ナッツベリーファーム(KBF)

視察日:2000年8月4日(金)


施設の概要

場所−−−カリフォルニア州ブエナパーク市(ロス中心部の東南35km)
面積−−−総面積61ha
開業時期−1920年
営業時間−9時−24時(視察日)、平日は22時まで、夏期以外は営業時間が夏期より短い
入場料−−大人38ドル、子供28ドル、DLやUSHよりも安い

施設の特徴

開業は1920年、DLよりも35年も古い。そもそもは、ナッツ家のいちご畑だったのでこの名がある。いちご畑の一角に、フライドチキンのレストランを開いたらこれが大当たりで、そこでレストランの席を待つ人のためにジェットコースターを設置したらこれが大人気で、ジェットコースターだけでは足りなくなったのでアトラクションをだんだんと増強して現在の姿になった。ナッツおばさんの名物料理、フライドチキンのレストランは今でも繁盛しているが、いちご畑は姿を消した。

ゾーニング

以下の7ゾーン。ゴースト・タウンとキャンプ・スヌーピーはテーマに沿った演出が徹底していたが、他のゾーンは演出が甘く、そもそもゾーンの境界線も不明確で、いかにも適当に区切ってゾーン名称を付けたという感じであった。また、パークのキャラクターのスヌーピーは、ゲート近辺とキャンプ・スヌーピーでは見かけたが、他のゾーンではほとんど使われていなかった。 

アトラクション&ショー

 ゴーストライダー

1998年の年末に登場した巨大な木製コースター。パークの入口近辺にそびえ立っている。高さ33m、全長1.4キロ、最高時速96キロで、「木製コースターとしてはアメリカ西部で一番高く長く速い」と書いてあるガイドブックもあるが、マジックマウンテンのコロッサスは高さ35m、全長3キロ、最高時速100キロなので、「木製コースターとしてはアメリカ西部で二番目に高く長く速い」が正しいと思われる。

乗ってみると、なかなか高く、長く、速かった。最大重力3.14Gとのことだが、たぶん急坂を下って上りに転ずる谷間の部分だと思う。ちょっと下を向いたら、そのまま顔を上げられなかった。

人気があるらしいので、朝イチに行こうと思ったのだが、入園時に「運転開始が遅れる」と表示されており、午前中は動いていなかった。午後に通りがかったときには動いていて、待ち時間は45分だった。夜になったら空くかもと考え、19時30分に行ったら、待ち時間は45分のままなので、あきらめて並んだ。実際の待ち時間もちょうど45分だった。混雑するアトラクションは、まじめに待ち時間を表示しているようだ。

 ビッグフット・ラピッズ

6人乗りのタイヤ型びしょ濡れライド。入口の表示は10分待ちだったが、実際は20分待ちだった。その後、さらに行列が伸びていたが、表示は10分待ちのままだった。あまり混まないアトラクションの場合は、待ち時間の表示を状況に合わせてこまめに変えているのではなく、1日の平均値はたぶんこの当たりだろうという感じで、大ざっぱに表示しているようだ。

流れている最中の濡れ具合は、9年前と同じ。しかし滝のところでは、ライドが近づくと滝の水が止まってしまい、全然濡れなかった。おかしいと思って入口のサインを良く見たら、滝の水はONの日とOFFの日があり、この日はOFFだった。納得した。

記念写真サービスもやっていて、出口導線上のショップでサンプル写真が掲示されていた。しかしカメラのアングルが悪く、あまり人の顔が良く見えないので、買わなかった。

 ミステリーロッジ

映像とライブを組み合わせたシアター。ネイティブ・アメリカンの老人がたき火の前でインディアンに伝わる不思議な伝説を説明してくれるライブショーで、映像はマジックビジョン(あるいはその類似システム)を使っている。映像と人物の組み合わせの完成度が高く、なかなかいい雰囲気だった。ナレーションの英語を100%理解できれば(私は1/3くらいしか聞き取れなかった)、もっと楽しいはず。上演時間は1回20分と長くはないが、冷房空間であった点も良かった。待ち時間は次の回のドアが開くまで(満員にならなかった)。

 キャリコ・レイルロード

鉄道ライド。ほのぼのしている。あんまり刺激がないもの困ると考えたのか、途中でギャングが乗り込んできて、正義の味方と戦い撃退されるパフォーマンスが付いている。待ち時間は次の列車が来るまで(満員にならない)。

