一番人気だったので、再び乗ることになった。全員、異議なしという顔。18時15分で、一般客の待ち時間は30分。4時間前に乗ったときは、VIPツアーの客は全員がポンチョを着ていたが、今回は全員がポンチョ無しだった。
前回は落下中にやや下を向いてしまい、落下中写真の写りがいまいちだった。そこで今回は、しっかり前方斜め上のカメラのある当たりを向きながら落下した。出口で出来上がりを見ると、アンラッキーにも、前の席の人のバンザイで顔が隠れている。写真購入はまた今度とした。
18時45分、Animal Actors Stage、The Wild Wild Wild West Stunt Show、Water World の場所や開始時間、優先入場のしかたを説明してもらい、解散となった。今回のVIPツアーの所要時間は、6時間半ほど。
このあとも今日1日だけは、VIP Experience のパスカードが有効で優先入場できるという。これはすごくうれしいサービスだ。とすると、VIPツアーは、朝一番の回が最も利用価値が高いことになる。
ジュース休憩後、長い一般客の行列の脇をすり抜けるようにして進み、優先入場待ちの列に並ぶ。19時45分からの回だが、優先入場する場合は20分前までに行くようにと言われた。開始の15分くらい前に入場開始。一般客の行列の先頭とほぼ同時に入場する形となり、観客席中央で濡れる席のすぐ後ろのいちばんいいと思われる席に座った。
ここは興行的には大失敗した映画 Water World を再現した水と炎のスタントショー。水上バイクが走り回り、炎上爆発があり、最後は砦の向こうから小型飛行機が飛んできて着水という派手な内容で、単純明快に楽しい。当然、観客席には Splash Area が設けられていて、一部にはずぶ濡れの観客もいた。
ショーの待ち時間に、悪役の俳優が登場し、入場してくる観客に大きな水鉄砲で放水をはじめた。客席に座った観客は、他人の不幸なので大笑い。しかしだんだん興奮してきた悪役は、観客席に放水を始め、あちこちで悲鳴が上がる。悪役が疲れて油断した隙に、小さな子供が小さな水鉄砲を持って忍び寄り、悪役の首に水を引っかけると、観客席は大喜び。はっと我に返った悪役に、子供は背後からずぼ濡れ状態になるまで報復されて、さらに逃げ込んだ両親の席のあたりも何度も波状攻撃されて、たいへんな盛り上がり方だった。
このシアターは、以前の演目は Miami Vice だったと思う。このショーも迫力があってなかなか楽しかったが、Water World になってスケールアップし、さらに見応えがあるショーになった。
15時30分に入場した時点では、E.T. と Jurassic Park the Ride が一番人気で45分待ち、 Buck to the Future the Ride が二番人気で35分待ち、その他は10〜10分待ちだった。ユニバーサルのテーマパークの待ち時間表示板は、パーク内での作戦を考える上でとても役立つ。とても素晴らしい来場者向けサービスだと思う。いつまでもディズニー系テーマパークに導入されないのが、不思議なくらいだ。
16時過ぎに、16時35分の回の列に並んだ。開演の10分前に入場。中央の見やすい場所に座れた。3人の荒くれ者が暴れる西部劇のスタントショー。もう何回も見ているため、登場人物やストーリー、スタントの仕掛けには見覚えがあるが、良くできているので、飽きずに楽しめた。
4日前と違い、夕方の回を見た。ショーの美しさや炎のきらめきは夜の方が素晴らしいが、夕方のやや暗くなってきた光の中のショーも、また別の美しさがある。
4日前のVIPツアー仕様のスタジオツアーとどう違うのか確かめたくて、いってみた。最終回は意外に早く18時15分、なんとかその5分前のトラムに乗れた。待ち時間はなし。3両のトラムに運転手とガイドがつき、各トラムに設置されたモニターを通して説明を聞く方式。
VIPツアーのスタジオツアーと比べると、The Gollapsing Bridge、Flash Flood、Parting of the Red Sea、King Kong、Earthquake、Jaws を回るのは同じだが、徒歩見学はなく、建物のセットは通過しながらの見学。Psycho、Jurassic Park などの建物前は通らなかった。途中で乗客の一人が靴を落とすアクシデントがあり、回収に少し手間取ったため、コースを省いたのかもしれない。録音スタジオやフィルム倉庫、小道具の倉庫へも当然行かなかった。所要時間は50分ほどだった。
