ゴム動力模型飛行機ホームペー

FF用語集 (06-05-10, -06-09)

古川正巳さんがNiftyフォーラム模型第8会議室(FF&CL)で起草し、会議室参加者のコメントを織り込んで編集完成した用語集です。Niftyでの古川さんの開始宣言完了宣言です。ご本人から掲載OKを頂きました。
名前は用語集ですが、動力ゴム接着剤火縄被覆補強材・・・などノーハウ集の性格も兼ね備えています。作成からほぼ10年を経過し、競技規定など非現行のものもありますから、追記を行います、図や写真(のリンク)の追加も。

用語集 目次(クリックして用語の付近に到達 またはWebブラウザーの「このページの検索」利用)
1.R−50 2.アウトリガー 3.アスペクト比 4.アテンプト 5.ウェーク 6.ウェークフィールド 7.ウォッシュアウト 8.ウォッシュイン9.ウォルナッツ 10.エア(ロ)フォイル 11.HLG 12.S管 13.FAI 14.FF機 15.エンジン機 16.エンテ 17.オーニソプタ 18.折り畳みプロペラ;折りペラ 19.カーボンファイバー 20. 回転軸 21.ガセット 22.カタパルトグライダー 23.カナード 24.紙飛行機 25.がん箱 26.キャンバー;カンバー 27.境界層 28.空気力 29.クープ 30.クープディベール 31.グライダー 32.ケント紙 33.グラスクロス 34.後退翼 35.コード 36.高翼 37.抗力 38.抗力係数 39.ゴム;動力ゴム 40.ゴム掛け棒 41.ゴム・スリッター 42.ゴム巻き台 43.固有安定 44.サーマル 45.サイドスラスト 46.CdH 47.治具 48.失速 48-1.室内機 48-2.ジャイロ効果 49.首翼効果 50.重心 51.上反角 52.上反角効果 53.しわ貼り 54.垂直尾翼 55.垂直尾翼容積(比) 56.水平尾翼 57.水平尾翼容積(比) 58.推力 59.スタビライザー 60.スタブチルト 61.ストール 62.ストリンガー 63.スナップロール 64.スナッファチューブ 65.スパー 66.スパイラル不安定;螺旋不安定 67.スパン 68.接着剤 69.セミスケール 70.ダウンスラスト 71.ダッチロール 72.タブ 73.低翼 74.テールスキッド 75.デカラージュ 76.デサマライザー:デサマ 77.デサマショート 78.テルミック 79.胴体 80.ドープ 81.トウライン 82.トラクター 83.トラス 84.取付け角 85.取付け角差 86.トリム 87.トレーリングエッヂ 88.ノーズブロック 89.ハイポイント 90.パイロン 91.羽ばたき機 92.バランスポイント 93.バルサ 94.バルサスリッター 95.ハンガー;プロペラハンガー 96.バンク 97.P−30 98.ピーナッツ 99.ピスタチオ 100.ビッグスケール 101.ピッチ(プロペラの)102.ピッチング 103.火縄 104.被覆材 105.フィレット 106.風圧中心 107.吹き下し速度;吹き下し108.プッシャー 109.フライオフ 110.フライングウィング 111.プラグ 112.フラッター 113. ブレード 114.プロテクトチューブ 115.プロペラ 116.補強材 117.保護チューブ 118.マイクロバルーン 119.マイラーフィルム 120.巻き胴 121.マックス 122.ミニクープ 123.迎角 124.モーターチューブ 125.モーターラン 126.モーメントアーム 127.モントリオールストップ;モントリオールストッパー 128.矢高 129.ヨーイング 130.揚抗比 131.揚力 132.揚力係数 133.揚力尾翼 134.翼型 135.翼面荷重 136.横滑り 137.ライトプレーン 138.ランディングギア 139.リアペッグ 140.リーディングエッヂ 141.リブ 142.ルーブリカント;ルーブ 143.レイノルズ数 144.ロングロン 145.ワインダー

             FF用語集

  (◎ご自由に取捨・選択・修正・補充等をしてご利用下さい)Mar.1997

1. R−50 (R-50)
YSF(代々木スカイフレンド)クラブの規定した規格による小型競技機。
FF機参照。

2. アウトリガー (outrigger)
折り畳みプロペラのハブ(中心部)の形式で、ブレードが胴体と離れて折り畳まれる形のもの。基本的なZ型のハブも、モントリオール形式のハブもこの形式。
折り畳みプロペラ参照。
[参考]outriggerは元々は南太平洋やインド洋のカヌーの両側に付いている転倒防止用の浮き

3. アスペクト比 (aspect ratio)
翼幅と翼弦との比;翼幅/翼弦。(詳しくは翼幅の2乗と翼面積の比=翼幅と平均翼弦との比)
これが大きいほど揚抗比が大きい。

4.アテンプト (attempt)
国際級(F1A,F1B,F1C)などの競技会で使用される言葉で、公式飛行を目指した飛行はすべてアテンプトと呼ばれる。一回目で成功すればそれが公式飛行と認定され、失敗した場合(飛行時間が20秒以内とか、部品が脱落したなどの場合)は不成立アテンプトとして再度アテンプトを行うことが認められる。

[参考1]「FF国内級競技規定」ではアテンプトという言葉は使用されず、上の不成立アテンプトは「やり直し」という言葉で表現し直されている。
[参考2]クラブ主催などのローカルな競技会では、滞空が一定時間(10〜20秒程度)に達しない場合など、やり直しを認めることが多いが、このやり直しを慣用的にアテンプトと呼ぶことがある。

5. ウェーク (Wake) 
ウェークフィールド参照。

6. ウェークフィールド (Wakefield)
ウェークフィールド杯は1911年に Lord Wakefield によって創設された競技会。現在はその二代目の杯が世界選手権の優勝者に与えられている。参加者は各地区、各国と段階的に選ばれ、最終的な世界選手権競技に臨む。
現在は主としてウェークフィールド級(F1B)またはその機体、競技種目を言う。略してウェークと呼ぶ。FF機参照。 

7. ウォッシュアウト (washout)
捻じり下げ。前縁翼端を捻じり下げること。翼端に捻り下げがあると、翼の中央部が失速状態になっても翼端部は失速を起こさず、機首が下がり、増速して失速が回復する特性を持つ。スピンやスパイラルの恐れが少なくなる。

[参考]翼端上反角や二段上反角も捻り下げと同じ効果を持つ。
  (本会議室 #4353,#4356〜 参照)
8. ウォッシュイン (washin)
捻じり上げ。前縁を後縁より捻じり上げること。グライド時、旋回の内側の主翼全体にウォッシュインをつけるとサーマルに乗りやすいといわれる。(本会議室 #2113, #2123 参照)

