ロイヤルハワイアン滞在記

(1994年12月)


6.夜の外出

 クリスマスツリー

ホテル内のあちこちに大きなクリスマスツリーがあった。一番見事なのはエントランスの部分。夕方点灯すると、実に幻想的だった。

 I−MAXシアター

昼間はほとんどプールかビーチにいたので、日が落ちてきて、ひと風呂浴びてから、夕食とお散歩を兼ねて外出した。

前回から行きたいと思っていたI−MAXシアターの映画館では、「HIDDEN HAWAII」を見た。クーポン券を使って、3人で20ドルが15ドル。この作品は、チケットブースで日本語のナレーションを聞けるラジオを貸してくれる。これは保証金20ドル、使用料無料。ガイドブックには「日本語版の上映は12時と5時」と書いてあったが、現在はこのラジオ方式で、「HIDDEN HAWAII」ならどの回も日本語ナレーションを聞ける。

8時か9時の最終回だったためか、客の入りはガラガラで、客席は2割くらい。ベスト・ポジションの中央部上段に座れた。作品は、アメリカの観光地のI−MAXシアターでは良くあるご当地紹介もの。I−MAXらしい知的なストーリーが、高精細巨画面ならではの迫力シーンで展開され、まあまあ楽しめる。値段の安さを考えれば、コストパフォーマンスは悪くない。ただ、ドラマ性と映像の美しさの点で、フィルムが古い気がした。同じご当地紹介ものとしては、ナイアガラの方がはるかに上。ラジオによる日本語も、音質があまり良くなかったし、片耳だけのイヤホンだから英語のナレーションが重なって聞こえて聞きづらい。日本語版で上映してくれた方が、ラジオ方式よりもいいと思うが、残念ながら券売所で見る限りでは、日本語版はやっていない。

他に上映されていたのは、科学ものの名作「RING OF FIRE」と、歴史ものの「タイタラス」、ともに英語版のみ。「RING OF FIRE」は何回かアメリカ本土で見ているので、また「タイタラス」は長い割にあまり面白そうに感じなかったので、パスした。どれも初めての人なら、お勧めは「RING OF FIRE」。新しい作品で見応えがある。英語版でも、画面だけで充分理解できるストーリーになっている。

 クヒオモールのフラダンスショーとTシャツ実演販売

クヒオモールの2階では、毎晩7時と8時に無料のフラダンスショーをやっていた。前回と比べて、客もダンサーも少なく、さらにダンサーの質も大違いで、寂れた観光地の悲しげなショー、という雰囲気だった。ちょっと見ただけで、「早くうちに帰ろう」という気分になってしまったが、娘が見入ってしまって動かないので、最後まで見てしまった。

クヒオモールの1階では、オウムと一緒に記念写真を、という店(ただし値段は安くないので、撮ってもらっている人を見たことがない)のそばで、エアー・ブラシでペインティングしたTシャツを実演販売しているお兄さんがいた。手間がかかるほど高くなるが、絵が小さかったり簡単だったりすると20ドルくらいからあって、すごく手の込んだ絵柄だと何と600ドル。面白そうなので図案集をめくってみた。いい絵があったら50ドルくらいは払ってもいいと思ったのだが、このお兄さん、根本的にあまり絵がうまくないようで、気に入った絵がなかった。ブラシの腕は良さそうなのに、残念。

 インターナショナル・マーケットプレイスの真珠貝

インターナショナル・マーケットプレイスには、真珠貝1個8.99ドル、という店が何軒かあって、変な店だった。貝を選ぶと、店員と客と見物客が声を合わせて、「アローハー!」と叫び、貝を開ける。真珠貝なので、中には真珠が入っている。おめでとう、これは素晴らしい真珠だ、と場が盛り上がる。ここからが商売。この真珠を誰に贈ろう、ではこのように加工しよう、ペアにするならもう一つ開けよう、という感じで、8.99ドルがみるみるふくらんでいく。

10代と思われる純真そうな白人の坊やの場合、最初10ドル札を握りしめていただが、話術に引き込まれて、おばあちゃんへのプレゼントとして、最終的には100ドル札(あんな治安の悪そうな所で、良く100ドル札なんか持ってるなあ、こいつは金持ちかアホに違いない)でお釣りは少しだけ、というところまでむしられていた。このショー、前回は断片的にしか見なかったのだが、今回は45分くらいかけて最初から最後まで見物したので、ようやく全容が分かった。

「NO」と言えない人が引っかかると、かなりむしられる。指輪(真珠を乗せる台となる指輪)の値段を盗み見たら、800ドルとかいう法外なのもあった。安くても50ドル。でも、まれに「NO」と言える人が引っかかると、店は商売にならないようで、「金がないから、真珠だけもらって行く」と、強そうな白人あんちゃんが立ち去って行くと、お店の人はとってもがっかりしていた。あくどい商売だが、あくどさが中途半端で、見ている分には面白い。

