メディバルタイムズ(MT)

視察日:1997年8月13日(水)


施設の概要

場所−−−オーランド市の隣のキシミーの町
        (オーランド市中心部の南南西29km)
面積−−−不明
開業時期−不明
営業時間−18時30分から21時30分(視察日)
入場料−−大人36.95ドル、子供22.95ドル(食事、飲物付)

施設の特徴

アメリカに6カ所ある、アメリカ人の間で大人気(とチラシに書いてあった)のショーレストラン。オーランド近辺のショーレストランの中でも人気ナンバー1(とホテルのゲストサービスデスクのお姉さんが言ってた)。レストランの名前を直訳すれば、「中世の時代」で、ショーの中身は中世の騎士の馬術腕比べ&馬上槍試合。

ショー

 予約

オーランド近辺は、WDWのプレジャーアイランドやお化け屋敷で有名なチャーチ・ストリート・ステーション、そして何軒もあるショーレストランと、夜のエンターテインメントも充実している。そこで、ひとつぐらいは行ってみようと思い、ある日の夕方、ホテルのゲストサービスデスクでお姉さんに聞いてみた。「英語がほとんど分からないファミリーでも楽しめるショーレストランは。どれ?」。するとお姉さんはまったく迷わず「メディバルタイムズがベスト」。18時30分にドア・オープン、19時には現地に着いていた方が良く。クルマで15分くらい。20時から1時間半のショー、とのこと。

そんなに遅くならないうちに帰ってこられるので、子連れには助かる。そこで、今晩の空きがあるか聞いてみると、お姉さんはどこかに電話して問い合わせて、「OK」。値段は定価よりも少し安くなり、大人34ドル、子供21ドルになった。

 入場するまで

クーポンには、「ドア・オープンはショータイムの90分前、早く着いた人からいい席に案内する」と書いてあった。そこで、片道15分ということだったが多少は余裕を持って、18時30分にホテルを出発。しかしキシミーへ向かう192号線が予想外の大渋滞。40分もかかってしまった。

道路沿いに、中世のお城を模した建物が見えた。駐車場に続々とクルマが入っていく。建物の入り口には、すでにかなり長い人の列ができている。これではあまり見えない席になってしまうのではなかろうかと、不安になった。

行列に並ぶと、20分くらいで入場できた。入り口で数字が書かれた色カード(私たちは緑色の5)と、同色の紙の王冠を人数分渡されて、中世ヨーロッパ風の鎧に並んで写真を撮られた。中世の衣装と顔を合成した写真を、あとで気に入ったら買ってくれ、というシステム。

 ウェイティングホール

広々とした空間だが、それ以上に客が多く、ぎっしりという感じ。ホールの片隅にはショップが数軒あったが、人混みをかき分けてそこまでたどり着くのが大変だった。

ホールの端に、人口密度の低い、椅子とテーブルがあるサブルームがあったので、ここでメインホールの開場を待った。このサブルームの飲物カウンターは観光地価格で、コーラが1.5ドル、コロナビールは3ドルだった。

ホールでは、カウント伯爵(と聞こえた)が登場し、アジ演説を始めた。王冠の色ごとに赤、青、白、緑、黄、赤と黄色のストライプ、黒と白のチェックの6チームに別れ、それぞれの騎士を応援するシステムのようだ。ぜひともわがカラーが勝利するよう、一生懸命に応援をしよう、とか何とか言っている。客は大喜びで、歓声を上げたり拍手したり、すでにかなり盛り上がっていた。

見渡すと、客層は大半が白人で、中高年者や子連れも少なくないが、南米系やアジア系はほとんどいなかった。シーティングは20時とのこと。つまり20時はショーの開始時刻ではなくて、席へのご案内の開始時刻だった。

 シーティング

時間になって、色ごとに入場が始まった。呼ばれた色の人は、アナウンスに「ウォー」と雄叫びをあげ、とてもうれしそうに入場していく。私たちの緑チームは最後だった。

ようやく緑がアナウンスされて、中へと進んだ。真ん中に1対4くらいの細長い砂の馬術競技スペースがあり、これを雛壇になった観客席が取り囲んでいる。観客席は中央の馬術競技スペースに向かって、横に細長い連続した椅子と、同じく細長い連続したテーブルで構成されている。さらにそのさらに前方に、通路(サービス動線)が通っている。この配置なら、物を食べながらショーを見物しやすく、またウェイターが料理をテーブルに持って来やすい。

案内された座席は、緑のブロックの前から5列目。6列か7列しかないので、後方になる。あまりいい席とは言えないが、メインホールはそう大きくない空間であり、また雛壇の傾斜がかなりきつく、さらにサービス動線の通路もあるため各列の間隔はけっこう離れているため、どの席でも中央の馬術競技スペースは良く見える。