9. ウォルナッツ (Walnut scale)
ウォルナッツスケール機。ウォルナッツはクルミの意味。FF機参照。

10. エア(ロ)フォイル (aerofoil=airfoil)
本来は主翼、方向舵、スタビライザー、プロペラのブレードなど飛行機の翼面の意味。翼幅を考えない二次元翼の場合は、翼型(wing section)の意味にも用いられる。

11. HLG (HLG; hand launch glider; chuck glider[英])
ハンドランチ(グライダー);手投げグライダー。広い意味では手投げの紙飛行機もHLGに入るが、一般にはバルサ製のものを言う。
グライダーカタパルトグライダー参照。(本会議室 #22, #1062 参照)

12. S管 (S hook)
ゴムを巻くときゴムとワインダーとを繋ぐためのダルマ型のフック。ダルマ型以外にも、厚手のアルミ板から成形した鍵型のフック(crocket hook)もよく使われる。

[参考]盆栽の整形に使うアルミの太線(茶色のものが多い)を日曜大工店などで売っているが、あの2mm〜3mmの太さのものがS管の制作に使える。安価だし、工作も楽。細いピアノ線で作ったものよりもゴムが切れにくいし、ダルマの下側の両端を完全に丸めずに開いておくと、ゴムのせり上がりを防ぐことが出来る。細いピアノ線のS管でこれをやる とゴムの押さえが効かずに開いてしまい、ゴムがはずれてしまう。

13. FAI (Federation Aeronautique International)
国際航空連盟。航空スポーツの育成を目的とする団体で、フランスに本部をおく。スポーツコードの規定などを行う。日本ではJAA(日本航空協会)がその業務を代行し、その模型部門がJMA(日本模型航空連盟)である。

[参考]「FAIのゴム」とは、アメリカの F.A.I. Model Supply の供給する競技機用の動力用ゴムで、概して良質であるがFAIとは無関係。

14. FF機 (free flights)
フリーフライト機。操縦できない模型飛行機のこと。
 
[参考1]FAI(国際航空連盟)のスポーツコードによれば、FFとは「模型と競技者または助手の間に如何なる物理的結合もない飛行である。無線操縦機能は該当する種目の規則中に特別に明記されている場合のみ許される」となっている。
[参考2]FFゴム動力機の類別:(GpFニューズ号外による)
(ライトプレーン関係)
    ライトプレーンA:機体長50cm以下
    ライトプレーンB:機体長50cmを越えるもの
    ライトプレーンR−30:GpF制定、30cmの箱に入り、二脚付き、地上発進
     (ライトプレーンの規格は本来は機体長のみであるが、通例は翼片
      面貼り、裸胴である)
  (国際級)
    ウェークフィールド:F1B 機体重量195g以上、主+水平翼面17-19平方
              dm、ゴム35g以下 (2006年現在、機体重量200g以上、ゴム30g以下)
    クープディベール:F1G 機体重量70g以上、ゴム10g以下 通例被覆胴
  (国内級、他)
    国内級:R級 機体重量90g以上、ゴム20g以下(2006年現在、ゴム15g以下)
   P−30:機体重量40g以上、ゴム10g以下、機体長・機体幅共30インチ
         (762mm)以下、ペラ市販プラ製9.5インチ(241mm)以下、通例被覆胴
    R−50:YSF制定、機体長、機体幅とも50cm以下、被覆胴、
         ゴム長モーターチューブ先端からリアペグまで20cm以下
    ミニクープ:機体重量35g以上、ゴム5g以下 
  (スケールタイプ)
    ピーナッツスケール:機体幅13インチ(33cm)以下、実機の有るもの
             (別のルールもある)
    ピスタチオ:機体幅8インチ(20cm)以内、実機の有るもの
    ウォルナッツ:機体幅13インチ(33cm)を越えるもので、実機が有るもの
   ビッグスケール:機体幅1mを越え、実機が有るもの
   セミスケール:スケールに準ずるタイプのもの

15. エンジン機 (power model)
動力にピストンモーターを使った模型飛行機 (F1C)。

[参考]国際級のFAI規定(F1C)
   最小重量   300g/立方cm
   最大翼面荷重 50g/平方dm
   最小翼面荷重 20g/平方dm
   気筒容積    2.5立方cm以下
   最大モーターラン   7秒 (フライオフは5秒) (2006年現在、最大モーターランは5秒

16. エンテ (Ente[独]; canard)
先尾翼式飛行機;鴨型機。カナードともいう。Enteもcanard(<仏)ももとは「鴨」の意味。プッシャー型飛行機や紙飛行機によく見られる。

17. オーニソプタ (ornithopter)
羽ばたき機。ゴム動力による回転運動をクランク機構を使って直線往復運動に換え、羽ばたきをさせている。羽ばたく蝶のように優雅な姿で飛翔する。

18. 折り畳みプロペラ;折りペラ (folding prop; folding blades)
動力がなくなったグライド時、プロペラは有害抗力となるが、それを折り畳んで殆ど抗力を無くすようにしたプロペラ。動力ゴムの勢いがあるところまで低下すると、プロペラがほぼ水平になった位置でストッパー(停止機構)が働きプロペラが折り畳まれる。「折りペラ」と略称されることが多い。アウトリガー参照。

[参考]折りペラのストッパーには、通常のバネ式の張力動作型と、モントリオールストップなどに見られるトルク動作型とがある。
モントリオールストップ参照。一三式艦戦さんのミニクープ用モントリオールストップ

19. カーボンファイバー (carbon fiber)
補強材参照。

20. 回転軸 (axis)
一般に機体の動きは、重心を通る3方向の軸回りに説明される。
a)上下軸(normal axis)回り
この運動はヨーイング(偏ゆれ)と呼ばれ、機首を左右に振る。垂直尾翼参照。
b)左右軸(lateral axis)回り
この運動はピッチング(縦ゆれ)と呼ばれ、機首を上下に振る。水平尾翼取付け角差参照。
c)前後軸 (longitudinal axis)回り
この運動はローリング(横ゆれ)と呼ばれ、機体が横に傾く。上反角参照。
この3つの運動の自動的安定作用は「機体の固有安定」といわれる。

[参考]回転軸は揚力の中心(C.L. ; center of lift)を通ると想定されることもある。(揚力尾翼の場合には平均 C.L. (mean C.L.))。宇宙船の中での紙飛行機の運動を説明するとすれば、この想定の方が適しているであろう。

21. ガセット (gusset)
接合部などに付ける三角形の補強材。

22. カタパルトグライダー (catapult glider)
手持ちのカタパルト(棒にループにしたゴムをつけたもの)で発射するグライダー。 バルサ製の俗にいうパチンコ(グライダー)も、紙飛行機のゴムカタパルトグライダーもこのジャンルにはいる。(本会議室 #22, #1062 参照)

