視察日:1997年8月11日(月)、17日(日)
場所−−−オーランド市(市の中心部の南西21km)
面積−−−敷地面積55ha
開業時期−1973年
営業時間−9時−22時(視察日)、深夜までの日もあるらしい
入場料−−大人38.63ドル、子供31.98ドル
(長期割引チケット、複数パークセット割引チケット各種あり)
全米4カ所(内陸部を含む)にある、世界最大規模の海の生物のパーク。目玉は巨大なシャチのショー。動物保護運動にも力を入れており、パークも「海の生物たちと仲良くしよう」というコンセプトのもとに構成されている。
高度な技を連発して、なかなか見応えがある。SWではシャム(シャチ)のショーがたくさん濡れるので有名だが、このイルカのショーも前の方の席はけっこう涼しくなれる。どうも、このパークでは動物がお客さんに水をかけることは、動物から人間へのコミュニケーションのひとつとして重視している模様。
SWのアトラクションは、1日数回公演するショーと、いつでも見られるエキジビジョン(展示)に大別される。ショーの合間は、展示を見ていれば飽きない。
ここでは、1日数回、イルカの餌が販売される。1皿にワカサギに似た小魚4匹で2ドル。1991年のサンディエゴのSWでは、アジに似た魚が1皿に2匹で1ドルだった覚えがあるので、それよりも値上がっているが、魚の数が多いと楽しみが多くなるので、1匹50セントだと思えば納得できなくもない。イルカの餌やりは人気があるようで、すぐに長い列ができ、30分もしないうちに売り切れまた。次回は12時45分とのこと。2時間に1回なのかもしれない。
2皿買って、娘に餌やりをさせたが、餌をやる人が多く、また餌をやるところを写真に撮ろうということで、目の前で大きく開いているイルカの口になかなか餌を入れてやらないので、なかなか自分たちの方へイルカが寄ってこない。そのため、人が減るまで待ってからあげた。イルカの肌は思ったよりザラザラしていた。
ここでも餌を売っていて、たくさん売れ残っていた。ここでは常時販売なのかもしれない。イルカのプールと同じ魚だが、ここで買った餌はイルカのプールへは持っていかないようにと、大きく注意書きが出ていた。
口の中へ投げ込んでやればいいイルカと違って、エイの餌やりは難しい。パネルに餌の与え方が説明されていたが、エイの口は下面にあるので、その口にくわえられるよう、小魚は水底でかざしながら持っていなければならない、そしてエイの口が小魚を吸い込もうとしたら、手を離せ、とのこと。
しかし、エイはけっこう大きくてちょっと怖いし、手のひらの上をエイのからだが通過していくのだけどどのへんに口があるのか見えないし、だから吸い込む前に手を離してしまう。水底に魚が沈むと、エイは自力では拾えない。仕方がないので、また手を伸ばして魚を拾って、次のエイを待つ。何度も失敗して、覚悟を決めてなるべく長く持っていようと決心して餌をやったら、ようやくうまくいった。かなりしっかりした力で、餌の魚を吸い込もうとする。しかしその時、エイの口のあたりがぺたっという感じで手のひらに触って、ついでに指まで口の中に吸い込まれそうになって、やはり気味が悪い。
日本のどこかで見たマナティとほとんど同じようであった。
サンディエゴのSWのペンギンは、広々とした空間でいきいきと活動しているところが見られてたいへん興味深かったので、ここでも期待していたのだ、ガラスが曇っているところが多く、少々見ずらいのが残念。運営要員が充分でないのかもしれない。ペンギンの数は期待通りにたくさんいて、元気そうだった。
開演の30分前に到着したら、巨大なスタジアムはまだガラガラ。そこでよーく考え、良く見える正面、しかし水をかぶりたくない(白人の人たちは大喜びしているけど、あの水は塩水だし、かぶったら後でベトベトして大変だと思った)ので、スプラッシュゾーンとは書かれていないように見えた(本当はスプラッシュゾーンだったのかも)7段目あたりに座った。
ショーの開始20分前から、プールの向こうにある大型スクリーンで、暇つぶしのゲスト参加型クイズショーが始まった。なかなか楽しく、笑えた。
ショーが始まる頃には、席はほぼ満席。ショーのオープニングは、奥のプールからシャチが水中を潜ってきて、プール中央で調教師と一緒に豪快なジャンプ。客席が大きくどよめいた。まずびっくりさせる、という作戦。
