視察日:1997年8月5日(火)、6日(水)、14日(木)、17日(日)
場所−−−WDWリゾート内
(オーランド市中心部の南西27km)
面積−−−パーク面積110ha、敷地面積230ha、
WDW全体の面積11,330ha
開業時期−1983年
営業時間−フューチャーワールド:9時−21時(視察日)
ワールドショーケース:11時−21時(視察日)
以前は夏期は24時までだったという情報あり
入場料−−大人42.14ドル、子供33.92ドル
(長期割引チケット各種あり)
「EPCOT」は、「未来社会の実験的なモデル」の頭文字。会場はフューチャーワールドとワールドショーケースの2ゾーンに分かれている。1985年の国際科学博覧会(筑波の科学万博)では、エプコットのアトラクションのパクリが続出した。
TDLにも最近設置されたアトラクション。待ち時間が長い、という情報を得たため、サプライズド・モーニングをやっている火曜日、開園(8時)と同時に入園して直行したが、20分待ち。あれやこれや演出たっぷりの3D映像シアターで、大いに楽しめる。これまでに見たことがあるいくつかの3D映画よりも映像の飛び出しが良く、迫力があった。客席での演出で観客を驚かす点では、MKのエイリアン・エンカウンターと似ている点もある。
7年前に来たときは長蛇の列であきらめたのだが、今回は30分待ちだったので、並んでみた。ガイドマップに「3歳以上が乗れる」と書いてあったので、おだやかなシミュレーターと予想したのだが、実際はかなり動きがハードで、気持ち悪くなった。そのような人が少なくないのであろう、出口に冷水器があり、ありがたかった。
治療のためにミクロ化して人間の体内に入り、目的を達して無事脱出するという、「ミクロの決死圏」のようなストーリーだが、血流や心臓の拍動に翻弄され続ける映像は、せわしないばかりで美しくも感動的でもなく、大いに不満。知的に情緒的にじっくり探求しよう、という姿勢が感じられず、表面的な刺激のみを追求していて、EPらしくないアトラクションと感じた。
プレショーの映像の後、100人乗りのライドに乗って人類とエネルギーの関わりの歴史を探検する。太古の恐竜の世界でティラノサウルスとステゴザウルスが戦っていたが、ユネスコ村の大恐竜館の方が迫力が上。
この時点で11時。かなり混んできて、アトラクションの待ち時間も長くなっていたので、休憩を兼ねた昼食の後、13時に退園した。
サプライズド・モーニングをやっていない日の方が空いている、という情報を得たため、1回目の翌日の水曜日(平常日)に再訪問。開園時刻の9時くらいに入園し、行列に並んだ。長い列だが朝一番だったためかどんどん進んで、待ち時間は15分くらい。4人乗りのライドに乗り、太古から現在までの文字、印刷、電話、通信など人類のコミュニケーションの変遷を振り返り、最後に未来を展望する、という知的な内容。EPらしいアトラクション。
海底基地に降り、海と人類のかかわりを学び、かつ海の生物を見るという趣向の水族館。マナティが、ザ・ランドで栽培されたらしい(箱にそう書いてある)白菜を食べていた。生きたエイの赤ちゃんが生まれた日別の小さな枡に入れられ、成長する過程が一目で分かる展示は思わず見入ってしまう。
細かい部分まで良く配慮されていて、展示のレベルは極めて高い。親が少し解説してやれば、日本人の小1でも、充分理解できるようになっている点も素晴らしい。楽しいだけでなく、冷房が効いていて、人口密度も低く、なかなか快適な空間でもあったので、1時間くらい長居をしてしまった。
「水槽でダイビングをしよう」のパンフレットが置いてあり、係員に聞いたら「数日後なら予約が取れる日もある」とのこと。条件は、スキューバダイビングのCカード(オープンウォーター)保有者。子供は付加。料金は140ドルで、機材付。
ガイドつきのボートに乗り、近未来的な栽培方法で実験的に際に育てられている野菜畑を見るアトラクション。7年前とたいして内容が変わっていない。未来像と言うには、ちょっと古びた感じがする。