23. カナード (canard)
先尾翼式飛行機。エンテ参照。

24. 紙飛行機 (paper plane)
HLGとカタパルトグライダーのうち、材質を明確に紙と規定したもの。現在では紙飛行機だけで別に一つのジャンルをなし、紙飛行機だけの国際競技なども行われている。風圧による紙のたわみを利用した飛行など、高度な技術が用いられる。
HLGカタパルトグライダー参照。(本会議室 #178〜 参照)

25. がん箱 (carrying box)
分解した翼や胴体などを入れて持ち運ぶ縦長で上蓋の箱を指す俗語。棺箱(=棺桶)に似ているところから。

26. キャンバー;カンバー (camber)
翼型の反り。矢高とも言う。揚力を作り出す上下非対称の空気圧力分布に関係する。

27. 境界層 (boundary layer)
翼上面のごく薄い空気層を言う。境界層では空気の粘性による摩擦力が働くため、空気流の性質が移り変わり、翼の性能と密接な関わりを持つ。

28. 空気力 (aerodynamic force)
翼が空気中を移動すると空気力が翼に対して働く。普通は進行方向に垂直上向きに働く"揚力"成分と、進行方向に平行で後向きに働く"抗力"成分とに分ける。
また空気力を構成する"慣性力"と"粘性力"の比はレイノルズ数と呼ばれ、飛行領域を示す指数として用いられる。 レイノルズ数参照。

29. クープ (Coupe)
クープディベールの略称。

30. クープディベール (Coupe d'Hiver = Winter Coupe)
本来は冬に行われる競技会であったが、現在はクープディベール級(F1G)またはその機体、競技種目を言う。CDHと略称されることもある。
Coupeは元はgoblet(杯)の意味のフランス語。FF機参照。

31. グライダー(曳航索を用いる) (glider)
曳航滑空機。普通グライダーという場合にはこの曳航索によるグライダーを指し、手投げやゴムカタパルトを用いたものは、HLG、ハンドランチ、カタパルトグライダーなどと呼ばれる。
曳航グライダーには、ノーディックA2(F1A;国際級)とノーディックA1(F1H)、さらに日本国内ではG級があり、F1Aは世界選手権競技が行われる。

[参考]  (FAI,JMA規定)

F1A F1H G
スパン(mm) 1500以下
翼面積(平方dm) 32-34 18以下
曳航索(m) 50以下 50以下 50以下


32. ケント紙 (drafting paper; Kent paper)
上質の製図用紙で、紙飛行機の製作に使う。紙飛行機製作専用のものも発売されている。英国のケント州で最初に製造されたためこの名前がある。

[参考]紙をたわませてみて、たわみにくい向きに強い。その向きに翼幅、胴体などの長い方向を当てる。

33. グラスクロス (glass cloth)
補強材参照。

34. 後退翼 (swept wing)
翼の平面形が前・後縁とも翼端に行くにつれて後退(sweepback)している翼。上反角効果参照。

35. コード (chord)
翼弦(翼の前後方向の長さ)。翼の横の長さはスパン(翼幅)と言う。

36. 高翼 (high wing)
重心より上にある主翼。横安定に優れる。スケール機などでは胴体の基準線よりも上にある主翼を言う場合もある。上反角効果低翼参照。

37. 抗力 (drag)
空気力参照。
抗力D=(1/2)・ρ・Cd・S・V^2 但し、ρ:空気密度(海水面で1.225kg/m^3)、Cd:抗力係数、S:翼面積、V:飛行速度

38. 抗力係数 (drag coefficient)
抗力を無次元化して表したもので、翼型や迎角と密接な関係を持つ。

39. ゴム;動力ゴム (rubber motor)
黒色、灰色、黄褐色などいろいろあるが、現在入手できる良質の動力ゴムはFAI Model Supply の供給するTAN-II(黄褐色)である。
Tan IIは2002年7月を最後に製造中止、現在入手できるのはFAI Super SportとFAI Sportです。
[参考1]ゴムの結び方(例):
a)本結びの後縦結びをして(要するに3回結んで)、頭を瞬間接着剤で固める。瞬間接着剤が流れ過ぎないように注意。
b)ゆるく本結びをした後、両端を揃え二本纏めてひとえ結びにする。この3つの結び目を端のひとえ結びから逆順にきつく締めていく。この結び方の時には瞬間接着剤で固めなくてもまずほどけない。
[参考2]ゴムを結んで締めるときは必ず唾などで湿らせておくこと。また使用の際にはシリコンオイルなどのルーブリカント(潤滑剤)を用いること。ルーブリカント参照。
[参考3]一般にゴムを巻くときはいきなりいっぱいに巻かず、徐々に巻き数を増やしていく(慣らし)。
[参考4]ゴムの巻数の目安
[束の長さ(mm)×K]÷[束の断面積(平方mm)の平方根]
(例)束の長さ30cm、幅3.2mm、1mm厚のゴム8条の場合
   切断係数K=7とすると
  (300×7)÷{(1×3.2×8)の平方根} --> 約415(回)
FAIのTAN-IIの場合K --> 8.5〜9.5
一般に長く伸ばして巻けば巻数は多くなるがトルクは弱く、あまり伸ばさず巻けばトルクは強いが巻数は少なくなる。また同じ断面積でもゴム幅が小さいほど多く巻ける。

40. ゴム掛け棒 (pushing stick; stuffer stick)
被覆胴や巻き胴にゴムを通す棒。先端に二重になった二股をつけ、そこにゴムを掛け、間に機体後部に取り付けるゴム掛け用のパイプ(rear tube)を通せるように工夫したものが多い。

41. ゴム・スリッター (rubber stripper; rubber slitter)
ゴムを希望する細さに細長く切断する道具。
(アメリカの Robert E. Oppegard 氏製作のものがよく使われている。 本会議室 #1769 参照)
Oppegard 氏製作のもは最早入手不能

42. ゴム巻き台 (winding stooge)
ゴムを巻くとき機体を安定して支える台。プロペラと機体を固定して後部からゴムを巻く方式のもの、機体後部のゴム掛けと機体を固定して前方からゴムを巻く方式のもの等がある。

42-1. コメタル (prop hanger)
ライトプレーンのプロペラシャフト取付部。「コの字型をしたメタル」から造語されたものといわれる。ハンガー参照。

43. 固有安定 (inherent stability)
気流の乱れなど何らかの理由で機体の釣り合いが破れたとき、自動的に元の状態に戻そうとする機体自身の働きを言う。
回転軸垂直尾翼水平尾翼取付け角差上反角参照

44. サーマル (thermal; thermal lift)
熱上昇気流;テルミック(<独)。ドーナツ状に上昇していく暖かい空気の塊り。サーマルの発生は、例えばポリエステルテープの吹き流しが急上昇することなどで判断できる。デサマライザー参照。
  
