視察日時:2000年8月6日(日)
場所−−−カリフォルニア州オンタリオ(ロス中心部の東南約40km)
敷地面積−−−66.7ha
延床面積−−−不明
売場面積−−−15.5ha
総工費−−−−約1億5000万ドル
商圏−−−−−第一次商圏:半径60マイル、第二次商圏:半径100マイル
社員数−−−−6200〜7300名
集客目標−−−1700万人(初年度)、うち南カリフォルニアで1500万人
開業時期−1996年
駐車台数−8500台
営業時間−10時−21時半、土曜は9時半から、日曜は10時−20時
店舗数−−約200(うちアンカーテナント10)
1996年オープンの最新型アウトレットモール。至るところに工夫が凝らされている。屋内型アウトレットとしてはアメリカ西海岸最大。シネコンは全米最大の30スクリーン(5700席)、隣接地を含めると映画館は53館。
強烈な日差しのピーカンの日、昼前に駐車場に着いた。平日の日中であり、駐車場には余裕があったので、モールの正面入口に近いあたりにクルマを止められた。この日は特に暑く、車外に出ただけでくらっときた。モール入口の脇の温度計は、華氏106度。ということは、41.11度。冷房の効いたモール内に入ると、涼しいだけで幸せを感じた。
フロアは平屋建てで、ところどころ天窓から日が射し込んでいて、明るく開放的。明るいところと暗いところのメリハリが効いていて、楽しい気分にさせる。
各ショップの看板・サインも凝っていて、なかなか楽しい。チェルシーのアウトレットは、ショップの看板・サインは平面的で、いかにも安く作りましたという感じだが、OMはアウトレットモールとは思えないクオリティの高さ。テナントがみんなしてこのような部分にお金を使うとは思えないので、誰が費用を負担しているのか、不思議に思った。後ほどの調査で、この費用はディベロッパー側の負担と判明した。その負担額は、かなり大きかったのではないか、ディベロッパーの収支を大きく圧迫しているのではないかと思う。
計10店のアンカーテナントをそれぞれの核として、モール全体に10のゾーンを設定。それぞれのゾーンには番号がつけられている。さらにゾーンによりサインや床、天井などの色が違うので、今自分がどのゾーンにいるのか分かりやすい。
動線設定はシンプルな一周型。一周する通路の左右にテナントが並ぶ。陸上競技場トラックタイプと言うらしい。ぐるっと回ってくると2km以上と、巨大なモールとなっているが、少し歩けば次のゾーンとなるので着実に前進している感があり、広大だが絶望的な疲労感には襲われない。
テナントは、高級ブランドはあまりない。しかし、人気のショップはひととおり揃っているという感じで、わが家もいろいろと買い込んでしまった。
平日の日中なのに、来店客は予想外に多い。適度に賑わっている感じがする。また、DHではあまり買い物袋をぶら下げた人を見なかったが、ここでは大荷物をカートに載せて運んでいる人までいて、大違いだ。
中央部分にあるフードコートも、実に巨大。ハワイのアラモアナSCのフードコートも巨大で楽しいが、ここはさらにでかい。すべての飲食店を見て回る気がしなくなるほどだ。
日本語のパンフレットや案内板はない。しかし、ぽつぽつと日本人を見かけた。ロス中心部からそんなに遠くないので、オプショナルツアーなどが組まれているものと思われる。
モールの入口の外に灰皿があるので、暑い中がんばってタバコしてたら、日本人と思われる喫煙中のおばさまに声をかけられた。「Are you Mexican ? 」などと流暢な英語を話す。英語がうまいし、私がメキシコ人に見えると言うことは、こいつは日本人ではないな、たぶん香港人だろうと思い、「No, I'm Japanese. Are you Chinese ? 」と答えた。そしたら、「なーんだ、日本人なの、そうは見えなかったわ」。やっと双方が日本人であることが判明した。
聞くと、「数年の現地駐在」という約束で転勤となった夫とともに、カリフォルニア州にやってきたとのこと。こっちの暮らしがなかなか気に入ってしまって、ついでに「次の適任者が見つからない」と夫の会社は大嘘つきで、そのためもう16年もこっちにいる、と言う。「毎年になると親戚の娘たちが日本からやってきて、おとといはDL、昨日はUSH、そして今日はアウトレット巡りのガイド役で、もうへとへと。この後は、DHまで行くことになっている。日本の免許があるならレンタカーを借りて自分たちでで行きなさい」と言っても、「レンタカーは高いし、それ以前に道が分からないし」などと言って甘えてくる。困ったもんだ」とお疲れの様子。
「将来はカリフォルニア州に移住することも考えている」と言うと、「日本のような閉塞感がない点が、こっちに住んで一番快適に感じること。しかし夕食は、鮭の切り身の方がステーキよりも高いので、私のように日本食依存度の高い夫を持つと、家計が大変」。「わが家は妻子も含めて日本食依存度は低く、海外で日本食レストランに行く趣味はない」と答えたら、「それだったら、最大の問題はクリアできる。早いとここっちに移ってきなさい。あまり長く日本にいると、精神がゆがむわよ」と言われた。その通りかもしれないと思った。
DHや日本の御殿場、りんくうタウンなど、チェルシーのアウトレットモールと比べると、「来店客が快適にショッピングできるように」という点で、OMは2歩も3歩もリードしている。週末になると通路ですれ違うのが大変なくらい混み合うと聞いたが、OMの快適性の高さと、ショップの充実ぶりを考えれば、当然であろう。DHも、なかなか悪くないアウトレットモールと思えた。しかしOMを見てしまうと、「上には上がある」と感じてしまう。
私がOMの1〜2時間圏内に住んでいるならば、月に数回は必ず訪れると思う。DHは、高級ブランドが多いこともあって、年に数回、季節に1回行けば充分という感じだ。しかしOMは、じっくり見て回ると1日があっと言う間に過ぎてしまうほどの規模なので、何度でも行きたい、きっと何度行っても毎回新しい発見がありそうだ、という気になる。