インディアナ・ステートフェア

視察日:2002年8月8日(木)


イベントの概要

場所−−−インディアナ州インディアナポリス・フェアグランド
面積−−−不明、かなり広い(競馬場と兼用)
開始時期−1852年
営業時間−正午から、土曜は10時から、日曜は11時から(閉場時刻は不明、常識的にはミッドナイト=24時ころと思われる)
入場料−−大人6ドル、5歳以下は無料

イベントの特徴

インディアナ州のステートフェア。2000年に視察したカリフォルニア州のステートフェア(ミッド・カリフォルニア・ステートフェア)と異なり、インディアナ州でステートフェアとして開催されているのは1回だけ。そのため規模が大きく、アメリカの中でもトップクラスのスケールとなっている。会期は12日間、会場面積は1988年頃に多数開かれた日本の地方博(会期2か月前後のもの)よりもはるかに広い。

会場の様子

 駐車場

インディアナポリス・フェアグランドは、市街地の北側の郊外。2000年に視察したミッド・カリフォルニア・ステートフェアでは夕方到着して駐車場に苦労したので、今回は現地近辺に11時半に着いた。しかし、路上に誘導サインがまったく出ていない。本当にこのあたりなのか心配になった、3ドルの民間駐車場が見つかり、少し安心。その先に、ステートフェアのオフィシャル駐車場の入口を発見した。小さな看板と小さな横断幕が出ているだけ。他のクルマが駐車場に続々と入っていくので、そちらの方が目印にある。日本の博覧会とは大違いだ。

駐車場の入口でステートフェアの入場料を払い、中に進む。駐車場内にはたくさんの誘導スタッフがいて、案内されたルートを進むと、いつのまにか競馬場のトラックの真ん中に出た。その後、何とダートの競馬場コース上に誘導され、最後は右か左に直角に頭を入れて、駐車完了。こんなところに止めていいのだろうか。その後競馬場のトラックの中の部分も駐車場として使われ始め、午後にはほぼ満杯になった。駐車料金は無料。アメリカらしい。

 ゾーニング

会場は、競馬場のコースが4つくらい配置できそうな広大な敷地。展示館となる恒久の建物が大小取り混ぜて20館程度あり、ここがイベント用の会場であることは確かだが、厩舎として使われる建物も一角に立ち並んでおり、どう考えても競馬場兼用だ。ゾーニングは特に設定されていなかった。

 場内一周トラム

11時45分、会場内に入る。場内をゆったり一周しているトラムがあったので、乗ることにする。大きなトラクターが何両もの客車を引いている。客席は車掌の移動用通路を挟んで背中合わせに座るベンチ椅子があるだけの簡単な造り。間断なく停留所に到着するが、客が降りてスペースが空かないと乗れないし、しかも停留所に並んだ順番に乗るのではなく、適当な位置に立って待って目の前のスペースが空いたら乗るというシステムなので、タイミングが合わないとなかなか乗れない。そもそも、停留所にきちんと止まるとも限らない。何とか乗り込むまでに30分近くかかってしまった。

しかし乗ってしまえば楽ちん。どこにおもしろそうなものがありそうか、トラムで風に吹かれながらきょろきょろできるので、利用価値は非常に大。人気が高いのは当然だ。料金は1人50セント。全体的に乗客はシニアが多く、健康な若者が乗っていると少々気が引ける。考えてみれば、広い会場内を年輩者が歩いて回るのは大変だろうし、会場にはシニアの割合が多い気がする。また、シニア専用のトラムも運行されていた。

 昼食

すでに昼食時なので、どこも見ずにまず食事にすることにした。トラムの上から品定めした仮設テントの店に向かった。この店は、うまそうなメニューのわりに、展示館密集地域から離れているので空いていた。難なく空きテーブルをゲットし、ポークバーベキューのランチプレートを食べた。1人前6.25ドルで、充分満腹になった。

 展示館

ミッド・カリフォルニア・ステートフェアよりもはるかに会場は広く、展示館も多い。最初から全部を見ることはあきらめて、適当に通りがかった展示館を見ていくことにした。大混雑とまではいかないが、それでも結構な人出。日陰は過ごしやすいが、日差しが強い。

4-H Exhibit Hall が主会場らしく。手作りの工作品や衣服、ケーキなどの数多くの作品がコンテストの評価結果のリボンをつけて展示されている。ステートフェアではお決まりのコンテンツ。その他のパビリオンでは、各地域の紹介や家畜類の展示、農業畜産業に関する啓蒙などが展開されていた