ただし、1人当たりの面積はとても小さく、狭っ苦しい。1列12人ぐらいが横に並んですし詰め状態で座るので、途中でトイレに行くのは大変。真横へは移動できないので、靴を脱いで椅子に立ち上がり、後列の前の通路によじのぼり、そこで靴を履いて、ということになる。

 ショー

ショーが始まる少し前に、応援をするための小旗を売りに来た。ちゃちだが1ドルと安かったので、買って娘に持たせた。この旗は良く売れていた。

やがて、ファンファーレとともに各色の鎧をまとった6人の騎士が登場。前半は乗馬の技術や槍さばきを競う。乗馬は斜めに走ったり、いろんな技を見せていた。槍さばきは、馬上から小さな的に槍を通すというもの。一見してかなり難しそうで、騎士たちの成功率は50%前後だった。

バルコニーには王と王妃、そして伯爵が並んでいて、伯爵が司会進行役。槍さばきは上手にできると、その色の応援席からは拍手喝采、そしてバルコニーで見物している王妃からバラが投げくだされ、騎士はそのバラをいただいた後に、自分の色の応援席に投げ入れ、またまた応援席が盛り上がる。緑の騎士は絶好調で、ほぼ満点のできだった。

ハイライトはショーの後半の、トーナメント方式での1対1の馬上槍試合。騎士は従者を引き連れて、落馬すれば馬なしで戦う。槍を落とせば従者がかわりの武器をすぐに手渡す。緑の騎士はシードされずに1回戦から出場した。すぐに落馬したがその後善戦し、一進一退の攻防を繰り広げる。シナリオ通りの進行なのだろうが、応援席はワーワーキャーキャーすごい盛り上がりだ。追いつめられたところで敵の顔に砂を投げつけて逆転勝利したが、王様から「反則負け」の宣告。応援席は拍手喝采転じてブーイングの嵐。これで自分の色の騎士の試合が終わりでは、盛り下がってしまうところだが、そのへんは心得たもので、ちゃんと敗者復活戦がある。緑の騎士は敗者復活戦ではフェアプレイで戦ったが、でも負けてしまった。

最後に勝ち残った騎士が王様と王妃様に誉められて、ショーは10時に終わった。正味1時間半ぐらい。餌を工夫しているのか、馬の糞が見苦しくない緑色だった。

飲食

 食事の内容

デニーズやパーキンス、ワッフルハウスなど、オーランド近辺の街道筋にあちこちあるファミリーレストランでは、ひとりどころか、親子3人でも、34ドルも食えない。20ドルか25ドルがいいところ。MTの入場料が、半分は料理、半分はショーだとすると、料理の値段は親子3人で44.5ドルとなり、ファミリーレストランの倍になる。さて、どのような料理が出てくるのか、少しは期待していた。

この日のメニューは、飲物(ペプシかビール)、スープ、ピザ、赤ワイン、チキン半身、スペアリブ1本、ポテト1/2、最後に菓子パンとコーヒー。量的には充分で、味もまあまあで、ファーストフードの店と同程度。チキンの半身は、日本のケンタッキーフライドチキンよりも美味しかった。

 食事のサービス

食事の内容は、食えないしろものではなかったが、食事のサービスがあまりに殺伐としていて、この点にはあきれた。少ないウェイターで短時間に大量の観客に食事を運ぼうとするあまり、肥やし撒きになっている。食器は最初から置いてあって、1列分のスープが入った鍋を持ってきて、ホイホイホイとよそっていく。続いて1列分のピザが乗ったトレイを持ってきて、ホイホイホイと皿に置いていく。以下同様。ウェイターやウェイトレスは時間に追われているかのように余裕のない顔で、ただ忙しそうに急いで配るだけ。これならば、あまり評判が良くない飛行機の機内食のサービスの方が、よっぽどましだ。

また、ナイフとフォークもなし(子供は頼めば出してくれる)、肉は手づかみで食え、スープはカップなのでスプーンがなくても何とかなるだろ、というシステムも気にくわない。広いとは言えない空間に一列にきちんと並んで、肥やし撒きの食事を食べさせられて、まるで養鶏場のにわとりになったような気分がした。

ペプシかビールを選べる飲物も、ウェイターは両手にそれぞれにピッチャーを持って、どちらかをグラスにドボドボと注ぐスタイル。手は2本しかないので、飲物は2種類からの選択になるわけだ。おかわりしたくても、ウェイターとウェイトレスはとても忙しそうで、とうてい頼める雰囲気ではなかった。