 ホイール・ディーラー・バンパー・カー

ぶつかり合って走る普通のバンパーカー。豊島園にあるのと同じ。待ち時間は10分くらいだった。

 キングダム・オブ・ザ・ディノザウルス

ライドに乗って太古の恐竜の世界を探検するアトラクション。恐竜が首を動かしたりするのだが、リアリティや迫力の点ではユネスコ村の大恐竜館の方が上。そもそも、こういうハイテク系アトラクションは、KBFは苦手だと思う。あるいは、DLやUSHよりも小さな子供の割合が多いので、あえて低リアリティ・低迫力としたのだろうか。待ち時間は10分くらい。

 キャリコ・マイン・ライド

金鉱山を舞台にした小型のジェットコースター。ディズニー系パークのビッグサンダーマウンテンに似ているが、全体にスケールを小さくした感じで、刺激もマイルドになっている。これも待ち時間は10分くらい。待ち時間が短い点は、ビッグサンダーマウンテンよりもいい。

 ホーンテッド・シャック

説明員が同行するからくり屋敷。ほのぼのとしていた。待ち時間は5分くらい。1パーティーの人数に達したら随時出発というシステムかもしれない。

 ジャガー

マヤ神殿風の入口が目立つジェットコースター。入口だけは力が入っていたが、ライドそのものの迫力や距離は、日本のそのへんの遊園地のジェットコースターと似たようなものだった。待ち時間は10分くらい。

 スカイキャビン

アメリカのテーマパークで良く見かける展望席回転型眺望ライド。ほのぼのとしている。待ち時間は次の回のドアが開くまで(満員にならない)。

 ステージコーチ

4頭立ての馬車というユニークなライド。もしかしたら世界でここだけかもしれない。エンジンもモーターも使わない、動物の力だけで動くというライドで、ローテクの極致と言えよう。

座席は、馬車の中のイス席4人分くらいと、馬車の屋根の上の2人分。屋根の先頭には、運転手が2人並ぶ。どう考えても、屋根の上の席が特等席だ。しかし座席の指定は出来ないので、どこに座るかは運次第。私たちは幸運にも屋根の上の席(大人2人+子供1人なら座れる)に案内され、にんまりだった。座席はかなり高い位置にあり、2点式のシートベルトを付けてはいるが、下をじっと見ると、少々恐い気がする。アメリカよりも安全性にうるさい日本では、このような場所に客を座らせるのは不可能であろう。

ここまでの待ち時間は30分くらい、とても長かった。出発前に、地上の係員が4頭の馬の身体にホースの水をかけた。肉体労働で暑いのだろう、馬たちはおとなしく水をかけられていた。

観光用の乗馬と同じように、ここの馬も自分の労働内容を良く理解しているようで、軽い手綱の動きと運転手のかけ声で、馬が動き出した。しかし、8人ぐらいが乗っている馬車は軽くはないようで、じりじりとしか進まない。さらに手綱が動き、運転手が声をかけ、ようやくことことと動き始めた。

乗り心地はガタゴトといいとは言えないが、高いところに座って、視界は抜群。当然、排ガスのにおいも、モーターやオイルのにおいもしない。そよ風に吹かれながら、ゆっくりと進んでいく。素晴らしく快適だ。通りかかる人たちは、みな一様に羨望の視線で見上げてくる。それもなかなか気分がいい。

コースは長くはないが、ゆっくりしたペースなので、走行(歩行?)時間は以外に長い。コースの途中には、小さな橋のアップダウンがあり、ここが最大の難所となっている。上り坂で見る見るうちにペースが落ち、ほとんど止まっているかのようなスピードになる。「これはやばい、乗客は降りなければならないかも」と思ったが、運転手が何度も手綱を動かし、何度も声をかけて、やっと越えられた。良かった。35年くらい前、まだ小学生だった頃に写真を撮りに行って見かけた、上り坂で苦闘する蒸気機関車の姿を思い出した。あれは八ヶ岳山麓の小海線だったろうか、急な上り坂で歩くようなスピードになってしまい、次々と乗客が列車から飛び降りてレールの横を歩いているという場面を見たことがある。

ようやく一周し、降車場に到着。息を荒くした馬の全身から、湯気が立ち上っていた。軽くなった馬車を引く馬の足取りは、急に軽くなった。しかし、10m先にはまたもや乗車場があり、苦難の道のりがまたもや始まる。馬が少しかわいそうに思えた。

