ロール軸周りの慣性モーメントの計算と総合評価(07-12-25)

写真の例題機で慣性モーメントの計算をしてみたいと思います。機体の構成部品は主翼、プロペラセット、胴体セット(含垂直尾翼)、水平尾翼です。



重心を通るX軸周りの慣性モーメント(横の安定に関与)を計算します。


図は正面図で3通りの主翼を示しています。
写真と同じ上反角6度の主翼(06)、上反角10度の主翼(10)、 上反角10度で翼台を1.25cm高くした翼(10,1.25cm)です。これに上反角11度の主翼(11)を加えて4種の主翼の場合の機体全体のX軸周りの慣性モーメントを計算しました。
胴体内の点(破線の始点)が重心位置です。重心からの距離が大きい主翼とプロペラが慣性モーメントの主要成分です。4例でプロペラの慣性モーメントは殆ど変化せず、主翼の構成の変化の寄与がもっとも大きくなります。
計算の詳細はワークシートに示しますが、その詳細は上反角6度のシートに付記します。

主翼 慣性モーメント 慣性モーメント比 復元モーメント比 復元角加速度比 重心位置 計算ワークシート
上反角6度 588gwcm^2 0.987 0.596 0.604 1.18cm 計算詳細
上反角10度 596gwcm^2 1.000 1.000 1.000 1.33cm 計算詳細
上反角11度 598gwcm^2 1.003 1.102 1.099 1.36cm 計算詳細
上反角10度パイロン1.25cm* 629gwcm^2 1.055 1.014 0.961 1.60cm 計算詳細
*主翼10,1.25cmは主翼10に比べて翼・重心位置間0.98cm増

上反角10度主翼から上反角11度主翼への復元モーメント(トルク)の増加率は1.102でした。その場合の慣性モーメントの増加率は593/592=1.002、つまり上反角を1度増やすと復元モーメントは10%増加し、慣性モーメントは増加しないので復元の角加速度も10%増加し、大いに有効です。
一方、上反角10度主翼から上反角10度パイロン1.25cm主翼への復元モーメントの増加率は1.014、慣性モーメントの増加率は623/592=1.052、つまり主翼からの重心位置を1cm下げると復元モーメントは1.4%増加するが、慣性モーメントが5.2%増加し、結果的に復元の角加速度は1.014/1.052=0.964つまり約3.5%減少します。
重心を低くしたら安定が良くなると思ってパイロンを高くしたのに結果は復元の角加速度の減少、いいかえれば横の安定は低下しているのです!


静安定と慣性モーメント
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