19時30分に行くと、30分待ち。エスカレーター横の待ち時間一覧掲示板では10分となっていたが、アトラクション入口の表示は30分待ちとなっていた。並んでいると、突然、故障のため運転休止となってしまった。何が起こり、いつ再開するかなど、具体的な案内のアナウンスはなかったので、過半数の客は列を離れていったが、もしかしたらすぐに雨天が再開されるかもしれないと思い、待っていた。
空のライドを走らせてみたり、また止めたり、それを何度も繰り返して、空のライドを走らせる時間が今回は長いなあと思っていたら、運転再開となった。結局、30分くらい待ったことになる。不思議と、入口の待ち時間表示がどんぴしゃであった。今回の落下中写真は、ばっちり顔が写っていたので、購入した。
水に濡れた後は炎で乾かすために、ジュラシックパークの次はバックドラフトが適していると思うので、行ってみた。20時半頃に行くと、10分待ちだった。炎や風で、服が乾くのではないかと期待したのだが、1回ではあまり効果がない。待ち時間ゼロで10回くらい続けて入場すれば、ある程度は乾くかもしれない。
21時頃出てくると、ジュラシックパークの待ち時間は5分となっていた。
Universal Citywalk の日本食レストラン。2回目の訪問の時、21時45分頃に行った。この時間でもシティウォークはとても人が多く、どのレストランも行列ができていた。その中で、比較的行列が短いように見えたので、この店にした。店員に聞くと、冷房のある室内の席はかなり待つけど、冷房のない屋外の席は2番目となるとのこと。そんなに暑くはない、屋外席を希望すると、5分くらいで案内された。
私は和食への依存度が低いので、アメリカ(ハワイを含む)に50泊くらいしているが、和食レストランに入るのはこれが初めて。どんなひどいものを、どんなひどい値段で提供されるのかと思っていたら、まあまあ美味しくて、値段は高いけど法外でもなくて、なかなか満足できる夕食となった。ただし、アメリカ西海岸風にアレンジされていて、また純和風を狙ったと思われる天ぷらもどこか微妙に味が違っていたので、和食依存度の高い人には、不満の味なのかもしれない。親子3人で、すし定食、天ぷら定食、鰻重とビール2本で、チップも入れて70ドルと少しだった。
店数が多く、また客席数も多いので、昼飯時でも空いている店なら空席がある(人気のある店は混んでいて待たされる)。TDLのように、空席がまったくなく、カウンターも長蛇の列で、どうなることかと絶望的な気分になる、というようなことはない。入園者数当たりの飲食施設キャパシティの設定の問題だ。USFも飲食施設キャパシティは余裕を持って設定されていた。
ユニバーサル系のテーマパークを見習って、TDLやDL、MKも、飲食施設に関して、収益重視志向から顧客サービス志向へ転換していただきたいと思う。飲食施設を充分に設けず、「パーク内の非日常的空間の雰囲気を守るため飲食の持ち込みを禁止する」などというのは、客をバカにしているとしか思えない。
わが家は3人とも、レモンを絞って炭酸水と混ぜて、さらに砂糖をどさっと入れて出来上がりというアメリカのレモネードは大好きで、これの売店があるとまたいで通れない。USHではあちこちでフローズンレモネードの売店が出ているので、幸せだった。
ショップの数は多くはないが、楽しい商品が揃っていて、ユニバーサル系のテーマパークはショッピングも大きな楽しみの一つになっている。しかし、1997年のUSFと比べると、商品の魅力が少し下がったような気がする。Tシャツにしても、「これはカッコいい、絶対に欲しい!」という柄が見つからなかった。そのため、今回はあまり買わなかった。
ユニバーサル系テーマパークのオリジナル商品の開発は、最近不調なのかもしれない。その後、2001年3月のプレオープンの時期に行ったUSJは、さらに商品の魅力が下がっていて、とてもつまらなかった。
スーベニールブックは6ドル、スーベニールビデオは各国版が揃っていて19.95ドルだった。1997年のUSFで買ったビデオは、ドキュメント風で知的な編集だが、パークの紹介だけでなく裏方の紹介が多くて、作品としてはあまりおもしろくなかった。しかし今回のUSHのビデオは、テーマパークの紹介に専念していて、単純明快でおもしろくできている。