[参考]山や丘の風上側、また都会では大きな建物の風上側で上昇気流が生じることがあるが、この上昇気流(updraft)はサーマルとは別。

45. サイドスラスト (side thrust)
上昇時に宙返りや失速を抑え、また旋回を与えるために、推力軸の方向を左右どちらかにずらすこと。普通プロペラ回転の反力をキャンセルするため右方向にずらすことが多い。

[参考]飛行機で左右をいう場合、進行方向を向いて操縦席に座った立場を基準にする。

46. CDH
クープディベール(Coup d'hiver)の略。

47. 治具 (jig)
工作のときパーツを正確な位置に固定したりするための簡単な道具。
日本語の「治具」は英語のjigに由来する。

48. 失速 (stall)
主翼上面から空気の流れが剥がれてしまい(剥離)、そのため揚力が失われてしまうこと。俗に言う「お祭り」。

48-1. 室内機 (indoor model. indoor plane)
体育館などの屋内で飛ばす飛行機。非常に軽量(数グラム)で、30分以上の長時間飛行が可能である。軽量化のためごく薄いマイクロフィルムなどが用いられる。

[参考]  国際級室内機のFAI規定 (F1D)
   スパン(mm)     650以下
   重量        1g以上(動力用ゴムを除く)
   (天井の高さにより4カテゴリーに分かれる)

48-2. ジャイロ効果 (GYRO ACTION, gyroscopic effect?)
右回転のプロペラで機首を右に振れば頭下げ、機首を左に振れば頭上げの効果。

49.首翼効果 (prop wing-effect)
推力参照。

50. 重心 (C.G.; center of gravity)
機体全体に対しての重力の着力点。バランスポイントの鉛直線上にある。
バランスポイント参照。

51. 上反角 (dihedral; dihedral angle)
主翼の上方への反りで、横安定に役立つ。上反角の復元モーメントと垂直尾翼の面積の大きさはある程度の均衡が必要である。垂直尾翼参照。

52. 上反角効果 (dihedral effect)
機体が突風などで横に傾いた場合、翼に上反角がついていると機体をもとの姿勢に戻そうとする力が働く。 これを上反角効果と言う。
高翼、後退翼なども上反角効果を持つ。
  
[参考]機体が横に傾くと、揚力が傾き横方向の成分が発生し、傾いた方に横滑りする。上反角があると、この横滑り運動のために下側の翼の揚力が勝り、姿勢を元に戻す復元モーメントが生ずる。横滑り参照。

53. しわ貼り (rumpled-paper covering)
被覆材参照。

54. 垂直尾翼 (vertical tail)
飛行機のヨーイング(偏ゆれ)運動に対して風見安定の働きをする。実機ではフィン(固定安定板)とラダー(舵)から成るが、FF模型飛行機ではフィンのみのものが多い。
垂直尾翼の面積の大きさはある程度上反角の復元モーメントとの均衡が必要で、垂直尾翼が大き過ぎるとスパイラル不安定を起こし、小さ過ぎるとダッチロールやスナップロールを生ずる。
垂直尾翼容積、上反角参照。

55. 垂直尾翼容積(比)(vertical tail volume, vertical tail volume coefficient)
垂直尾翼の大きさを決めるのに役立つ無次元数で
 Vv=(Sv×lv)/(S×b)
で求められる。 Sv:垂直尾翼面積
           lv:垂直尾翼モーメントアーム
          (重心から尾翼の風圧中心までの距離:風圧中心参照)
           S:主翼面積、 b:主翼スパン
屋外用ゴム動力機 0.033 、スケール機 0.035 、ハンドランチ 0.015 程度が目安とされる。
垂直尾翼モーメントアームとして主翼空力中心から尾翼空力中心までの距離を使うこともある。空力中心と風圧中心 中立点(全機空力中心)参照

56. 水平尾翼 (horizontal tail)
飛行機のピッチング(縦ゆれ)運動に対して安定作用をもつ。実機ではスタビライザー(固定安定版)とエレベーター(昇降舵)から成るが、FF機ではスタビライザーのみのものが普通である。スタビライザー参照。

57. 水平尾翼容積(比)(horizontal tail volume, horizontal tail volume coefficient)
水平尾翼の大きさを決めるのに役立つ無次元数で
 Vh = (Sh ×lh)/(S×C)
で求められる。 Sh:水平尾翼面積、
        lh:水平尾翼モーメントアーム
        (重心から尾翼の風圧中心までの距離:風圧中心参照)
  S:主翼面積、 C:平均コード
一般に 0.80 〜 1.60 程度が目安とされる。これが大きければ縦安定が良いとされる。
垂直尾翼モーメントアームとして主翼空力中心から尾翼空力中心までの距離を使うこともある。空力中心と風圧中心 中立点(全機空力中心)参照


58. 推力 (thrust)
飛行機を前進させる力。プロペラ機ではゴムなどの動力でプロペラを回転させて推力を得る。プロペラ参照。
推力の変化は速度変化をもたらし、翼面に働く空気力を変化させる。空気密度が 一定の場合、空気力は速度の自乗に比例して変化する。
  
[参考1]ゴム動力機でゴムの巻き数を増やしていくと、急に不安定になって地面に突っ込んでしまうことがあるが、 これは速度の増大が各翼面に働く空気力の不均衡を急増させるためであることが多い。 各翼面に働く力が均衡するように調整したり、また取付け角差の再調整や、C.G.の位置やサイド(ダウン)スラストとのバランスの再調整が必要になることもある。
[参考2]大直径のプロペラをつけると高速時の飛行が不安定になることがあるが、これはプロペラの「首翼」効果、つまりプロペラ位置に水平翼と垂直翼があるのと同じ効果が発生して尾翼の働きを減殺することによる。この場合には水平尾翼、垂直尾翼を大きくするなどの対策が必要になる。

59. スタビライザー (stabilizer; stab)
水平尾翼の固定部分。 FF機ではスタビライザーのみの水平尾翼が普通である。 主翼を迎角に固定して安定(stabilize)させるためこの名がある。

60. スタブチルト (stab tilt)
水平尾翼を取り付けるとき、グライド時に旋回させたい方向の側を高くなるように傾けて取り付けること。
HLGや紙飛行機では胴体をひねることでもスタブチルトの効果は得られる。  (本会議室 #956〜 参照)

[参考1]スタブチルトは水平尾翼の揚力尾翼としての働きが大きければ大きいほどよくきく。(本会議室 #1375 参照)
[参考2]スタブチルトの原理例えば左側が少し高くなるように水平尾翼を取り付けると、水平尾翼の揚力が右に傾き、右水平方向の成分が生じる。その結果機体後部が右方向に押され、機体は左に旋回する。横滑り参照。

