コラム&トピック

犯罪被害者のために――次世代へ繋ぐ責任を考える

でぐち(会員・東京都)



◇厳しい現状を受け止める
 未曾有の「大事件」「大災害」に苦しんだ<平成>が間もなく終わろうとしています。私たちポエナの会員も、平成に起きた信じ難い犯罪によって大切な家族を失いました。
 私もある日突然、家族を殺害され、その時から間もなく16年が経とうとしています。その悲しみと後悔に苦しまない日は一日としてありません。そして犯人への怒り、身勝手な犯罪が次々と生まれる社会への不信を訴えるべきだとして、ポエナの活動を開始し今日まで続けることができました。

 この間、同様に立ち上がった他の被害者団体・グループの活動と合わせて、私たちが望み続けた量刑の見直し(重罰化)、少年法の一部改正、殺人事件の時効撤廃等が実現してきましたが、まだまだ多くの被害者の思い・願いは届かず、積み残された課題の議論さえ進まぬ現実の厳しさに、改めて今後の活動を考える必要があると痛感させられるのです。

 20年以上にも亘る活動をリードし、支えてきた被害者遺族の多くが今や70代、80代へと高齢化し、各グループともにその組織、活動の維持が極めて困難な状況に置かれています。中心的な存在であった「あすの会」が今年の6月に解散したことは象徴的な出来事でした。今日、私たち犯罪被害者遺族の声に多くの人々が関心を寄せてくださるようになり、「他人事」ではなく誰にも起きうる「身近な問題」として考えてくださるようになったのも、そうした先駆者が自らの生活を犠牲にして訴え続けた賜物と深く感謝しております。

 なぜ活動の維持が困難になってきているのでしょうか?更なる法制度の改正を訴え続けられないのはなぜなのか?被害者団体の存在意義に関わるこの命題の答えを探さずに未来はありません。過去においては、マグマのように溢れ出る怒りと情熱に同志が集まり、街頭で訴え、署名を集め、マスコミへの露出も厭わず、その「目に見える行動」で国会を目指しました。

 平成17年12月に「犯罪被害者等基本計画」が閣議決定されて以来、犯罪被害者等の権利や利益を保護するべく、各種施策を総合的かつ計画的に推進するとりまとめの中心であった内閣府犯罪被害者等施策推進室が平成27年度をもって無くなり、被害者等施策は警察庁に移行され、毎年開催されてきた犯罪被害者週間イベントも、警察庁の主催となって各都道府県で開催されています。
 過去にはポエナもこのイベントに参加し、提言を続けていました。

 内閣府を離れるということは、“新たな施策”の検討が困難なことを意味しています。政治の関心は「いじめ」「ネット犯罪」「パワハラ」「セクハラ」等のより身近な事件の対応に移り、被害者グループはさらに細分化され独自性を模索しています。たとえ実績ある団体とはいえ自らの目標・課題の実現を掲げ、他のグループをリードし政府に提言することが困難になったのだと思わざるを得ません。そもそもその目標・課題が社会の共感、支援を得られるだけのリスクを背負ったものなのかどうか、原点回帰する必要があります。




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