ケネディスペースセンター(KSC)

視察日:1997年8月16日(金)


施設の概要

場所−−−ケープカナベラル(オーランド市中心部の東80km)
面積−−−34000ha(見学施設の敷地面積)
開業時期−1958年(NASAの開設年)
営業時間−日没まで(視察日)
入場料−−大人23ドル、子供16ドル(バスツアー&I−MAX映画2本の場合)

施設の特徴

NASAのケネディスペースセンターの一部が、見学できる国営テーマパークとなっている。宇宙ロケット打ち上げ基地の施設を見学するバスツアーと、I−MAXシアターが有料で、その他の展示施設(ビジターセンター)は無料。アミューズメント性は低く、博物館に近いパークだが、本物の迫力で年間300万人以上が訪れている。

アトラクション&ショー

 I−MAX映画(ミッション・トゥ・ミール)

8時にオーランドのホテルを出発し、9時にKSCのビジターセンターに到着。駐車場はまだガラガラで、建物のすぐそばに止められた。チケットパビリオンの前も、スペースシャトル発射の日とはうってかわって、人影はまばら、すんなりとチケットを買えた。バスツアーとI−MAX映画2本がセットになった券(見る順は自由)で、定価は大人23ドル、子供16ドル。クーポンでそれぞれ4ドル引いてもらった。

視察日は、I−MAX映画は2つの映画館で上映しており、I−MAX−Tシアターではドリーム・イズ・アライブとミッション・トゥ・ミール、I−MAX−UシアターではL5・ファーストシティ・イン・スペース。ドリーム・イズ・アライブは何回か見たことがあるので、その他の2本を見ることにした。

まずは9時30分のI−MAX映画ミッション・トゥ・ミールへ。客席はガラガラで、ベストポジションに座れた。ロシアと米国の協力のもと、ロシアの宇宙ステーション・ミールで両国の宇宙飛行士が協力して活動する様子を紹介した映像。そこそこに面白い、という感じ。ドリーム・イズ・アライブの方が映像に迫力があって引き付けるものがある。

 バスツアー

映画の後、10時30分のバスツアーへ。2階建てバスの2階に座れた。車両はかなり老朽化がすすんでいて、車内の放送設備(テープ再生)も調子が悪く、ところどころ運転手がテープの代わりに解説してくれた。

1990年秋に乗った時も車体は決して新しくはなかったが、今回はさらにボロくなった感じ。6年間ずっと同じバスを使い続けてきたのかもしれない。または、外を走っていたバスがお役御免になると、あまりスピードを出さなくていいKSCのバスツアーに回されるのかもしれない。

 アポロ/サターンVセンター(バスツアー)

10時45分に、アポロ/サターンXセンターに到着、バスを降りて館内を見学する。ここは7年前にはなかった新しい展示施設。まずは、ファイアリングルームへ。アポロ/サターンX打ち上げ時のコントロールルームの様子が再現されるアトラクション。手順に従ってコントロールボックスのパネルが順次点灯し、交信や映像が再現され、発射時には発射の衝撃が伝わってきて床が振動する。発射が成功したときのスタッフの喜びや達成感を共感するようなストーリーになっている。

ファイアリングルームを出ると、次はとても広い展示室。アポロ/サターンXの実物が寝そべっている。みな、うれしそうに記念写真を撮っていたが、ロケットは巨大でなかなか画面には入りきらない。月やロケットに関する展示ゾーンもあり、月の石に触れるコーナーが人気(常時行列が3人くらい)だった。小学生の時に行った大阪万博を思い出した。あのときは、3時間か4時間くらい並んで、月の石をさわった覚えがある。

展示室をひと通りざっと見たところで、休憩を兼ねて、一角に設けられたムーン・ロック・カフェで早めの昼食。展示室内は冷房が効きすぎていたので、屋外のテーブル(パラソル付)が快適だった。

その後、ルナ・サーフェス・シアターへ。ステージは月面のセットになっていて、人類が初めて月に着陸し、月面に降り立ったときの様子が、当時のニュース映像などとともに再現される。天井からゆっくりと月面着陸船が降りてきて、宇宙服姿の飛行士が現れ、米国の国旗とともに月面に立ち、胸を張る。作り物が動いているだけの簡単な仕掛けのショーだが、こういう題材をこういう場所で見せられると、素晴らしくかっこいい。日本人の私がほれぼれしてしまうくらいだから、アメリカ人ならば、このシーンに感動しない人はいないはず。

アポロ/サターンXセンターの見学を終えて、13時にバス停に行った。昼食を含めて、2時間15分いたことになる。バス停にはやや行列ができていたが、2台目のバスに乗れた。待ち時間は10分くらい。「バスツアーは、ここからはあと50分かかる」と表示があった。

 その他の施設(バスツアー)

スペースシャトルを打ち上げる発射台39Bと39A(打ち上げは交互に使っているらしい)、そしてビークル・アッセンブリー・ビルディングを車窓見学。また、途中2カ所でバスから数分間降ろしてくれるので、発射台やビルをバックに記念写真を撮れる。しかし、半分くらいの人は、車内に残ったままだった。

ビークル・アッセンブリー・ビルディングはロケットの組立工場で、とても巨大。白っぽい砂利の道が、緩やかなカーブを描きながら発射台の方へ伸びている。私たちが発射を見たスペースシャトル(ここを視察する11日前に見た、詳細は別項を参照)も、きっとこの道を巨大なトレーラーに載せられて、ゆっくりと発射台へと運ばれたに違いない。

