ロイヤルハワイアン滞在記
(1994年12月)
3.プール&ビーチ
プールサイド・カフェ
初日は超ラッキーなことに10時ころにチェックインできたので、10時半にはプールサイドにいた。パラソル席は半分くらい空いていて、前回とはうって変わってガラガラ。これなら、3時の定刻までチェックインを待たされたとしても、どこかで水着に着替えてプールにいれば、時間つぶしは楽勝だ。またロイヤルハワイアンでは、遅く出発する人のための部屋として、本館のどこかのスイートルームを割り当ててあるらしい。個人旅行なら、早く到着してチェックインを待たされる場合も、この部屋を使えるのだと思う。
さっそくプールサイド・カフェへ。カウンターには昨年と同じ顔、ARTとJIMMYが健在。「ハロー、お元気、私を覚えているかい」と声をかけたら、「オフコース、ミスターNORITAKE」と答えたのでびっくり。「なんで覚えているんだ?」と聞いたら、「あんたは毎日プールにきたから覚えてる。今回はいつまでだ?」と言う。「今度も1週間」と言うと「短いねえ」。「私の好きな飲物(瓶入りのアイスドカプチーノのシナモン抜き)はあるか?」と聞くと、「ソーリー、ない。けれど、メニューに載っていないアイスド・コーヒーを作れる」と言う。
アメリカでありながらアイスコーヒーがあるとは、これは急激な日本文化への接近、いや、日本文化への迎合である。大事件だ。ロイヤルハワイアンともあろう由緒正しきホテルが、一体どうしたのだろうか。日本人客が急増したのだろうか。それともホテルが日本人に買収されてしまっただろうか(とっくの昔に国際興業に買収されている)。
しかし、この不安は杞憂に終わった。ロイヤルハワイアンは決して日本文化へ迎合はしていない。出されたコーヒーは、ホットコーヒーのハワイ・コナをそのまま氷入りコップに注いで、ほい出来上り、といういい加減な代物だった。ミルクはあるが、ガムシロップなぞない。それ以前に、薄すぎて日本のアイスコーヒーとは全然味が違う。氷はすぐ溶けて、ますます味が薄くなる。そうなるとコーヒーというよりはこげた麦茶、という感じ。はっきり言って、とても飲めたものではない。どうも、ARTが日本人の誰かに聞いて、見様見真似で始めたようで、ホテルの方針で作るようになったのではなくて、あくまで個人的なサービスらしい。その証拠に、メニューにも載っていない。
このまずいメニューは、へたに改良しない方がこのホテルの将来のためだ、と大局的な見地から考えた私は、「うーん、美味しいよ、このアイスド・コーヒー。日本人なら誰でも大好きなはずだ」と言っておいた。昔からの伝統を守り、ポリシーのあるサービスを展開し、客層の変化に媚びたりしないところが、ロイヤルハワイアンの良いところのひとつだと思いので。
ただし、こう言った手前、毎日1杯はこのまずい飲物をオーダーしなくてはならなくなって困った。たくさんミルクを入れて、氷が溶けないうちに一気飲みをすれば、何とか飲めた。そして、本当に冷たいコーヒーが飲みたくなった場合は、外で買ってきた缶コーヒーを持ち込んで、ARTに見つからないようにこっそりと飲んだ(プールサイドへの飲食物の持込み自体は、ホテルとしては別にかまわない雰囲気で、子連れはたいてい子供の食べ物を持ち込んでいた)。
プール
2日目からは、前回と同様に朝から夕方までプールで過ごした。プールの水は前回よりもはるかに冷たい。プールが大好きの娘は、まだ小さいので身体の体温計が壊れている(と言うか、子供は4歳か5歳くらいまでは、暑いとか寒いといった感覚がない奴が多い)ので、躊躇せず水に入って行くが、大人はついていけない。膝ぐらいまで入ると、立ちすくんでしまう。無理して入ってしまえば中ではそれほど寒くはないが、入るときがしんどいので、私もカミさんもなるべくプールに入らず、プールサイドの席から娘を監視していた。
通常の浮き輪と腕にする浮き輪を用意していったが、娘はもっぱら腕輪の方を使っていた。プールの常連の小さな子供は今回は3人くらい、そのうちのひとりが娘とほぼ同じ年齢の白人系女の子で、お互いに意識していて、一緒にプールの中にいる時は近くで並んでプカプカしていた。その母親もやはり水の中には入らず、テーブル席から監視していた。「あならの娘は英語を話せるのか」と聞かれたので、「ダメ」と答えると、残念そうに「同じぐらいの年齢だし、もしも英語を話せるのなら、うちの娘と楽しく遊べるのに」。
たまに私かカミさんもプールに入ると、娘は泳ぎの練習。子供用のゴーグルをつけて、浅い階段の所から、5m先にいる大人の所まで、バタ足で何回も往復する。ようやく腕輪でプカプカできるようになった2歳半の時の前回と比べると、格段の進歩だ。
ビーチ
プールで遊んで身体が冷えたら、次はビーチで砂遊び。持参のお砂場セットで工事開始。前回は創作よりも破壊を好んだのでなかなか形にならなかったが、今回は一緒に手伝うので、じっくりと高さ1mくらいの山や、深さ50センチくらいの穴を作った。そういう大物をせっせと作っていると、娘の足の隣にほかの小さい足が集まってきて、多い時は総勢7名くらいの共同事業体が結成された。