4人乗りのライドに乗って、想像力の世界を旅するアトラクション。ここも7年前とほぼ同じ内容だが、情緒的なアトラクションなので、古さをあまり感じない。ここの曲は名曲なのか、脳裏にこびりつく力が強くて、この日は1日中頭の中で鳴り響いていた。
涼しいので、通路代わりに何回も通過した。各社の出展ブースが並び、ヴァーチャルリアリティ体験など、おもしろそうなところもいくつかあったが、充分に楽しむには英語力が必要と思われる。
近未来の都市や農村の生活をライドに乗って見るアトラクション。7年前とほぼ同じ。内容的には好感が持てるのだが、いかんせんセットがかなりくたびれてしまって、とてもこれからの近未来には見えない。ずっと昔に考えられた未来、という感じ。リニューアルが近い、という噂を聞いたことがあるが、この古びた感じでは、急を要する。なぜこのように古びてしまうまで放置してしまったのか、ディズニーのパークとは思えない手抜きだと感じた。
サプライズド・モーニングをやっていない木曜日の夕方入園。イギリス館は、ショップとレストラン。バグパイプが演奏されていました。
その隣のカナダ館は、360度のサークルビジョンの映像。メカ的にはもう古ぼけたシステムで、映像もたいした作品ではないが、情緒があってなかなか良かった。
メキシコを紹介するボート・ライド。ここも情緒的な内容で、安心感があるがインパクトはない。夕暮れっぽい色調のバザール的ショップが風情を醸し出していた。
サークルビジョン映像で、タイトルは「中国の驚異」。歴史や伝統が強調されていたが、かなり昔の映像であることは一目瞭然。広場での少年少女の雑技団ショーに、大きな人垣ができていた。
ここのボートライドは、ワールド・ショーケースで唯一行列ができるアトラクション。30分待ち。大渦巻をモチーフにノルウェーを紹介するライドは凝った演出で見応えがあり、人気があるのもうなづける。
ボートを降りたらポストショーとして、小さな映像シアターがある。しかし、大半のゲストはさっさと通り抜けていってしまう。日本の博覧会のパビリオンでも、メインショーの映像やライドの後に小規模のポストショーを設置する構造とすると、ポストショーで足を止めてくれる人が少なくて困るのだが、同じ現象が起きていた。
映像はあくびが出そうな内容だったが、パスするのは作った人に失礼だと思って、きっちり見た。しかし、見終わったらとても眠くなった。おかげでその夜は、たいへん良く眠れた。
20時45分にノルウェー館を出たら、ノルウェー館前の最前列にはまだ空きがあったので、ここで15分後のイルミネーションズ25を待った。多少木の陰になるが、3基のウォータースクリーンのうちの1基のほぼ正面で、まあまあ眺めの良い場所。
定刻に始まり、レーザー光線が飛んで、各国館のイルミネーションが点灯してライトアップされ、花火が上がった。でも、会場が広すぎるためか、それともあれやこれやたくさん見えすぎるせいか、密度の低い、パラパラした印象。いつかどーんと盛り上がるのかと期待していたのだが、淡々とした調子のまま、10分間であっさりと終わってしまった。なんだ、これだけで終わりなの、という感じ。
サプライズド・モーニングをやっていない日曜日の午後、4回目の訪問。14時に入園してまずカナダ館のレストランで昼食、その後渡し船で対岸のフランス館へ。映像シアターは180度サークルビジョンとでも言うのか、半円柱状のスクリーン。ここの映像も、歴史や伝統が中心だった。
アトラクションのないパビリオン。モロッコの町並みを模したショップが広がっている。モロッコ料理はアメリカで人気があると聞いていたが、確かにここのレストランはにぎわっているように見えた。
ギャラリーでは根付けの特別展が開催されていて、中高年の欧米人が熱心に見入っていた。ショップの三越は、成田空港の日本のおみやげもの屋と同じような品揃え。
「氷」ののぼりがひらひらしていたので、思わずかき氷らしきものを買ってしまった。赤いのを頼んだだが、氷イチゴではなくて、チェリー味のシロップで、変な味。レインボーなるメニューがあって、何色かのシロップで虹状になったやつで、そこそこ売れていはいるが、とうてい食べる気になれないような商品だ。売り子のお姉さん(日本人)も「私もそう思う」と言っていた。