 インディアン・トレイルズ・ネイティブ・ソング&ダンス

小さなイベント広場のショー。ネイティブインディアンが歌と踊りを披露していた。ほのぼのしていた。観客は30人くらい。

 オール・ホイールズ・エクストリーム

ローラースケートやスケートボード、マウンテンバイクのショー。出演者が8名くらいと他のショーに比べてとても多かった。楽しさが単純明快なので、言語や年齢を問わず、誰でも楽しめる。そのためだろう、観客もたくさん集まっていた。

ショーの内容は、アメリカのテーマパークで良く見かけるアクロバチックな妙技。高低差がかなりあるセットだったので、スピードが出て迫力があった。技も、なかなか高度なものが盛り込まれている。途中で転倒する者がぽつぽついたが、高度な技に挑戦してこけて、しかし再度挑戦してその技を決めると、ひときわ大きな拍手をもらっていた。

 ドラム・トロープ

小さなステージのショー。6人構成のスチールドラム(ゴミ箱をひっくり返した形)のバンドのコンサートだった。うるさいばかりで、あんまり音楽になっていなかったためか、観客は15人くらいだった。

 スヌーピーズ・ファブラス・50th・オン・アイス

KBFのショーの中で最大のもの。タイトルの意味は、「スヌーピーの素晴らしい50周年記念アイスショー」。スヌーピーの作者がこの世を去ったので、シアター名がグッド・タイム・シアターからチャールズ・M・シュルツ・シアターに変更になった。

待ち行列は数百人と長大で、「これは入れるか、入れても立ち見か?」と思ったのだが、シアターの内部は広大で、何と座席数は2100席。開演30分前の開場で、席に座るまで5分以上かかったが、座った時点では座席の埋まり率は1/3以下だった。その後、だんだんと客が増えたが、開演時点でも10%か20%は空席のままだった。

アメリカの伝統的なテーマパーク(比較的古いセンスで経営されているテーマパーク)においては、アイスショーは必須のメニューである。フロリダでも、サイプレスガーデンやブッシュガーデンでは、最大のショーとしてアイスショーが行われている。そのため、KBFがアイスショーに力を入れているのは、当然のことと言える。

中身は、やはりサイプレスガーデンやブッシュガーデンと似たようなもの。スケーターたちは決して下手ではないし、銀盤に映える照明は美しいし、スモークも焚かれるし、そこそこに見応えはあるので、並んで損した気はしない。30分のショータイムの間、冷房が良く効いた場所で座っていられるというのも、とても助かる。しかし、どうにも演出が古くさい。10年とか20年前から、ほとんど進化していないのだろうと思う。

 スープリーム・スクリーム

タワー型の垂直落下型ライド。かなり行列が長く、時間当たりの観客処理能力が低いので、かなり待たされるようだった。

 ナッツ・ワイルド・ウエスト・スタント・ショー

スケジュール表では毎日3回公演のはずだが、どういう訳か休みだった。このショーはぜひ見ておきたかったので、残念。

 砂金すくい

1991年10月にはあり、けっこう楽しかったが、今回はなかった。アトラクションの入れ替えも、たまにはやっているようだ。

飲食

 ルーシーのランチボックス(グリズリークリークロッジ)

レジのある空間の一角に、子供のための待ちスペースが設置されており、スヌーピーのアニメを上映していた。座れるカーペットは20畳くらい広さで、20人以上が座れる。これなら、子連れの客が落ち着いてオーダーできる。なかなか素晴らしいアイデアだ。

このサービスがあるためか、注文処理の手際は悪く、ハンバーガーなどのファーストフードの店であまり行列は長くないのに、30分も待たされた。KBFの飲食運営ノウハウは、DLやUSHには遠く及ばない。

 その他の飲食

入場者数の割には、飲食売店が多いように感じられた。しかし、そのほとんどがファーストフード。テーブルサービスのレストランはほとんどないようで、もしかしたら、ゲートの外の「ナッツ夫人のチキンディナーレストラン」1軒のみかもしれない。

帰路、このレストランで食べられるものと同じと思われるフライドチキンをテイクアウトして、ホテルに戻って食べた。なかなか美味しかった。日本のケンタッキー・フライドチキンよりも味が濃厚だった。

物販

 カリフォルニア・マーケットプレイス

物販売店も、入場者の割には多いように感じられた。特に駐車場からゲートへ向かう際に通りがかるカリフォルニア・マーケットプレイスには特徴的なショップが並んでいたので、帰りにすべての店をのぞいて見た。帰りの道沿いにおみやげ物屋を並べるのは観光施設の伝統的手法だが、並んでいる店がおもしろければ、嫌な感じはしない。