61. ストール (stall)
失速参照。

62. ストリンガー (stringer)
スケール機などの胴体のカバーリング用縦通材。

63. スナップロール (snap roll)
急横転。普通はラジコン操縦機の曲技の一つであるが、FF機でも垂直尾翼が小さ過ぎるときにダッチロールと平行して起きることがある。

64. スナッファチューブ (snuffer tube)
火縄の火を消し、火がついたまま火縄が落下するのを防止する装置。適当な長さと太さのアルミ管を作って機体に固定し、そこに火縄を差し込んで使う。火縄参照。

65. スパー (spar; main spar)
主桿;翼の翼幅方向の主桁。

[参考]主桿一本ではなく、細いスパーを何本か入れる設計もある。

66. スパイラル不安定;螺旋不安定 (spiral instability)
飛行機がバンクして旋回を始めると、旋回外側の主翼の空気速度がより大きいためより大きな揚力を生じ、機体をますますバンクさせる働きが生ずる。これがスバイラル不安定で、そのままにしておけばスバイラルダイブ(旋回急降下)を起こす。充分な上反角と適切な大きさの垂直尾翼でこれを防がなければならない。
垂直尾翼上反角参照。

67. スパン (wing span)
翼幅(翼の横の長さ)。 コード参照。

68. 接着剤 (adhesive; glue)
a)瞬間接着材 (CA; Cyanoacrylate Adhesive):
シアノアクリレート接着材。モデラーの必携品。木材から金属に至るまで多用途に使用できる。高粘度と低粘度(浸透性)を使い分けると便利。
b)木工ボンド (white glue):
酢酸ビニル樹脂エマルジョン系接着剤。水で薄めて使うことができ、かつ乾燥した後は水に溶けない。紙や木材に安全に使用できる。
c)セメダインC (acetone glue; cellulose cement):
紙飛行機の製作には必需品といえる。ケント紙どうしを貼り合わせるのに使う。
d)エポキシ系接着剤 (epoxy resin):
硬化剤を用いて固めるもので、多用途にわたり非常に強力な接着が出来る。硬化時間が長いものの方が一般に強力である。 
  
[参考1]CAは蓋が口にあたると固まりやすい。20gなどの大きな容器の場合、口を蓋が当たらないところまでカッターできれいに輪切りにすると固まりにくい。 2gなどの小さな容器の場合、口をきれいに輪切りにし、内蓋をしないで、乾燥材を張り付けた外側の(黄色い)容器に入れて置くとよい。
[参考2]スケール・モデルの製作時のように、長時間少量づつCAを使う場合には細ノズルの使用が便利。先端が固まっても容器を押すとすぐ固まりがとれることが多いし、それで駄目な場合は先端を少しハサミで切ればよい。ダンゴ状に固まったらノズルを取り替える。
[参考3]翼紙が破れた場合、木工ボンドを唾などで薄め爪楊枝の先で貼り合わせると、継ぎ目が分からないくらいきれいに、また軽く仕上がる。
[参考4]木工ボンドと同じ酢酸ビニル系の接着剤にホットメルトボンドがある。熱可塑性樹脂を溶かし出して使うもので、紙、木材などの高速・強力な接着が出来る。(本会議室 #1495 参照)

69. セミスケール (semi-scale)
FF機参照。

70. ダウンスラスト (down thrust)
上昇時の失速や宙返りなどの傾向を除くため、推力軸を下向きに傾けて取付けること。

71. ダッチロール (Dutch roll)
ローリング(横ゆれ)と同時にヨーイング(偏ゆれ・尻振り)が生じる振動現象。垂直尾翼の大きさが不充分なとき、または主翼の上反角が大きすぎるときに起こる。垂直尾翼参照。

72. タブ (tab)
翼に取り付ける調整用の小片。垂直尾翼の上方に取り付けることが多い。

73. 低翼 (low wing)
重心より下にある主翼。高翼のような上反角効果が期待できないため、横安定を保つのが難しいと言われる。スケール機などでは胴体の基準線より下側についた主翼を言う場合もある。

74. テールスキッド (tail skid)
スケールモデルなどの「尾ぞり」。

75. デカラージュ (decalage)
元来は複葉機の上下翼の取付角差の意味。現在一般には主、尾翼の取付角差の意味で使うことが多い。取付け角差参照。

76. デサマライザー:デサマ (DT; dethermalizer)
沈下率を増加させて予定時間内に機体を回収するための装置。サーマル(熱上昇気流)の効果をキャンセルするものという意味の言葉。機械式タイマーやヒューズ(火縄)を使って尾翼を跳ね上げたり、HLGでは機首の重りを解放して重心位置を変更したりするものがよく見られる。
略はDT。日本ではデサマとも省略される。
火縄参照。

77. デサマショート (dethermalizer shortage)
デサマが短かすぎて機体が想定時間より早く落下すること。競技会などでよく聞かれる言葉。 デサマがうまく動作しないデサマトラブルとよく混同される。

78. テルミック (Thermic[独])
サーマル参照。

79 .胴体 (fuselage)
a)裸胴;一本胴 (motor stick)
ライトプレーンの胴体。檜、桐、バルサ(固いもの)などが用いられる。ゴムの掛からない尾部は上面の平らを残してやや細く削り、軽量化をはかる。
b)被覆胴 (tissue-covered fuselage)
スケール機やセミスケール機などの胴体で、紙などで被覆する。主縦通材のロングロンなどには普通固いバルサを使う。
  
[参考1]巻き胴 (spirally-rolled balsa fuselage)
濡らした薄手の板バルサを水道管などを芯にして螺旋状に巻き、円筒形に作った胴体。 競技機では最も普通に使われている。外周をグラスクロスなどを巻いて補強するのが普通。競技規定では被覆胴に入る。
[参考2]巻き胴を作る板バルサの幅は普通円筒の外周の95%程度にする。また巻く向きは、立てたとき左下から右上に継ぎ目が進む方向にする。

80. ドープ (dope)
ニトロ系またはブチル系の塗料で、一般のラッカーなどに比べて非常に軽量である。ドープシンナーで薄めて翼などの紙貼りや絹貼りの気密・防水・収縮材として使う。原液のままでバルサと紙の接着にも使う。またバルサの硬化材としても用いられる。クリアーが普通であるが、赤などの色つきもある。

81. トウライン (tow line)
グライダーの曳航索。

82. トラクター (tractor)
プロペラが前に取り付けられている普通の牽引型飛行機。プッシャー参照。

83. トラス (truss)
翼などの斜め補強材。軽量で捩じり強度が出せるため、両面貼りの主翼などによく使われている。

84. 取付け角 (incidence)
翼を胴体に取り付ける際の、翼型の基準線と機体の基準線との角度。主翼の取付け角はー般には3°前後である。
  
[参考]アンダーキャンバー形の主翼の場合には取付け角をごく小さくするのが普通。

85. 取付け角差 (decalage)
主翼と尾翼の取付け角度の差(デカラージュ)。縦の上反角とも言われ、ある程度の取付け角差は縦安定の自動復元に必要とされる。