シャチの生態を紹介しながら、ジャンプや芸を見せたり、ゲスト参加のコミカルな場面ありで、とても充実したショーになっていた。水中の様子は大型スクリーンに映し出されるので、潜っている最中の様子も良く分かる。
途中、何回か客席に向かってシャムが水をかける場面があり、みな喜んで大騒ぎながら濡れていた。圧巻は最後のシャチの挨拶。尾を振って大量の水を観客席に飛ばしながら、プールの端から端まで移動する。しぶきはスプラッシュゾーンだけでなく、観客席のほぼ前半分全域まで飛んでいた。6年前のサンディエゴのSWのシャチよりも、ここのシャチの方が格段にパワーがある。あわててカメラをバッグにしまったが、私たちの席は幸運にもシャムが尾を振るタイミングが良くて、たまたま濡れなかった。
徒歩またはヘリコプターで北極基地をたずね、北極に住む動物たちに会いに行くという内容。入口の列はランドとエアーの2本あり、北極基地を訪ねるまでの映像を、ランドは普通の椅子に座って、エアーはシミュレーションシアターで見る、という違い。ランドは15分待ち、エアーは50分待ちだった。
シミュレーターは好きではないので、迷わずランドへ。映像は、椅子に座って見るぶんには、たいしたことがなかった。映像のあとは、北極基地を模した水族館で合流し、その後は歩いて見て回る動線。北極基地を模した館内は海中の雰囲気を出す暗く青い照明で、基地の装置や備品などが置かれていて、白クマ、セイウチなどの水槽もあり、北極基地らしい演出が楽しかった。また、落ち着いて動物たちを見て回れる点も良かった。
海の恐れられている動物たちの水族館。たくさんのサメが泳ぐ大きな水槽があり、ほかにはウツボ、ミノカサゴなどが泳ぐトンネル水槽もあった。サメは見応えがあるが、トンネル水槽(日本にもどんどん増えている)の規模は、それほど大きくない。
開演30分前で、中央の前から2列めに座れた。ボート係員2人がボートの操縦をめぐってケンカを始めるコミックショーで始まり、浜辺で騒ぐ若者たちが取り締まるパトロールと対立し、ゲームや水上スキーの技で勝負するというストーリー。水上スキーの技だけでなく、ビーチでのゲームやばか騒ぎなど、明るく楽しい構成になっていて、フロリダの強い日差しのもとで見るのにぴったり。SWのアトラクションの中では、としてはシャチのショーに次ぐ2番目におもしろいさ。
マップ兼ショー・スケジュールには1日5回、ホスピタリティ・センターで、バドワイザー・ビール・スクールが開かれると書いてあったが、行かなかった。ガイドブックには「アンハイザー・ブッシュ社のテーマパークではバドワイザーの試飲ができる」と書いてあるものもあるので、これだったのかもしれない。
シーワールドには数少ないエアコン空間なので、休憩がてら入りたかったのだが、演目が中国雑技団風の内容のようなのでパス。サンディエゴのSWでは、シアターで歌とダンスのブロードウェイスタイルのショーが行われていて、素晴らしかっただけに残念。
アシカのショー(楽しいらしい)やウォーターファンタジーのショー(美しいらしい)、日没後の8時45分のシャムのショーや9時25分のレーザー&花火ショー(ともに、とても幻想的で美しいらしい)などを見たかったのだが、パークの設計の悪さと運営レベルの低さのため夕方にはくたびれきってしまって、とても夜までいる元気がないので、切り上げた。
シャムのショーを気に入ってしまって、別の日にこれだけを見にSWに行った。座った場所は前回とほぼ同じ場所、ここなら、前回の経験では、近いのに濡れないはず。この日に登場したシャチは、背びれがくにゃっと折れ曲がったシャチで、前回とは違った。調教師も違う女性のようだった。同じショーができるシャチが何頭もいるらしい。
ショーの合間のスプラッシュが、どうも前回よりも元気がいいような気がして、少しいやな予感がしていたのだが、エンディングのスプラッシュ大会で、そのいやな予感が的中。前回よりもはるかに大量の水が、こまめに飛んでくる。この日のシャチは、まるで、「観客席前半分に座っている人はひとり残さずきっちりズボ濡れにしてやる」と決意しているかのようだった。
通路を駆け上がり安全地帯に逃げ出そうと考え、あわててカメラをビニール袋に入れて、パンフレット類とともにカバンに入れて、自分の身体の陰に隠して、前を見たら、私の目の前2〜3mぐらいの斜め上方に、こっちに向かって飛んでくる水の固まりがあった。どっしゃーん!
