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01159/01565 GHB05132 佐々木正司 プロペラの不安定効果
( 8) 95/10/20 00:25 01139へのコメント コメント数:1

プロペラの首翼効果−決定版
追記

01120/01565 QWE01503 松本允介 プロペラ後流?
( 8) 95/10/16 17:50 01087へのコメント コメント数:1

原因はプロペラの不安定化効果(用語は?)が大きいのではないでしょうか。つまり回転しているプロペラが垂直首翼水平首翼の働きをして、これにより垂直尾翼や水平尾翼の働きを打ち消すと言うやつです。たしかこの効果はプロペラの直径および回転数に比例すると言われています。
だとすれば発進直後が一番利くのも理解できます。 もしプロペラの位置に垂直尾翼の数倍の面積の垂直首翼が立っていたら、横風を受けたとき、こちらが垂直尾翼に打ち勝って機首が風に流される、つまり風見効果の反対の働きをするのは納得できます。プロペラの不安定化効果を理屈抜きで認めれば、これは小さい水平尾翼をますます小さくする効果ですから、'もっぱら発進直後に問題を引き起こす'のは理解できます。

松本允介

上記#01120では現象の説明に留まっており効果の発生メカニズムは理解していませんでした。それに対する佐々木正司さんの解説投稿が#01159です。著作権法に沿って引用は最小限に止め、以下私の理解を交えて編集します。『』内は佐々木さんの発言です。

『Uコンのスタントの事を、あけても暮れても考えていたとき、プロペラの位置が重要(機首の長さが長いほど不安定)と実感しました。』
『理由は、松本さんの説明の通り、プロペラは(主翼でなく)首翼として働きます。飛行中の機体が外力で上を向いたとき、機体の斜め下から来た気流はプロペラ面を通過した後、プロペラ軸と平行に向きを変えられます。プロペラ部では、気流の向きを変えた反作用として、上向きの力が発生します。機首に機軸と平行に翼が付いているのと、同様の効果になるわけで突然発生した先尾翼は、尾翼の効果を削減します。プロペラ推力が大きいときほど、また、機首が長いほど効果が大きくなります。』

図で飛行機は矢印の方向に飛んでいて擾乱により急に機首を右に傾けたとします(図に都合で佐々木さんの上を右、下を左に変更しています)。曲がった矢印の通りプロペラを通過する空気はプロペラの回転面の垂直後方つまり左に曲げられます(註)。これはプロペラの空気に対する仕事ですから、その反作用としてプロペラは右向きの力を受ける訳です。この例は機首を右に振った場合ですが、機首を上下左右その中間どちらに振ってもこの効果が発生しましす。
この反作用の大きさはニュートンの運動の法則:質量*加速度=力により決まります。質量は単位時間当たりプロペラの回転面を通過する空気量であり、これはプロペラの直径と飛行速度に比例します。またこの空気がどの程度加速されるかはプロペラの推力に比例するので、反作用はプロペラ直径、飛行速度とプロペラの推力に比例するといえます。この反作用の機体の運動における効果は重心の周りの回転モーメントですから、更に機首の長さつまりプロペラから重心までの距離(機首モーメント長)が関与します。
結論として「プロペラの首翼効果はプロペラ直径、飛行速度、プロペラ推力(ほほプロペラ回転数)、および機首モーメント長に比例する。

折角ですからUコン、そして鳥人間の第一人者佐々木正司さんならではの説得力のある発言の続きも引用しておきます。
『Uコン曲技機では、四角宙返りなど、軽い操作でパット向きを変え操舵力をゆるめれば、スーっと直線飛行に移るのが理想で、プロペラの不安定効果は大敵でした。そこで機首は出来る限り短く作り、適正重心位置を得るためには尾翼部は手元にある最高の材料で1gでも軽く丈夫に作る事に専念しました。これで前後の慣性モ−メントも小さくなり、必要なときはすばやく反応できます。』
『フリー機も、Uコンも、ブライトリング曲技機も、機首は短く、尾部は軽くです。』

(註)図を少し変形してプロペラはそのまま、胴体を進行方向にそろえるとサイドスラストの付いた機体のなります。気流がプロペラ回転面の垂直後方に曲げられるのはスラスト付のプロペラの場合も同じです。

追記
文献1 p. 16には別の説明が載っています。
"The thrust of a prepeller changes its direction in a skid (yaw) opposite to that of the skid, because the advancing blade has a larger angle of attack than the retreating blade. Its effect is assumed to be that of a plate with a span equal to the diameter and an aspect ratio of 8."

要点は「前進する翼が後退するよくよりも大きい迎角を持っているから。その効果は翼幅がプロペラ直径と等しくアスペクト比8の平板相当である。」です。
上の図で機体が重心の周りを右に回転すると確かにプロペラの左ブレードが前進、右ブレードが後退するので説明と合致します。佐々木さんとHoffmanさんは同じことを別の言葉で説明しているのでしょうか?
但し、直進している機体に左前方から突風が当たった場合は、重心周りの回転は発生しないので、左ブレードの迎角が右ブレードの迎角より大きくはならないと思いますが如何でしょう?更に重心周りの回転が終わればこの効果は消滅します。佐々木さんの説明がより正確にも見えます。左ブレードは腹に、右ブレードは背に風を受けるので左ブレードの推力が勝り右に


文献3 p. 197には更に別の説明があります。それはP効果とジャイロ効果の相互作用です。P効果は右回転プロペラに上方から気流があたると左ブレードは腹に、右ブレードは背に風を受けるので左ブレードの推力が勝り右に首を振る現象です。首を右に振るとジャイロ効果により頭下げ、これでまた上方からの気流、右に首振りの繰り返しです。この場合は上下動と左右動の複合現象になっているのが特徴です。