航空会社のFFPケーススタディ
3.マイルの収支の実例(私の場合、1999年現在)
これまでの獲得/消費マイル一覧
1990年の秋にマイレージプラスに入会して、1999年までの約9年間で19万マイルを獲得し、そのうち9.5万マイルを消費した。フライトマイルは、9年間に6回半の有償航空券による旅行で、7.4万マイルを獲得。ショッピングマイルは、零細企業の経営者である立場を生かして、会社で購入したパソコンやエアコンの支払いに自分のクレジットカードを利用するなどの努力の結果、8.8万マイルを得た。無料航空券での旅行は3回で、ハワイとシンガポールはCクラス、バンコクはYクラスに乗った。
現在のマイル残高は、私が9.6万マイル、妻が2.9万マイル、娘が3.6万マイル。このマイルをどう消費しようか、あれこれ迷っている。選択肢は、
- 妻がショッピングマイルの加算で3万マイルに達するのを待って、3人それぞれ自分の口座からマイルを引き出してアジアCクラス(1人3万マイル)
- 私の口座だけで9万マイル以上あるので、この口座から3人分のアジアCクラス
- 私がショッピングマイルを加算して12万マイルに達したら3人分のハワイYクラス(1人4万マイル)
- 0.4万マイルの有償航空券による旅行をして、娘を4万マイルにして、私の8万マイルと娘の4万マイルで、3人分のハワイYクラス
など。Cクラスの方が消費マイル単価は高いのだが、私としては現時点ではCクラスのアジアよりもYクラスのハワイの方が魅力を感じるし、さらに獲得マイルの有効期限の問題も絡むので、マイルの使い方についてはけっこう頭を使う。「どこに旅行に行こうか」と、楽しくパズルを解いているような感じだ。この「特典の使い道について楽しく悩める」という点も、マイレージプラスの魅力のひとつと言える。
獲得マイル |
フライトマイル |
73514 |
アメリカ3回、ハワイ2回など |
各種ボーナスマイル |
29631 |
閑散期割増、Cクラス割増など |
レンタカー利用マイル |
500 |
1回利用 |
ショッピングマイル |
87680 |
876万円も買い物した! |
*小計 |
191325 |
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消費マイル |
ハワイ(C) |
45000 |
現在は60000マイル必要 |
バンコク(Y) |
20000 |
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シンガポール(C) |
40000 |
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差引マイル |
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96352 |
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*注−−−Y:エコノミー、C:ビジネス、F:ファースト
獲得マイル−フライトマイル
航空券を購入してのUA利用歴は、アメリカ・メインランド3回、ハワイ2回、バンコク1回半(片道だけ無料航空券を利用)。参考までに成田からの往復マイル数は、ニューヨーク往復で13490マイル、ロサンゼルス往復10902マイル、サンフランシスコ往復で10249マイル、ホノルル往復で7636マイル、バンコク往復で5774マイルなど。Yクラスでアメリカ西海岸へ2往復すれば、フライトマイルだけで、Yクラスのアジア往復の無料航空券がもらえることになる。
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娘のカード(私も妻も、入会当初は
このカードだった) |
なお、1991年の海外旅行の際、生後9カ月の娘は、料金は大人の普通料金の10%(2歳未満の幼児の料金設定)であったが、フライトマイルは一人前にもらえた。2歳未満の子供でも一人前にマイルを支給するということは、UAの収支を悪化させる原因となりうる。おそらく、とても安いのは2歳未満のうちだけで2歳になったら料金は上がるし、また2歳未満の子供を連れての航空機利用は親の負担が大きくお疲れさんだし、まあこのくらい大目に見てサービスしておくか、ということなのだろう。この点に、アメリカを旅行していてよく感じる子供連れ旅行者優遇の姿勢と、アメリカ系企業らしい大陸的なおおらかさを感じて、とても好感を持った。ただし、最近のマイレージプラスの規則書には、「入会資格は2歳以上」と書いてあるので、2歳未満の幼児ではマイルを獲得できなくなったのかもしれない。