わー、やられたとタオルで顔を拭いてまた前を見たら、今度は向こう側にしなったシャチの尾がこっちへ振られ、それに合わせて水面から水の固まりが空中へ飛び出し、やや広がりながらこちらへ飛んできて、視界のすべてがキラキラした水で覆われる、という一部始終を見ることができた。
直撃2回で、洗面器2杯よりは多い、おそらくバケツ2杯分くらいの塩水であった。髪の毛から塩水がたれてきて、痛くて開けられない目をこすりながら、シャツとズボンからはボタボタ、そしてスニーカーの中をぐちょぐちょ言わせながら、それでも楽しく満ち足りた気分で帰路についた。白人の人たちがびしょ濡れになって喜んでいる気持ちが、ほんの少し分かったような気がした。
駐車場行きのトラムは、まだ昼前なので貸し切り状態。運転するおじさんのすぐ後ろに座ったら、濡れた身体には、熱気を含んだ風も、強烈な日差しも、なかなか快適に感じられた。クルマのところに着いてもまだびしょびしょなので、タオルを敷いて乗った。ホテルに戻って、シャワーを浴びた。
昼飯時は、カウンターサービス、テーブルサービスともに、どの店も大混雑だった。飲食店のキャパシティが絶対的に不足している模様。
スカイタワーの近くの、エアコンの効いた店を選んで、並んだ。カフェテリア方式だが、サービスする係員の手際が悪く、長蛇の列がなかなか進まない。また、料理を受け取っても、空席を確保するのがひと苦労。私たちは私が行列に並び、カミさんと娘で席の確保にあたったが、ライバルが極めて多く、やっと席を確保できたのは、私が30分も並んでようやく料理を手に入れたのとほぼ同時。あーやれやれ。料理も、3人で20ドル取るわりには、ファーストフードに毛が生えた程度の代物だった。
動線的に料理のカウンターの手前に客席がある構造だというのに、空席に案内する係員がいなければ、混雑時は絶対にこのような混乱した事態に陥る。そもそも、レジの処理速度と客席数のバランスが合っていない。このレストランは、運営だけでなく、設計もいい加減だ。救いようがない。
4.99ドルのビデオと、2.99ドルのスーベニールブックを購入。スーベニールブックは値段の割にページ数が多くて、かなり立派。BGのものは写真集という感じだが、シーワールドのは文字も多く、読み応えがある。ビデオは30分もので、ストーリー仕立てで楽しく、BGのビデオとは大違い、洗練されている。巻末にアンハイザー・ブッシュ社のテーマパークが紹介されていて、これによるとSW(4カ所)、BG(2カ所)、セサミプレイス(1カ所)、アドベンチャーアイランド(1カ所、タンパのBGに隣接)、ウォーターカントリー(1カ所、ウィリアムズバーグのBGに隣接)の計9パーク。
ペニーつぶしは、SWでは2つゲット。とても分かりにくい場所にあり、係員に聞いてようやく機械を見つけた。
SWはショーが売り物なので、ゲートでもらった園内マップ兼ショー・スケジュールを参考に、効率的に見て回る順番を考えなければならない。頻繁に変わると思われるショー・スケジュールの時刻の部分は、印刷ではなくてプリンタの印字になっていて、費用節約の努力が感じられる。
視察日は、シャム(シャチ)のショーは1日4回、そのほかにショーが9つ。最短時間で回ろうとすると、園内をあっちこっちに移動して、総移動距離が多くなる。最短移動距離で回ろうとすると、途中で長い待ち時間があったりして、総所要時間が多くなる。これは考えどころ。
パーク内には、BGと同様に説明員があちこちにいて、人の輪の中であれこれ説明していた。教育面には力を入れている模様。ちょっと聞いてみたが、動物の名前とか知らない単語だらけで、半分も理解できないのであきらめた。
WDWのパークとは異なり、アルコールが販売されていた。特にショーシアターの売店でバドワイザー(パークの経営は、バドワイザーを作っているアンハイザー・ブッシュ社)が良く売れていた。
