ロイヤルハワイアン滞在記

(1993年7月)


1.事前準備

 旅行の目的

ハワイには、あまりいいイメージを持っていなかった。日本人ばかりで騒々しくて、物価が高くて、美味しい食べ物がない、などなど。しかし、海外旅行の目的地としての人気は衰える気配がなく、それどころか1991年頃から、「二度、三度とハワイ行きを繰り返すリピーターが少なくない、ハワイの魅力は本物・・・」というような表現が旅行雑誌などで目につくようになってきた。日本の観光地は、バブル崩壊以降、苦戦を続けている。その反面、円高の追い風もあって、このころの海外旅行は好調で、その中でもハワイのブームは長期間続いていた。「もしかしたらハワイは本当はいいところなのかもしれない」と考えて、とりあえず1回行ってみることにした。

ということで、はじめてのハワイ行きの目的は「ハワイは、なぜ抜群の集客力を持っているのかを解明すること」。ハワイのライバルと思われるビーチリゾートのグァムやサイパン、セブには行ったことがあるので、どこがどのように違うか見てこようと思った。

 飛行機の予約

家族3人とも、UAのマイレージプラスの会員で、可能な限りUAを利用していたので、今回も飛行機はUA。娘は1993年7月の時点では2歳半なので、席が必要となる。この娘の席をどう調達するか、悩んだ。格安航空券だと、大人も子供も同料金で子供割引はない。小さな子供でも大人と同じ運賃とは、納得できない気がする。UAのカウンターで買うチケットなら、子供は大人の半額になり納得できるが、そもそもエコノミーでも納得できないくらい値段が高いので、格安航空券3人分の方が安い。

そこで、それまでに貯めたマイルを使って、無料航空券を発券してもらうことにした。1990年のアメリカ東海岸(夫婦でエコノミークラス)と91年のアメリカ西海岸(夫婦と生後9カ月の娘でビジネスクラス)で、実航マイルのほかにボーナスマイルも加算されていたため、私もカミさんも46000マイルくらい持っていた。このころは、ハワイまでエコノミーで30000マイル、ビジネスで45000マイルだった(その後必要マイル数が引き上げられた)。ビジネスクラス2人分を無料航空券で発券してもらい、娘の分はUAのカウンターで購入した。14万円ぐらいだった。

発券の時点で座席の予約ができたので、禁煙席の3人並んでいる席で、目の前が壁(映画のスクリーン)のところを選んだ。この席なら、前の座席をケリケリ(退屈した子供が良くやる)して迷惑をかける心配がない。また、前の座席が大きくリクライニングして接近してきて、圧迫感を感じることもない。

この頃の成田−ホノルル便は、1日2便か3便あった。そこで、行きは出発時刻が早い便(ホテルはアーリーチェックインにして、早く着いて早く部屋に入って早く昼寝する作戦)、帰りは出発時刻が遅い便(早起きは眠いから)を選んだ。

 ホテルの予約

ホテルは、UAのマイレージプラスの無料航空券の発券と同時にもらえるホテル半額券を使うことを前提に探した。この時点で4枚持っており、1枚で2泊まで使えるので、最大8泊となる。

「子連れにはコンドミニアムがいいかな、ハワイで流行っているらしいし」とは思ったが、「旅行に行ってまでオサンドンしたくない」と言うやつがいる。さらに、UAのホテル半額券が使えるコンドミニアムが見つからない。このころ、ホテル半額券が使えるのは、シェラトン、ヒルトン(ただし2つある系列のうち片方だけ)、インターコンチネンタル、ウェスティン、ハイアットなどだった(その後、少し増えた)。

普通のガイドブックのほか、何冊かハワイのホテルについての本を手に入れて研究した。特に役に立ったのは、ABロード別冊の「ハワイ人気ホテル&コンドミニアム100」、少し昔の、ホイチョイプロダクションの「楽園大百科」。特に「楽園大百科」は、評価が辛口で、面白くて、口コミ情報的で、正確なように感じた。これらによると、ハワイではホテルを決めるだけでなく、部屋のグレードにもこだわった方が良さそうだ。