獲得マイル−各種ボーナスマイル
Cクラス割増(25%)、閑散期割増(太平洋往復で5000マイルなど)、マイレージプラスUCカード入会&UA搭乗によるボーナスマイル(10000マイルと大きかった)などが加算された。また、インターネットでアンケートに答えると1000マイルなど、ユニークなボーナスマイルもたまに実施されたので、必ずゲットするようにした。
航空会社のFFPの主目的は、FクラスやCクラスを定期的に使う客の固定化・囲い込みである。これらの客が航空会社にもたらす利益は、非常に大きいためだ。そのため、どの航空会社のFFPでも、Fクラス割増やCクラス割増があり、マイレージプラスの場合、Cクラス割増は25%、Fクラス割増は50%となっている。他社もだいたい似た水準である。
このボーナス割増率は、上級会員割増(詳細は後述)に比べると、小さい。現在の日本の航空券価格では(おそらく欧米各国も状況は同じと思うが)、CクラスはYクラスの125%よりも高く、FクラスはYクラスの150%よりも高いので、1マイルを手に入れるための費用(獲得マイル単価)は、Yクラスが最も安くなる。そのため、25%や50%のボーナス割増率では、「たくさんのマイルを手に入れるためにYをCやFに変更させる」ということを働きかける力はない。最初からCクラスやFクラスを選んでくれた客に対するUAからのささやかなお礼、という感じである。
獲得マイル−レンタカー利用マイル
マイレージプラスと提携しているレンタカーを利用すると、1回につき500マイル加算される。提携しているレンタカーの利用は5回くらいあったのだが、そのほとんどでチェックアウト(レンタカーの借出)の際にマイレージプラスのカードの提示を忘れてしまったので、1回しかカウントされなかった。
獲得マイル−ショッピングマイル
1994年11月にマイレージプラスUCカードが始まったので、さっそく金色の方に加入した(妻は銀色の方)。以来、このカードでの支払額を増やすために、自分の会社のパソコンやエアコンなどの高額商品の購入に利用するだけでなく、他のクレジットカードを解約する、友人のパソコン購入につき合って私のカードでの支払いにしてもらうなど、地道な努力を続けてきた結果、フライトマイルより多くのマイルが貯まった。
各社で発行しているマイレージサービス提携のクレジットカードは、利用額に応じてマイルが加算される(マイレージプラスUCカードの場合は100円で1マイル)が、総じて年会費が高いので、あまりクレジットカード利用額が多くない人には、マイル蓄積のコストパフォーマンスが悪い。逆に、かなり使う人には、利用価値が高い。
たとえば私の場合は、5年間で8.8万マイル貯めたが、5年間の年会費は計8万円(金色カードは年会費1.8万円)、8万マイルはYクラスでアジア4往復またはハワイ2往復なので、シンガポール4往復とすると得られる無料航空券の総額は20万円くらい、ハワイ2往復とすると14万円くらいになる。カードの年会費を引くと、12万円または6万円得をしたことになる。このくらいなら、メリットは小さくないと言える。しかし、5年間で2万マイルを貯める(1年の買い物額40万円)というペースでは、単純計算では5万円の年会費(銀色カードの場合)を払って得た無料航空券が5万円ということになり、メリットが生まれない。
それ以前に、獲得したマイルの有効期限は約3年なので、3年のうちに2万マイル(UAの無料航空券のアジア往復)に達しないと、マイルを貯めても何もならない。最近はUAとANAが提携したので、1.5万マイルでANAの国内線(長距離便を除く)に乗れるが、それでも1年に5000マイルが、ショッピングマイルだけで無料航空券を得るための最低ラインとなる。この点からも、航空会社のFFPプログラムは、ヘビーユーザーに厚く、ライトユーザーには薄いサービスとなっていることが分かる。
消費マイル−ハワイCクラス
UA利用のアメリカ西海岸往復格安航空券の価格を8万円、アジア往復格安航空券を5万円と仮定すると、アメリカ西海岸に2往復すればアジアに1回往復できるので、プレミアム還元率は31.25%になる。たくさんマイルを集めて、Cクラス(Yクラスの150%のマイルが必要)やFクラス(Yクラスの200%のマイルが必要)の無料航空券を獲得すれば、プレミアム還元率はさらに高くなる。