 I−MAX映画(L5・ファーストシティ・イン・スペース)

バスツアーが終了し、ビジターセンターに戻ってきたのは14時。もうひとつのI−MAX映画が14時10分なので直行した。

3DのI−MAX映画で、宇宙都市で暮らす女の子を主人公に宇宙都市や未来の生活の様子を紹介し、宇宙都市に発生したトラブルを解決するため、その父親が単身作業に出かけて無事成功するというストーリー。

他のI−MAX映画2本よりも入場料が1ドル高い(単独入場料が、この映画は大人7ドル、他の2本の映画は大人6ドル)ので、それだけ作品が素晴らしいのではないかと期待したのだが、1ドルの差は3D映画用のメガネの使用料だったようで、あまり面白くなかった。

 ニアー(ビジターセンター)

その後、アイスクリームで休憩してから、展示館を巡った。ニアーでは、地球への小遊星接近のビデオが上映されていた。

 アストロノーツ・メモリアル(ビジターセンター)

宇宙開発で犠牲になった飛行士たちの追悼碑。そういえば、チャレンジャーの爆発事故だけでなく、昔は発射前の火事もあったし、犠牲者は少なくないと思い出した。造形的には、宇宙に向けた巨大な鏡という、とてもユニークな形状をしていた。スペースシャトルから見下ろすと、見えるのかもしれない。

 ローンチ・ステイタス・センター(ビジターセンター)

スペースシャトル・ミッション・ハードウェアが展示され、ライブ・ミッション・ブリーフィングが見られる。たまたまショータイムの合間だったので、見学はあきらめた。

 シャトルプラザ(ビジターセンター)

スペースシャトルとオービター(途中で切り離す推進ロケット)の実物大模型が展示され、内部を見学できる。スペースシャトルの方は10分くらいの行列ができていたが、ちょっと中に入ってガラスごしに操縦席を見て、貨物室を上から見おろして、あっという間に終わり。本物のスペースシャトルでも行動できるスペースは限られているだろうから、こんなものかもしれない。

 その他(ビジターセンター)

見学した以外に、短時間の映像シアターや展示館がいくつかあり、また7本のロケットが立ち並ぶロケットガーデン、子供向けプレイランドのプレイドームなどもあった。

飲食

 ビジターセンターのレストラン

ビジターセンターには、テーブルサービスのミラズ・ロードハウス・グリルとカフェテリア方式のオービット・レストランがある。ともに広く大きなレストランなので、あまり待たされることはないと思われる。

 アポロ/サターンVセンターのカフェ

バスツアーの途中で寄るアポロ/サターンXセンターの中にあるムーン・ロック・カフェは、ファーストフードの売店みたいなところ。昼食にはやや早い時間だったので、とても空いていた。値段は、さすがに国営テーマパークだけあって、とても良心的だった。

物販

 記録資料類

スーベニールブック2種とビデオを購入。スーベニールブックは英語版と日本語版、それぞれ5.95ドル。内容はだいたい同じだが、日本語版は1995年12月版、英語版は1997年版で、構成がやや異なる。ビデオは24.95ドル。いくつかの言語が揃っていて、日本語版もあったが、NTSC方式(日本やアメリカなど)とパル方式(ヨーロッパなど)が渾然一体となって並んでいて、言語によっては要注意(日本語版はNTSC方式しかなかったが、英語版は両方ある)。日本語版は30分もので、あまり映像に迫力がなく、またナレーションも素人が原稿を翻訳して素人が読み上げている感じで、たいへん聞きづらい。

宇宙もののI−MAX映画のビデオも数種類並んでいたが、英語版だけだったので買わなかった。しかしスーベニールビデオがいまいちだったので、荷物にはなるけれど何本か買ってくれば良かったと、少々後悔している。

 ペニーつぶし

3種類をゲット。

備考

 混雑状況

スペースシャトル発射見学の日、KSCのビジターセンターでプロジェクトTシャツを買う際にたずねたら、「発射の前日と当日はすごく混む、それ以外の日は混まない、週末よりも平日が混む」とのこと。

企画のネタとして

KSCは、「スペースシャトルをはじめとする宇宙ロケットの聖地で、実際に使っている、または使い終わった宇宙開発の実物に触れる」という、世界でここにしか作れないテーマパーク。各展示施設では、本物の迫力を大切に、過剰な演出や装飾をせずストレートにあるがままの姿で展示構成している。中身が素晴らしいので、それでも充分に見応えがある。むしろ、過剰な演出や装飾は、見応えを損なってしまうかもしれない。「展示で最もインパクトがあるのは、見応えのある実物展示だ」とイベントやスペースを企画する際に良く言われるが、KSCを見学すると、その通りだと痛感する。

7年前と比較すると、アポロ/サターンXセンターが追加され、I−MAXが2館になり、殉職者の碑やモニュメントが建設されるなど、規模がかなり大きくなっていた。しかしバスツアーのバスはかなりくたびれていて、各展示施設での短時間のビデオも総じて寂しい出来映えだった。KSCは、バスツアー+映画2本で滞在6時間くらいの内容がありながら、大人の定価23ドル(クーポンを使えば19ドルになる)と、料金はメジャーパークのほぼ半額。国営テーマパークならではの価格設定で、安くて楽しいので、客としては文句はない。しかし、経営面を考えると、もう少し値上げして、バスツアーのバスや短編のビデオ映像をもう少しまともなものにした方がいいのではないかと思う。

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