ハレクラニ滞在記

(1996年12月)


2.行きの道のり

 搭乗するまで

ジジババとわが家3人で計5人、新宿発の成田エキスプレスの車内で集合した。あい変わらず新宿駅の成田エキスプレスのホームに上る階段には、エスカレーターがない。階段でとても重かった。みんなでたくさんのみかんをボリボリむいて、おせんべかじっていたら、成田空港駅に到着。カートに5人分の荷物を乗せて、エスカレーターとエレベーターで、4階の出国ロビーへ。この間の移動は、素晴らしく楽ちん。

飛行機の座席は、禁煙席で、スクリーンの前の2席と隣接する窓側3席、希望通りだった。どうやらUAの担当者は、怒ってはいなかったらしい。

 機内

食事は、チキンよりもビーフが美味しかった。UAの機内食は、エコノミーでは基本的にたいして美味しくないが、その中でも夕食のビーフとチキンの選択の場合は、いつもチキンが美味しくないような気がする。

食事が終わるともう夜遅い時間なので、娘は眠くなってくれた。足元に毛布を敷いて横になっていたのだが、前回(3歳11カ月)の時点ですでに身体が大きすぎて寝心地が悪く座席に戻ってきたくらいなので、今回もすぐにこの作戦をあきらめて座席によじ登ってきた。枕を集めてひじかけにもたれるような格好になったら、すぐに寝入ってしまった。ジジババもなんとか眠れたようなので、私とカミさんは、じっくり映画を楽しめた。この日の日本語吹替え版は「ザ・ロック」。面白くて、じっくり見入ってしまって、終わっても頭が冴えてしまって、機内ではほとんど眠れなかった。

 ホノルル空港

イミグレは、10分か15分くらいで通過できた。今回は子連れ客の優先手続きをやっていないように見えた。

 タクシー

タクシー乗り場では、白いリムジンに乗りたかったのだが、並んでいるのはどういうわけか普通のクルマばかり。係員に「我々は5人だから、より大きいクルマの方が良いのではないだろうか」と、それとなくリムジンに乗りたいという意思表示をしたのだが、「このクルマで大丈夫だ」と言われてしまい、普通のタクシーに乗り込んだ。

 チェックイン

すんなりとホテルに到着。ロイヤルハワイアンと比べて、クルマ寄せはとても小ぶり。大きな荷物は、ポーターがトランクから引きずり出してそのまま預かってくれる。その場で名前を聞いてタグシールを貼っていたが、この辺のきちっとした仕事ぶりが早くも名門ホテルを予感させる。

ロビーもこじんまりとしていて、威圧感がない。まずはフロントへ向かう。この瞬間が、毎回とてもドキドキする。予約は正確に伝わっているのであろうか、また料金は予約した値段と同じであろうか、そしてこんな時間(10時ころ)に部屋に入れるのだろうか、今すぐ入れないならば何時頃ならばOKなのか、などなど、たくさんのことを私のブロークンイングリッシュで確認・交渉しなければならない。

応対に出たのは若い美しい細い女性。予約はOK、値段もOK、そして最大の心配のチェックインの可否は、「7階のプライムオーシャンフロントで良ければ、1部屋はスタンバイしている。コネクティングするもう1部屋は、ラッシュしてクリーンナップするから、あと2時間待って」というもの。これなら上々、文句はない。

案内係(こちらも若い美しい細い女性、良く見ると中身だけでなくユニフォームも品があり優雅で美しい)に導かれ、スタンバイの部屋へ。廊下の大きなクリスマスツリーは、ハレクラニらしく、白を基調とした色使いだった。部屋に入って、まずはライティングデスクでのチェックイン。この点もハレクラニの特徴のひとつだが、部屋でのチェックインはなかなか快適だ。周囲を気にすることなく、のんびりと落ち着いて書類に記入できる。

ふと見上げると、案内係のお姉さんは、近寄り過ぎてプレッシャーを与えるでもなく、かといって遠すぎるでもなく、聞けば即時に応答できそうな絶妙な位置に立って私を見守っている。その背筋はしゃんと伸び、微動だにせず、まるで貴族に仕える執事のよう。しかし表情はいたって穏やかで、視線も柔らかい。緊張感と親しみやすさが同居している。ハレクラニのホテルのコンセプトが、ホテルに入ってまだ10分くらいなのに、ひしひしと伝わってくる感じ。

書類が完成し、部屋の説明を受け、帰り際にチップを差し出すと、いらないと言う。これは予想外のこと。再度差し出すが、またもいらないと言う。「ここはアメリカで、この案内係のサービスは素晴らしく、だからここで臆してはいけない、自信を持ってチップを差し出すべき状況だ、しかし3回目も断られたらどうしよう」と、90%の自信と10%の不安を持って差し出すと、ようやく受け取ってくれた。このお姉さんの意図は良く分からない。「このホテルは、よそとは少し違うぞ」というアピールなのだろうか。それとも「2回断って、そのくらいで客がチップを引っ込めるような、その程度のサービスしかできなかったらチップはいらない」という絶対の自信がなせる技なのか。私はその時は前者だと思ったが、滞在するうちに後者だと確信するようになった。

案内係が部屋を出て、ドアが閉まって、その3秒後にチャイムが鳴った。荷物だ。小さなカバンも含めて6つなので、「小さなカバンは2個で1ドルかのかな」などと考えたのだが、しっかりと「6バッグス、これでOKか?」と言うので、6ドルのチップをあげた。しかし、荷物が到着するタイミングが良すぎる。ポーターは、部屋には早々と到着していたが、部屋の中でチェックインの手続きが終わるのを、廊下でじっと待っていたに違いない。一流のサービスとは、こういうことなのだろう。ならば小さなカバンの1個1ドルも、決して高くはない。

チェックインが終わって良く見たら、部屋には灰皿がなく、「ノースモーキングフロア」の表示があった。これはまずい、予約はスモーキングルームで入れて、フロントでもこの点は確認したはずなのだが。さっそく電話でフロントへ問い合わせると、「ノープロブレム、灰皿を持って行きます」とのこと。「うーん、とてもありがたいが、一度でもスモーキングルームにした部屋は二度とノンスモーキングルームとしては使えないはずだ、こういう解決方法で本当にいいのだろうか」と思った。一流のサービスとは、たまに、凡人の理解を超越するものなのかもしれない。 

次の項目 −−− 3.部屋の様子

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