また、園内には、ビールを運搬するトラックが止まっていた。古びた、しかしかっこいいトラックで、荷物の上には1匹のダルメシアン。もしかしたら運営車両ではなくて、展示物だったのかもしれない。
通常のチケット価格は、大人38.63ドル、子供31.98ドル。BGと同じように、園内で買えば、2回目の入園は9.95ドルに割引される。BGは翌日限定だったが、SWは2回目は7日以内に入園すれば良いルール。また、いくつかのパークを組み合わせたチケットも売っていたが、BGで売られていたものとは少々ラインナップが異なる。
4パーク・オーランド・フレックス・チケット−−−名前がやや違うが、私たちがBGで買ったチケットと同じ。BG、USF、SW、WWの4パークに連続した10日間入園可、大人125.95ドル、子供99.95ドル。この価格なら、4つのパークにそれぞれ1回入園するだけで元が取れる。
3パーク・オーランド・フレックス・チケット−−−SW、USF、WWの3パークに連続した7日間入園可、大人94.95ドル、子供77.95ドル。この価格なら、3つのパークにそれぞれ1回入園するだけで元が取れる。
2パーク・アドベンチャー・パスポート−−−名前がやや違うが、BGでも売っていたチケット。BGとSWの2パークに連続した5日間入園可。BGではキャンペーン中特別割引として大人65.95ドル、子供54.5ドルだったが、SWではこの値段だけが表示されていた。
チケット売場には長い行列ができていたが、園内はそれほど混んではいなかった。しかし昼食時のレストランは絶望的に混んでいた。
SWは、朝から入場して夜まで計画的に行動すれば、すべてのショーと展示をゆったりと見ることができる。主なショーだけでいいなら、4時間か5時間。機械仕掛けのアトラクションはスカイタワーだけ、あとはショーも展示もすべてライブであるため、WDWやUSFとは違った魅力がある。
ショーは見応えがあり、期待を裏切りらない。良くぞここまで調教したなと感心することが多く、また人間と動物が仲良くしていて(調教によるものであって、本質的な仲の良さではないのかもしれないが)、心に染み入るものがある。ショーの魅力だけを比較すれば、WDWの3大パークやUSFとも充分勝負になる。
しかし、運営面は決して高度とは言えず、マイナーパークに近いレベル。来場者に対する配慮が、まだまだ不充分。この点では、WDW3大パークやUSFには遠く及びない。運営レベルが低いパークの場合、混雑さえしなければそれでもなんとかなるだろうが、混雑すると著しく快適性が損なわれてしまう。この点では、日本の古くからある遊園地が、たまたま混雑している日に行くとどうしようもない状態に陥っているのと良く似ている。
特に飲食店のキャパシティ不足は深刻なので、次回、混む時期に行くならば、食べ物はバーガーキングあたりで仕入れて、パーク内に持参しようと思う。水飲み場はあったので、飲物は持ち込まなくても死にはしない。
飲食店が不足しているということは、日陰で涼しく休憩できる場所があまりないということで、この点も問題である。SWでは、気分の悪くなった人を何人も見かけ、また長蛇の列のレストランでは目の前で白人の女性が倒れて、車椅子に乗せられていくのを目の当たりに見た。炎天下でなかなか休憩できなければ、体調を悪くする人が続出しても不思議はない。テーマパークやイベントにおける運営の最重視点は、「楽しませる」とか「快適に過ごしてもらう」という以前に、まず「お客様の安全を守る」ということのはずだが、このパークではこの点がおろそかになっていて、これは大問題。運営だけでなく、パークの設計の問題でもある。
参考資料 −−− スポンサー企業一覧(122kBのJPEG画像)