ウッドベリー・プライム・アウトレット(WPO)

視察日:2002年8月4日(日)


施設の概要

場所−−−ミネソタ州ウッドベリー(セントポールの東10マイル)
面積−−−不明、あまり広くない
開業時期−不明、あまり古くない
駐車台数−不明、あまり広くない
営業時間−10時−20時、日曜は11時−18時
店舗数−−81店(うち空きテナント26店)

施設の特徴

全米に約30カ所の屋外型アウトレットモールを展開するプライム・リテール社。そのうちのひとつが、ウッドベリー・プライム・アウトレット。

現地の様子

 モールの設計

通常の低コスト型1フロア・オープンモール。広すぎず狭すぎずで、面積的には好感が持てるサイズ。全体的に各店舗の面積が揃っており、明確なアンカーテナントは1軒のみ(イーストウイングの東端)。しかしここに入店しているのは集客力に乏しいファッション・雑貨・家具などの総合店で、まったくアンカーテナントとして機能していない。

 ゾーニング

東西の2つのウイング。Eの字を上向きにしたような形状に建物が並び、中央の空白部分が駐車場。

 テナント構成

ファッション主体で、入っているテナントはアウトレットの常連組ばかり。比較的にぎわっていたのは、エディーバウアー、フットロッカーなど。

フロアマップを見ると58店分のスペースがあるが、視察日の段階で何と26店が空きテナント。その後アメリカ経済誌のホームページで記事を検索したら、2003年7月の段階で空きテナント率は50%を超えた、とのこと。これだけ空きがあると、寂しいを通り越して、悲しい気持ちになる。

 来店客数

日曜日だというのに、駐車場はガラガラ、歩いている人もぽつりぽつり。こんなに客が少ないアウトレットは初めて見た。2000夏に視察したLA郊外のデザートヒルズ(チェルシー系列)が空いていて驚いたが、ここはもっと空いている。完全に寂れた感じ。

 フードコート

来店客数が少ないため採算が合わず、飲食テナントがすべて撤退した模様。フードコート風の空間は残っていたが、そこにあるのは飲物ベンダーと、イス&テーブルが数セットのみ。

 配布印刷物

英語版の場内マップ&テナント一覧が、数カ所でカタログホルダー配布されていた。プライム系の統一的なデザインのものだが、マップとテナント一覧のほかには地図とプライム系のメンバーズカードの紹介のみで、全然おもしろくない。あまりに知恵がなさ過ぎる。

備考

 系列

2002年7月の時点では掲載されていたのに、2003年7月の時点ではプライム・リテール社のホームページにこのWPOは掲載されていない。閉鎖されたか、プライム・リテール社の手を離れたか、どちらかだ。アメリカ経済誌のホームページによると、「『ライフスタイル・モール』への変身を骨子とするWPOの復活作戦が検討されている」とのこと。だとすると、プライム・リテール社の手を離れた可能性が高い。

企画のネタとして

見事なまでのアウトレットモールの失敗例を見てしまった。ノウハウもなく見よう見まねで開発された地元独立資本系のアウトレットモールならいざ知らず、チェルシー、ミルズに続く全米3位(この順位は私の推測、もしかしたらベルツに次ぐ4位かも)のプライムがやっているのに、かなり悲惨な状況となっている。

衰退の原因としてまず考えられるのは、全米最大のショッピングセンターであるモール・オブ・アメリカ(MOA)の存在だ。MOAはWPOの南西15マイルのブルーミントンにあり、クルマでは30分かからない距離。立地条件としては、もろに競合する。しかしMOAの開業は1992年と、決して新しくはない。おそらく、WPOの方が新しいはずだ。だとすると、巨艦MOAに手こぎボートのWPOが戦いを挑んだ、という構図か。ショッピングセンターとアウトレットモールでは本来は業態が異なるのだが、MOAは大きすぎるので、業態を超えた大波を引き起こす。その波をかぶって、手こぎボートは哀れにも転覆・沈没の憂き目にあった、ということだろう。

しかしこれだけが原因とは思えない。何故ならMOAから小一時間という立地条件でも、チェルシー系列のアウトレットモールは健闘していた(詳細は次項を参照)。失敗の主因は、ディベロッパーの運営ノウハウの弱さである可能性もある。

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