ニュース・活動報告
「立教大生殺害事件」捜査終結のご報告
1996年4月11日午後11時半ごろ、立教大学4年の小林悟さん(当時21歳)は、JR池袋駅のホームでスーツ姿の男に突き飛ばされ、頭を打つなどして5日後に死亡、犯人の男は当時24〜38歳ぐらいで、山手線に乗って逃走してしまいました。それから24年、父親の小林邦三郎さんの願いと努力も叶わず、未だに犯人を逮捕するには至っていません。
この事件で、警視庁池袋署は11日、容疑者不詳のまま殺人容疑で書類送検しました。警視庁は当初、傷害致死容疑で捜査していましたが、父親の小林邦三郎さんの必死の訴えにより2003年、公訴時効(7年)の成立を前に殺人容疑(時効15年)に切り替え、さらに2010年には、当会を含む複数の犯罪被害者団体の長年の活動により、殺人事件の時効が撤廃され、1年足らずしか残されていなかった「立教大生殺害事件」の時効も同時に撤廃となり、遺族の「犯人逮捕」への希望は絶たれることが無くなったのです。
小林さんは、当会発足より長年に亘り会長を務めていただき、すでにその任を退かれましたが、当会の活動は小林さんを支援し、ともに行動することによって今日まで歩んできたと言えます。
「殺人事件の時効撤廃」を求めて活動しながらも、ご自身の事件に対しては、「時効が成立していない過去の事件も撤廃の対象となることは、後から法律を作ってできることになれば、法を守ろうとする意識が失われてしまう」と反対。当初の15年を過ぎた2012年4月、警察庁に捜査の打ち切りを求める要望書を提出しています。池袋署は「捜査を尽くしたが、現時点で犯人の特定につながる証拠がない」と説明。引き続き情報提供を求め、有力な情報があれば捜査を再開するとしていますが、遺族からの申し出もあり、この事件の捜査は終結いたしました。
それでも多くの方々が、長い年月にかかわらず心に留めていただき、多くの温かい励ましに遺族はもとより、同じ犯罪被害者遺族として何度も勇気づけられました。24年間の皆様のご支援を賜りましたことを、当会全員より感謝申し上げます。
愛する家族の無残な姿は何時いかなる時も脳裏から離れることはありません。誰とも分からぬ犯人が、平然と、のうのうとどこかで暮らし、家族や友人と楽しそうに笑っているかもしれない、そう考えるだけでも身体が怒りに震え、息苦しくなるのです。毎日毎日、「もうすぐ捕まるからね」と語りかける遺影の写真は、そのときのまま時間が止まっているのに、自分はあっという間に年老いていく焦りと、絶望感。それでも「いつかは必ず逮捕してくれる」「自分が死んだあとでも、必ず警察は逮捕してくれる」という「一縷の望み」にすがり生きている遺族を忘れてはならないのです。
現実的に捜査が進展しない状況もあります。関係者すべてが「奇跡」を待つという残念な状況にあるかもしれません。けれども「時効撤廃」を成立させた正義に立ち返り、犯人逮捕を願い、捜査の継続を頼みとする、未解決殺人事件の遺族を追いつめることは決してあってはならず、そうした遺族の思いを今後も伝えていきたいと思います。
この事件で、警視庁池袋署は11日、容疑者不詳のまま殺人容疑で書類送検しました。警視庁は当初、傷害致死容疑で捜査していましたが、父親の小林邦三郎さんの必死の訴えにより2003年、公訴時効(7年)の成立を前に殺人容疑(時効15年)に切り替え、さらに2010年には、当会を含む複数の犯罪被害者団体の長年の活動により、殺人事件の時効が撤廃され、1年足らずしか残されていなかった「立教大生殺害事件」の時効も同時に撤廃となり、遺族の「犯人逮捕」への希望は絶たれることが無くなったのです。
「捜査終結」遺族の決断
しかし、来年4月に事件から25年となるのを前に、遺族が「他の事件に捜査の力を向けてほしい」との意向を示し、捜査に一区切りを付けることになりました。父親の邦三郎さんが「悔しいが、息子にも納得してもらいたい」と願い出たものです。小林さんは、当会発足より長年に亘り会長を務めていただき、すでにその任を退かれましたが、当会の活動は小林さんを支援し、ともに行動することによって今日まで歩んできたと言えます。
「殺人事件の時効撤廃」を求めて活動しながらも、ご自身の事件に対しては、「時効が成立していない過去の事件も撤廃の対象となることは、後から法律を作ってできることになれば、法を守ろうとする意識が失われてしまう」と反対。当初の15年を過ぎた2012年4月、警察庁に捜査の打ち切りを求める要望書を提出しています。池袋署は「捜査を尽くしたが、現時点で犯人の特定につながる証拠がない」と説明。引き続き情報提供を求め、有力な情報があれば捜査を再開するとしていますが、遺族からの申し出もあり、この事件の捜査は終結いたしました。
24年間のご支援に感謝します
「犯罪被害者家族の会ポエナ」でも、JR池袋駅やJR日暮里駅で似顔絵チラシ配布のお手伝いをし、池袋警察署、ご遺族とともに、犯人につながる情報を求めて参りました。当会ホームページへも毎年多くの方が情報をお寄せくださいましたが、残念ながら犯人逮捕には至りませんでした。それでも多くの方々が、長い年月にかかわらず心に留めていただき、多くの温かい励ましに遺族はもとより、同じ犯罪被害者遺族として何度も勇気づけられました。24年間の皆様のご支援を賜りましたことを、当会全員より感謝申し上げます。
未解決殺人事件の遺族を追いつめてはならない
しかしながら今回の小林邦三郎さんの決断は、あくまでも個人的な意思、信念に基づくものであり、当会として「時効なき未解決殺人事件の捜査中止」を認めることはなく、ましてや遺族にその決断を求めることがあってはならないと考えます。愛する家族の無残な姿は何時いかなる時も脳裏から離れることはありません。誰とも分からぬ犯人が、平然と、のうのうとどこかで暮らし、家族や友人と楽しそうに笑っているかもしれない、そう考えるだけでも身体が怒りに震え、息苦しくなるのです。毎日毎日、「もうすぐ捕まるからね」と語りかける遺影の写真は、そのときのまま時間が止まっているのに、自分はあっという間に年老いていく焦りと、絶望感。それでも「いつかは必ず逮捕してくれる」「自分が死んだあとでも、必ず警察は逮捕してくれる」という「一縷の望み」にすがり生きている遺族を忘れてはならないのです。
現実的に捜査が進展しない状況もあります。関係者すべてが「奇跡」を待つという残念な状況にあるかもしれません。けれども「時効撤廃」を成立させた正義に立ち返り、犯人逮捕を願い、捜査の継続を頼みとする、未解決殺人事件の遺族を追いつめることは決してあってはならず、そうした遺族の思いを今後も伝えていきたいと思います。
【関連記事】
2020年12月16日掲載