視察日:1997年8月15日(金)
場所---キシミーの町(オーランド市中心部の南21km)
面積---不明、そう広くはない
開業時期-50年前からあるという説がある
営業時間-日没まで(視察日)
入場料--大人14.79ドル、子供6.87ドル
ワニのテーマパーク。ただワニを見せるだけでは動物園の1コーナーになってしまうので、ショー仕立てにしたり、ヘビも取り扱ったり、汽車を走らせたり、いろいろ努力はしている。規模は小さく、見学は3時間程度で充分。
滞在も後半になり、日程的に余裕が出てきたので、「これぞマイナーパーク」というところにも行ってみようと思い、ゲーターランドに注目した。現地で手に入れた小型チラシには、「ゲーターレスリング」と称して、ワニの口を両手でこじ開けている係員の写真があった。これはキワモノのにおいがプンプンする。フロリダはそもそも湿地帯で、ワニがうようよしていて、たまに食われる人もいる、と聞いたこともある。フロリダは、ワニのメッカなのだ。これはもう、行くしかない。
WDWリゾートの近くのホテルから15分ほどの距離。CG同様に、最後は田舎道をトコトコ走る。マイナーパークは、こうでなければいけない。10時過ぎに到着。駐車場は見たところ、20台分くらいしかない。先客は、2台か3台のようだった。
街道筋のドライブインみたいな安っぽい建物の一角に、ワニの口を模した入り口があった。いかにも、誰でも思いつきそうなアイデア。予算の関係からか、あまり大きくないのが寂しい。
ワニの口の中には、プレハブ建物のような安っぽいドア(手動)があり、入ると冷房が効いていた。まずはおみやげ物屋さんのゾーン。その奥に入り口があり、入園料を払う。クーポンブックで見つけたクーポンを出すと、大人13.95ドルから1ドル引いてくれた。子供は定価8.95ドルだが、なぜか無料になった。このあたりにも、CG同様に、マイナーパークらしさがある。
経費節約の努力は徹底していて、まず、チケットはない。チケット売場=ゲートとなっていて、お金をもらったら手の甲にべったり緑色のスタンプを押される。これで終わり、まことに安上がり。さらに、配布用のマップとかショー・スケジュールもない。そのかわりに、クーポンブックを一冊くれた。なんのこっちゃと思って良く見ると、そのクーポンブックの表紙はゲーターランドになっていて、初めて見るタイプ(それまでに何冊も集めていた)。中は、最初の見開きが園内マップとショー・スケジュール、その後のページは、オーランド近辺の各テーマパークの広告と割引クーポンになっていた。
ショーは3種類、1回15分で、順番にそれぞれ毎時30分にスタートする。つまり、最短で3時間15分いれば、3つのショーをすべて見ることができる。入場した時にちょうどゲーターレスリングが終わってしまい、観客がばらけるところだった。ここにいる人たちが、現時点でのパーク入場者のすべてだと思われるが、その数は予想以上に多く、30人くらいだった。次のショーまで45分もあるので、園内を回ることにした。
動物の展示室はほぼ一列に並んでいて、小動物の動物園という感じ。ワニの仲間なので、ヘビが充実している。山羊や羊、ニワトリなどに餌をあげるコーナーでは、係のおばさんが常駐していて、動物の説明をしていた。このおばさんが、このパークで最も一生懸命に働いていたように見えた。その理由は、小さい子供ばかりなので、動物を手荒に扱ってしまう可能性があり、しっかり見張っていないと動物がかわいそうであるからと思われる。エサは、ソフトクリームのコーンに配合飼料を山盛り入れて、1.25ドル。コーンも最後は餌になるので、ゴミが出ない。このアイデアは素晴らしい。
記念写真コーナーが2つほど。ひとつは大きな生きているヘビを襟巻きにしての写真、もうひとつは作り物の巨大なワニが口を開けてるところに顔を突っ込んでの写真。ポラロイド写真で、1枚5.66ドル。巨大ワニの方は、バックに密林の絵が描かれ、スモークまで焚かれて、雰囲気の演出が凝っていた。しかし、人気はヘビの襟巻き写真の方。やはり本物の迫力にはかなわないということか。
ショータイムの数分前に、会場へ。30人くらいの観客が、会場のワニ池を取り囲んでいる。係員が出てきて、中央の物見櫓みたいな場所から、丸ごとのチキンをワイヤーに引っかけ、プールの中央へ移動させた。水面の1mぐらい上でプラプラしている。
すると、それに気がついたワニが静かに近づいてきて、ここらで良いかなとドシャっとジャンプ、口をガバッと開く。なかなかの迫力。しかし、なかなか一撃必殺とはいかなくて、何回目かのトライでようやくもぎ取りに成功していた。
数回これをやって、次は櫓の窓から係員がチキンを手に持って身を乗り出した。ワニの名前を呼んでチキンをプラプラすると、すーっとワニが寄ってきて、ドシャッとジャンプ、1/2ぐらいの確率でチキンに食いつく。どうもワニは名前を呼ばれると分かるらしく、ちゃんと係員が指さしたワニがやってきていた。ワニは思ったより頭がいい、驚いた。それとも、近づいて来そうなワニを指さして、適当に名前を呼でいるだけかもしれない。