そこで、第1回目の無料航空券は、消費マイル単価の高いCクラスで、1993年7月に家族3人でハワイに行った。当時はハワイ往復の無料航空券は、Yクラス:3万マイル、Cクラス:4.5万マイル、Fクラス:6万マイルだった(その後1994年2月の無料航空券の必要マイル数の改訂により、ハワイ往復はYクラス:4万マイル、Cクラス:6万マイル、Fクラス:8万マイルとなっている)。夫婦で2枚の無料航空券を発券した。
このハワイCクラスチケットを得るためのマイルは、アメリカ東海岸周遊(Yクラス)と、アメリカ西海岸周遊(Cクラス)の2回の海外旅行で貯まったもの。実航マイルとCクラス割増だけでなく、閑散期太平洋横断ボーナスマイル(5000マイル)やその他のミニボーナスが加算されたため、4.5万マイルと少しがすぐに貯まった。この2回の航空券の購入価格は44万円程度であり、当時のハワイCクラスチケットは20万円程度だったので、この時点でのプレミアム還元率は何と45.5%というものすごい数字となっている。これで、私はすっかりマイレージプラスのとりこになった。
なお、妻も同じように発券したが、この時点で娘は2歳半であり、それまでの海外旅行歴はアメリカ西海岸1回でマイルが貯まっていなかったため、娘の切符は正規のビジネスクラスチケット(ただし子供料金で半額)をUAのカウンターで購入した。
消費マイル−バンコクYクラス
空券について勉強していくうちに、バンコク発券のチケット(UAのBLUR/TH01)が、安く繁忙期に確実に飛べる航空券であることが分かったので、1997年1月にバンコクに買い出し(厳密には第一区間の利用)に行った。その際、無料航空券でバンコク往復を発券してもらい、帰路は放棄した。
バンコクで購入した(厳密には日本まで郵送してもらった)航空券は、バンコク−成田(往復ストップオーバー可)−サンフランシスコ−オーランドのYクラス往復で1年オープン。購入した当時は1バーツ=3.5円くらいだったので、日本円換算価格は、大人約13.2万円、子供約8.8万円。バンコクからの帰路は、この航空券の第一区間を使った。その後、1997年の夏休みのお盆の時期に成田−オーランドを往復した。この値段でピーク期にオーランドまで往復できた(厳密にはさらにバンコク往復も付いてくる)のだから、かなり割安になったと言える(お盆の時期の日本発券のオーランド往復はUAで20万円前後)。
1998年の1月に、この航空券の最後の区間を利用して再度バンコクへ渡り、今度はバンコク−成田(往復ストップオーバー可)−ホノルルのYクラス往復で1年オープンのBLUR/TH01を購入。この頃は1バーツ=2.5円くらいだったので、日本円換算価格は大人約6.8万円、子供約4.7万円。バンコクからの帰途でこの航空券の第一区間を使い、その後、19983年の夏休みのお盆の時期に成田−ホノルルを往復した。この値段でピーク期にホノルルまで往復できた(厳密にはさらにバンコク往復も付いてくる)のだから、非常に割安になったと言える(お盆の時期の日本発券のホノルル往復はUAで15万円前後)。
なお、BLUR/TH01の利用ノウハウはかなり難解であり、航空券についての上級者レベルの知識と英文レターやりとり能力が求められる。基本的な手順は、JALネット(現在はアクセス・トラベラーズ)に加入して、自分で航空券予約コンピュータにアクセスして予約し、その後バンコクの旅行代理店とメールやりとりし、クレジットカードのインプリントを作成して郵送するとクーリエ便で航空券が届くので、その航空券で、第一区間のバンコク−成田から旅行を開始し、夏休みや年末年始の繁忙期(日本発券の航空券価格が高騰し予約も取りにくい時期)にアメリカへ往復し、最後に残った成田−バンコクのチケットは、次回のBLUR/TH01の開始のためのバンコク入りに使う、という流れである。NIFTYのFAIRLINEに詳しい(私もここでいろいろと教わった)。
消費マイル−シンガポールCクラス
マイルの消費期限が近づいたため、1997年12月末までに、家族3人でYクラスかCクラスでアジアへ往復する無料航空券を発券する必要があったので、どこに行こうか考えた末、1998年の春休みの時期に、シンガポールへCクラスで行って来た。久しぶりのCクラスで、コックピットも見学させてもらったり、なかなか楽しい旅行であった。
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