ガーニー・ミルズ(GM)

視察日:2002年8月19日(金)


施設の概要

場所−−−イリノイ州ガーニー(シカゴの北北西40マイル、シカゴとミルウォーキーのほぼ中間地点)
敷地面積−132ha
延床面積−19.4ha
売場面積−不明
開業時期−1991年
駐車台数−10000台、14000台まで拡張する計画あり
営業時間−10時−21時、土曜は10時−21時30分、日曜は10時−19時
店舗数−−230店(うちアンカーテナント15店)

施設の特徴

全米に約30カ所のアウトレットモールを展開するミルズ社。そのうちのひとつが、ガーニー・ミルズ。「アウトレットとしては全米一の規模」、「アメリカ最大級のアウトレット」と書いてある資料もある。

全体的に、2000年8月11日(金)に視察したLA郊外のOMに良く似ている。OMの店舗数は約200(うちアンカーテナント10)であったので、GMの方が15%くらい売り場面積が大きいものと類推される。駐車場もOMは8500台だったので、GMの方が15%程度多く、計算が合う。

現地の様子

 モールの設計

さすがに全米一のアウトレット、駐車場内をクルマで移動しながらその大きさを観察したが、延々と建物が続いているという感じ。駐車場から建物の入口は9カ所あり、A〜J(飛行機と同様にIはなし)の記号が付けられている。これをしっかり覚えておかないと、ひどい目に遭いそうだ。

入口部分もしっかり装飾されていて、アウトレットとしては高級感を感じられる。中にはいると、エアコンがしっかり効いていて、ほっとする。これならがんばって歩ける気がしてくる。

建物は屋内型の1階建てで、歩行動線はZ字を裏返した形の往復型。といっても通路幅が広いので、実質的には右の店をずっと見ながら進み、突き当たったら反対側のみ店を見ながら戻って来るという一周型。全部歩くと2kmは楽に超える。

通路幅は広く、床はよく手入れされたウッドで、とても歩きやすい。通路の上部には館内テレビ(ミルズTV)のモニターがぶら下げられ、テナントの紹介やセールの告知をエンドレスで上映していた。注視している人はほとんどないが、歩いていれば自然と目に入ってくるので、活気ある館内としての演出に役立っている。

 ゾーニング

配布印刷物やミルズ社のホームページでは、館内は緑、青緑、赤、青の4色に区分されていた。特にゾーンテーマがあったり、特徴的なテナントが集まっているわけではなく、自分の居場所を確認するためのゾーニング。なお、館内の表示板では、青緑と赤が一緒になって、ベージュになっていた。これでは来場者が迷うだろうが、あまり細かい部分にはこだわっていない模様。

 テナント構成

アンカーテナントは15店(フードコートのアンカーテナントを除く)。建物の両端や動線の曲がり角だけでは配置しきれず、動線の途中にもボコボコ置いてある。数が多すぎて、実際に歩いた感覚としては、「これが集客の要となる核テナントか」というよりも、「あ、またでかい店がある、よくもまあこんなに集まったもんだ」という感じ。

店舗数が多いので、業種は多岐に渡っており、ギャップ、バナナ・リパブリック、リーバイス、オッシュコッシュ(子供服)、サムソナイトなど、たくさんのブランドが並んでいる。しかし、アウトレットにありそうな店がすべて揃っているかというと、そうでもない。エディー・バウアーやポロ・ラルフローレン、ブルックス・ブラザース、アディダス、ナイキ、リーボックなどが見あたらない。そのかわり、通常のショッピングセンターでよく見かけるフットロッカーやペイレスシューソース(ともにスニーカーショップ)などが入っている。その他の無名ブランド(私にとって)の店も、すべてが価格で勝負、という感じではない。

このため、テナント構成からは、純然たるアウトレットというよりは、アウトレットと通常のSCの中間に近い存在であるような印象を受けた。

 来店客数

現地に到着したのは、金曜の19時。あと2時間で閉店というタイミングだが、とてもにぎわっていた。買い物袋を持った客が多く、売上は好調であるように見えた。

 フードコート

2カ所に大きなフードコートがあり、Dine O rama と LAKE COUNTY FARE と名付けられている。テナント数はそれぞれ13〜14店。注目すべきは、フードコートにもアンカーテナントが存在する点。Dine O rama と LAKE COUNTY FARE の両方にマクドナルドが入っている。以前は、片方のアンカーテナントはバーガーキングだったとのこと。店舗数がこれだけ集まれば、かなりバラエティに富んだ構成になるので、強力な集客力を発揮する。さらにマクドナルドまで加えるとは、念には念を入れてというだが、フードコートの魅力がモール全体に及ぼす影響を充分に考えての作戦だろう。