 バスでアラモアナ・ショッピングセンター

アラモアナ・ショッピングセンターは、THE BUSで2回行った。インターナショナル・マーケットプレイスからクヒオ・モールを抜けて、クヒオ通りを渡ると西行きのバス停がある。地図で見るとロイヤルハワイアンから最も近いバス停は、ロイヤルハワイアン通りを北上して、クヒオ通りに出て、ロイヤル・クヒオというホテルの前。しかしホテルの裏庭(ホテルの東側)からロイヤルハワイアン・ショッピングセンターに出る道の方が、繁華街への近道であり、なおかつシェラトン・ワイキキ前の騒然としたエリアを通らずに済むので、ロイヤルハワイアンの宿泊客には人気がある。わが家も、ホテルからの外出の際はいつもこの道を使った。薄暗い裏庭を100mくらい歩くので夜はちょっとこわい気がしたが、よーく見ると、建物の陰から警備員がしっかり目を光らせていた。アメリカは安全をお金で買う国だと言うが、ロイヤルハワイアンくらいのホテルになると、そのへんに抜かりはない。

行きのバス停では、いつも20人くらいが適当に集まっていた。運賃はこの当時は85セント(60セントから値上げされた)、お釣りは無しなので、小銭を握りしめて待っていると、そのうちアラモアナ・ショッピングセンターを通るバスが来る。「次は****」というアナウンスがないので、ちゃんと降りれるか不安だが、アラモアナ・ショッピングセンターなら降りる人が多いだろうし、そもそもあそこなら近づいたら分かる、と思っていたら、その通りだった。所要時間は、片道15分くらい。いちばん後ろの席は、暖房(またはエンジンの熱)でお尻が熱かった。

帰りのバスは、アラモアナ・ショッピングセンターの北側。乗るよりも目的のバス停で降りる方が難しく、ひとつ先のバス停まで行ってしまった。買い物が長引いて娘が眠ってしまった日は、帰りはタクシーを使った。

 アラモアナ・ショッピングセンターのフットロッカー

ワイケレ・センターで娘のリーボックも探したのだが、品ぞろえが少なく、小さなのはほとんど置いてなかった。そこでアラモアナ・ショッピングセンターのキッズ・フットロッカーで購入した。娘のリーボックは、いちばん小さなサイズ(まだ歩けない頃の足のサイズ)から、俗に言う「ベビー・リーボック」を買い続けてきたのだが、このタイプはUSAサイズで8まで、それ以上のサイズは「ジュニア・クラシック・ランニング」というタイプになる、と店員が詳しく教えてくれた。

フットロッカーの店員は、そのほとんどがスポーツマン風で、ガタイが良くていかつい顔が多く、その上黒人だったりすると、こわくて近寄りにくい感じがする。しかし、ブロークン・イングリッシュで訊ねると、みんな親切に応対してくれて、靴についての知識も豊富で、店の奥へ在庫を取りに行くときもダッシュで素早く、私の知る限りどこの店もサービスが良くて、好感が持てる。店だけでなく、店員までセンスがいい。

 モアナ・サーフライダーのティファニー

DFSは遠目に見てもたくさんの人で混んでいるので、群衆恐怖症気味の私は入らなかった。モアナ・サーフライダーの1階にあるティファニーは、店内がとても空いているので、どんな物が並んでいるのか、あの有名はオープンハートはまだ作っているのか、軽い気持ちで入ってみた。

きれいなクリスマスディスプレーに見入って、それから店内を一周してみると、お値段だけでなく、商品のセンスもなかなかいい。カミさんはピアスに気に入った品物を見つけた。ヨレヨレの格好をした私たちに、店員の紳士は、背筋を伸ばしてきちんと応対してくれて(本当はいやなんだろうけど、きっと仕事だと割り切っているに違いない)、押し付けがましい商品説明はなく、でも聞かれたら返答は素早く分かりやすく、その眼差しは静かで、信頼できる感じで、さすがこういう店は店員の質も違う。そうこうしているうちに、この店の落ち着いた雰囲気から、不思議と「まあ、たまには買ってやってもいいか」という気がしてしまって、いちばん小さい方の、295ドルのを包んでもらった。装着感はカミさんによると「ティファニーのピアスは小さいのに重くて(比較対象は、日本で売ってる1万円程度の安いピアス)、だから耳たぶが下に引っ張られて気になる、慣れの問題かもしれない」とのこと。

 目撃した事件

今回は、事件を2つ目撃した。まずはアラモアナ・ショッピングセンターのシアーズの中のアイスクリームショップ。バン、と扉が開いて店の奥から黒人青年が飛び出してきて、客席の垣根を飛び越えてシアーズ店内へ、そしてすぐ後に、同じルートで警備員らしき人が猛然と追いかけて行った。あれは何だったのだろう。「待てー」とか「止まれ」とかの言葉はなく、テレビドラマでみるよりも静かな追跡劇だった。

もうひとつは、盗難事件の事情聴取現場。ある朝、ロイヤルハワイアンのプールサイドに警官3名とプールサイドの係員、白人男性2人、東洋系女性2人が集まって、何やらひそひそしていた。後でプールサイド係員に聞いたら、「昨晩、2組が、ディナーツアーに参加した際に所持金を盗まれた」とのこと。東洋系女性は日本人で、どうも2000ドル以上やられたらしい。どうしてそんな大金の現金を持ち歩いていたのか、理解に苦しむ。白人男性の方は150ドルくらいの被害とのことだった。

次の項目 −−− 7.帰り道

ロイヤルハワイアン滞在記(1994年12月) 目次

観光地としてのハワイの魅力・調査レポート メニューページ

トップページ