ユニバーサル系のテーマパークは、基本的に大人向けなので、サマーキャンプの子供たちは見かけなかった。人種としてはDLと同様に幅広く、国外からの来場者も少なくないようだ。
アトラクションに優先入場できる入場券。大人69ドル、子供59ドルで、通常の入場券よりも28ドルずつ高い。ガイドは付かない。混んでいる日は、とてもありがたい入場券になる。
昔から、ユニバーサル系のテーマパークは、ディズニー系よりもアメリカらしい資本主義的な部分が多く、お金をたくさん払った人には、より充実したサービスを提供するという姿勢が明確である。そう考えると、このようなチケットは、いかにもユニバーサル系らしい。
それほど若くはないし、長い行列に並ぶのは大嫌いな私なら、あまり混んでいない日でも、このチケットを買うと思う。アトラクションの待ち時間がそれほど長くないUSHだから実現できたチケットだろうが、是非ともUSJにも導入して欲しいと思う。
このチケットは、チケット売場での表示の仕方が少し怪しい。定番のメニューから下に飛び出た形状になっていて、簡単に外せるように見えた。もしかしたら、混雑日には売らない、または一定枚数までしか売らないなどの制限があるチケットなのかもしれない。
後で良く考えると、VIPツアーは、1997年のUSFと同様に、パークへの入場料が込みであった。そのため、2回パークインしたが1回はVIPツアーであった私たちは、12か月券を買うのは損であった。
一般道路からの誘導が甘く、1回は通り過ぎてしまった。しかし敷地内へ引き込んでからの誘導はスムースで、迷わない。特筆すべきは、駐車場がビルとなっていること。最上階以外は屋根付パーキングであり、日差しの強烈なカリフォルニアでは、とてもありがたい。駐車場で帰りを待っている愛車が、焼けてチンチンになることがない。顧客志向の素晴らしい発想である。
本当は、土地不足で仕方なく駐車場をビルにした、というのが真相だとは思うが、しかし顧客志向は他にもある。駐車場ビルには、ゲートに向かう最短動線上にエスカレーター(双方向)が設置されているのだ。どんどん入園者が到着しても、エスカレーターなら待たずにほいほいと客を運べる。USHは丘を丸ごとテーマパーク&映画スタジオとして利用しているので、丘の麓の駐車場と丘の上のテーマパーク(坂の上の部分)ではかなりの標高差があり、これを階段で移動だと、けっこうしんどいことになる。エスカレーターはありがたい。
もちろんアメリカのメジャーパークだから、車イスの人のためのエレベーターもしっかり設置されている。一般客がほいほい使わないように、やや動線的に遠回りな位置に設置されていた。「ハンディキャッパーや妊婦や高齢者優先」と書いておけば、アメリカ人ならそれを守るはず。しかし非アメリカ人も多いので、書いても守られない可能性があると考えたのだろう。
項目 USH USF 備考 調査年月 2000年8月 1997年8月 正式名称 VIPイクスペリエンス VIPツアー 合計料金 150ドル 110ドル 実質料金 109ドル 70ドル 入場料を差し引いた価格 所要時間 6時間 5時間 時間当たり価格 18.2ドル 14.0ドル 待ち時間短縮効果 255分 390分 1ドル当たり待ち時間短縮効果 2.34分 5.57分 待ちスペース 豪華なサロン なし ガイドの容姿 カッコいい白人男性 カッコいい白人男性 女性ガイドもいる ガイドの働きぶり 一所懸命 一所懸命 チップ 喜んで受け取った 喜んで受け取った 告知方法 チケット窓口でも表示 ひっそりと告知
両者とも、ガイドツアーの内容そのものにはあまり差がない。大きく違うのは、スタジオツアーだ。USHの方はVIPツアー専用車を使い、必ずベストポジションから演出を楽しめ、さらに一般のスタジオツアーとは異なる長時間メニューとなっていた。
値段は、USHの方が少し高い。所要時間を伸ばし、待合室を豪華にして、商品力を高めて値上げをした、という感じだ。実質料金で56%、時間当たり価格では30%の値上げとなる。待ち時間短縮効果は、今回のUSHは1997年のUSFよりも全体的に空いていたので255分にとどまり、1ドル当たり待ち時間短縮効果は半分以下に低下した。それでも、4時間15分の行列を回避することができたと言うことは、かなり大きい。