集まって来るのは、欧米系、南米系の子ばかりで、日本人の子は引っ込み思案なのか、近寄っても見ているだけでまじろうとはしない。親はだいたい10m以内にいて、遠目に見張っている雰囲気。場所やおもちゃの取り合いで、たまに子供同士で小競り合いになって、負けると泣きながら親のもとへ退却する。しかし、子供の世界に大人はあまり干渉しないのが欧米人の考え方なのか、子供が泣いても駆けつける親はいなかった。泣いた子も、親の元で元気を回復してすぐにまた戻って来て、工事は延々と続く。毎日2時間はこんなことをしていたので、3日目には肩と腰が痛くなった(日焼けではない、筋肉痛)。
海の中
ビーチで身体が暖まると、今度は海でプカプカ。ロイヤルハワイアン前から、モアナ・サーフライダー前までの100mくらいを、普通の浮き輪でパシャパシャと往復するのが娘の日課だった。水深は腰から肩くらい。外房の海水浴だと、この水深で遊んでいると肩ぐらいの波が崩れて襲いかかり、どっかーんということがあるが、12月のワイキキビーチは前回の7月に比べて、さらに波が穏やか。来る波は10〜20センチくらい、波が崩れるのは膝ぐらいの水深の場所なので、腰から肩の水深の場所は、とっても安心だった。
海底にはところどころに岩が出ていて、裸足だと痛い岩もたまにある。ロイヤルハワイアンとアウトリガー・ワイキキの前は岩があまりないが、モアナ・サーフライダーの前は岩が多く、なおかつ痛い岩が多く、歩いて進むのが大変だった。そのせいか、モアナ・サーフライダーの前では、海の中にいる人が少なかった。海水の温度は、プールよりも暖かいくらいだった。
温水シャワー
プールサイドは前回よりも空いていて、人口密度が低く、この点では良かったが、気象条件はやはり乾期とは大違いで、日陰で昼寝をするには少し寒かった。乾期の7月と比べると12月は、日差しの強さはあまり変わらないが、気温が低く、また風もやや強かった。雨はたまに降ってもすぐにやむのでそれほど気にならないが、気温が低いので、プールや海から上がったときに寒い。そこで私は、1日に何回も温水シャワーを浴びた。係員にカギを借りて使うトイレの中に、不思議と2台の温水シャワーがあり、ほとんど使っている人はいなかったので、トイレにいくたびにじっくり身体を暖めた。
プールからビーチへの出入口にも、砂を落とすためのシャワーがあるが、このシャワーは温水ではない。そこで私は、ビーチの後も温水シャワーを浴びた。暖かい海の水で砂を落し、冷たい水で足だけを洗ってプールサイドに入り、トイレに直行して温水シャワーで塩を落とし、タオルで身体を拭いてビーチベッドにコロンするという、複雑な手順であるが、暖かくてとても幸せなので、毎回この作戦にした。
プールサイドの席の予約
前回しなかったプールサイドの席の予約を、今回はやってみた。初日にプールサイドの係員に「予約したい」と言ったら、想像通り、机の中に座席表があった。見ると、予約されているのは5席だけで、前回の7月と比べるとかなり少ない。初日にわが家が使っていた席はすでに予約済みだったが、プール最前列の特等席の中にもっと日当りの良い席が空いていたので、ここを残りの6日間予約した。予約料はいらないと言うので、最後の日にこのくらいかなと考えて、まとめて12ドルのチップを差し出したら、受け取ってくれた。
席を予約すると、早朝のプールサイドのセッティング(ビーチベッド上にマットを敷く)の際に、ベッドひとつにつき3枚のタオルを置き、パラソルを開いておいてくれる。予約済みのサインはこれだけなので、間違えて座る人がいそうだが、プールへの入口に「席とタオルの使用は係員まで」と英語で掲示されているので、日本人以外は間違える可能性は低そうだ。
しかしどうしたことか、5日目の朝は、私たちの席には他の客(欧米系)がいた。なぜだと係員に聞いたら、座席表をなくしてしまった(ずっと引出しに入れてあるのだけど、朝来たら、その紙がなくなっていた)とのこと。他の特等席にはまだ空きがあったので、そっちに案内されて、ちょっと待て、とタオルでベッドメイキング(3枚のタオルでビーチベッド上のマットを包む、そのスタイルをプールの常連はみな知っていて、いつもは自分でベッドメイキングする)までしてくれた。こういう場合はチップをあげるべきと思ったのだが、プールにはいつもお金を持ってきていないので、渡せなかった。
今回のプールは空いていた。特等席でさえ、昼くらいまで空きがあり、テーブル席全体では、いつもどこかに空席がある状況だった。プライベートビーチに並べる椅子も、前回の半分くらいしか並べていないのに、それでもいつも空きがある。こっちの椅子は、前回とは変わっていて、砂上に置く座椅子(お尻の下の布は、砂の上に直接乗っている)から、砂の上に置く椅子(お尻の下の布が、砂から5センチくらい上にあり、砂には接していない)に進化していた。
次の項目 −−− 4.食事
ロイヤルハワイアン滞在記(1994年12月) 目次
観光地としてのハワイの魅力・調査レポート メニューページ
トップページ