ロイヤルハワイアン滞在記

(1998年8月)


7.ステートフェア

 情報発見

日曜日の14時頃、「アロハスタジアムでステートフェアがある」というとても小さな記事を、プールサイドで寝そべりながら読んでいた現地の無料案内誌(英語)で発見した。もう読むものがなくなってきたので、英語のフリーペーパーを読んでいたのである。その日が最終日だった。閉園時間はミッドナイトとあるので、急げば間に合う。

ステートフェアは、そもそもは農業畜産の振興のための1週間程度のイベントで、ファーマーズ・フェアと呼ばれることもある。交通の便の悪い農業畜産地帯のど真ん中で開催されることが多いので、なかなか巡り会えない。

91年の秋に、カリフォルニア州オレンジ郡のファーマーズ・フェアを見たことがある。この時も、偶然手にした現地の英語版フリーペーパーに小さな記事を発見した。おおらかで牧歌的で、農業大国アメリカの豊かさを感じられるイベントで、日本にはないイベント形態だったのでエキゾチックでとてもおもしろかった。1週間の仮設イベントにしては充実した遊園地が併設されており、ライドの大半は地面に基礎を打たずに設置されていた。揺れの大きなライドは装置ごと地面を移動していく(10センチとか、20センチとか、移動した跡が土の上にくっきりと見えた)という、このあたりにもアメリカの大陸的性格が感じられた。ステートでフェアの移動遊園地では、たまにライドが倒れたり故障したりして、死人が出ることもあると聞く。

 行き方相談

水着姿にTシャツだけはおって、さっそくコンシェルジュへ。お兄さんとお姉さんの2人がいた。ステートフェアの記事を見せて、「これに行きたい」と言うと、お姉さんが「ステートフェアはとっても楽しいので、私も大好き、昨日は仕事がオフだったので、行って来た」とのこと。

問題は、どうやって行くかだ。タクシーでは片道40ドルで、たぶん帰りも簡単に拾える。安いけれども片道で1時間半から2時間かかるバスは、日曜日なので本数が少ないし、帰りは遅い時間になると走っていない。レンタカーは保険を入れてもタクシーよりも安くなるので、運転できるならばレンタカーがベスト、とのこと。。

詳しく値段と条件を聞くと、コンパクトクラスで35ドルくらい、保険は別、日本の免許証しかなくてもOKと言う。悪くない。4時からの24時間で予約を頼んだ。「マイレージプラスのサーティフィケイトを持っている」と言ったら、それよりも有利なディスカウントで借りられるのでサーティフィケイトは不要とのこと。すぐに電話してくれて、2軒目の電話でコンパクトクラスが見つかって、予約もかわりにやってくれた。借りる場所は、ハイアット・リージェンシーの1階のバジェット。やや遠いが、歩けない距離ではない。少々少ないかなあと思いながら1ドルのチップを渡したら、「Thank you, it's my plesure」と言ってくれた。

 行きの道のり

14時半にプールから引き上げて、急いでシャワーを浴びて、16時にクルマを借りに出かけて、手続きをして、16時半にロイヤルハワイアンで妻子を乗せて出発。バジェットでくれた地図はかなり大ざっぱなものだったが、昔の記憶を元に走ってみたら、すんなりH1のWESTに乗れた。

深夜の24時まで開いていることだし、ステートフェアが盛り上がるのは日没後だし、あせって早く着いても暑いだけだろうと考えて、途中でワイケレ・プレミアム・アウトレットに寄り道。1時間くらい軽く下見して、翌日の午前中に買いに来ることにした。18時半くらいにアロハスタジアムに着いた。不思議と誘導サインが見つからず、駐車場の入り口がを求めて10分くらい、回りをぐるぐるウロウロしてしまった。やがて、何でもないところで2台続けてUターンするクルマがいたので、もしやと思い同じようにUターンして付いていったら、駐車場の入り口にたどり着けた。駐車場誘導サインは、小さな面積で英文の文字が多い看板だったので、瞬時に英文が頭の中に入ってこない私には発見できなかったのである。

 駐車場から入口まで

ステートフェアの会場は、アロハスタジアムに隣接する未舗装の空き地(おそらく、アロハスタジアムの臨時駐車場)だった。そして駐車場(全面舗装)は、アロハスタジアムを取り囲むように配置されている広大な駐車場をそのまま使っている。まだ到着が早い方だったのであろう、比較的会場に近い場所に駐車できたが、会場の入り口まではまっすぐ行けず、一度表通りに出て橋を渡らなければならないため、10分くらい歩いた。遠い位置に駐車すると、かなり歩く羽目になる。