さらにひどいのは、食器やグラスが、ある程度時間がたったら、勝手にどんどん下げられてしまうこと。小1の娘は、1日1回しか飲めないことになっている貴重な砂糖入り飲料のペプシを、なかなか減らないようにチビチビと大切に飲んでいたら、まだ半分くらい残っていたのに、さっと下げられて、ウェイトレスは早足で逃げていってしまった。当然、大泣き。後で損失補填する約束をして、何とかなだめた。

挙げ句の果てに、食事の終わりに各テーブルに「チケットにはチップが含まれていません」と書かれた紙の載ったトレイが配られた。露骨にチップを要求している。騎士は一生懸命ショーを演じていたように見えたので、多少はチップあげてもいいかな、という気がするが、およそテーブルサービスレストランとしては地球上で最悪と思われるサービスをしてくれたウェイターとウェイトレスには、喜んでチップを払う気にはなれない。

そこで、親子3人で89ドルの入場料を払っているのだが、チップは5ドルだけにした。帰りしなに隣のテーブル(白人の父+小学生くらいの子供2人)を観察したら、チップはまったく置かれていなかった。「しまった、こういう時はこのくらい厳しく意思表示した方がいいのか、じゃあ私たちのチップも撤回しよう」と思ったのだが、すでに自分たちのテーブルを離れ、出口へと向かう人の流れの中を後戻りするわけにもいかなかったので、5ドルはそのままになってしまった。大変心残りであった。

物販

 記録図書類

帰りのウェイティングホールは空いていたので、おみやげ屋さんをひと回り。1ドルのスーベニールブックを購入。薄くて内容が乏しく、値段相応です。今回の視察で集めたスーベニールブックの中で、最も貧相でした。

 記念写真

ショーの途中、入り口で撮った写真を売りに来た。全員に、すでに完成品になっている写真を配った。数分後、また売り子がやってきて、写真が欲しい場合は売り子に代金を支払う、というシステム。中世の騎士やお姫様に合成されていたが、写真としてはかなりひどい出来映えだった。隣の白人の父+子供2人は、3人分買って、12ドル払ったように見えた。1枚4ドルならそう高くはない。しかし1枚3ドルどころか、1ドルの価値もないと感じるくらい写りの悪い写真だったので、私たちは売り子に写真を返した。回りを見渡したところ、買っている人の割合は半分くらいだった。

備考

 キャパシティ

座席数はざっと数えたところ、各色200名、合計で1200名程度。ひとり平均入場料を30ドルとすると、1回の入場料売上げは36000ドル。

企画のネタとして

ショーの内容については、好き好きがあると思う。プロレスを見てアツクなれる人には向いている。しかし、「プロレスって、シナリオがあらかじめ決まっていて、その通りにやるんだろ」という醒めた目の持ち主には不向き。その中間くらいの私は、前半の馬術競技と槍さばきはなかなか楽しめたが、後半の馬上槍試合は他の客のようには熱狂できなかった。

ホテルのゲストサービスデスクのお姉さんがMTを私たちに勧めた理由はたぶん、「メディバルタイムズは、言葉が分からなくても、大人でも子供でも、誰でも楽しめる分かりやすい夜のエンターテインメントであるから」だったと思う。この点はたしかにその通り。英語のジョークを楽しむようなエンターテインメントよりは、MTの方が英語理解能力の低い人には向いていると思う。

食事は、「ここはレストランではなく、肥やし撒きサービス(決してテーブルサービスとは言えないサービス)付きのファーストフード店だ」と思えば、何とか我慢できる。レストランの皮をかぶったファーストフード店だから、チップは要求されるが、不要だ。

料理の値段は、私の相場感覚ではひとり5ドルぐらい。とすると、大人34ドルの入場料のうち、29ドルがショーチャージということになる。ショーが29ドルに値したかというと、これは難しい。アツクなれる人とアツクなれない人の中間くらいに位置する私としては、答えは「NO」。メジャーなテーマパークが40ドルくらいの入場料で朝から夜まで遊べるのに、この程度の1時間30分のショーでは、10ドルか、いいとこ15ドルが関の山だと思う。しかし、プロレスが好きな人から見れば、リングサイド席(1万円以上することもあるらしい)よりもはるかに安い。

MTは大人気で、全米に6カ所ある、とのこと。しかし、このような内容でこの値段で、どうして大人気になるのか不思議だ。アメリカ人は、みなアツクなる人たちなので、こーいうのがすごく受けるのだろうか。

次の項目 −−− 今回利用したホテル

アメリカ・フロリダ州 集客施設/イベント・視察レポート 目次

海外集客施設/イベント・視察レポート メニューページ

トップページ