MGMスタジオ(MGM)

視察日:1997年8月3日(日)、5日(火)、6日(水)


施設の概要

場所−−−WDWリゾート内(オーランド市中心部の南西29km)
面積−−−開業時のパーク面積55ha(その後拡張された)、
        WDW全体の面積11,330ha
開業時期−1989年
営業時間−9時−22時(視察日)、閑散期は19時までらしい
入場料−−大人42.14ドル、子供33.92ドル
        (長期割引チケット各種あり)

施設の特徴

ディズニー映画と、ディズニーが買収したMGM映画の資産を活用したスタジオパーク。ミッキーの顔の形の巨大な給水塔が遠くからも良く目立っている。

アトラクション&ショー

 グレート・ムービー・ライド

サプライズド・モーニングの日曜日、開園時刻の8時に到着したら、駐車場はけっこう前の方。「これは空いているのかな」と期待しながらパークインしたが、園内にはすでにけっこう人がいた。列は短かったが、アトラクションがすぐには動き始めなかったようで、待ち時間は30分ほど。

誰でも見たことがあるような過去の名作や最近の映画(エイリアン、メリー・ポピンズ、カサブランカ、雨に唄えば、西部劇など)の有名なシーンを再現したセットをライドに乗って回る。映画を見ていなくて、プレショーで映画のダイジェストを見せてくれるので、分かりやすい。ライドにはガイドが同乗するが、途中ギャング映画のセットで登場したギャングにライドを乗っ取られたり、演出も凝っている。情緒的なアトラクションにちょっとスパイスを効かせた感じ。洗練されている。

 リトルマーメイド

ちょうどショーが始まったところで、列の先頭で25分くらいの待ち時間。WDWのハードリピーターの間で評判が良いアトラクションだが、自分の目で見ると、その素晴らしさに感動を覚えた。基本的にローテックな作りのショーで、嫌みにならない程度にハイテクも駆使されており、バランスが良い。そして何より、演出のセンスが素晴らしい。

映画「リトルマーメイド」は、映像の美しさはディズニーだから当たり前としても、シナリオが良く練り混まれていて、登場キャラクターも魅力的、さらに使われている曲が名曲ばかりという、ディズニーアニメの最高傑作(と私は思う)である。そのため、映画の世界を忠実に再現すれば、それだけでそこそこには魅力的なアトラクションができあがる。しかしこのアトラクションの企画立案チームは、それでは飽きたらず、映画にはない3次元の世界ならではの魅力をアトラクションに付加しようとした。その答えが、ローテック+部分的ハイテクであったのだろう。

TDLのワンマンズドリーム(ミュージカル風大型ショー、今はない)やセバスチャンのカリビアン・カーニバル(小型ショー、これも今はない)と同様に、何度でも見たくなるショーである。

 バックロット・ツアー

開園間もない1991年に訪問した際は、人気ナンバー1のアトラクションだったが、意外に空いていて20分待ち。まず、プールにつくられたミニチュアセットで映画のシーンを再現し、ゲストが参加して嵐の中を小舟で揺られるシーンを撮影し、その場で再生してみせる。続いて、戦艦の戦闘シーンも同様にやってみせる。その後、トラムに乗ってガラスごしに映画のセットや大小道具、衣装などの制作工房を見て回り、屋外に展示された映画に使われた車や船を見て、目玉のカタストロフィ・キャニオンへ。山での地震と洪水、火災の疑似体験は迫力満点で、炎が熱かった。トラムを降りてからはホールに展示された映画の歴史や映画賞の受賞者、記念品など見て、最後にロジャーラビットのセットで遊んで終わり。7年前よりも内容が増えていた。

 ハニー・アイ・シュランク・ザ・キッズ

ミクロキッズのアトラクションは、EPに立体映画ハニー・アイ・シュランク・ザ・オーディエンス(ミクロ・オーディエンス)があるが、MGMにはハニー・アイ・シュランク・ザ・キッズが子供向けのセットとして設置されている。

ミクロキッズの世界を体験するプレイグラウンドで、新発明の機械によって小さくされてしまった子供が、巨大生物のジャングルと化した庭で遊ぶという設定。巨大なキャンディやフィルムケース、草、蜂、蟻などがあって、子供の遊び場としてはとても楽しくできている。パワフルに遊び回っている姿は、欧米系も中南米系もアジア系も同じ。

