視察日:1997年8月13日(水)
場所−−−オーランド市(市の中心部の南西13km)
面積−−−不明、ディズニーのウォーターパークよりは広い
開業時期−不明
営業時間−21時まで(視察日)
入場料−−大人24.95ドル、子供19.95ドル
全米各地にある独立系のプールパーク。オーランドのWWは、オーランド最大のプールパークらしい。各種のプールと多彩なスライダーが魅力で、この点では日本の遊園地のプールに似ている。テーマ性は希薄であり、ディズニーのウォーターパークとは演出性の点で大きく異なる。
日曜日の午後、サイプレスガーデンの帰りに立ち寄った。15時50分に広い駐車場に着いたら、もう帰った人がいるのだろう、ゲートに近い方がぽつぽつ空いていて、助かった。
周囲にあまり人がいないことをいいことに、クルマの中で水着に着替え、5分くらい歩いて、16時20分に入場。チケットはBGで購入したオーランド・フレックス・チケット。
ロッカーを借りるべくカウンターへ行くと、「16時30分からロッカー代が半額になるので、しばし待て」とのこと。そこで、まずプールサイドに出て、ビーチベッドを確保してから、またカウンターに行った。貸しロッカーは定価4ドル、これが2ドルに割引になった。デポジットは定価通りの3ドルだった。
一見して、空間がゆったりと、余裕を持って作られている。そのため、園内にはかなりの人が滞留しているが、人口密度はそれほど高くなく、大混雑という感じはしない。ビーチベッドの数はかなり多く、RCやTLよりも多いのは間違いない。BBと同じかそれ以上。これなら、かなりの滞留者数になっても、席探しに途方に暮れることはなさそう。さらに、もう夕方に近かったためか、ビーチベッドの空きがあちこちにあった。
波のプールや流れるプールで使える貸し浮輪は、無料ではなくて4ドル、デポジット1ドル。セコイ気もするし、さらには借りたらずっと持ち歩かなくてはならないので、まことに不便。この点では、TLやBBの方が顧客満足度が高い。しかしWWでは、TLやBBと違って、流れるプールで使う巨大な浮き輪を波のプールにも持ち込めるので、この点では良い。
波はTLほど大きくはなく、BBと同じ程度。波のプール自体の演出性が低いので、空間的には、日本の遊園地の波のプールに良く似ている。プールの水は、不思議なことに軽く塩味が付いていた。原因は、来場者の汗がかもしれない。だとすると、少々恐ろしい話だ。
距離が短く、ほとんど演出がないので、楽しみは少ない。ここはオーランド最大のウォーターパークらしいが、波のプールと流れるプールはそう広くない。しかしそれ以外の部分が広いので、パーク全体としては面積は大きく、さらにラグーンの部分を合算すれば、ものすごい面積になる。
WWは、ラグーンが園内にあるというか、ラグーンが園内に隣接しているというか、とにかく広大なラグーンの一角をパークとして利用している。ラグーンには、ニースキーと、ジェットスキーでチューブを引っ張ってもらうワイルドワンという2つのアトラクション(いずれも別料金)がある。いずれもライフベスト着用義務づけで、通常の遊泳は禁止されている。
ニースキーは、ブギーボードみたいな小さな板に正座して、引っ張ってくれるロープを両手につかんで、波乗り状態で水面を進む、というユニークなアトラクション。うまくできるとラグーンをほぼ1周(400mか600mくらい)できるが、たいていの人はスタートか最初のカーブで、つまり開始して数秒でクラッシュしていた。ガイドブックによると、最初のカーブまでに落ちた人は再挑戦できるらしい。とてもおもしろそうだったが、長い行列ができていたので並ばなかった。
スライダーもそこそこに充実していた。高速直線的落下型スライダーを着水地点で見物したが、ほぼ垂直に近い角度で落ちてきて、水しぶきがすごかった。BBの売り物のサミット・プラメットには長さや演出性の点でかなわないが、目をつぶってしまえば感覚としてはかなり近いと思う。スライダーは全部で4種類、待ち時間は20分から30分程度だった。
ボートでの急流下りがなぜか充実していて、3種類。そのうちのひとつ、とても大きなボートを使うアトラクションでは、ボートの輸送が自動化されていて、専用リフトで上へ運ばれていく様子がおもしろかった。待ち時間は、20分から30分くらい。