告知の力の入れ方は、大きく違った。1997年のUSHのVIPツアーは、「知る人ぞ知る」というサービスのようで、ほとんど告知はされていなかった。しかし今回のUSHでは、チケット窓口にプライスが表示されているなど、しっかり告知されていた。以前は試しにやってみるかという感じだったが、やってみると参加者からは好評なので、だんだん積極的に売るようになったのだろう。
また、1ドル当たり待ち時間短縮効果を追求するなら、Front-Of-The-Line-Passが 強そうだ。28ドルの差額で、今回のVIPツアーと同様に255分の待ち時間短縮ができるのであれば、1ドル当たり待ち時間短縮効果はなんと9.1分になる。今回のVIPツアーの約4倍だ。ただし、このチケットでどこまで待ち時間短縮ができるのか、体験していないので実際のところは分からない。次回の宿題としたい。
VIPツアーや Front-Of-The-Line-Pass は、「金にものを言わして行列の先頭に割り込む」という点で、不公平なチケットである。しかし世の中、体力的に弱い人はたくさんいる。体力的に弱いために、普通の人の半分しか楽しめないとすれば、これもまた不公平であると思う。私としては、ユニバーサル系のテーマパークは、「良くぞこのようなツアー/チケットを用意してくれた、私は体力的には弱くないが精神的に弱い(根性がない、とも言う)ので、このくらいのお金なら払って、ぜひとも使わせてもらうぞ」と思う。
公平感を大切にしているディズニー系のテーマパークでは、このようなシステムは導入されないであろう。しかしUSJなら、将来的に導入される可能性はあると思う。基本的なノウハウはアメリカで確立されているので、導入は簡単なはずだ。もしも導入されたら、わが家は東京で、大阪までの新幹線代とホテル代もかかるけれど、最低でも年に1回はUSJに行きたいと思う。
わが家は以前は年間パスポートを持っているくらいのTDLマニアだった。しかし私は、TDLにはもう飽きた(子供はまだ飽きていないらしい)。いかに運営レベルが高くても、あの混雑ぶりでは、冷静に考えれば満足度は低い。そのため、再来訪意欲はパークインするたびに低下し、ついに失ってしまった。
そんな私なので、今回の旅行では、USHが最大のお目当てであった。子供も小学校高学年になると、作品によっては親と一緒に映画を見ることもできるので、今回はUSHのアトラクションとなっている映画の半分くらいは見せた。そしたら、子供も「USHの方が、TDLよりも、はるかにおもしろい!」と言っている。当然だ。ユニバーサル系とTDLやDL、MKでは、背景となる文化の質が根本的に違う。深い。知的水準も高い。
子供を卒業したら、映画をたくさん見て、そしてテーマパークならユニバーサル系がいいと思う(ディズニー系でもEPやMGMは、悪くない)。USJが今後も反映するためには、わが家のようなTDL卒業組の取り込みは、必須の条件だ。TDL卒業組は、ヘビーリピーター化しやすいし、たいていはテーマパークの情報通であるから、周囲への口コミ効果も期待できる。このようなTDL卒業組をゲットするには、TDLでやっていた方法の模倣ではダメだ。「ユニバーサル系はここが違う」という、差別的特徴のアピールが必要となる。だから、USJでも早くVIPツアーや Front-Of-The-Line-Pass を導入してくれ!!!。
そしたらわが家は、東京から大阪までの新幹線代やホテル代もかかるけど、カリフォルニアに行くよりは安上がりなので、年に2回はUSJに行くことを約束する。学校を休ませてまでは大阪に行けないので、すると土日や春・夏・秋の休みの時期しかUSJに行けないわが家としては、VIPツアーや Front-Of-The-Line-Pass が用意されていないと、行く気になれない。
このレポートを、USJの関係者の方が読んでくれることを祈る。
参考資料 −−− スポンサー企業一覧(少し古いと思われる英語版印刷物・ペプシコーラ入り・56KBのJPEG画像)
参考資料 −−− スポンサー企業一覧(園内で配布されている英語版&日本語版のガイドマップ・コカコーラ入り・44KBのJPEG画像)