ひときわ大きなパビリオンで、アメリカ合衆国の建国の歴史をだどる映像。最後に大きな鷹か鷲が飛翔する映像にあわせて、愛国心をうたいあげる。終わったときに盛大な拍手が起きていた。
ショップとレストランのパビリオン。ソーセージとビールに誘われたのだが、まだ満腹で残念。屋外に大きなジオラマセットがあり、ドイツらしい風景の中を鉄道模型が走っている。なかなか完成度の高い、情緒のあるジオラマなので、しばらく見入ってしまった。
ショップとレストランのパビリオン。横の広場で、中世風のコスチュームの少人数の楽団のコンサートをやっていたので、終わりまで見入ってしまった。
11時20分に行ったら、ザ・ランドの館内はけっこう混んでいて、1階のフードコートは満席状態。2階のガーデングリル・レストランに行ったら、11時40分に案内できるとのことなので、予約した。呼び出し用に、発光ダイオードがたくさん並んでいる巨大なポケベルみたいな機械を持たされたが、11時50分になっても光らない。受け付けカウンターに申し出てみたら、そのまま案内された。故障していたのかもしれない。どのように光るのか、見てみたかった。
ここは、リビング・ウィズ・ザ・ランドを上から眺められる回転式の展望レストラン。料理はチキンや野菜が大皿に盛られて出される「オール・ユー・ケア・トゥ・イート」方式で、大皿が空っぽになったら次の大皿が出てくる仕組み。味の方はたいして美味しくはないが、食えなくもない、という感じ。
ミッキー&ミニー、チップ&デールが客席を回っていて、サインをしてくれたり、記念写真におさまったりしてくれる。どうも、料理の味よりも、こっちの魅力で客を集めているレストランのようだ。親子3人で55ドルほど。
別の空いている日の正午ころに行ったら、フードコートも比較的空いていたので、一番端にあるサラダの店で、サラダとスープを食べた。生野菜を食べるのは久しぶりだったので、とてもおいしかった。スープもなかなかのお味。親子3人で16ドルほど。
どうもこの店、メニューがサラダとスープと飲み物しかないので、フードコートに並んでいる店の中では最も不人気だった模様。他の店は数人づつの列ができていたが、この店にはほとんど行列ができない。でも、待たずに美味しいものを手に入れられて、ラッキー。
空いている日の19時頃、数分で案内された。冷たい料理と温かい料理の両方を楽しめるビュッフェ方式。まあまあおいしいが、けっこうなお値段なので、コストパフォーマンスとしてはあまり良くはない。親子3人で60ドルほど。
日本語のガイドマップには「ビュッフェ・スタイルのファミリーレストラン」とあり、英語のガイドマップには「バーガーやステーキなどのステーキハウス、ウォークインも歓迎」。この2つの情報を混ぜ合わせて考えた私は、「ビュッフェスタイルのステーキハウスだ。おそらく、コックが目の前で肉を焼いてくれるのを客がトレーを持って待つという、とても変わったスタイルではなかろうか」と、たいへん興味を持った。
14時頃行ったらすぐに案内されが、期待はあっさり裏切られて、フルサービスの普通のレストラン。でも、まあまあおいしくて、お値段もそう高くはなくて、コストパフォーマンスはなかなか。。キッズミールは、かなり安かったのに、とても美味しかったとのこと。親子3人で33ドルくらい。
高いが魅力的な商品が並んでいて、見るだけでも楽しい。じっと見ていると、だんだん欲しくなってきてしまう。その結果、ピルケースになっている陶器のシンデレラ城(25周年アニバーサリーでケーキにデコレーションされている)、206.7ドルなりを購入してしまった。
8個ゲット。エプコットのペニーつぶしは、なぜか全体的に目立たない分かりにくい場所(柱のかげとか壁の裏とか)に置いてあった。