小さな子供向けにはキッズプールや巨大すべり台、噴水のプールなどがあり、バラエティは豊富。この点ではTLやBBを上回る。プールやアトラクションの豊富さで、オーランド最大のウォーターパークと謳っているのかもしれない。
また、パークに隣接して、コンゴリバーというアドベンチャーパターゴルフがあった。遠くから見た感じでは、客はまばらだった。
少し遊んだだけで陽が傾いてきて、水から出ると肌寒いほどに気温が下がってきてしまった。天気のいい日の日中はジリジリと極端に暑く、ならばと思って夕方にするとスコールが来たり肌寒かったりして、今回の視察では、ちょうどいい気候でプールパークを長時間楽しむということができなかった。
18時に退園。引き上げる人が多い時間帯だったので、更衣室はかなり混んでいた。そこで、またもやクルマの中で着替えた。
豊島園のプールと同程度に、飲食や物販の売店がある。
ここでは発見できず。
ロッカーは4ドル+3ドル、チューブは4ドル+1ドル、タオルは2ドル+1ドル、ライフベスト(ニースキーの際は着用が義務づけられる)0ドル+1ドル。
17時から発売。大人12.48ドル、子供9.98ドル。
急流ボート下り3種のうち、最も新しいと思われるものにはスポンサー名が冠され、「FUJI FLYER」となっていた。フジフィルムは数社あるWWの協賛企業の中でもやや別格のようで、キッズプールの横にはロゴ入りの気球(全長5m程度)がディスプレイされていた。
TLやBBはテーマパークと言えるが、WWは遊園地のレベル。流れるプールで漂っていると建物の裏側が見えたりして、作りが甘い。しかし、時間が遅かったこともあってか、WWは空いていて、この点では非常に快適だった。楽しさの質が高いが混んでいるテーマパーク・ウォーターパークと、たまに寂しい気持ちになるが空いている遊園地・ウォーターパーク、さてどちらに行こうか、と考えると、迷うところだ。
テーマ性を設け、高度な演出で楽しいプールパークにしようというTLやBBと、ほとんどテーマ性や演出性がなく、ただひたすら設備の豊富さで集客しようとしているWWは、設計思想からして、まことに対照的だ。
真の意味でのリゾートとしてのプール、つまり快適な空間(構成要因としては、気候や人口密度、閉鎖性、静かさ、サービスなどなど)でのんびりプールで過ごそうと考えるならば、プールパークよりもある程度以上のグレードのホテルのプールの方がいい。ハワイのロイヤルハワイアンやハレクラニのプールは、絶品である。今回利用したエンバシースイート・レイクブエナビスタのプールも、ルームチャージ110ドル程度のホテルとしては、予想外に上々であった。しかしもう1軒の利用ホテルであるウィルダネスロッジのプールは、客室のキャパシティと比較するとプールが貧弱で、その結果人口密度が高すぎて、プールパーク化していて、とても落ち着いた雰囲気とは言えない状況だった。
プールパークは、のんびりプールで過ごすための場所ではなく、一生懸命身体を使ってくたびれ果てるまで遊ぶところである。この観点からは、遊びの楽しさがプールパークの第1の条件となる。そう考えると、TLやBBの高度な演出は、かなり費用がかかっているが、集客力の強いプールパークづくりのためには、的外れではない。しかし、WWの集積度と、広大なパーク面積による人口密度低減効果による快適空間は、捨てがたい。
空いているTLやBBは、きっと、たっぷりと遊べてすごく楽しい。しかし大混雑してしまうと急速に快適性が下がってしまうので、そのような場合はWWの方が魅力的に感じる。このあたりは、私(注:TDL訪問歴100回以上)にとっては、日本の東京近辺におけるTDLとその他の遊園地の関係に似ている。平日の休みが取れたなら、迷わずTDLに行きたくなるが、TDLが大混雑している日は、あまり混まなそうなところに行きたい。
このような考え方をする人は、決して少数派ではないと思う。そのため、ディズニーのウォーターパークが大混雑している限りは、WWの経営は安泰であろう。また、オーランドにはWWよりも小ぶりながら、ウォーターマニアというウォーターパークもある。今回の視察では外から眺めただけだが、WWよりもさらに空いているように見えた。WWの混雑に参った人は、ウォーターマニアへ流れるのであろう。WWが繁盛している限りは、ウォーターマニアも潰れないと思う。
参考資料 −−− スポンサー企業一覧(103kBのJPEG画像)