この日は「ペプシ・ナイト」と銘打って、ペプシコーラの空き缶を持参すれば、2.5ドルの入場料が50セントに割引になり、さらに75セント分のライド・チケットがもらえるという、とてもおもしろい入場システムになっていた。缶のペプシコーラは、自動販売機(やや割高)でも1.5ドルか1ドルで買えるので、そのへんを一回りして探そうかな、などと考えていたら、現地の人(白人のおばちゃん)が、「私たち、余分に空き缶があるから、あなたたちにあげるわよ」と親切に誘ってくれた。

とてもうれしい話だが、ペプシの空き缶の代わりに入場券とライド・チケットをくれる受付の行列は100m以上あり、その進み方も遅々としたもので、待ち時間は30分くらいはありそうに見えた。正規の入場券を2.5ドル(子供は1.5ドル)で販売している受付は、ほとんど並んでいる人がいなかった。そこで、白人のおばちゃんには丁重にお礼を言って申し出を断り、正規の窓口へ向かった。

 展示

面積的には、展示は20%くらい、物販が10%くらい、飲食が10%くらい、そして60%は遊園地(乗り物とゲームコーナー)。この比率は、91年のオレンジ郡ファーマーズフェアとほぼ同じ。

展示は、大型の仮設テント内で、農業畜産に関するもの。メインは牛や豚、羊、ニワトリなどの家畜の実物展で、91年のオレンジ郡ファーマーズフェアとほぼ同じ内容。ステートフェアの開催期間中(おそらく初日)に家畜の品評会があったようで、受賞した家畜の紹介ボードにはリボンが飾られていた。羊や山羊にエサ(有料、1回分1.5ドル)をあげられるタッチコーナーは、幼児や小学校低学年の子供でにぎわっていた。

家畜の実物展示以外には、家畜についての基礎知識の解説パネルコーナーや、ヒヨコの実物展示など。ヒヨコは、箱にぎっしりと入れられ、保温を兼ねた電球に照らされていたが、ほとんど動けないくらい小さく、鳴き声もかぼそい。可愛いだけでなく、こんな所に連れてこられて哀れを誘うためであろう、大人・子供を問わず見入ってしまう人が多かった。

動物の展示以外では、テーブルセッティング展と農家の娘の写真展(ファーマーズ・ドーターズ)がおもしろかった。テーブルセッティング展は、おそらく、同好会の出展であろう。農家の娘の写真展は、農作業姿の娘たちの写真(素人のスナップ写真)がたくさん並んでいて、しっかり名前も書いてある。良く見ると、美人も多い。もしかしたらこれは、日本のお見合いの釣り書きに似たものなのかもしれない。

 物販

物販の大型テント内に並んでいたのは、カーワックスや金属磨き、ジャグジー(庭に設置するタイプ)、園芸用品など。品揃えは地味で、あまり人もたかっておらず、たいして売れているようには見えなかった。また、遊園地のエリアの中には、おもちゃや風船などの縁日風売店も出ていた。

 飲食

日本では見たこともないような飲食店がたくさん出ていて、おもしろかった。フライドチキンやホットドッグ、スナック類、シェイブドアイス、各種キャンデー、各種飲物などのファーストフード&スナック系(軽い食べ物)の店は、みな同じサイズの簡易なプレハブで、あちこち痛んで錆が出ていたりして、日中はとても貧相に見えた。しかし日が落ちると電飾が輝きはじめ、ボロイところが隠されて、急に見違える。電気代の安い国らしく、電飾はどの店も元気いっぱいだった。

そのほか、物販テントの一角から遊園地コーナーの一角(連続したスペース)にかけて、ステーキやバーベキュー、トウモロコシなどの重い食べ物の店が出ていた。男女ともに体格の良い高校生たちが汗だくになって働いており、サークルや学校としての出店と思われる。単品販売だけでなく、紙皿に肉(数種類から選択)、ポテト、ライスなどを盛りつけてのランチプレートを売っている店も数軒あった。試しにサイコロステーキのプレートを頼んだら、店員の体格から想像したとおり、1人前で日本の感覚の2人前くらいあった。肉もテンコ盛りだが、それに加えてドンブリにすり切り入れて紙皿にひっくり返して盛ったとしか思えないマッシュポテトの山が重くて、紙皿が大きくしなってしまい、持ち運び要注意の危険な状態になっていた。両手で両脇をしっかり持たないと、紙皿から肉やポテトが転げ落ちる。実際、あちこちの地面に食べ物が落下していた。

飲物で印象的だったのは、レモネードの店。その場でレモンをしぼって、炭酸水を加えて、しゃしゃっとかき回してできあがり。1杯1.5ドル(税込み)。1杯にレモンを1個使う(半分に切ったレモンを2個しぼる)ので、作るのにやや時間がかかることもあって、行列が長く、10人くらい並んでいて10分くらい待たされた。しかし並んだ甲斐あって、素晴らしく切れ味の良い、目の覚めるような味。今まで飲んだレモネードの中で最も美味しかった。