 バックステージパス

映画「101」(実写版)の制作舞台裏を見るウォーキング・ツアー。セットや衣装、オーディオアニマトロニクスの犬が展示され、特殊効果の映像づくりではゲスト参加で画面合成を実演する。映画を見ていない人には、おもしろさが分からないかもしれない。

まだ午後1時だが、テーマパーク巡りの初日のため、時差ボケと暑さで身体がまいってきて、ここで引き上げ。

 インディ・ジョーンズ

同じ日、18時20分に2回目の訪問。駐車場はゲートから遠い場所だったか、すぐ近くでトラムに乗れたので、かえって朝よりも楽ちんだった。18時30分の回がちょうど始まったところだったが、このショーはいい場所で見たかったので、行列の先頭の方で1時間15分後の19時45分の回を待つ。

ど真ん中の2列目の席に座ったら、すぐ前に座っていた男の子が選ばれて、インディ・ジョーンズのジャッケットを着せられてカチンコを鳴らす観客参加の大役を任された。ショーの内容は、インディ・ジョーンズのシリーズの中の「レイダース−失われた聖櫃」のハイライトシーンを再現したもの。10名程度のゲストもエキストラとして参加。スタントあり、大がかりな仕掛けありで、最後は飛行機の爆発炎上からの脱出と、ダイナミックで見応えがある。

 ソーサリー・イン・ザ・スカイ

21時30分にハリウッド・ブールバードの中央あたりで、20分後の花火を待った。座って待っている人は少なかったので、他の客の邪魔にならないよう、店の出入り口から離れた縁石に座った。始まる5分前くらいになって、ようやく人が路上に集まって来たが、座る人は道路の両脇、そして道路中央は立ち見及び歩行しながら見るゾーンとなっていて、お互いに邪魔にならず、平和なムードだった。待っている間は、交代交代で近くのショップをのぞいたりできて暇つぶしができるので、それほど飽きない。

21時50分の定刻に開始。前半は何の変哲もない普通の花火で、一旦終わったと思う間合いの後、後半はファンタジアをモチーフにした演出たっぷりの花火。音楽に合わせて打ち上がる花火が見事。最後は魔法使いの弟子のミッキーマウスの巨大なバルーンが膨らみ、指先から花火が噴き出した。

この花火、事前の情報ではあまり期待していなかったのだが、情緒的でセンスが良く、見応えがあった。EPやMKの花火よりも、MGMの花火の方が、完成度が高い。スケールは小さいが、チャイニーズシアターの建物を借景としているからか、風景としてとても美しく見えた。

 美女と野獣

見逃していたので、別の日に再訪問。1回目の訪問の際にもらったスケジュール表を見て、14時の回を狙って13時30分にアトラクションに到着したが、この日はスケジュールが変わっていて、ちょうどショーが始まったところ。行列の先頭で、次の14時30分の回を待った。そのため、前から2列目の真ん中に座れた(1列目は車椅子の席)。

このショーもWDWハードリピーターの間で定評があるが、期待通り、すごく良かった。特に前座のショーは、作業服を着た4人のステージ係員がマイクのテストをしながら遊び始めて、何をやっているのかと思ってみていたら、だんだん歌い始めて、それが4人の見事なアカペラになって、観客は呆気にとられながらも終わると万雷の拍手、という演出は、「あ、見事にやられた!」という感じ。センスの良さが際だっていた。

メインのショーも、なかなか見応えがある。ステージ演出としては、TDLのフィール・ザ・マジックの美女と野獣のシーンや、劇団四季のミュージカル作品の美女と野獣に比べて、原作のアニメ映画に忠実で、オーソドックスな感じがした。

 ヘラクレスパレード

15分前にパレードコースに行ったら、あまり待っている人はいなかった。そのためあまり期待せず待っていたが、中身は濃くてなかなかおもしろかった。TDLやMKの昼のパレードに比べると、かなり短い。

このパレードを見物する特等席は、スーパースター・テレビジョンの入り口の階段。日陰で、入り口から漏れ出てくる冷気で涼しく、さらには係員が来て応援部隊を仕立てたり、プラカートで観客のアクションを促したりして、たくさん楽しめる。

 ABCサウンドスタジオ

4回目の訪問は夕方から。空いていたので思わず立ち寄ってしまったが、なかなか楽しかった。101の映画の効果音を観客参加型で作ってみるショーで、小さな子供でも良く分かる。