そして、部屋のグレードについての情報を集める段階では、値段の高いハワイツアーのカタログ(要するに、分厚いやつ)がとても参考になった。部屋指定ツアーのページを見ると、ホテルのどの部分がどのグレードの部屋か、そしてだいたいどのような部屋なのか、とても良く分かる。この点では、ガイドブックより何倍も詳しくてありがたい。

部屋の値段については、悩んだ。4枚あるサーティフィケイトで8泊まで半額なので、200ドルの部屋なら1泊100ドルの割引で、8泊で800ドルの割引。400ドルの部屋なら、その倍で、8泊で1600ドルの割引。高い部屋の方が割引額が大きくて徳だが、当然、支払額も大きくなる。もちろん、400ドルの部屋は、やはり200ドルの部屋にはない良さがある。

今回は、飛行機代が娘の分だけ(エコノミーで12万円くらい、ビジネスだと14万円くらい)しかかからないし、わが家の場合、おみやげやショッピングや高級料理にはあまりお金を使わないし、だったらホテル代の支払が大きくなってもいいかなあ、と考えた。400ドルの部屋なら、8泊で支払額は1600ドル、この当時の為替レート(1ドル110円前後)で18万円くらい、この当りを最高限度に、できれば300ドル程度でいいところがあればいいな、ということで探した。

この予算で、ナマケモノのわが家(特に大ナマケモノのカミさん)が気兼ねなくナマケていられて、2歳半の娘がちょろちょろしていても安心していられそうな、落ち着いた雰囲気のホテルを探した。ホイチョイプロダクションの本の辛口批評によると、ツアー客が多い大きなホテルはチェックインやチェックアウトに際にフロントに長い行列ができて、苗場プリンスホテルみたいに貧しい気分になるし、ホテル内のショップやレストランが充実していると、非宿泊客が多く入り込んでザワザワして落ち着かない、とのこと。そこで、小さくてツアーであまり使われていない、そしてサービスの良いホテルにしようと思った。

このような条件の中から候補に考えたのは、以下の4つのホテル。定価で300〜330ドル出せば、いずれのホテルでもオーシャンビューの部屋。オーシャンフロントだと400ドルくらい。
  1. カハラ・ヒルトン(ホノルル市街から少し離れていて、落ち着いている。グレードとしてもかなり高級なホテルだが、立地が悪い分、部屋の値段がホノルルど真ん中のホテルよりもリーズナブルに思える)
  2. ヒルトン・ハワイアンビレッジのアリィタワー(ビレッジの何棟かの中で最高級、専用のフロントとプールで混雑がない)
  3. シェラトン・ロイヤルハワイアン(古いがこじんまりと落ち着いていそう、部屋は旧館と新館でかなり違う、ピンクの外装は新婚向きか?)
  4. シェラトン・モアナ・サーフライダー(由緒あるホテルで、規模はロイヤルハワイアンよりはやや大きい)
候補のホテルに、UAのホテル半額券の利用の可否と、部屋の空き状況を尋ねてみると、以下のような返答だった。
  1. カハラ・ヒルトン(全館、使えない)
  2. ヒルトン・ハワイアンビレッジ(最高級のアリィタワーでは使えない、その次に高級なダイヤモンドタワーでは使えるが、部屋の指定はできない)
  3. シェラトン・ロイヤルハワイアン(スイート以外の部屋で使える、8泊で海の見える部屋だと、3カ月くらい先なら、部屋の空きがある。なお、シェラトンはハワイのホテルでは全軒UAのホテル半額券が使えるが、世界全体では何軒か使えないホテルがあり、たとえばアジアではシンガポールでは使えない)
  4. シェラトン・モアナ・サーフライダー(スイート以外で使える、予約状況はロイヤルハワイアンよりも混んでいる)
カハラ・ヒルトンが半額利用できないのは残念。「ヒルトン」には2系列あって、UAのホテル半額券を使う際には紛らわしい。ヒルトン・ハワイアンビレッジにしても、部屋指定ができないということで、強気の商売をしているように感じた。予約係の応対も、「UAの半額券の客など、ありがたくない」と思ったのか、それとも本人の性格なのか、少々ぶっきらぼうだった。私はこの時点で、ヒルトンに対してバッド・イメージが確立してしまった。以来、ヒルトン系列のホテルは避けるようにしている。第一印象は、とても大切だ。