 遊園地のライド

総数は20種くらい。小ぶりな回転系が多いが、観覧車やストックカー、リフト、そしてジェットコースターまで揃っており、91年のオレンジ郡ファーマーズフェアよりも充実していた。どのライドもめいっぱい電飾を身にまとっていて、大人でもわくわくさせられる。小学生くらいの子供たちが、ライドチケットを握りしめて、ライドからライドへと走り回っていた。

ジェットコースターは乗車時間2分くらいだが、なかなかの迫力で乗客は大喜び。ライドの中で唯一、長い行列(推定待ち時間15分)ができていた。観覧車は、高さ12m(4階建てのビル)程度。電飾が輝き始めた夕暮れ時に乗ったら、実に美しい風景であった。リフトは、会場の端と端を結ぶ全長200mぐらい、高さ5mくらいのもの。行列は3人ほどだったので乗ってみたら、意外に移動スピードが速く、風が全身に当たって気持ちが良かった。

ライドの料金は、1枚50セントのライド券が、通常は(混雑日は)4〜6枚と、決して安くはない。販売価格は、まとめ買いは50セント券24枚(12ドル分)で10ドル。わが家は家族3人で、控えめに乗って、22.5ドル分のライド券を使った。乗りまくったら、1人で20ドルは軽く超える。

また、マーケティング先進国らしく、ライドチケットの料金体系は日によって変わるシステムだった。ライドの営業は18時からミッドナイト(24時)なので、やはり週末の金・土が稼ぎ時のようである。
8/3 オールライド2〜3枚=半額サービス
8/4 15ドルでライド乗り放題=大サービス
8/5 オールライド2〜3枚=半額サービス
8/6 オールライド2〜3枚=半額サービス
8/7 割引なし(1ライド4〜6枚)
8/8 割引なし(1ライド4〜6枚)
8/9 オールライド2〜4枚=1ライドにつき50セント引き

 遊園地のゲーム

ゲームコーナーは、15種30店程度。91年のファーマーズフェアよりもはるかに充実しており、今まで見たことがないゲームもいくつかあった。料金は1回2ドルくらいで、商品は大中小のぬいぐるみが主体。大きなぬいぐるみがもらえるゲームは比較的難しく、小さなぬいぐるみがもらえるゲームは比較的簡単で、難易度の点でもバラエティが豊かに揃っていた。おもしろそうなものだけ、控えめにトライして、それでも30ドルくらい使ってしまった。

おもしろかったのは、まず、輪投げ。大量に並べてあるペットボトルのキャップの部分に入るように、直径5センチくらいのプラスチックの輪を投げる。賞品は、赤く塗られているキャップ(全体の10%程度)に入れば大きなぬいぐるみ、それ以外は中くらいのぬいぐるみ。やってみたが、とても良く弾むので、なかなか入らない。輪も的も小さいので、どこかを狙って投げると言うよりは、適当に投げて、何回か弾んで、ラッキーだったら的に入る、という感じ。当選確率はかなり低い。

ダーツは、風船を割るタイプと、ボードに描かれた星の的を狙うタイプの2種類があった。賞品は小さなぬいぐるみで、小さなぬいぐるみ3個と中くらいのぬいぐるみを交換できるシステム。星の的の面積から推察すると、当たる確率は10%程度で、輪投げよりも割がいい。風船割りタイプの場合は、風船は面積的には30%くらいあるのだが、端の方に当たっても風船は割れないので、当選率はやはり10%くらいと思われる。私は5本くらい投げたが1回も割れず、試しに娘に1本だけ投げさせたらなぜか風船が割れて、小さなぬいぐるみをもらえた。

最も当選確率の高いゲームは、1回3ドルの鳥のおもちゃ取りゲーム。ビニールプールの中をぐるぐる泳いでいる鳥のおもちゃを手でつかまえて、腹の部分(泳いでいる状態では見えない)に書かれた数字を見て、その番号のおもちゃをもらう。鳥は20匹くらい泳いでいて、大きなおもちゃが1つ、中くらいのおもちゃが2つ、残りは小さなおもちゃとなっていた。幼児でもできて、なおかつ間違いなく何かひとつもらえるという点で親も安心、ということで、小さなおもちゃは1ドルくらいとしか思えない安物ばかりだが、けっこう繁盛していた。

コイン投げは、初めて見た。25セントのコインを、床(ボーリング状のレーンのような板張り)に描かれた小さな輪を狙って投げる。輪投げと同様に良く弾むので、どこに止まるかは運次第。1回25セントと、他のゲームの1/8の料金なので、当選確率は輪投げよりもさらに低く、自分を含めて50個くらいのコインが投げられるのを見ていたが、当選者は1人もいなかった。

 帰りの道のり

22時になっても、人が減る気配がない。さすがに幼児や小学生を連れている客は減ったが、そのかわり高校生や大学生などが増えた感じがする。

親子3人して遊び疲れて足が痛くなってきたので、22時半に引き上げた。帰路は道が空いていて、ホテルまで30分だった。 

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