毎日こんな事をしていれば、たまには間違えて係員が手を食われたり、池に引きずりこまれて丸ごと食われたりしそうな気がする。その対策であろう、係員はぶ厚い皮の手袋をして、腰には命綱が付いていた。
係員がワニと力比べをするショー。最後に係員がワニの口をこじ開けて見せた。
いろいろな大ヘビの紹介説明ショー。PAの音質が悪く、説明は早口で、さらに固有名詞の連発で、ヒアリング力が弱い私には、何を言っているのかほとんど分からなかった。ワニの2つのショーと比べると、格段につまらなかった。
1皿に凍った小さなアジ5匹で2.07ドル。みみっちく外税。でも、小ワニたちは良く見えていないのか、満腹なのか、それとも冷凍のままではいやなのか、食いはいまひとつ。小ワニは水中に落ちた魚を見つけて食べることができないようで、陸上にいるワニの近くに投げた餌だけ、もっそり近づいて拾って食べていた。
パークの奥には沼地の散策コースがある。地上から1mくらいの高さに木道が続いていて、いかにもワニが出てきそうな雰囲気であったが、蚊のほかには何も出てこなかった。日なたは暑いので、コースがうっそうとした林の中で日陰なのが助かったが、それでも蒸し暑かった。
ライドもひとつだけ、園内の半分を回るミニ汽車がある。運行スケジュールは黒板にチョークで「次の列車は**時**分」と書かれていて、どうも1時間に1回ぐらいの模様。たまたま通りがかったら10分後の出発なので乗ってみた。眺めがいいのは最初の1/4くらいで、ワニも数匹いる大きな池の回りを通ったら、その後はフェンスの脇とか動物展示室の裏側など、殺風景なところばかり。これは大いに改良の余地があると感じた。
パーク内にレストランはなく、園内の中央にスナックと飲物の売店が1軒だけ。暑かったので飲物やソフトクリーム、シェイブドアイス(かき氷のアメリカ版)が良く売れていた。
パークとしてのビデオやスーベニールブックは発見できず。そのかわり、他のパークで見たことがない、オーランドのテーマパーク全般を紹介するビデオがあった。一瞬、買おうかと迷ったが、何だか少し怪しいのでパッケージをなめるように点検したら、10年以上も前に製作されたもので、値段もそう安くはなかったので、購入しなかった。
ワニ革の製品は豊富に並んでいた。ワニ革製品は、現在は日本には持ち帰れないが、アメリカの国内旅行ならご禁制品ではないのかもしれない。中南米から来たと思われる人もオーランドでは少なくなかったが、その人たちの国ではご禁制品になっているのかどうか分からない。
このパークは、もしかしたらワニの養殖場を兼ねていて、ワニ革製品の売上で食っているのかもしれない。
CGにはペニーつぶしはなかったので、「マイナーパークにはペニーつぶしはない」と思っていたのだが、GLには置いてあった。ただし手動で、なおかつ老朽化のためか油ぎれのためか、ハンドルがとても重たかった。出来映えは他のパークと同様、ちゃんとしたものが出てきた。
視察日はショーは3種類だったが、1998年12月にゲーターランドのホームページを見ると、スネークショーはなくなっていた。
CGとGLの2つを見て、マイナーパークにも2種類あることが分かった。寂しいパークと、寂しくはないパークだ。当然、CGは後者で、GLは前者。その違いは、規模も関係するが、何より経営者や係員のホスピタリティ精神であると思われる。
CGは、庭園や施設は良く手入れされており、決して新しくはないが、ボロイという感じはしなかった。パークのスタッフたちも、一生懸命やっていることが良く分かった。しかしGLは、あちこち手すりや金網が錆びていて、おみやげ物屋さんでもビデオなどあまり売れていない商品は真っ白に埃をかぶっていたり、随所がボロイ。スタッフも覇気がなく、ショーの係員も「時間が来た、仕方がない、はじめるか」という感じだった。
日本の植物園や動物園的な性格を有するパークでは、向ヶ丘遊園や神代植物園、上野動物園、多摩動物園、二子玉川のイヌタマ&ネコタマなどが、寂しくないパークである。CGは、こちらのグループに入る。那須サファリパーク、伊豆の熱川バナナワニ園、群馬の日本スネークセンター(薬酒の陶々居の経営)などは寂しいパークである。GLはこのグループに入る。
このように考えると、ミニ動物園的なパークは、寂しいパークになりやすいのかもしれない。植物園的パークならば、必然的に修景に力を入れるので、錆びたフェンスはそのまま放置しないが、動物園的パークはあくまで見せ物は動物だから動物さえ見せてやればいい、などと考えてしまうと、錆びたフェンスがそのままになる。また、日々のランニングコストも、動物園的パークは植物園的パークよりもエサ代の点で負担が大きい。さらにスタッフも、一般論として、動物好きの人は園芸好きの人よりも他人に対するサービス精神が少ないような気がする(と言うか、園芸好きの人には、サービス精神が旺盛な人が多いように感じる)。