 マペット・ビジョン・4D

セサミストリートに登場するマペットたちの3D映像。映像に加えてマペットが現われるので、4Dということらしい。映像に合わせて天井からしゃぼん玉が飛んできたりして、EPのハニー・アイ・シュランク・ザ・オーディエンスと同じくらい良くできた3Dムービー。待ち時間は7分(次の開演まで7分)で、満席にはならなかったので、直前に来ても入れたのだと思う。

 ソーサリー・イン・ザ・スカイ

30分前の時点で、良く見えるチャイナシアター前の広場にまだ座れる場所があったので、また見てしまった。お姉さんがあれこれと、暇つぶしのお手伝いをしてくれた。花火に近い分、かなり迫力があり、またBGMもきれいに聞こえてきて、ハリウッド・ブールバードで見るのとは大違い。やはり早い時間から待つ人がいるような場所の方が、良く見える。

飲食

 ピザ・プラネット

映画「トイ・ストーリー」に登場するピザ・レストラン。店内の作りがおもしろいのではないかと期待したのだが、普通のファーストフード店でがっかり。味も普通。

 レッドホットドッグという店の前の屋台

評判のターキーレッグ(視察時点ではTDLでは未発売)は、大きくて、美味しかった。突如スコールがやってきたので、東屋のような屋根付き休憩スペースに逃げ込み、親子3人で身を寄せ合って、タワー・オブ・テラー(大人気の落下型スリルライド)の悲鳴をBGMに聞きながら、ガブリガブリとかじった。まことに印象深い食事であった。

ターキーには独特のくせがあるので、好き嫌いは分かれるところ。ずーっと昔、日本のデニーズにターキーサラダというメニューがあって、私はこれが大好物でしたので、とても美味しくいただけた。ファーストフードの割には高いが、1本で、充分満腹になる。

このターキーレッグ、ガイドブックには「MGMとMLで食することができる」と書いてあった。MKでは、ぐるぐる回るロケットの下の売店で発見した。TLでも見かけた。でも、WDW全パークで売っている訳ではなくて、EPとBBでは、「ここでは売っていない」と言われた。

物販

 ピザ・プラネットのゲームセンター

残念ながら、UFOキャッチャーの景品は、3つ目のエイリアンではなくて、普通のぬいぐるみであった。1回1ドルで、15ドルも使って、犬と白熊の人形をゲット。バネ圧は、渋谷や新宿のUFOキャッチャーよりは取りやすいが、西荻窪のUFOキャッチャーよりも取りにくいレベル。大人でこれにチャレンジしているのは私だけだった。かの地では、子供しかやらない遊びなのかもしれない。

 どこかのショップ

25ドルくらいの腕時計をひとつ買った。後日、同じのが欲しくなってTDLで探したが、「ここでは売っていない」と言われた。

 ペニーつぶし

6個ゲット。MGMスタジオ、ミッキー、ミニー、ドナルド、グーフィー、プルート。

備考

 日本語ガイドマップ

配布されているが、MKと同様に、ださくて読みにくいデザインで、掲載されている情報も4年前の1993年版。いったいどうしたことだろう。こんな日本語版なら、誤解を防ぐためにも、配らない方がいい。

 混雑状況

会場面積はそれほど広くはないので、人口密度は高めで、ユニバーサルスタジオ・フロリダと同程度。どっちを向いても人がうじゃうじゃいるので、歩いていてあまり快適ではない点でも同程度。

 見学所要時間

4回に分けて、延べ1日半くらいの時間をかけたが、回れなかったアトラクションがいくつかあった。7年前に訪問した際は、アトラクションが少なく、10月で空いていた時期なので朝から夕方までいれば隅々まで見ることができた。しかし今回はアトラクションが増加し、待ち時間もけっこう長かったので、1日では全部は見切れないと思う。休み休みのんびり見て回るとすると、丸2日でも足りないかもしれない。

企画のネタとして

最近になって作られたパークだけあって、アトラクションやショーは、平均的に、WDW3大パークの中では最も現代的で先進的。特に、センスの良さが随所に光っていた。アトラクション企画立案にあたっての基本方針や担当したスタッフが、MKやEPとは異なるのではないかとも思う。

MGMの楽しさを体験すると、映画をテーマとするテーマパークの場合、パークの面白さを大きく左右するのは、映画の質と量、そして2次元の世界を3次元化する際の創意と工夫、この2点であると感じる。鎌倉シネマワールドは、松竹映画を最低限の予算で3次元化したテーマパークであった。リピーターを全然集められず、1998年12月15日で営業を終えたが、これは当然の結末であったと思う。

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