[参考]垂直上昇をねらう紙飛行機などでは、取付け角差をゼロにしてあるものが多い。(本会議室 #178〜 参照)

86. トリム (trim)
フライトを向上させるための微調整。例えばスラストの調整とか、取付け角差の調整、スタブチルトの調整など。バランスポイントの調節などのような固有安定の調整はトリムとは別。 固有安定参照。

87. トレーリングエッヂ (trailing edge)
翼の後縁。 図面などではT.E.と略される。リーディングエッヂ参照。

88. ノーズブロック (nose block)
プラグ参照。

89. ハイポイント (high point)
翼型の最大厚みの位置。前縁から翼弦の30%前後のところが普通である。

90. パイロン (pylon)
高翼のマウンティング(取付け台)。

91. 羽ばたき機 (ornithopter)
オーニソプタ参照。

92. バランスポイント (balance point)
主翼の下面で縦方向の釣合いがとれる点。 前縁から翼弦の30%〜80%の位置にくるようにするのが普通。重心参照。

93. バルサ (balsa)
主として南米産の、軽量でその割には強度のある材木で、モデラーには必需品といえる。板材には切り出し方により、A,B,Cの分類があるが、同一の板材でも右端と左端とではまるで強度が違うことがある。
(本会議室 #2003, 2012 参照)
A: 長い目がはっきり見え、色は白に近く、軽量である。軽量性を生かして多用途に使われる。 (ソフト)
C: 斑入りまたは霜降りで、割れやすいが、たわみには最も強い。剛性が望まれる所に使われる。(ハード)
B: AとCとの中間のもの。(たわみのテストをして、AかCに振り分けて使う)(AカットBカット、Cカット何れにもソフト、ミディアム、ハードがあります。使い分けは#2003参照)
[参考]バルサ材を曲げるときは水で濡らしておくが、数滴のアンモニアを加えると割れにくくなる。

94. バルサスリッター (balsa stripper; balsa slitter)
縦通材などの製作用にバルサを細長く切る道具。日本の「けびき」に似ており、安全剃刀の刃を利用して自作も出来る。
使用の際にはバルサの目に注意し、食い込む方向に使わないこと。

95. ハンガー;プロペラハンガー (prop hanger)
ライトプレーンのプロペラシャフト取付部;コメタル。プラグ参照。

96. バンク (bank)
飛行機が左右どちらかに傾むくこと。 これにより揚力に水平方向の成分が生まれ旋回する。FF機では突風などで機体がパンクして横滑りした場合、上反角の働きで自動復元する。上反角参照。
  
[参考]気流の乱れは別として、このバンクの際の揚力の水平成分以外にはグライド中の飛行機の経路を変える力は存在しない。垂直尾翼のラダーはは上下軸回りの姿勢を変えることにより、スムーズな旋回を助ける働きをする。横滑り参照。

97. P−30 (P-30; P-Thirty)
FF機参照。

97-1. PLG
パチンコランチグライダーの略。和製。
カタパルトグライダー (catapult glider)参照。

98. ピーナッツ (Peanut scale)

FF機参照。

99. ピスタチオ (Pistachio scale)
ピスタチオスケール機。ピスタチオはピーナッツよりやや小形の木の実。
FF機参照。

100. ビッグスケール (big scale)
FF機参照。

101. ピッチ(プロペラの) (pitch)
本来はプロペラ上の任意の箇所がプロペラ一回転で進む距離(その位置の角度に沿って進むと仮定した場合)を指し、その箇所が一回転で回る距離(直径D×円周率π)との成す角度がピッチ角と成る。慣用的には中心から75%の箇所のピッチをそのプロペラのピッチとする。またピッチ対直径比(P/D)でピッチ配分を表わすことも多い。中心から先端までP/Dが同一のものを一定ピッチ(helical pitch)という。

[参考]中心から先端までP/Dが同一のものを一定ピッチ(helical pitch)というが、折りペラなどでは先端に行くにつれP/Dを小さくしてあるものが多い。一説によれば、プロペラに力が加わって変形するとき、角度の変化は中心部から先端に向かって大きくなって行くが、これを補正するためで、プロペラの剛性が充分であれば、一定ピッチのプロペラが最も効率がよいと言われる。

102. ピッチング (pitching)
飛行機の縦ゆれ。回転軸参照。

103. 火縄 (fuse; wick)
小型機のデサマライザーのタイマーとして使う。 綿の撚糸を硝酸カリの希釈客液に漬けて乾燥させたもの。ヒューズとも言う。デサマライザー参照。
希釈溶液は飽和溶液を倍程度に薄めたものがよく使われる。

[参考1]火縄を乾燥させる際、吊り下げておかないこと。濃度にむらが出て立ち消えした例もある。古新聞紙などを広げた上に、平らに広げて乾燥させるとよい。 
[参考2]火持ちの良い火縄:
火縄を作るとき、普通は硝酸カリの飽和溶液を2倍に薄めて使うが、これだと燃えが良すぎてMax時間が長いときなどに困る。実験の結果、重量比4%の希釈溶液までは問題なく使えた。
[参考3]火縄落下防止装置:
多くの競技会では、火縄を使う場合不慮の事故に備えて火縄落下防止装置の取り付けを義務づけている。スナッファチューブを使っている場合が多いが、ピアノ線で火縄を挟むように工夫した装置でも代用できる。
スナッファチューブ参照。
104. 被覆材 (covering material)
FFゴム動力機の翼や胴体の被覆材は、最近はマイラーフィルムなどの新素材も用いられるようになってきたが、主流は紙で、エサキ・ティシュー、雁皮(ガンピ)紙、佐治川などの和紙が使われる。かつては絹(ドープで目止めをする)もよく使われた。要は軽く、丈夫で、空気を通さず、工作が楽な被覆材であればよい。マイラーフィルム参照。
 