それに比べるとシェラトンは、予約センターが0120の点も良し、さらには応対のお姉さんがたいへん親切に相談に乗ってくれた。ロイヤルハワイアン、モアナ・サーフライダーとも、スイート以外ならUAのサーティフィケイトが使えて半額になり、部屋のグレード以外の細かい要望についても承るとのこと(ただし、あくまでリクエストなので、可能な限り、ということで)。ということで、シェラトンのどちらかのホテルにすることにした。

次は部屋のグレード選び。2軒のホテルについて、400ドルまで海が見える部屋について、詳しくお姉さんに聞いて、さらにツアーのカタログで調べてみた。
ロイヤルハワイアン 新館タワーオーシャンフロント $390 全室広いラナイ(ベランダ)付
窓が大きい、プールに隣接
旧館ヒストリックオーシャンビュー $330 ラナイなし、窓が小さい
モアナ・サーフライダー バニヤンオーシャン $270 ラナイはほとんどついていない
タワーオーシャン $300 ラナイ付、プールは遠い
ダイヤモンドオーシャンフロント $300 ラナイ付
予約センターに電話して、同じお姉さんにどちらがお勧めかを聞いてみると、「小さな子連れなので(カミさんがナマケモノなので、とはさすがに言えない)、あまり出歩かず、プールかビーチでのんびり過ごしたい。落ち着いた雰囲気のところがいい」と言ったら、「人の出入りが少ない点で、ロイヤルハワイアンの方が、ご要望に合っているかと思います」、とのこと。チャイルドプログラムやベビーシッターの用意があり、ルームサービスは24時間、タオル交換などのメイドサービスが朝夕2回、日本語スタッフもいる、というように、なかなかサービスも充実している(後で良く考えたら、モアナ・サーフライダーも、たぶんまったく同じ)。

「ロイヤルハワイアンは、サービスは悪くなさそうだけど、値段も安くはないので悩んでいる。それに高級そうなので、子連れでも気兼ねなく利用できるのだろうか心配だ」と聞いたら、「お子様連れのお客様についても歓迎しておりますし、また、小さなお子様連れの場合こそ、よりサービスの充実したホテルを選ぶべきです。大人の疲労が少なくて済み、より落ち着いた有意義な休日を楽しめますから」とのこと。一瞬にしてこちらの真意(子連れではあるが、子供へのサービスが目的ではなくて、何よりも親がのんびりしたいから行くのだ、たまたま子供がいるから、ついでに連れて行ってやるだけ)を見抜いてのこの一言で、ロイヤルハワイアンに決めた。

部屋は、子供が昼寝をしている時、ラナイで風に吹かれながらのんびりティータイムというのも悪くない、それにラナイならタバコが吸える(わが家では、居室内・クルマ内禁煙)と思い、ラナイ付の新館タワーオーシャンフロントにした。子供用にエキストラベッドを入れて、定価なら1泊で405ドル。これが半額になる。1泊200ドルならそうバカ高い部屋でもないなということで、アーリーチェックイン(到着する前の晩から部屋を取っておけば、朝到着してすぐ部屋に入れてすぐにお昼寝できる。ラクチンしたいナマケモノに最適の方法であるが、当然1泊分高くなる)にした。合計で8泊、実際に泊まるのは7泊。部屋の位置としては、眺望とプールへの近さの両立を考えて中層、ベッドはWベッドではなくてツインベッド(家では狭いベッドで2人寝てるので)、とリクエストを入れておいた。

 レンタカーの予約

レンタカーは、借りるかどうか迷ったのだが、アメリカのメインランドでは必需品なので借りることにした。UAのレンタカー券(ホテル半額券と同時に送られてくる)で1クラスのアップグレードができる会社の中から、いちばん信頼できる気がするハーツを、出発直前に日本で予約した。

料金は、現地で予約するよりも日本で予約した方が安いシステムになっていた。予約したクラスはコンパクトサイズで、値段は1週間(7日間)でLDW保険込みで149ドル。その他の保険が1日につき13ドルくらい。UAのレンタカー券を渡せば、この値段でひとつ上のミッドクラスを貸してくれるはず。そうなると、30ドルくらい安くなることになる。

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