 UFOキャッチャー

あちこちに設置されていた。景品はスヌーピー・ファミリーのぬいぐるみが中心。ウッドストック(黄色い鳥)のぬいぐるみを欲しくなったのでトライしてみたが、なかなか取れない。1回50セント(クオーター2枚)で、あっという間に10枚使って、それでも惜しいところで取れない。両替をしようと近くの両替機に行ったが故障中、近くの店に飛び込んだが「両替は出来ない、両替バッグを持った係員に言え」とのこと。しかしその係員が全然見つからない。結局、両替するだけで15分くらいかかった。ゲームコーナーまわりの運営レベルも、KBFは低い。

変な景品としては、ゴールドに輝く光り物のマシンが、きらきらと輝いて目についた。形状と重さを考えると、取れる可能性はほとんどない。トライしている人も見かけなかった。にぎやかしのためのマシンと思われる。

 ペニーつぶし

いくつもあった。この点では、DLやUSHと同じ。

 記録資料類

スーベニールブックやスーベニールビデオを探したのだが、見つからなかった。これだけの規模のパークで、これらを作っていないはずはないし、それほど売れる商品ではないので、売り切れになる可能性は低いと思う。

KBFは豊島園のように集客範囲の狭い(DLやUSHと比較して)パークなので、来場者の大半が近場からのリピーターのはず。そのため、スーベニールブック/ビデオの売れ行きは、DLやUSHには遠く及ばないだろう。「あまりの売れ行きの悪さに売るのをあきらめた」というのが真相かもしれない。

備考

 来場者層

夏休みであり、小さな子供でも充分楽しめるKBFは捨てがたいスポットなのであろう、サマーキャンプ(親元を離れて同世代の子供たちと何日も過ごす催事、親にとっては厄介払いの意味も大きいと思う)の子供たちが何チームも来ていた。普通は山の中や湖の畔などに行くものだと思っていたのだが、KBFに来たりする都市型のサマーキャンプもあるようだ。揃いのTシャツを着て、大きな幼稚園児の遠足のような風景であった。

昼食時は、あちこちの飲食売店に揃いのTシャツが並んでいた。どうも彼らの昼食は、弁当持参ではなくて、パーク内で売っているハンバーガーとポテト、そして飲物はコークらしい。アメリカらしい大ざっぱさを感じた。親は「もっと栄養バランスが整っているものを」というような注文を付けたりしないのであろうか。

来場者の人種はさまざまで、中南米系の人が少なくない。アジア系もいる。しかし明らかに日本人と思われる来場者は、ほとんど見かけなかった。日本からロスへのツアーの場合、DLとUSHは外せないとしても、ロデオドライブやアウトレットを入れたら、KBFは回れないのだろう。

 結婚式

パーク内で結婚式ができるようで、鉄道の機関車の前で新郎新婦が記念写真を撮っていた。

 隣接のプールパーク

2000年夏に、隣接地にプールパークの「ナッツ・ソークシティ」がオープンした。入場料は大人19.95ドル、子供13.95ドル、15時以降は11.95ドル。パンフレットで見る限り、造波プールとお子さまプールとスライダーが何本かで、規模的には大きくはないようだ。

企画のネタとして

飲食やゲームコーナーだけでなく、ゴミ箱が多いのに落ちているゴミが多いなど、マイナーパークらしい運営レベルの低さが目立った。しかし、園内はほのぼの、のんびりしたムードで、この点は素晴らしい。夏休みでありながらほとんどのアトラクションは10分待ち程度なので、あせって次のアトラクションを目指すというような行動は不要。気の向くままに歩き、見かけたアトラクションが気に入れば楽しめばいい、という感じ。人混みのDLやUSHでは味わえない、リラックスした気分を味わえる点こそが、KBFをはじめとするマイナーパークの最大の魅力であると思う。

1997年のフロリダ視察で、マイナーパークには寂しいパークと寂しくないパークがあることが判明したが、KBFはマイナーパークとはいえ規模はメジャーパークに近く、すべてのアトラクションを楽しむには1日では少し足りないくらいの集積度になっているため、寂しさはない。DLやUSHに行って、1日余ったならば、KBFもなかなか悪くないと思う。

参考資料 −−− スポンサー企業一覧(75kBのJPEG画像)

参考資料 −−− 隣接地にオープンしたプールパークのスポンサー企業一覧(48kBのJPEG画像)


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