外国館の多くで、子供向けの遊び兼学習コーナーが開設されていた。係員は、ボランティアと思われる。たとえばカナダ館では、カナダの代表的な動物の塗り絵。その他、簡単な工作や紙芝居などもあった。EPの知的なイメージに似合っているし、英語が分からない子供でも参加できようなメニューとなっている。このようなさりげないミニイベントも良く考えられているあたりに、ディズニーのノウハウの高さが感じられる。
MKとは異なり、EPでは英語版と同じ内容の日本語ガイドマップが配布されていた。
園内の混雑状況は、フューチャー・ワールドでは、サプライズド・モーニングをやっている日とやっていない日で、その差が大きかった。ワールド・ショーケースは、サプライズド・モーニングをやっていない日にしか行かなかったが、2回ともそれほど混んではいなかった。
EPは、アトラクションやパビリオンの配置がゆったりしていて、とても広々とした会場構成となっている。さらに、来場者がそう多くないため、園内の人口密度はMKやMGMスタジオと比べて格段に低い。この空間の快適さが気に入って、4回も訪問してしまった。
EPの最大の魅力は、情緒的であること。特にワールド・ショーケースは多彩な異国情緒にあふれていて、楽しみが深い。
ハウステンボスやカナディアン・ワールド、グリュック王国など、きちんと一生懸命作られた外国村型テーマパークは、その豊かな情緒が最大の魅力となっている。しかしこれらの外国村はひとつの国を再現するにとどまっているので、情緒の幅が広いとは言えない。たとえばハウステンボスは、その完成度とスケール感によって、情緒の奥行きはきわめて深く、そのため充分な満足感を得られる外国村だが、情緒の幅としてはオランダの情緒という領域にとどまっている。
これに比べて、ワールド・ショーケースは、いくつもの特徴的な文化を有する国を集めていて、建設費・運営費ともにたっぷりと予算を組んでいるので、情緒の深さ(完成度、本物感など)と、情緒の幅(多彩さ)が両立している。情緒が面的に広がっている、とでも言うのだろうか。情緒的なパークが好きな人間なら、1週間くらいは毎日通っても飽きないであろう。
ワールド・ショーケースでは、ほとんどのパビリオンに、レストランとショップとライブ・エンターテインメント(演奏やパフォーマンスなど)がある。ライブ・エンターテインメントはほぼ毎日、すべてのパビリオンで、1日数回のスケジュールが組まれていて、ひとつひとつは小粒だが、盛りだくさんになっていて充実している。ガイドマップとは別に、スケジュール表がゲートで配られているほどだ。ライブ・エンターテインメントがないのは、アトラクションが立派なノルウェー館だけ。
ぶらぶら散歩をしていると、向こうから何か聞こえてくる。あるいはショップの中できょろきょろしていると、表で何かが始まった気配がする。何だろうと様子を見に行くと、その国らしいライブ・エンターテインメントが始まったところ。だんだんと人の輪が広がる。欧米人も、アジア人も、黒人も、みんなうれしそうに見入っている。真ん中には、満面の笑みを浮かべたパフォーマー。そして見上げると、青空に浮かんだ雲がゆっくりと流れてゆく。あー、ここに来て良かったと、しみじみ思う。
また、レストランは、とても充実していて、TDLとは雲泥の差。そしてどのレストランも個性的で魅力的で、全部を回ってみたいと思うほどである。
フューチャー・ワールドは、6年前の時点でもやや古くさくなったアトラクションがあった、それらは今回もそのままだったように見えた。いつまでもこのままでは、「フューチャー・ワールド」の名がすたる。しかし、古くなってわくわくどきどきというインパクトを失った分、安心してのんびり見られるので情緒は増したようで、それもひとつの道かな、という気もする。
昔からあるアトラクションは、サプライズド・モーニングをやっていた日以外は、待ち時間が短かった。すでに現時点でも、集客力は確実に落ちてきている。そしてこのままでは、集客力は下がる一方だ。しかし、MKやMGMはとても強い集客力を持っており大混雑しているので、ひとつくらいはのんびり過ごせる混まないパークがあってもいいようにも思う。