一般的に夕食時のフードコートはあまり客が集まらない。そのため、GMのフードコートも客はまばらで、空きテーブルの方がはるかに多い状態であった。しかしどの店の店員も元気で、よく声が出ている。客の入りを悲観している風はない。清掃も行き届いている。広大な面積に無数のテーブル&イスが並んでいるが、週末の日中は満席に近い状態になることは間違いない。

 映画館

21館のシネマコンプレックス。XXXとサインズは3館、スパイキッズ2は2館での上映となっていた。3館上映のXXXは合計で1日12回上映となり、ほぼ1時間に1回の上映開始。これは映画ファンにとって、素晴らしく便利なシステムだ。上映開始時刻を気にせず、適当な時間にやってくればいい。混雑時はさすがにやってきてすぐには映画館には入れないらしいが、整理券が配られるとのこと。この方式なら、上映開始まではモール内でいくらでも時間潰しができる。

 アイススケート場

大人6ドル、子ども5ドル、貸し靴3ドル。なぜこのモールにアイススケート場があるのか、その必然性は不明。シカゴはかなり緯度が高く、NHL(アメリカのプロのアイスホッケーリーグ)にはシカゴ・ブラックホークスというチームがあるので、アイススケートの人気が高いのかもしれない。

 配布印刷物

英語版の場内マップ&テナント一覧が、あちこちでカタログホルダー配布されていた。ミルズ系の統一的なデザインのもので、なかなか読みやすく洗練されたパンフレットとなっている。さすがに230店もあると、テナントのリストが壮大で、並んでいるだけでインパクトがある。あまりスペースには、数店の広告が掲載されていた。

備考

 グレートアメリカ(隣接遊園地)

フリーウェイをはさんだ反対側に、シックスフラッグス系のライドパーク「グレートアメリカ」がある。この遊園地は、冬の間は休園となるが、夏場は多くの若者や家族連れで賑わう。そのため、夏はショッピング・モールと遊園地双方に人が集まるため、高速道路の渋滞が激しくなるとのこと。

 ルビー・チューズデー

カジュアルレストランと思われる店。サラダバーがある。GMだけでなく、MOAやどこかの路上にもあって、どこも長い行列ができていた。何が魅力で流行っているのか、とても気になる。しかし待ち時間の長さに、今回は利用をあきらめた。日を改めてチャレンジしたい。

企画のネタとして

OMと同様に、GMも強さを発揮している。気候に関わらず快適なインドアモールで、壮大な物販店ラインナップ、充実したフードコート、映画館やアイススケート場といった楽しい関連施設など、どの点をとっても従来型のアウトレットモール(アウトドア型・50〜100店、フードコートは最低限、楽しい関連施設なし)を圧倒している。来場客の平均滞在時間も、従来型のアウトレットモールに大差を付けている。私の直感では、チェルシー系列のOAが1時間〜2時間前後、GMは3〜4時間前後ではなかろうか。

アメリカにおけるアウトレットモールの成熟期は1990年代後半と言われており、今ではアウトレットモールの淘汰が進んでいる。その中で、ミルズ系の大型SC(全米に5カ所程度)は、従来型アウトレットよりも進化した形のインドア快適モールとして展開されており、いずれも比較的好調とのこと。建築費は従来型アウトレットモールよりもはるかに高くつくが、以後長期に渡って好業績を確保できるのが強みだ。飽和市場の中での競合に、ミルズ系大型アウトレットは強い。

現在の日本では、いまだに従来型のアウトレット(その代表例はチェルシー系の御殿場、りんくう、佐野)しか存在しない。GMが建設されたのが1991年だから、アウトレットの進化のスピードで、日本はアメリカよりも10年以上遅れている。ミルズ系大型アウトレットは、いつになったら日本に進出してくるのだろうか。地価が高くまとまった土地を確保しにくい日本では、ミルズ系大型アウトレットは実現不可能なのであろうか。いずれ日本でも、従来型アウトレットは衰退していくはずだ。その時、日本のアウトレットはどのような方向に進化していくのだろうか。

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