[参考1]和紙の繊維と引き:
和紙には繊維の方向があり、繊維の方向に強く、繊維に直交する方向によく縮む。紙貼りの場合翼幅のように長い方向に繊維の向きを取るのが一般だが、ピーナッツなどの場合翼弦方向に繊維の向きを取ることもある。(本会議室 #950 参照)  
[参考2]しわ貼り:
ライトプレーンなどでは、乾燥した場合紙の張りのために骨組みが反ってしまうことがある。これを防ぐためにあらかじめ紙をよくもんで紙の繊維を柔らかくしてから貼ることがある。
しわ貼りにすると層流剥離を抑え、最大揚力係数が大きくなるという説がある。
[参考3]しわ貼りの方法:
1.霧を吹いて縮める。 
2.乾いた紙を2回から3回揉んでは広げて、を繰り返す。 
3.膝の上で平に伸ばす。
4.糊を塗った骨組みの上にそっと置き、リブやひごの上を指の腹で撫でるようにして歪を取る。  
5.薄めたドープで仕上げる。
[参考4]典具帖(テングジョウ)という和紙もよく模型飛行機の製作に使われるが、主としてバルサの補強用で、被覆材として使う場合にはよく目止めをすること。
一三式艦戦さんの和紙の入手方法と重さ比較

105. フィレット (fillet)
スケールモデルなどで、主翼と胴体、水平尾翼と垂直尾翼などの流線形に整形した取付け部分。

106. 風圧中心 (C.P.; center of pressure)
翼に働く空気力の中心(揚力の中心)。
FF機では前縁から平均翼弦のほぼ25%位置になると言われている。
空力中心と風圧中心参照

107. 吹き下し速度;吹き下し (induced velocity; downwash)
翼が空気中を進むと、空気は翼の通過と共に徐々に下に押しやられていく(この反力が揚力)。この空気の速度を「吹き下し速度」、または単に「吹き下し」という。吹き下しは揚力・抗力発生のメカニズムと密接に関係する。また後方にある尾翼に影響を与える。

108. プッシャー (pusher)
プロベラが後から機体を推し進める形の飛行機。トラクター参照。

109. フライオフ (fly-off)
競技会用語で、滞空時間が各回ともマックス・タイムを越えた競技者が複数いた場合、または同一の最長滞空時間の競技者がいた場合、マックス・タイムを延長するなどして更に競技を続けて優劣を決めること。
本来は実機の性能比較のための競争飛行をいう言葉。

110. フライングウィング (flying wing)
無尾翼機。デルタ形に近い後退翼のものがよく紙飛行機に見られる。翼端に近い後縁の部分に水平尾翼の働きをさせている。
矩形翼などのゴム動力機もある。

111. プラグ (nose plug)
被覆胴のプロペラシャフト取付部。ノーズブロック(nose block)とも言う。
ハンガー参照。

112. フラッター (flutter)
主翼などが剛性の不足のため振動する現象。

113. ブレード (blade)
プロペラの羽根(翼)。 通常FF機のプロペラは2枚のブレードからなっているが、3枚のものもあり、まれには1枚だけのものもある。

114. プロテクトチューブ (protective tube)
保護チューブ参照。

115. プロペラ (propeller; prop; air-screw[英])
回転翼推進器の一種;日本語ではペラと略されることも多い。動力飛行が終われば有害抗力となるため、普通空転装置か折り畳み装置で抗力の減少を計る。ブレード、ピッチ参照。
  
[参考1]プロペラの効率:
プロペラの推力に最も影響を与えるのは、その直径と回転数(rpm)であり、推力は回転数の2乗に比例して、また直径の4乗に比例して増加する。またブレードの剛性も大事な要素であり、他が同一であれば剛性が高いほど大きな推力が得られるといわれる。
[参考2]プロペラの直径:
目安として  D=1.5×(主翼面積の平方根) が用いられる。
[参考3] プラスチック製プロペラ
空転式のライトプレーンやP-30では市販のプラスチック製プロペラが使用されるが、材質的に大別すると軽量で薄手のもの(ダイアモンドマークなど)と、厚手のもの(ユニオン製など)とある。軽量化を重視する場合には薄手のもの、剛性を重視する場合には厚手のものを使う。
(薄手のものは熱などで変形しやすい点に注意。自動車のダッシュボードに置いてあったチェコ製のペラが縮れたように変形した例もある。)
[参考4]プラスチック製プロペラを薄く削る場合には表側(凸側)を削る。
最終的な仕上げは自動車の塗装面を磨くコンパウンドを使うと良い。

116. 補強材 (strengthening material)
a)カーボンファイバー
炭素繊維。軽量で強度があるため、最近よく使われるようになった新素材。薄手のシート状のものはバルサ材の補強などに、また円筒状のものは大型機の胴体などに利用されている。 カーボン製釣り竿の先端に近い部分はHLGの胴体などにも使われる。
接着にはエポキシ系や瞬間接着剤を使う。(本会議室 #3478 参照)
b)グラスクロス
ガラス繊維。最近軽量でごく薄手のものが入手できるようになり、バルサ材の補強などに利用されている。
ごく薄手のグラスクロスはドープで接着できる。厚手のものは専用のレジンかエポキシ系接着剤を使う。

[参考1]上等の酒などの包装に典具帖に似た白い不織布が使われていることがあるが、あの薄手のものがバルサの補強に使える。アイロンで接着し、木工用ボンドを水で薄めたもので目止めをして使う。
[参考2]ガラス系の充填補強材にマイクロバルーンがある。中空状のガラスの微粒子で、瞬間接着剤やエポキシ系接着剤と共に使用するが、軽量で強力な充填補強が出来る。(本会議室 #68〜 参照)

117. 保護チューブ (winding tube; protective tube; blast tube)
被覆胴や巻き胴のゴムを巻くとき、ゴムの切断による胴体の損傷を防ぐためのチューブ。延長シャフトを使い、このチューブの中にゴムを通して巻く。
ピーナッツなどゴムの量が少ないものの場合は、市販のアルミ管などを利用している。ゴムの量が多く太くなる場合は、カレンダーなどの丈夫な紙を適当な太さに巻き、ボンドで固めて作る。

118. マイクロバルーン (Micro-baloon)
ガラス系充填補強材。補強材参照。

119. マイラーフィルム (Mylar film)
張力の大きい薄いポリエステルフィルム。オラライトなど接着剤付きの商品もある。
  
[参考1]貼り方:(本会議室 #577 参照)
糊はプラスチック用、またはゴム系の接着剤が使える。シンナーで薄めたっぷり目に塗り、乾燥させておく。
サイズに切ったフィルムをのせ、低温(100℃位)のアイロンで4隅、前・後縁から張り付けて行く。フィルムの重なりには追加の接着剤を少量塗る。
その後徐々にアイロンの温度を上げ、撫でてしわ伸ばしをする。
[参考2]アイロンの温度を上げて「しわ取り」した後は、張力が強く、骨組みが捻れやすくなるのに注意。

120. 巻き胴 (spirally-rolled balsa fuselage)
胴体参照。

121. マックス (max.; maximum time)
競技会用語で、機種(種目)ごとに決められた最大滞空時間を言う。所定の競技回数すべてマックスだとオールマックスなどと言う。