 プロモーション・トラック

イベントキャラバンに使うプロモーション・トラックが2台。ヒューレットパッカードのプリンタのデモンストレーション(その場で背景の前で記念写真を撮影し、プリンタで出力してプレゼントい)と、ConAgra Foods の冷凍ホットドッグの試食。プリンタの出力は、さすがに写真とほぼ同じクオリティだった。冷凍ホットドッグは、タダで食べ物を配っているというのに、あまり客が集まっていない。食べて納得、たとえ1ドルだとしても買いたくないような味だった。

 ショップ

ショップは、集合館の中(小回りスタイル)と、屋外テント(コマより面積が大)の2種類。物産やトラクター、物置、ジャグジー、園芸用品、民芸品など、商品はバラエティに富んでいる。ごく普通のTシャツやサングラス、雑貨などを売るテントもあった。じっくり見て回ると、何だか分からないものや初めて見るものがいくつもあった。上段の左の写真は、畑に立てる案山子(いかにもアメリカ風)、写真右は屋外型クーラー(霧発生器+大型超強力ファン)。

 プレイランド

プレイランドの規模は、ステートフェアの仮設遊園地としては一般的なサイズ。おそらくステートフェア専門の移動遊園地業者がアメリカには何社かあって、アメリカ全土を巡りながら商売しているのだろう。ウォータースライダー系のライドと、船の形の巨大なバルーンの滑り台は、これまで見たことがない。両方とも比較的新しく見えたので、新作アトラクションと思われる。ウォータースライダーは仮設ながらも盛大に水しぶきを上げていて、なかなか気合いが入っていた。

チケット1枚で1ドル。ウォータースライダーなどの大型アトラクションは4枚、ほどほどのアトラクションは3枚、幼児向け小型アトラクションは3枚となっていた。その他に乗り放題のアームバンドは20ドル。小学生くらいの子供はほぼ全員がアームバンドをしていた。

ゲームコーナーでは、硬いボールを投げてビール瓶を割る、という種目を初めて見た。気分爽快だが、教育上あまりよろしくない気もする。アメリカ人も同じように感じるのだろうか、この店はあまり繁昌していなかった。

備考

 配布印刷物

駐車場の入口で入場料を払ったら、人数分のプログラム(A4の1/3、40ページもの)をくれた。カラー印刷は表紙と表4だけだが、本文は2色刷りで、ステートフェアにしてはかなり力が入っている。

 協賛スポンサー

配布印刷物に掲載されている協賛スポンサーは70社程度。ミッド・カリフォルニア・ステートフェアは55社くらいだったので、この点からも、インディアナ・ステートフェアの規模の大きさが分かる。

企画のネタとして

ステートフェアの展示は、あまりたいしたものがない。日本で開催される国際博はおろか、地方博のレベルにも達していない。企業単独館が建つこともない。展示内容はステートフェアとして必然性のあるものに限られている。それでも、来場者は熱心に展示を見学している。

たとえばコンテスト出品物の展示は、どのステートフェアでも大人気だ。コンテストは幅広い部門が設定されており、クロワッサンやケーキ、ウエディングドレス、木工の各種の家具などの作品が所狭しと並んでいる。コンテストの評価結果が示されているのが楽しい。やはり入賞した作品は、素人が作ったとは思えないレベルで、「何でも作ってやるぞ」というアメリカのフロンティアスピリットが強く感じられる。反面、「よくこのレベルの作品を出品するなあ」という出来の作品には、年齢が8歳とか書いてあったりして、「お前の人生これからだ、今からコンテストに参加していれば、いつかは入賞作品を作れるようになるだろう、がんばれ」と、出品者を応援したい気持ちになってくる。

コンテスト出品物以外の展示としては、家畜類の展示(これもコンテストになっていて、家畜に評価を示すリボンが付いている)、各地域のPR(観光PRではなく、農業畜産の現状の紹介)、インディアナ州全体としての農業畜産業に関する情報など。工業や商業に関する展示はほとんどない。ハイテクっぽいものもゼロに近い。そのため、全体的にほのぼのした雰囲気になっている。強烈なインパクトは存在しないが、暖かみが感じられる展示空間となっていて、「明日からの生活、自分も頑張ろう」という気持ちになってくる。来場者を励ます力がある展示と言える。そのためだろう、どこの展示会場でも、来場者がみんなニコニコしているように感じられた。

参考資料 −−− 会場マップ(234KBのJPEG画像)

参考資料 −−− スポンサー企業一覧(263KBのJPEG画像)


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