航空会社のFFPケーススタディ


1.航空会社のマイレージシステムの基礎知識

 基本的な構造

航空会社のマイレージシステム(英語では、FFP=フリークエント・フライヤーズ・プログラム)とは、飛行機に乗ったら、乗った距離に応じたポイント(マイル)を進呈。マイルが貯まったら、蓄積したマイルに応じて無料航空券をプレゼントという、基本は単純な蓄積型クーポンシステムの一種。

プレミアム還元率は累進型で、より多くのマイルを貯めるとより還元率が高くなる。また主対象はヘビーユーザーであるため、年間実航マイル数に応じた複雑で充実した上級会員制度があり、上級会員の特典も累進型となっている(上級になればなるほど特典が増え、マイルも獲得しやすくなる)。この二重の累進構造も、極めて特徴的と言える。

 これまでの推移

はじめたのはアメリカ系の航空会社(確か、UA:ユナイテッド航空か、NW:ノースウェスト航空のどちらか)。プレミアム還元率の高さと、システムとしての完成度の高さゆえ、アメリカ国内をはじめ全世界(米系航空会社が就航している先進各国)で急速に会員数を増やした。現在では、日米欧の大半の航空会社において、マイレージシステムが実施されている。

 日本の景表法との関係

プレミアム還元率が10%を超えることがしばしばあるため、日本では景表法改正以前は、厳密には景表法違反(ベタ付けプレミアム10%制限に引っかかる)であった。しかし、全世界的に展開されているプロモーションであること、日本としては頭が上がらないアメリカの企業が始めたプロモーションであること、日米航空交渉で日本はいつもアメリカに責められていること、規制緩和を求める外圧があったこと等々の理由から、特例的に認められてきた。

その後、1996年4月1日から景表法が改正され、米系航空会社のマイレージシステムは日本でも合法となった。と言うよりも、景表法改正の目的のひとつは、米系航空会社のマイレージシステムを合法とすることであった(と通産省は言っていないが、それに間違いないと私は思っている)。

 日系/米系のマイレージシステムの違い

日本においても米系航空会社のマイレージシステムが急速に会員を増やしたため、これに対抗すべく日系航空会社でもあわててマイレージシステムを開始した。しかし現時点では、特にマイルの貯めやすさの点で、米系航空会社のマイレージシステム(格安航空券やパッケージツアーでも実航距離の100%のマイルを獲得できる)の方が、日系航空会社のマイレージシステム(格安航空券やパッケージツアーでは実航距離の50%のマイルしか獲得できない)よりも魅力的なシステムとなっている。

次の項目 −−− 2.マイレージプラスの基本的な仕組み

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