122. ミニクープ (mini-Coupe)
石井英夫氏発案の機種。名前の由来は機体重量、ゴム重量と最高飛行時間の規定がクープディヴェール(F1G)の1/2になっており、それ以外も極力クープに合わせている点にある。1/2CDHと呼ばれることもある。
FF機参照。

123. 迎角 (angle of attack)
翼型の基準線と飛行方向との角度。またまれに取付け角の意味で使われることもある。取付け角参照。

[参考1]現在では「むかえかく」または「げいかく」と言うのが普通。古くは「むかいかく」とも言った。
[参考2]滑空時の迎角は大体6度前後といわれている。 

124. モーターチューブ (motor tube)
巻き胴などのゴムを被覆した部分。

125. モーターラン (motor run)
ゴムやエンジンの駆動時間。(「ゴム動力」の英語は rubber motor)

126. モーメントアーム (moment arm)
尾翼などの空気力の働く中心から回転軸の中心(一般には重心)までの距離。これが長いほうが空気力が有効に働く。 水平垂直)尾翼容積参照。

127. モントリオールストップ;モントリオールストッパー (Montreal stop)
競技機によく使われる折り畳みプロペラ受け金具で、ゴムのトルクカーブを利用した精巧で複雑なストッパー(停止機構)を持つ。 最近はプラスチック製のものも見られる。
カナダのモントリオール模型クラブ(Montreal Model Flying Club)の会報Montreal Newsletter に発表されたのが最初といわれる。
折り畳みプロペラ参照。 (本会議室#3848, #4093, #4133 参照)

128. 矢高 (camber)
キャンバー参照。

129. ヨーイング (yawing)
飛行機の偏(片)ゆれ。回転軸参照。

130. 揚抗比 (lift-to-drag ratio)
翼に働く揚力と抗力の比で、これが大きいほど性能が良い。迎角、翼型、アスペクト比などと関連する。
  
[参考]全機揚抗比:主翼以外の揚力、抗力も含めた揚力と抗力の比で、全機揚抗比と滑空比(前進速度/沈下速度)は等しくなる。

131. 揚力 (lift)
空気力参照。
揚力L=(1/2)・ρ・Cl・S・V^2 但し、ρ:空気密度(海水面で1.225kg/m^3)、Cl:揚力係数、S:翼面積、V:飛行速度

132. 揚力係数 (lift coefficient)
揚力を無次元化して表したもので、翼型や迎角と密接な関係を持つ。

133. 揚力尾翼 (lifting tail)
一般に主翼と同じように揚力を生じる翼型をもった水平尾翼を言う。広い意味では、バランスポイントを後のほうにもってきて尾翼にも揚力を負担させれば、平板な翼や上下対称翼でも揚力尾翼といえる。

134. 翼型 (wing section)
翼の前縁から後縁までの断面。 上下対称形、下面が平らなフラットボトム形、下面に反りのついたアンダーキャンバー形がある。

135. 翼面荷重 (wing loading)
総重量(W)を主翼面積(S)で割ったもの。単位面積の主翼がどれだけの重さを支えるかを示す。W/Sが小さい方が沈下率が小さく、滞空性能がよいとされる。模型飛行機の場合は「グラム/平方dm」で表すことが多い。

136. 横滑り (slip; sideslip)
機体がバンクすると揚力に水平方向の成分が生まれ、機体はその方向に移動する。これが「横滑り」である。充分な上反角があると機体はバンクから姿勢を立て直す。バンク上反角効果スパイラル不安定参照。
   
[参考1]スキッド(skid;外滑り;ヨー)
上反角のない機体がラダー(舵)を切った場合、機体は首を横に向けて直進する。この状態がスキッドである。ここでもし充分な上反角があれば、前方の翼の迎角が後方の翼の迎角より大きくなり、機体はバンクする。
[参考2]
FF機の場合、グライド時の定常旋回は、
  a)スタブチルトやラダーなどの生み出すスキッド
  b)上反角によるバンク
  c)横滑り
  d)上反角による姿勢の立て直し
の繰り返しと考えられる。スタブチルト参照。横滑りの追記 参照。
137. ライトプレーン (light-plane)
FF機参照。

138. ランディングギア (landing gear; L.G.)
着陸設備(機器)の意味。スケールモデルなどの脚。

139. リアペッグ (rear peg; rear hook; rear tube)
機体後部のゴム掛け。リアフックともいい、いわゆる「フック間隔」とは前部のプロペラシャフトのフックからリアフックまでの距離を言う。
被覆胴や巻き胴の場合には、ゴムの着脱や、ゴム巻き台に固定する便宜のために着脱可能なパイプになっていることが多い。この場合にはリアチューブ、リアパイプともいう。

140. リーディングエッヂ (leading edge)
翼の前縁。 図面などでは L.E.と略される。トレーリングエッヂ参照。

141. リブ (rib)
翼型の整形材。

142. ルーブリカント;ルーブ (lubricant; lube)
動力用ゴムにぬる潤滑剤。(例:液体石鹸4、グリセリン1の割合で混ぜ、更に水で倍量程に薄めて一旦沸騰させたもの。シリコンオイルやヒマシ油なども用いられる。またグリセリンを含むため浣腸液も使用できるといわれる。)

143. レイノルズ数 (Reynolds number; Re)
飛行機が飛ぶときの空気との関わり合いを、空気力を構成する「慣性力」と「粘性力」の比で示したもの。 レイノルズ数が大きいほど(慣性力支配)効率がよい。飛行機は基本的には慣性力支配の下で飛ぶべきもの。

[参考1]同じ翼面荷重でも大きな飛行機が高速で飛べば Reが大きく、飛びがよい。
[参考2]普通ゴム動力のFF機などは慣性力支配と粘性力支配の境目あたりで飛んでおり、翼型、翼面などに工夫して何とか慣性力支配の下で飛ぶようにと努力している。
[参考3]レイノルズ数は近似的に次の式で求められる。
   Re = VL × 70 V:速度(m/s) L:サイズ(mm)
(例1)翼弦100mmのFF機が秒速4mで飛行する場合
   Re = 4×100×70 = 28000
(例2)秒速4mで飛行するFF機の前縁から20mmの翼面 
Re = 4×20×70 = 5600

144. ローリング (rolling)
飛行機の横ゆれ。回転軸参照。

144. ロングロン (longeron)
スケール機などの胴体の主縦通材。ストリンガー参照。

145. ワインダー (winder)
ゴム巻き器。
  
[参考]市販のプラスチック製ワインダーはゴムの量が多いときには不適なため、ハンドドリルや釣り用のリールを改造して使うことが多い。どちらかといえば、本来押して使うように出来ているハンドドリルより も、引いて使う釣り用のリールを改造した方が良い。
いずれにせよゴム掛けのフックが抜けないようにすること。

                                 END